第03話 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
作者:
ディー
2005年07月01日(金) 21時27分57秒公開
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人の出会いは不思議な物だ。 二度とは会えないと思っていた人物と会えたり。 思いもかけないところで知り合いに会ったり。 そんな時は意外と世界は狭いなと思ったりもする。 そんな意味深で皮肉な世界を私はこよなく愛していたりする。 重症だ。 「こんにちわ、ミスター。相席よろしいかしら?」 店に入るなり私の方にくると、何処かの高級レストランと間違ってきたのではないかと思うほど礼儀正しくスカートを軽く持ち上げながら挨拶する銀髪の美少女。 「・・・・・どうぞ。」 年齢は小学生の高学年か?身長は130〜135cm長い銀髪を胸まで伸ばしている。一番特徴的なのは、猫の様な理知的且つ無邪気さを併せ持つ眼。 ・・・・断る理由も無い。そしてこのタイミングだと、この少女には思い当たる節がある。 「何かご注文は?」 おずおずと注文を聞くウエイトレスの代わりにテーブル横に備え付けのメニューを少女に渡す。 「紅茶いただけるかしら?」 「かしこまりました。」 ウエイトレスが去って暫らく経ち、少女が口を開く。気を付けて見ていると、仕草の一つ一つか気品に溢れていた。確信が深まる。 「初めましてイリヤスフィール・フォン・アインツベルンと言います。今後とも宜しく御願いしますわ。」 「七凪 紫門だ、こちらこそ宜しく頼みますイリヤスフィール。」 少女の顔がピクリと動く。 「私の名前に何か?」 「少し、イリヤで良いわ。こちらもシモンでよろしいかしら?」 「かまわないよ。」 「紅茶です。」 ウエイトレスが所狭しのテーブルの隙間にコーヒーを置き、食べ終わった皿を片付けていく。 「ごゆっくり。」 一礼して去っていくウエイトレスを待っていたようにイリアは口を開く。 「安い紅茶、これじゃ家で飲んだ方がよかったわ。突然で悪いのですけれども、あなた何者? 私の家の庭先に入り込んだみたいですけど。」 「何者と言われましても・・・?」 やはり朝、森に入ったのを見られていたか。確信はなかったが、視線は感じたのは間違いではなかったな。 「朝、私の森に来たのを知っているのよ。あの森は私の森、何処に誰がいようがすぐ見つける事が出来るわ。」 「はあ・・・確かに今日郊外の森へとは行ってみましたが。あなたの私有地とは知りませんでした。」 半ば棒読みで返す。 「へえ、惚けるのが上手いのねえ。いいわ、それより貴方、七凪と仰ったわね、本名?」 この少女は・・・・。何を知っている? 「そうだが。」 少女らしかぬ薄い笑い。 「七凪は代々医家、医者の家系らしいわね。」 「・・・・・」 「古くは中国の方の流れで」 ガシャン 静まり返る店内、曲は先ほどと違いゆったりとした曲に変わっていた。 コノショウジョハ、イマナニヲイッタ? 「古くは三皇五帝に数えられる・・・・・。」 「何故、知ってる。その話をした人間は一人しか居ない、しかも話した奴は風の噂では死んだはずだ。」 罠にかかったと言わんがばかりの笑顔。クッ、思いがけない事で反応した自分の未熟さに腹が立つ。 「エミヤ キリツグと言う男を知っている?」 「知らんな。」 可憐な唇から紡がれた言葉は知らない名だった。 「え?」 キョトンとした目で一瞬こちらを見る、と慌てたように話し続ける。 「え? え? だって、私あなたの事をキリツグから聞いたんだけど?」 まさか、そのエミヤ キリツグとやらは。 「正義の味方・・・・。」 その言葉の一言で輝くような笑顔を見せるイリヤ。 「そう、その人!!」 その男とは何度か出会っていた。 十三年前。 仕事で、ある男と仕事をする事となった。仕事の関係上、お互い氏素性は語る事はないのは常だった。 が、その男は不思議な奴だった。仕事中は冷徹かつ合理的、それ以外は何と言うか人懐っこい 男だった、笑顔は柔らかく同性である私が見ても魅力があった。 ・・・私には、そのケは無いのを断っておく。 あいつは何で、こんな世界に居るのか解らない奴だった。仕事中は機械さながらの精密さと無表情且つ無口、仕事以外の時は無邪気な子供の様な笑顔。 余りのギャップに調子を狂わされた事もあったが、本当のあいつは実際は良い奴だった。 気になって好奇心もあっただろう彼がこの職業になった、その理由を仕事中にもかかわらず聞いてみた時があった。 最初は仕事の性質上断られるかと思ったが、何となく話してくれる予感があった。実際あいつは、色々と馬が会ったと言う理由だろうがポツリポツリと語っていった。 最初に追い求めていたものは『正義の味方』だったらしい、『弱きを助け強きを挫き悪を倒す正義の味方!!』そんなテレビでしか有り得ないヒーロー。 切欠は色々とあったらしいが最大の理由は彼の家は魔術師の家系だった事。もう一つは、幼い頃からの厳しい魔術の訓練の合間、休憩時間の大好きだったテレビの戦隊物。 颯爽と現れてピンチの人を、類い稀な力で救って行くヒーロー。その『正義の味方』は幼い彼の目にどのように映ったのかは今となっては解らない。 しかし幸か不幸か彼には、その『類い稀な力』となるモノを学んでいた。そんな現実があって彼は自分の夢を、漠然とではあるが正義の味方としたらしい。 『この力は特別なものなんだ、だったら人を助ける為に使った方がいいだろう?』 さも当然とばかりのシニカルな笑みでそう言った、あいつの表情は今でも覚えてる 月日は流れ大人の事情を知り、正義の意味を知り、彼は魔術師としての生活を過ごしているうちに、今の状態へと成っていったらしい。 子供から大人になる時の良くある話、成長する時、子供は何か大切なモノをなくしていく。 そして何の因果か、正義とは懸け離れた仕事。 そこまで言った後、彼は「等価交換だよ、君は何を教えてくれるのかな?。」なんてうれしそうな顔して言った。 喰えない奴だ。 最後に会ったのは九年前のアメリカのニューヨークで。 私は、ある事を境に仕事を転職していた。その時は仕事も終わり、後は報告書まとめて依頼者に出すだけと、ホッとしていた瞬間だった。 「やあ、久しぶり。元気だったかい?」 オープンテラスのカフェの一角で、日本語で唐突に声をかけられて驚いて思わず身構える。 そこにいたのは以前に出会った、死相の浮かぶ無精髭を生やした一人の男だった。 「あんたか・・・。」 「死んだって聞いてたけど、ピンピンしてるようだね。」 「そっちこそ今にも死にそうだな顔をしてるぞ、以前ほど血色も良くないし生気も無い。死相が出ている、もって1〜2年と言う所だ。」 「流石だね顔を見ただけで其処まで解るとは。医家の家系とは伊達じゃあない。」 「付け加えるならば、何かを話したがってる男が一人と言う所だな。まあ座れ、久々の再開だコーヒーぐらい奢る。」 「君には敵わないね。」 私達はお互い差し障りの無い程度の近況を話した。 話尽くし言葉も無くした後、表情がゆっくりと消え男は話始めた。 「・・・この間、世界を救うために僕は、大勢の人を犠牲にしたんだ。」 「ああ。」 「一人の女の子の信頼も裏切ったんだ。」 「その子は自分の人生を後悔してた。でも、やり直すチャンスは血塗られた道でしかない事に気付いた。だけど、そのチャンスは彼女自身でしか潰す事しか出来ない、時間がなかった、だから僕は彼女に命令して、そのチャンスを彼女自身に潰させてしまった。」 「ああ。」 苦渋が滲む口調の中、目からは何の感情も見えない。 「その後、僕は死んだ人達の中で一人の男の子を助け引き取った。」 「しかし、僕は助けるべきではなかったかも知れない、その所為で男の子は僕の様になりたいって言い出したから。」 「皮肉な物だ。彼の家族や人生を奪ったかもしれない人間の様になりたいなんて。」 「一番皮肉なのは、彼の未来を僕の様な血塗られた道へと導いてしまった事かもしれない。あの子は僕の罪の象徴なんだろうね。でもそれ以上に悲しいのは、あの子の優しさ。それが理由で、その子は今以上苦しみ抜くかもしれない。苦しみから抜け出せないかもしれない。」 「ああ。」 支離滅裂な言葉、その時は以前の男とは違いすぎた。 「後悔しているのか?」 「・・・・・・」 返事は無いが、先ほど無かった表情が雄弁に語っている。 「自分の信念に、正義に疑問を持ったか?」 「・・・・・・」 今にも泣きそうな表情。 「・・・・・間違ったと思っているのか?」 「・・・・・・」 「あんたがそう思うなら、間違いなんだろう。だが一言、言わせて貰う。」 「あんた、引き取った子供に自分の人生は間違っていたって言えるか?」 ビクンと身じろぎする。 「引き取った子供が憧れているんだ、あんたには責任があるはずだ。仮にもあんたの夢を背負うんだ。間違っていると思ったら、言うべきではないのか?」 「・・・・・・・」 か細い声だが何か聞こえる。 「間違ってなんかいない。僕が生きてきた道は、間違っていない。じゃないと、今まで僕が手にかけた人間も報われないし生きている意味すらも無くす。」 「そうだ、悪人も善人も凡人も天才も愚者も男も女も全て、自分の意思で自分が一番正しい判断の元生きている。今あんたが間違っていると言えば、あんたが手にかけた人間も間違っていたと言う事になる。今までの積み重ねた人間たちの歴史すらも冒涜する。あんたは今まで何をやったとしても胸をはっていなきゃいけない。あんたの行動は最良の選択じゃなかったかもしれんが、最善の選択をしたはずだ。私は胸を張って良いと思うがね。」 キョトンとした顔の男が目の前にいる。その表情が溶ける様に笑みへと変わる。 「ありがとう。」 「何がだ?」 「励ましてくれたんじゃないの?」 「客観的な事実だ。」 「でも、人間の〜の下りはいただけないな、そんなんじゃ女の子は口説けない。」 「うるさい。私の女運は関係ない。」 しみじみとした顔の彼は嬉しそうに頷く。 「数回しか一緒に仕事してない君がそこまで言うとは、正直思わなかったなあ。」 「それを言うなら、あんただって数回しか会ってない私に弱音を吐いてる。」 バツが悪そうに笑う彼。 「僕だって、弱音を吐きたい時だってあるよ。慣れない子育てとかいろいろあってね。でも・・・ありがとう。」 「まあ、『正義の味方』を理解できるのは『悪の手先』位なものだ。」 「シモン、君は悪の手先なのかい?」 意外そうに聞き返してくる。 「ああ、正義とはそれぞれの心にしかない。それ故『正義の味方』はエゴイストだ。世界とは太極の如く白と黒に二元に分かれる。そして、あんたの中の正義は自分自身を許せない、あんたを擁護する私は一体何だと思う? 他人の正義と相容れないものを君は何と言う?」 一瞬考え込む男。 「ああ、そう言う事なら悪だ。」 「そうだ。故に私は悪を望む。」 「優しい悪だね。僕を阻む壁にして、守る楯。『インビンジブル』の名は、今だ健在だね。」 「何だそれは?」 「君の通り名、結構有名だったんだよ。本人が知らなかったみたいだけど。意味は自分で調べてみて。」 「暇があったら調べてみるさ。それと悪としての私は、あんたの正義に納得してない。」 「納得?」 「ああ。この悪に対し納得出来る程の正義を見てみろ。」 「それは僕に長生きしろって事かい?」 「そうとってもらってもかまわない。」 嬉しそうに笑う、彼は少し寂しげだ。 「君は素直じゃないね。そんなんじゃ女の子にもてないよ。」 「よけいなお世話だ、いつか理解してくれる奴だって居るさ。そんな事より、あんたは自分の体を心配しろ。」 「はいはい・・・君は大分変わったね。最後に会った頃から考えると険がとれた、温和になった?」 「私だって、いろいろある。」 「聞かせてもらっても?」 「あんたの事だ、こっちが言わなかったら以前みたく等価交換って言い出すだろ?」 「当然だね。」 悪戯が成功した少年のような顔。 「やっぱり、あんたは喰えない奴だ。」 溜め息を一つ吐き私は語りだす。長年の友人と最後の時を過ごすように。 「そういえば名前も聞いてなかったな。」 「は?」 「彼とは、数回しか会ってない。名前を聞き忘れていた。」 呆れ顔のイリヤ。今のうちだ。聞きたい話もあるが聖杯戦争関係者と話すのは仕事の後。 「後日・・・明後日の朝また城に行かせて貰う。では」 「えっ? ちょちょっと!! 森に来た理由聞いてないわ。」 「等価交換というなら一つだけ、君の考えている通りだ。」 「考えている通りって、まだ何も話していないわよ。」 慌てふためく少女。 「コーヒー代は、こちらで払いますので。ごきげんよう。」 会計を済ませ私は店を出た。 そうか、あいつの名前はキリツグか、・・・・・・あれほど他言無用だといったのに身内には甘いなあいつは。 Interlude シモンが去って暫らくして、少し離れたテーブルにつく。 「全然、解らなかったわ。あっちのペース『インビンジブル』の名前は廃業してもなお、健在ね。」 「インビンジブル?」 「何さそれ?」 目の前の男女、シロウとリンは始めて聞く単語に目を丸くしている。 「以前キリツグから聞いた事があるの、仕事中には一切姿を見せない暗殺者『インビンジブル』それ故に決して防ぐ事が出来ない、キリツグは仕事の時に何度か組んだらしいって。その時聞いた風貌を思い出して。カマをかけたら大当たり。」 「暗殺者がなんでアインツベルンの森に行くのさ?もしかしてイリヤの命を狙ってるとかか?」 「違うわよ、もしそうだとしても、城じゃなくて真っ直ぐこっちを狙ってるわ。実際その『インビンジブル』は十年前に日本の混血の一族トオノの当主暗殺に失敗して追撃を受けて死亡。死んだはずの人間が聖杯戦争のあった冬木の地に来たとあったら目的は一つしか考えられないわ。」 「調査でしょうね、十中八・九。他に考えられる事があるにしても、それは聖杯戦争中にやらなければ意味が無い。」 難しい顔で唸るように答えるリン。 「何処の組織から来たかは兎も角、探られるのは問題だわ。」 「なんでさ?」 純粋に疑問をぶつけるシロウ、あのレベルになると愚鈍と言った方が良いかしら? リンも苦労してるわね。当のリンはガーっと吠えながらシロウを突いている。 「あんた、自分の立場解ってるの? 相手が協会の人間だったら、即封印指定よ!? 脳の隅々まで調べられてホルマリン漬け、もう一寸危機感をもったらどうかしら?」 「う・・・ごめん。」 ものすごい剣幕に対して素直に謝るシロウ、口は災いの元。 「朝の事に続いて、シロウは問題山積みね。それより、今後どうするかよ。」 「取り敢えずは士郎は留守番ね、下手に動き回られるより家でジッとして貰った方がボロが出ずにすむ。」 人差し指を立てながら話を進めるリン。 「イリヤはどうするの?」 「私は一回アインツベルンの城に戻って、お客様の出迎え準備、明後日の朝に来るなんて言ってたけど、あの男の言葉どこまで信用できるかは解らないから今から準備したいのだけど、リン手伝って貰えないかしら?」 「へえ、私に手伝って貰うと言う事は・・・・・・。」 半眼になりながら嬉しそうに笑うリン、寝不足が祟った目の下のクマが不気味さを一層引き立たせる。 「まあ、ご想像にお任せするわ、と言う訳だから、お兄ちゃん家で大人しくしててね。」 「無茶して出て来て、余計な騒動起こさないでよね。」 「そう言う遠坂も、肝心なとこで大ポカやらかすなよ。」 「うっっっ!!」 顔を真っ赤にして固まる、思い当たる節があるようだ。私も最近付き合い始めて、何と無くその訳解る気がする。 「うっさいわね、あんたに言われなくても解っているわよ。それとも私そんなに頼りなく見える?」 「頼りない事はない、むしろ信頼してるぞ。俺まだ魔術師としては半人前だからお前に助けて貰わないと困る。」 「バッバカ、あんたねえ。」 真顔で言うシロウに、別の意味で真っ赤になった顔のリンが、がーっと喚く。 もうチョット士郎も女心が解れば良いのに・・・でも、飽きない二人だわ。 「あーもう、この話はおしまい、イリヤ行くわよ。衛宮君も何かあったら連絡する事、いい?」 「おう。」 そうして私は一度リンの家へ一度寄ってから久々の城へ帰る事となった。 打ち合わせ通り家路へと向かう途中、マウント商店街へ寄る。明日から休みとなる事と、今回の事が長期戦になる事を想定して多めに買い込んだ。 今日の朝ライダーを迎えての朝御飯は思ったより静かだった、例の如く虎が暴れたり、桜が黒くなったりとするかと一時は覚悟を決めたが。 遠坂がライダーの事を遠い親戚という事として藤ねぇを誤魔化してくれた事と、朝食に桜が来なかった事が大きな理由だと思う。 桜は家の事情で一時、来れないとの事だ部活の方もしばらく駄目だろう、藤ねえが言っていた。連休中に重なるとは運が無い、今回の件を考えると都合は良いのだろうが。 実際、連休一日目からこんな事がある俺も相当運が無いのでは?と勘ぐってしまう。 これで俺がサーヴァントだったら運がランクEとか・・・まさかね。 喫茶店で見たあの人は、この間ビルの屋上であった人だった。実は会った事は遠坂達には言ってない。 と、言うより言えなかった、あのビルに行ってたなんて知られたら、あの勘の良い遠坂の事だ余計な心配をかけてしまう。 後で知られたら遠坂とイリヤにコッテリと絞られそうだけど。 そう言えば、あの人の雰囲気が切嗣にそっくりだったのを今思い出した。盗み聞きした限りじゃ二人は知り合いらしい、今度機会があれば切嗣の事をイリヤに聞いて貰おう。 買い物袋片手に考えながら歩いていると慣れ親しんだ十字路に差し掛かる。今日の夜は藤ねぇとライダーだけしかいない、微妙な空気の晩御飯になりそうだ。 今日も頑張ろう。 Interlude out 車内に流れる曲はアンダーワールド。個人的に好きな曲だ。 アインツベルンの娘と会った後、私は愛車に乗り、穂群原学園へと向かった。 昨日いなくなったライダーのホムンクルスを探しに行く為だ。 状況を考えると聖杯戦争は終了、マスターは死亡していて状況が一切解らない状態ならば何処に隠れるか?答えは、信用できる人間もしくは自分の良く知るホームグランドに身を潜めるかだ。 この報告書を元に考えるとマスターの生家マキリの家は信用が置けない、公園などは開けていて潜むには余り適切ではない。一番最初に目覚めたビルは論外。 消去法で考えると一度結界を張った学園が可能性が一番高い、裏が山そして校内ならば隠れる場所もあ多い。 この町から出た事も考えたが、それはない気がする。 勘だが。 そうこうしてるうちに学園に到着。来客用の駐車場に愛車を出し易い様にバックで入れ、職員室へ。 ここに来る前に『親切な生徒に助けられてお礼をしたいのですが。』と連絡をいれておいたから大丈夫だろう、全部嘘でもない。 職員室のドアを二回叩き引き戸を開ける。 「こんにちは、先程電話したものですが。」 休みで教員の机はあまり埋まってない、うち一人の教師が立ち上がり・・・知った顔だ、あっちは知らないだろうが。 以前、リストにあった顔より痩せてはいるが間違いない。 『先ほど電話があった事は聞いている、現代社会と倫理を教えている葛木だ。』 ・・・・・・・・・・・・この出会いは運がいいのか悪いのか悩む所でもある。 |
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