第22話 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
作者:
ディー
2005年08月01日(月) 23時34分11秒公開
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
アンリ・マユ キリスト教や仏教などに影響を与えまくった宗教・ゾロアスター(ザラスシュトラ)教の経典に出てくる悪そのものと言っても過言ではない神。 最も古い経典には出ておらずザラスシュトラ経典では登場するアンリ・マユ。 アンリ・マユと言う存在が存在すると言うのなら、作った人間は誰だと言うのだろう。 私は思う、アフラ・マズダーは絶対正義の意味が在る、それに仕えるザラスシュトラ、ならばそのザラスシュトラに地中深くの暗黒界に追放されたアンリ・マユと言う存在は・・・・・・。 「天と地の間、二霊の中で邪悪なる者が坐し、 天と地の間、二霊の中で邪悪なる者が勝利を得るだろう。」 ゴオオオオオォォォォォ 地上遥を飛ぶ飛行機が風を切る轟音を響かせて空を横切る。 陽の光が段々と翳り、それに伴うように風が強くなってきた、西の山の端を望むとユックリと太陽が沈んでいく。 手に持っていた、本のページをめくった。新しい本の香りが風に散らされる。 「皆、羽持てる者を怖れる。 それ故、総ての敵は、私自身を怖れよ。 それ故、総ての邪悪なる者は、わが身体に宿りし力とウルスラグナ(勝利)を怖れよ。」 この街に来て士郎くんと始めて出会ったビルの屋上、強い風の吹くヘリポートの非常階段の壁に背をもたれながら持参の酒を一口含む。 常温でのアルコール分45%と言う生焼酎が口の中で苦い痺れと共に乾いていく。 生で飲む焼酎は意外と美味い、いやこれが実際の飲み方だと私は思う。 知り合いはロックじゃないと駄目だと抜かすが、これが一番。 「飲むなら焼酎だな。」 「いーや、本場仕込みのウイスキーだ。」 隣でウイスキーの瓶をラッパ飲みしている蒼い英霊は、ご満悦で沈む夕日を肴にしていた。 「確かにウイスキーはウイスキーで美味しいと思うが・・・もっと味わって飲め、勿体無い。」 先程コペンハーゲンなる酒屋で、九州から遠いこの街で手に入らない筈の焼酎を衝動買いしてしまった、その時ついでに買えと言われつつ、一人で飲むのもなんだからと買ってやったウイスキーを湯水のように飲んいるランサー。 「けちけち言うな、酒ってのはこうやって飲むのが美味いんだ。でも最近は、安いんだろう? いい世の中になったよなあ、昔は早々飲めるもんじゃなかった。」 「ランサー・・・何処からそんな知識が入ってくるんだ?」 「聖杯からだ。」 蒼い英霊はニヤリと笑うとウイスキーを飲み始める。最近の英霊は・・・・。 「どういう基準で知識を入れてるんだか。」 「ところで、さっきから何読んでるんだ? ブツブツ呟いて気持ちワリイ、酒が不味くなるぜ。」 「読むか? サイファ書房から出ている『初心者でも簡単、絵入りアヴェスター』だ。」 表紙にマスコットのアムシャ・スプンタ君が大きくデフォルメされた絵で乗っている、ランサーは余計不味くなると良いながら再び沈む夕日を見ていた。 「寺の地下に居るっていう邪教の神でも調べてたのか?」 「ああ、どんな神でもどこかしら弱点はある。それさえ知っておけば一撃で倒す事だって可能だからな、ランサーお前にも身に覚えのある事が一つや二つあるだろう、生前それで苦戦したのも一回二回ではないはずだ、違うか?」 「ああ。」 有名なのも困り者だなと苦い顔で呟くとランサーはグイッと一杯あおった。 「たしかに、俺ら英霊は人の信仰や知名度や理想によって強さや弱点が変わってくるわな、だからといってアンリ・マユだったか? そんな昔の誰も知らん神が強いのか?」 「・・・結論だけを言おう。手がつけられん位強い。」 「マジか?」 信じられない顔を向けてくるランサー。 「マジだ。アンリ・マユ正確にはアンラ・マンユだったかな、有名な所でアレフマンもしくはアーリマンと呼ばれる悪魔だ。」 「悪魔・・・てえ事は。」 「今お前の思ったとおりだ、キリスト教には元々悪魔の概念は無かった。ゾロアスター教が影響を与える前まではな。アンリ・マユとは悪魔の原点だ。」 「強力なはずだ、キリスト教と混じってるだと? 知名度ナンバーワンじゃねえか、こりゃあ生きて帰ってくるのは難しいかも知れねえな。」 言葉と裏腹に獰猛な獣を連想させるような笑みは深まっていく。 「楽しそうだな。」 「そりゃあそうだ、俺は元々召還された理由ってのが『死力を尽くした戦い』だからな、願ったり叶ったりだ。」 「それは・・・よかったな。」 呆れ半分、関心半分と言った溜息を吐きながら本を片付ける。 「で? その相手が解って、弱点は見つかったのか? 悪魔って事で悪魔祓いでもするか?」 「とっくにな、今のはちょっとした復習だ。エクソシスト・・・代行者の真似事も良いが、祓える見込みは無いな元々あそこの教義以前にキリスト教の悪魔祓いでは・・・来た。」 「なにがだ?」 その時だった、遥か向こうから聞えていた遠雷の様な爆音が一段と大きくなっていた。 「何か来る。」 「ああ、来るさ。」 段々と大きくなる音、日の落ちた空にポツンとできた黒い染みが音と共に段々大きくなる。 槍を構えていた、ランサーを後ろに下がるように促す。 「へえ、これがヘリコプターってやつかい。」 「ああ、通常より多くの物を長距離を運べるようにしている特注だ、だがこんなに大きな物を頼んだ覚えは無いが。」 空から爆音と共に降りてきた黒鉄の機体、側面には『砕破総合警備』のロゴマーク・・・第二部隊が直接か持ってきたか、と言う事は注文どおりの物が来たか。 大きな輸送用のヘリがビルの屋上に舞い降りた。 interlude 「珍しい、あの子が来てるなんて。」 春先とは言えまだ肌寒い衛宮家の縁側から、星が現れ日も暮れた空を見ていた女がポツリと呟いた。 室内と言うのに黒く長いレインコートを羽織っている、同じく縁側に座ってお茶を啜っている小次郎は気にしていないようだが。 「何の話?」 「いえ、何でもないのよ。こっちの話よ。」 と言われたが、あの楽しそうな双葉の横顔は何なのだろう? 彼女はテーブルの真正面に座り。 「滅多に会えない子がいたからちょっとね。ところでキャスター、彼女達が柳洞寺に行ったから話せるけど、あの二人はどうなると思う?」 「あの二人? ああ、セイバーのマスターとアーチャーのマスターですか?」 「そうそう。」 噂話を友達と話すような嬉しそうな顔、昼の一件で殺気を放ってい彼女と今の顔どちらが彼女の本当の顔なんだろうか。 考えるだけ無駄だろう、多分どちらも本当の顔なのだから・・・それは兎も角。 「どうもこうも無いでしょう、セイバーとそのマスターの関係を考えれば。」 最初はあの二人の関係を利用しようと関係も企てたぐらいだ、それほどにあのセイバーとマスターの関係は密接な物だった。 「頑固なまでの真面目な人間が、生涯の伴侶といえるほどの相手と居たんですから。時に隔たれたと言ってもその思いは切れることは無いでしょう。」 後々の話を聞いた私はそのように判断した。いや、そうと思いたい。 あの坊やとセイバーのやり取りは悶える位の初々しさだったのだから。 「そう・・・なら、大丈夫かも、繋がりが強いか・・・。あはは、凛ちゃんには辛い恋ねえ本人は否定するでしょうけど。」 「大丈夫よ、何しろ彼女には赤い騎士がついているのですから。・・・そんな事より、貴女何か企んでいるでしょう?」 「解る?」 コロコロと笑いながら双葉は耳を貸せと手招きをしてきた。解るも何もその態度や簡単に漏らすあたり最初から話すつもりだったでしょうに、耳を貸して聞いた事は驚愕に値する事だった。 「まさか、そんな事が、できるの!?」 「可能よ。まあ、第二魔法を使うわけじゃないからね、それと違った手順をとるし生き返らせるわけじゃないからね。」 「興味深い、その時は魔術師としての私も同行させて頂いても良いかしら?」 「むしろ同行してもらうつもりよ、一人でも多くの神秘が使える人間が欲しいらしいわ紫門としては、少しでも可能性を上げる為にね。」 なるほど・・・確かに。そんな大きな儀式魔術は名うての魔術師が数名居ても失敗する事がある。 「冥界の道を開くと言うとは、彼はヘルメスの生まれ変り?」 「ただの門番よ、黄泉平坂へと続く道を遮る、ただの門番。」 「キャスター!!」 その時、黙って縁側の小次郎が警戒の声を上げた。 「どうしたの?」 「来たわね・・・。」 ユラリと立ち上がる双葉、凍った花の様な立ち姿、全身からは幽鬼のように冷たい気を纏わせている。 その右手には霊的なモノなら恐怖で身を凍らせるような、古い古い魔剣が携えられていた。 「キャスター援護お願い、小次郎さんイリヤと葛木さんをお願い。」 ユックリと裸足のまま縁側から庭へと降り立つ。 それと同時にユックリと小次郎が、二人の横たわる結界で閉じた部屋の前で構えた。 「結界を抜けてくるのは解っていたわ。昨日、紫門が仕掛けて消費した魔力を、イリヤスフィールの心臓に入ったバーサーカーの魔力で補填したいでしょう? そんなことは必要ないと思うけど貴方のマスターはよっぽど用心深いのね、いえ臆病なだけかしら?」 「ぐっ。」 双葉から吹き付けるような力を感じ、冷たさを感じた。 息が止まる、空気が凍る、全てが凍る。 「まさかこれ程とは、一度手合わせして貰いたいものだ。」 横を見ると小次郎が呟いていた。 「小次郎、あなた彼女を知っているの?」 「いや直接は知った居るわけではござらん。ただ、アーチャーのマスターが言っておったろう『八方塞』と。」 「ええ。」 「あれは、この国を荒らした神々を殺す一族の総称。」 古くから言われるのは『神を殺せるのは神のみ』幾つかの例外はあるが、その定理は歴然とある・・・と言う事は彼女は。 「ナノマシン『ダークマター』第三段階封印開放。出てきなさいアサシン!! この間の借りは返させてもらうわ!!」 柳洞寺の麓にある、魔術で偽装されていた横穴から私、士郎、アーチャー、ライダーの四人は大聖杯へと向かった。 仄暗い通路を罠の確認をしながら慎重に歩く。 こう言う時には士郎とアーチャーの解析の能力は一番役に立つ、二人を前に立たせライダーを殿にすえ私達は歩く。 懐には宝石剣、周りを固めるのはアーチャーとライダーとヘッポコ魔術使い。 これで、負けることは無いが何故か不安が残る、もしもの為に七凪紫門が何かを用意しているらしいが・・・。 「不安かね、凛。」 私に皮肉げな笑みと共に声をかけて来る、我がサーヴァント。 「不安なわけ無いでしょう。」 「妹と戦う覚悟が決まらないか?」 「冗談、覚悟は決まっているわ。」 「フッ心配するな。今でこそ違うが、この身は君が呼んだサーヴァントだ最強でないはずが無い。」 「アーチャーあんた、人の話を聞き・・・。」 どこかで聞いた台詞。ああ、私がアーチャーを召還した時、セイバーではなくてガッカリした時にこいつがの言い返してきた台詞。 見るとアーチャーは『気付いたかね?』と言う様に皮肉げに笑っていた。 「暴言を悔やませてやると言う約束は、まだ有効かね凛?」 「有効よ・・・そうね見せてくれると嬉しいわ。」 全く、この英霊は根性がひん曲がっている割に・・・味な真似で励ましてくれる。 「それより・・・衛宮君? 如何したの蹲っちゃって。」 先頭を歩いていた筈の士郎が壁を向いて蹲っていた。 「いやなんか、自分だと認識すると、こう・・・恥ずかしいものが・・・・。」 なるほど傍から見ると人の事はよく解る、『人の振り見て我が振りなおせ』ね傍から見る自分の姿なら尚更、でも士郎にとってはある意味拷問だろう。 昨日の七凪紫門との会話であった『アーチャーの姿を暫く見せてやれ・・・自分の失敗が良く解るはずだ』はこういう意味だったのだろうか。 「ほら悶えてないで、行くわよ。キャスターに聞いた話じゃ、もうそろそろ大聖杯の前にある空洞につくはず。」 息詰まる様な狭い津路が開ける、そこには体育館より少し大きな空間があり・・・その中心に私は信じられないものを見た。 「まさか、あんたが此処で現れるとわね。皮肉なものね神の使徒でしょあんた。」 直立不動の黒い神父服。 「馬鹿な・・・あいつは俺が。」 上背のある鍛えぬかれた身体がその神父服を押しのけるように主張している。 「まったく皮肉なものとしか言いようがない。久し振りだな我が不肖の妹弟子よ。」 腹立たしく憎らしい笑顔をする男が立っていた。 「言峰綺礼!! 生きていたとは思わなかったわ。まあ簡単に死ぬとは思ってなかったけど。」 「違うな凛よ。そこに居る衛宮士郎に聞いて知っているだろうが、私はもう死んでいる。10年前衛宮切嗣に胸を打ち抜かれた時点でな。」 「じゃあ、あんたは誰よ。私にとっては言峰綺礼以外には見えないけれど?」 「聖杯に一度取り込まれた魂の影と言っても良いだろう、お前もアインツベルンに聞いて知っていると思うが、元々大聖杯とは第三魔法へと至る為の代物だ。」 「で? あんたはその不完全な第三魔法によって生き返ったと言いたいの?」 「そのとおり・・・と言いたい所だが、この身体は所詮泥なのだよ完全に生き返ったわけでは無い。」 後ろに回した右手を掲げる綺礼、その手が黒い泥へと一瞬で変わり再び手へと戻る。 「ふーん、便利な身体になったじゃない。で、その生き返った外道神父が何の用?」 「君ほどの優秀な人間なら解るのではないのかな?」 「アンリ・マユに操られているのね。」 神父は答えない、沈黙こそが肯定と言わんがばかりに胸糞悪い笑顔を黙って湛えていた。 瞬間、相手の左手に視線が行く。 黒鍵、何時の間に!! 私は左手の魔術回路を起動し代行者の武器たる黒鍵を迎え撃った。 「二人ともここは私に任せていけ!!」 「解った、頼んだわよアーチャー。士郎!! 急ぐわよ!!」 アーチャーにこの場を任せ、遠坂の後について走る。 言峰の影と名乗る男の横を通り過ぎる。 違和感を感じた。 あの男が、聖杯戦争で暗躍する為にランサーを奪い、ギルガメッシュというカードを最後の最後に出してきたあの男が、こんなにアッサリと俺達を通すだろうか? 何かおかしい・・・空間に違和感を感じ、そして。 「遠坂!! 罠だ!!」 何か懐かしいものを感じ、大聖杯へと続く道の前に結界のような物を見つける。 「え?」 間に合った、結界線ぎりぎりで止まる遠坂で振り返る。 「解っているわよ、だからガンドで────。」 「違う!! それだけじゃない!!」 遠坂を抱えその場を離れる、途端打ち込まれる銃弾。 「え? なに? 拳銃の銃弾?」 「ああ、何処から撃っているか解らないけど・・・多分何処からかの岩陰からだと思う、うお!!」 銃弾が更に打ち込まれる、抱えたままその場を飛びずさる。その横に蛇のような滑らかさで駆け来る紫の髪の美女が駆けつけた。 「士郎、リン、ペガサスを召還します。」 「駄目よライダー、結界が阻んでいるわ。」 「私のペガサスなら突破出来ますから大丈夫です、それに援軍が来ましたから。」 「援軍?」 その時、声が聞えた。 「 とほかみえみため 祓い給え 清め給え 」 荘厳な声、波紋のように渡る。 「天切る 地切る 八方切る 」 後で聞いた話だと、その言葉は魔を祓い、呪いを返す意味を持つ呪文らしい。 「秘音 一も十々 二も十々 三も十々 四も十々 五も十々 六に十々 ふっ切って放つ!!」 魔で構成された魔術はその呪文の前では無力と化し、魔術の構成を全て分解すると言う。 「魔を祓え!!」 ドン!! 風を見る、全てを吹き飛ばす嵐のような暴風を。 さながら嵐の神スサノオの様に。 「らぁ!!」 あらゆる魔術をかき消す風と共に言峰に肉薄したのは青い槍兵、大きく後ろに跳んだ言峰を見るその顔にはいつもの獰猛さではなく怒りに満ちた顔だった。 「お前ら先行きな、此処は・・・いやコイツだけはこの手で葬ってやらなきゃいけないんでな。」 ランサーは本気だ、以前俺を襲ってきた時とは違う最初から手加減抜きの殺気を放っている。 「どういう風の吹き回しだランサー。」 皮肉を交えつつ今の率直な疑問を口にするアーチャー。 「戦争中の俺の使い方や令呪の使用方法なんかはもう恨んじゃいねえ、マスターとしての使い方はそれで良いんだろうさ。だがな、コイツだけにゃ一つだけ借りがある。」 「バゼットの事かな?」 「解ってるなら早い・・・俺はアイツを守ってやるとアイツの前に立ち道を貫く槍になると誓った、その誓いを破らせた罪は重い!!」 その憎しみの感情が心地よいとばかりに笑う言峰とランサーの殺気で空間が歪む程のプレッシャーが洞窟を満たす。ふと思い出したようにランサーが棒状の何かを投げてよこしてきた。 なんだ? 「坊主!! シモンからの伝言だ『アンリ・マユは古典によると常に聖人を悪の道に誘おうとしている、キリストやブッダの時も同じだった記述にもあるそうだ。それを踏まえて、彼女を助けろ。』そして、それを使って倒せだそうだ。」 「え!? これで? どうやってだよ!?」 「勝利を被せろって言ってた、お前なら解るとも言っていた、さあ行け・・・助けるんだろうが!!」 「あの未熟者に代わって助力を感謝するランサー。」 「けっテメエに感謝されるなんてゾッとするね。それ以前に、これは私闘だ気にすることはねえ。戦いの邪魔ださっさと行け。」 「早く行くわよアーチャー!!」 何時の間にかにライダーが呼び出していたペガサスに跨る遠坂からの怒声。 「・・・君との決着もまだだったな決着をつけるまで、死ぬなよ。」 二人は旧知の間柄と言わんがばかりの笑顔を返す、一方は獰猛に、もう一方は皮肉げに。 「ああ、テメエもな。約束を違えるなよアーチャー。」 interlude out ジャリ 向こう側が盛り上がっている中、こちらは少し様相が違っていた。 ジャリ 踏みしめる砂の音が洞窟に響く。 目深に被ったパーカーのフードを少し上げ目の前に立った無精ひげの男を確認する。 「久し振りだね。」 「ああ、久し振りだ。」 「相変わらずそうだ。あれから年も変わってないみたいだね。」 「まあな、10年前から私の時は止まったままなんでな。」 二人の間に流れるは懐かしさ。 「足止めが目的だな。」 「わかるかい?」 「ああ、友達の考える事ぐらい解るさ。」 「うれしいな、君の中では未だ友達だったんだ。」 「当然だろう? そして、友達だからこそ私の手で眠らせてやる。」 「物騒だなあ・・・でも、それが僕達らしいね。」 「ああ、確かに殺し屋の俺達らしい・・・・・・さあ、やるか衛宮切嗣。」 「ああ、やろう。」 こちらの戦闘は静寂と共に始まった。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
■一覧に戻る ■感想を書く ■削除・編集 |