第16話
作者: ディー   2005年07月01日(金) 20時46分31秒公開
三咲町から電車で三時間、朝の食事の用意をして出たので今は十時過ぎ位でしょうか。
今、私は三咲町に良く似た町に訪れました。
駅前とか、志貴さんが良く行く喫茶店とか、ラーメン屋台のある公園とか、細部は違いますが大まかな所が良く似た町です。
そして一番驚いたのは、私を迎えに来た男女の一人の黒づくめで長い髪で片目を隠した青年でした。
「え、志貴さん?」
「ん?」
答えたのは中性的な雰囲気を醸し出している着物の上にジャンバーを羽織った女性です。
「・・・あ〜あはは、失礼しました。貴方が私の主人のお兄さんに似ているものでつい。」
笑って誤魔化す、志貴さんが居たということは、その他も居るんでしょうか。
「へ〜珍しいな、俺と名前だってさコクトー、どんな奴だろうな。」
「式とは似ても似つかぬ人だろうね。」
「どういう意味だよ。」
着物の女性が心外と睨みつけます、ですが青年は笑って受け流しました。
「この人が言ってたじゃないか。『私の主人のお兄さん』にって言ってただろう? つまり、君の様に綺麗な人とは似ても似つかぬ男の人だって事さ。」
「なあっ!!」
顔を真っ赤にして俯く女性とそれを笑いながら見つめる男性。
又何ともいえぬ可愛い反応ですね〜うふふふ、こう何か弄っちゃいたい位の嗜虐心を煽る様な反応です。
まあ、此処で遊ぶのも良いですけど、今日の目的を達成しなくてはいけません。
ちょっと惜しいですが、何せ日帰りですし。
「あの〜。いいですか? そろそろ案内して頂きたいんですけど?」
「ほっほらコクトー、案内しろ。」
「はいはい、式はまったく照れ屋だね。」
「お前が気にしないだけだ!!」
まったく惜しい。


「それで? 終わりでしょうか?」
駅のロータリーから自動車で走る事10分、廃墟のようなビルに招かれた。
不思議な造りで一階から三階までは空き部屋のようで、四階が事務所になっている。
「はい、これが私が知る『三咲町の吸血鬼事件』の顛末です。まあ、私の地道な捜査と推理で出した答えですが。」
「いえいえ、聞いた私としてはとても有意義な話を聞けたと思います。特に最初あたりの錯乱している犯人が薬を使っていると確信した所なんて。」
目の前の大きな机に着いている女性は、にこやかな顔で私を探る。少なからずとも、いえ話の中で伏せられた顛末を伏せているのを気付いている顔です。
こう言う時は腹の探り合いが楽しいのですが。
しかし、今回の目的は少し違う、そんな話も全て無視するような言葉を私は発した。
「あは〜、そこから先のどうやって調べたのかは企業秘密ですよ〜。流石に私の遠縁の『巫淨』の最後を看取った方とは言え喋れませんね。魔術師の青崎橙子さん、いえミス・オレンジ、もしくは時計塔最高の人形師の方がよろしいですか?。」
「ほう。」
雰囲気が変わる、彼女はユックリと眼鏡を取ると、眼鏡を片手で弄びつつこちらを睨んだ。
やはり、さっきの顔よりこちらの顔の方がしっくり来ますね、多分この方は二重人格で眼鏡でスイッチをして居ると言うところですか。
「それを知っているとは、流石は遠野家のメイドと言う所か?」
「いえいえ〜遠野家だけではないですよ、私自身の情報網も含めてです。」
更に険しくなる視線を先程の黒桐さんよろしく笑顔で受け流す。
「ならば私の事情も知っているな?」
「封印指定でしたっけ? 聞いていますよ〜私の知り合いにそちらに詳しい方を知ってますんで。」
まあ、シエルさんの口を開かせるにはカレーだけで十分でしたが。
「だったら、解っているだろうな。魔術師としての私の名前を出すという事は・・・。」
「口封じですか? あはは〜それはありませんね。私が今日中に帰らないと貴女の居場所がばれると言ったらどうします?」
まあ、そんな用意はしていませんが。段々険しさを増していきますね〜。
「ほう、やってみろ。」
「いえいえ、やりませんよ〜。私は此処には話を聞きに来たんです。三咲町の吸血鬼事件の話をしたらお金が貰えるからと言われてきたわけではないですよ〜。」
「ぞれでは何を聞きに来たんだ?」
「ある人の事を教えてもらいに来たんです。」
眉間が凶悪です。視線だけで言うなら秋葉様とタメが張れます。
「ほう、その為に命の危険を冒してまで此処まで来たと。しかし、何故私だ裏の世界に詳しいものなど幾らでも居るだろうに。」
「電話だとちょっと拙いんです。盗聴されている恐れがあるんで。それに、私が聞いた話だとこの関係の話で一番詳しいのは、貴女の死んだお父様か貴女だけだと聞いたので。」
「いいだろう、言ってみろ、その代わりさっきの話と等価交換だ。もし、それが他愛の無い話ならこの場で殺してやる。」
「ちょちょっと橙子さん。何もそんな物騒な。」
「少し黙ってろ黒桐、今この女は私にしか知らないと確信して危険を冒してまで私に質問をしている最中だ。さあ言ってみろ。」
あはは〜ちょっと焚き付け過ぎたようですね。
まあ、何とかなるでしょう。
私には確信があります、この話をした時の志貴さんの胸騒ぎを私は信じていますからね。
「三剣と言う人間と、七支刀の話です。」



「何!?」
瞬間、橙子さんの顔色が変わる。
「今、三剣といったか?」
「はい〜。それと七支刀の話を正確に知りたいのと、それの関連性を知りたい物で。」
「ほう、そうか。なるほど、ハハハそう言う話なら私しか適任はいないな。あの馬鹿妹は、嫌がって覚えようとしなかったからな。」
さっきまでの怒りはどこに行ったのか、一瞬にして機嫌の良くなる橙子さん。
機嫌が良くなるとどころではない、むしろご機嫌の部類だ。
まあ、これで争いは回避された一安心といった所だろう。
「良いだろう、さっきの話との等価交換だ。聞きたい事を言ってみろ。」
「一体どうしたんですか? いきなり機嫌が良くなって。」
「ここ三百年の間、消えていた伝説の一族の名前が出たんだ。しかも吸血鬼事件や真祖、埋葬機関の七位が居る三咲町の人間の口からだぞ、これが笑わずに居られるか。そうか『八方塞』は復活していたか!! ハハ!! 面白い!!」
「橙子、一人で笑ってないで早く話せよ、特に俺は七支刀の話を聞いてみたい。」
式の刀剣好きが目を覚ましたようだ。ソファーに寝そべっていた式が何時の間にか起き上がっている。
「式・・・刀剣の話は聞いてても良いけど、お客さんの話を邪魔しないようにね。」
「そうよ式、いらぬ事を言って話の腰を折らないようにしなさい。」
「鮮花も余計な事言わないの。」
「兄さん、元はといえば・・・。」
「式も話を聞きたいんだろう? だったらおとなしくする事。」
式とは真向かいのソファーに座り、分厚い良く解らない本を読んでいた鮮花に視線で後で話は聞くからと言い含める。
「そろそろ良いかな? 話を始めたいのだが。」
「ああスミマセン。」
「いえいえ、続けてもらってても良いですよ〜。」
琥珀さんの笑顔が何故かしら面白そうな物を見た者の顔になっている。
「ふむ、貴様も中々ヤル口だな。」
「いえいえ、橙子さんには負けますよ〜。」
う・・・何故だか不適な笑いを浮かべながら、訳の解らない話をするあの二人の間に入ってはいけない気がする、きっと確実に不幸になる。
「まあ、それは兎も角だ話を始めるぞ。『三剣』の名前を持つ者の事だったな、その名前は私以外に聞いたか?」
「ええ、聞きました。が、大抵は笑って誤魔化されるか恐れて何も話さない人達ばかりでした。それで最後に聞いた私の知人の闇医曰く『青崎に聞け』だそうで。」
「なるほど、それで・・・合点がいった。では、話そうか。最初に言っておくが大抵の人間が『三剣』の話を話さないのは馬鹿らしいと言う理由から教えておこう。」
「馬鹿らしい・・・ですか?」
「ああ、馬鹿らしいんだ。『三剣』に関する話は全て御伽噺だからな。だから、この話は実在すると言うのを前提とすると言うのを覚えておけ。」
「御伽噺・・・なるほど〜。」
御伽噺で納得しているが良く解らない。
「橙子師、御伽噺だから実在するとはどう言う事でしょう?」
「桃太郎・・・いや金太郎を例に出すと解るだろう、歴史上の金太郎は解るか?」
現代の人間なら解るかもしれないが歴史的な人間になると少し解らないな。
鮮花も解らないらしく唸っていた、その時のんびりとした助け舟が来た。
「坂田金時ですね〜酒呑童子を倒した渡辺綱の配下の四天王の一人。鬼を退治した話は兎も角、渡辺綱は実在の人物です。」
「そう言う事だ。結構、御伽噺には歴史的な実話が裏の面で息づいているという事を念頭置いておけ。で、話は此処からだ。」
やっと始まるのか・・・、橙子さんはタバコに火をつけ一服した後に話し始めた。
「さて、知っての通り、青崎の家は日本に古くから続く家系だ。そのお陰と言っても良いが日本の古い話を知るには事欠かない。」
深くタバコを吸う、紫煙が緩やかに舞った。
「その中でも気を付けろと言われた話が『八方塞』の話だ。」
「『八方塞』、一体どういう話ですか?」
「少し聞いているのではないかね? 七支刀の話が出たのだから。」
「ええ、まあ。『一つは八剣、北におわそう主神天御中主太神と、神を裁き滅ぼせし七家の総称。』と聞いてます。」
フッと鼻で笑う橙子さん。
「少し脚色されているな、私の家に伝わるのは『北におわそう主神・天御中主太神とそれに従いし八柱の神々。その神々、記に記されず紀に載らず、八百万の神々に恐れられし八剣の主也。神を裁き神を滅する神也。』と伝わっている。」
「七から八に増えてますね。」
「ああ、増えているな。だが八の文字が入る方が正しいのだ、西洋の七と同じく東洋、特に東洋や日本では八と言う文字は縁起が良い上に、強力な力の象徴でもある。」
なるほど、確かに色々な野菜を置く店は『八百屋』と言うし、沢山の神様を表すのは『八百万(やおろず)』と言う・・・『八極』とかは日本とは違うような気がする。
「しかし橙子師、七支刀は七ですよ?」
「それは剣の名前の方が重視されているからだ、ちなみに八剣には北斗七星の星の名前が付いている。『貪狼剣』『巨門剣』『禄存剣』『文曲剣』『廉貞剣』『武曲剣』『破軍剣』だ。これに主神の剣の『北辰剣』を含めて『八剣(やつるぎ)』だ。」
「死兆星は関係ないんですね〜。」
「残念ながらな。 話を続けるぞ、その『八剣』を持ち特殊能力を持つ剣士を『八方塞』と呼ぶ。」
特殊能力? 剣の名前だけでも何かありそうなのに更にまだあるのだろうか。
「俺の目みたいな物か?」
「違うな。御伽噺を聞き分析し、近いモノを考えて見たところ・・・ここから他言無用だぞ琥珀一切喋るなよ。」
「あは〜、解ってますよ〜。」
「ふん魔術師の言葉は重い、言霊の生きるこの日本の知なら尚更だがな。・・・式、浅上藤乃を覚えているか式?」
「ああ、覚えているさ。痛みを感じたり感じなかったりする事によって『凶げる』超能力が出たり出なかったりする奴だろう? アイツには腕をやられているんだ忘れてはいないさ。もしかして、そんな奴なのか?」
寝そべりながら手をヒラヒラさせる式。浅上藤乃・・・彼女の名前は僕にも残る名前。
「そう、あの女と同じような者と言えるな、『八方塞』の人間の記述にこんな物がある『八方塞、その祖は虚空より訪れし神の分霊。』とな。これがどういう意味か解るか? 鮮花。」
いきなり話を振られ慌てるかと思った鮮花は質問を予想していたのか、冷静に考えていた。
「・・・虚空より現れるのではなく、虚空より訪れし・・・虚空より? ・・・まさか異界からの来訪者なのですか?」
考え込んだ末に出した答え、その答えに自ら驚く。
「ふむ、成長しているようだな。私も鮮花と同じ考えだ『異界からの来訪者』。うん?、どうした?」
「時間が無いので、要点だけお願いします〜。その『八方塞』とは一体何をするモノなんですか?」
「む、話す事は色々あるのだがな。まあ聞きたい事を話す約束だったからな仕方あるまい。『八方塞』の理念は一つ厄災を封じ滅する事だ。」
厄災を封じ滅する。
「なるほど。だから、『八方塞』ですか。」



4月30日
俺の対神装備を一式。対吸血鬼装備を人数分送られたし。
以上。



遠くで消防車のサイレンが聞える、不吉な音が停電した暗い店内に響く。
樹木に生る果実の如くハンガーに掛けられた服の間を足音を消しながら歩いた。
自然な歩き方なのに一切音がしない・・・何時の間に覚えたんだろう、この歩き方。
練習した訳ではないのに、自然とこの歩き方は出来ていた。
「たぶん、アルクェイドとシエル先輩と秋葉の喧嘩を決死の覚悟で止めてきたからだろうなあ。」
あの三人は、気配を消して後ろから近寄らないと危ないからなあ。戦いを止める為に戦いに有利な手段を覚える、皮肉なものだ。
暗い通路に入り気配を窺いながらスタッフオンリーと書かれた部屋へと身を潜めるように滑り込む。
室内を確認する、角部屋の様だ左手に扉が見える・・・人の気配は無い、そこでユックリと息を吐いた。
「さて、何とか安全な場所まで来たようだ。」
背中に背負った気絶した都古をそっとソファーに横たえ、左手にあるドアに鍵をかけた。
・・・・囲まれた後、一斉に襲われた後いきなり『レンカンタイ!!』とか言いながら跳んだ都古、襲い掛かってきた女性の顎にクリーンヒットしたまでは良かったが、まさか着地に失敗し頭をハンガーに強打して気絶するとは思わなかった。
「まあ、そのお陰で逃げれた所もあるんだけど・・・さてこれからどうしよう。」
あのまま、起きていたら突っ込んでいただろうな都古は。

ズキッ

頭痛がする、死を多く見すぎた、慣れてきたとは言えこんな痛みが長時間続くとキツイ。
溜息を一つ吐きながら、胸ポケットに入れていた眼鏡をかけ直した。
状況を整理してみよう、まずこの店は地下一階、地上二階の巨大総合服飾専門店。
敷地は広大、遠野の家と同じ位の広さ。
その中でグールが大量に潜伏している、一般人もいるだろうが・・・。
今さっきの店内放送によると避難訓練と称して警備員が人々を避難させているらしい。
状況を考えるに多分、狙いは俺だ。
何故そう思えるのか、あいつらは他の人間が居るにもかかわらず、俺だけを狙ってきた。
いくら鈍感、朴念仁、愚鈍と言われた俺でも気付く。
以前、シエル先輩が言っていた事を思い出した。
『遠野君、あなたの目は根源を探求する人間や魔術に携わる人間にとって喉から手が出るほど欲しいモノなんです。くれっぐれも、こっち関係の人間にばれない様にしてくださいね。見つかったら脳と目をホルマリン漬けですからね。』
下瞼の上から目を押し上げるように触る。思いのほか、この目の影響力は高いらしい。
「直死の魔眼・・・か!!!!!」
建物の中の気配が変わった、押し潰すように包囲する気配から狩人の気配に、ホテルで戦ったネロ程ではないが・・・きっと建物の中はグールで埋め尽くされている。
だが、不思議と不安は無い。
あの時とは違う、家での喧嘩の仲裁もそうだがネロとの戦い、ロアとの戦いで俺も変わった。
横たえた都古を悪いと思いつつ従業員のロッカーに隠す、此処なら暫く大丈夫だろう。
きっと守ってみせる。

ザッ

眼鏡を外しポケットに入れ直す。

ザッザッ

七夜の短刀を取り出し刃を逆手に構え持つ。

ザッザッザッ

扉の向こうに集まる足音。
「来るなら来い!!」
都古の入ったロッカーを後ろに立つ。

ドン!!

扉が破られる、だが予想外の事が起きていた。
襲い掛かってくるのではなく、吹き飛ばされるようにグールが雪崩れ込んできたのだ。
吹き飛ばされたグールは動かない。いや、ゆっくりとと消えていっていた
「なっ!!」
吹き飛ばされた扉の向こうには妙な物があった。
銀色に輝く姿見の様な縦に長い楕円の鏡、特徴を挙げるとしたら鏡の上下に棘のように剣が一本ずつ付いている事だ。
「何だ!?」
思わず呟いた、その言葉に誰かが返して来た。
「これは我が家に伝わる『ソード・シールド』、十五世紀に作られた年代物でトーナメントに使われていた奇剣の一つです。」
部屋の中に声の主がユックリと入ってきた。年は俺と同じぐらいだろうか、白い肌に金髪の外国人、顔つきは少し幼さを残している。
上下黒の一式の服、それだけであれば只の観光の外国人、だがそれをおかしくしている物は二つある。
一つは右手に持つ剣の付いた鏡の様な盾と左手に装備した手の甲側についた小さな盾。
・・・ん? 見た事のある顔。
「あんた・・・どこかで会わなかったか?」
「・・・覚えてないのか? 困ったな、自己紹介してなかったから覚えてないのか?」
「???」
「隣のクラスに転校して来たヨハン・シュピーゲルだ。」
「あ!!」
「やっと思い出してくれたな。」
そう言えば始業式の時に有彦が『外国人の留学生だぞ遠野!! 女の子だったらいーなって聞いているのか!! かー聞いちゃいねえ、俺はお前に言いたい事がある。お前にはアルクェイドさんと言う女性が居るから手を出すなよ!!』って騒いでたな、あの後で男と知って凄く落ち込んでいたけど。
目の前の男がその当人・・・確かに見覚えがある。
「で、あんた何でこんな所に居るんだ?」
ナイフを留学生に向けて構える。
気は抜かない、この状況で居る事自体がおかしい。
って言うか、何で盾?
「ただの仇討ち。」
「仇討ち?」
「ああ、相手が強大なんで一人で立ち向かうのは無理と判断したんで嫌がらせのように計画を邪魔してやろうと考えたんです、でここに居ると。」
・・・・良く解らない、が状況から考える。
目の前の留学生の目的は仇討ちを理由とした何かの計画の邪魔。
襲われている俺。
強大な相手では嫌がらせ程度にしかならないらしい。
・・・計画の目的は俺!?
なんか頭痛くなって来た。
大量のグールを使って襲わせる相手・・・吸血鬼に悪い事したか、俺?

ドン!!

しまった反対側の扉のことを失念していた。
一気に雪崩れ込んでくるグールを迎え撃とうと後ろに飛んだ瞬間、盾を持った留学生が今まさにグールが雪崩れ込もうとしている扉に走った。
「フン!!」
盾で扉を塞ぐようにグールを盾で叩き潰す、怯んだ瞬間に盾についている一番上の取っ手を支点に切り上げるように盾を振り上げる。

ゾン!!

肉を断ち切るいやな音。
だが、それだけでは終わらない敵はまだ居る、切り上げた場所を支点に先ほど支点にした場所を今まさに入って来ようとするグールに突き刺した。
「遠野君、後ろだ!!」
気付くと吹き飛んだドアからグールが入って来る所だった。
「クッ!!」
こいつらを一歩も入らせる訳にはいけない、瞬時に入ってきたグールの数を確認、無数にある点と線を目に焼き付け音もなく疾走する。
一体目のグールの首にある線を切り。
二体目の脇腹にある点を抉り。
三体目の胸にある点を穿った。
「ぐう!!」
頭痛を無理やり押さえつけ破られたドアの奥を凝視する。
一体、二体、三体いやもっと居る。
ゆっくりと現れるグール、一体何体居るんだ? こいつら。

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■後書き
後書きはありません。

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