第07話 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
作者:
ディー
2005年07月01日(金) 20時36分53秒公開
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
何なんですか!!あの男は!! ダン!! 昼間の事を思い出し、思わず拳を机に振るってしまった。 「どっどーしたんですかマスター? イライラしちゃって、そんなんだとお肌荒れますよー。」 「何でもありません。後余計なお世話です。」 睨みつけると慌てふためくセブン。 「何でも無い事ないです、全くマスターは素直じゃないですねー。」 「セブン、次は何処を改造してあげましょうか?次はドリルとかはどうです?」 「ひー!!! ごめんなさい、ごめんなさい。もう言いませんから改造だけは止めてください〜。」 さて馬鹿精霊を黙らせて、一口カレーを口に入れる。 「・・・ムグムグ。やっぱりカレーは良いですね。こう何というか人生に張りが出るというか。」 「安っぽい女ですね〜。」 「セ〜ブ〜ン〜。」 「じょ冗談ですよ〜、この前有彦さんの家で暇つぶしでやってたゲームの一節にあったんですよ〜私が言ったわけじゃありません〜。マッマスター黒鍵は駄目ですって!!」 「・・・・冗談ですよ。」 「目が本気です〜」 涙目のセブンは放置しつつ、今日の昼のやり取りを思い出す。 あの男、サイファ第三部隊隊長の男の言葉。 交渉は失敗に終わったが暗に教えてもらった事が二つある。 一つは、あの男の仕事は監視が主、それとこの地区のトラブルを事前に防ぐ事だそれは間違いない。 見た写真には遠野君とのデートの写真だけではなく、先日カレーの材料を買いに出かけた買い物風景や夜中のパトロール姿が映っていた。 そして、あの言葉。 『この街は三つの勢力によって緊張化していると言われている。どの勢力か君には解ると思うが。』 アレは暗に三つの勢力に関係した事柄について来ているという事。 『裏の世界では結構有名になってる。』 裏の世界でも有名な事といえば、アルクエイドと私が出張ったロアとの事。そして三つ目の勢力と言えば遠野。 此処までのカードが出れば自ずと解る。 目的は私達の監視ですか。 「ふーご馳走様です。」 食器を持って台所へ蛇口を開き、スポンジに洗剤をつける。 幸いなのは、まだ遠野君の事がばれていない事です。 彼の目は特殊すぎる、もし教会や魔術協会にばれる物ならば彼の身の安全は保障できません。 私の方に目が向いているうちは大丈夫ですね、昨日の交渉の結論は『余計な事をせずにおとなしく監視されろ』と言う所でしたが、今回は致し方ありません。 「あんの馬鹿上司の事ですから、解った途端に埋葬機関に引き入れて死徒狩りとかを強要するに違いありません。」 そうなれば最後、危険な任務に放り込まれます。協会にばれたらホルマリン漬けは目に見えていますし。 「マスタ〜なにブツブツ独り言を言っているんですか〜?」 「考え事です!!・・・そういえば、セブンあなた五年前に会ったクリムゾン・・・いえ三剣は覚えていますか?」 「風文さんですか?覚えていますよ。たしか、スエーデンの片田舎であった焔を使う人でしたよね?」 そうだった、あの男は焔を使い、その応用で空気の屈折使う幻術を得意とする。 「そうでした、焔を使う魔術師でしたね。」 「え? マスター、違いますよ。」 「何がです?」 「あの時、あの人は魔術は使ってないですから魔術師とは言えません。」 12月20日曇り 彼にとっては待ちに待った給料日だろう。 雇用した側としては少し嫌な日だが。 週三日の一日二時間半のバイトとしては良く稼いだ物だと思う。 ビルの窓拭きが高収入だったのがあるだろうが。 その支払う彼とは、昼すぎに税理士と会った後に会う約束になっている。 何故か手渡しだというと・・・・・。 「本当はバイトは駄目なんですよ。」 「ほう、噂の妹さんかな?原因は。はい王手、待ったは無しだぞ。」 「ちょ、一寸待って。う〜こっちに逃げると、こうなるし・・・・こっちも・・・・・あ〜駄目だ。」 「遠野家の人間がバイトなんて他の者に示しが・・・・なんて言われているんで。実は口座振込みをしてもらうつもりだったんですが、、口座にお金が入ると妹にばれるんです。」 「これでどう!!」 「続けて王手。何でばれるんだい?」 「・・・・風文さん、遠野の家知ってます?あの丘の上にある。」 ・・・・・なるほどね、言いたい事はわかった。が、ここは当たり障りの無い答えを出しておくのが良いな。 「あの大きな家?もしかして君はそこの家の人かい? あの遠野グループの?そう言えば君の苗字も遠野だね。」 「そうなんです。」 「・・・・あそこは、ここら辺の銀行とは顔が利くからな・・・・すぐばれるな、高額の収入があったら。」 「はい。」 溜息混じりにガックリと項垂れる志貴君。 「あ〜もう駄目〜。」 「ふむ、終わったのは解ったみたいだね。2・3銀 同王 3・4成り桂詰みだ。」 「志貴〜また負けたよ〜。」 「そんなに悔しいのか?アルクエイド。」 「当たり前よ!!1勝78敗5分、全然勝てやしない。」 唇を尖らせて拗ねるお姫様。 「でも1勝してるじゃないか。将棋オタクの風文さんに1勝でも出来るのは凄いんじゃないのか?」 「オタクって言うな。」 「不戦勝よ、ついでに5分は風文が忙しくて帰ったから・・・・あーもう。」 「ははは。」 コメントが見つからない志貴君は乾いた笑いを浮かべる。お姫様は自棄とばかりにハンバーガーにかぶり付く。 此処はいつものファーストフードのいつもの席。目の前には真祖のお姫様にその隣にはバイトの志貴君。 「でも、風文さんとアルクエイドが知り合いって思わなかった。知ってたら教えてくれたら良かったのに。」 「私だって志貴が風文の所で働いてるって知ってたら遊びに行ってたのに。」 「いや、それは困るぞ。」 君が来たら志貴君の仕事の邪魔になる。 「駄目だぞアルクエイド、遊んでるんじゃないんだから。」 「え〜なんでよ。」 「お前なあ・・・何時も何時も言ってるけど・・・・。」 志貴君の説教を聴きながら、鞄に入れてあるミネラルウオーターを飲む。 ・・・・今の状態を映像でとってメレム・ソロモンに売ったら幾ら位になるかな?きっと高くで買って貰えるだろうなあ次の定時報告で提案してみるかな イヤイヤイヤ、次回のゼルリッチとの会談での次の技術提供のためのカードとして・・・・・。 「風文さん?」 「ああ、スマンスマン。一寸考え事しててね、そろそろ仕事に戻らなくてはいかん。え〜と・・・・はい、約束の物。」 「何それ?」 封筒に興味を持つお姫様。 「何だって良いだろう。風文さん忙しい所すみません。」 「いや良いよ、アルクエイドさんとの約束もあったしね。それじゃあ二人ともお先に失礼するよ。」 「またね〜。」 「アルクエイド!!」 夫婦漫才を後ろに外へと出る。 また面白い物がみれた、此処まで面白いものは余り見られんからな〜。 思わずほくそえんでしまう、本当に微笑ましい事、平和な事だ。 こんな日が続けばいいのにな・・・・ん? 携帯が震えている。履歴を見ると指揮車の田中からだった。 「どうした?」 『本社の細目部長からの連絡です。成田に『魔術協会』の一団が到着したらしいです。』 「行き先は・・・・こっちに連絡が来るぐらいだ。こっちか。」 『はい、情報部の尾行は撒かれたそうですが。見失ったのが此方方面の電車に乗ったのが最後だそうです。』 「それで? 細目の事だ、それだけではあるまい。」 『ロンドンからの空輸の名簿から大まかな人数が割り出したそうです。30人の魔術師から成る部隊だと言う事ですが。』 「空輸の中身は解ったのか?」 『大まかに分けて三種類『概念武装』『儀式用呪具』『銃器類』』 「良く解ったな。」 『中身の殆どがサイファヨーロッパ支部から買った物だそうですから。』 そりゃ、ばれるわ・・・・それにしても戦争でもしにきたのか?まったく、そこまでする価値があるのかねえ。 「姫か?」 『そこの目的は解らないそうです。』 「そうか・・指揮車を駅前に移動。写真は送られてきたか?」 『尾行時に撮れた物がメールで送られてきています。』 「そうか見つけ次第、報告しろ、写真を各部隊に配布。発見しても一切手を出すなよ、見つからない様にそのまま監視を続けろ。後写真の人物を本社のデータベースで検索をかけろ。」 『了解。それと細目部長からの伝言です『がんばれ、期待はしてない。ノビノビやれよ、俺は温かく見守っている、見つかって袋叩きにされるのがベストだ』以上です。』 携帯をポケットになおす。 ・・・・あの野郎・・・・いつか締める。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■一覧に戻る ■感想を書く ■削除・編集 |