SHUFFLE!/見つかっちゃった・・・・ 傾:18禁
作者: ウブィリ   2007年10月01日(月) 23時12分26秒公開
通りなれた散歩道はすっかり秋色に染まっている。
落ち葉を踏む破れたような音が耳に心地よく響く。
「・・・・・・ねぇ稟ちゃん、聞いてる?」
「え・・・・・・・?」
不意に耳元に聞こえる声。稟は点で上の空だったのかその声の主が誰であるかも一瞬迷うほどであった。
「も〜そんなにボクと一緒にいるのが嫌なのかな?」
「え、いえ・・・・・そういうわけじゃ・・・・・・」
声の主は時雨亜沙。バーベナ学園料理部の部長であり、<驚愕の時雨>の異名を持つ女性で、稟は現在亜沙と付き合っている。
今はそのデートの帰り道、2人とも無意識のうちに亜沙の家に向かっている。
「ただ・・・・・・・・こうして周りの気を見てるとすっかり秋だなぁって思うんです。そしたらぼ〜っとしちゃって。」
「稟ちゃんらしいっていえば稟ちゃんらしいけどね。で、今話してたのはね今日はボクの家に来ないってことなの。」
「亜沙先輩の家ですか?」
「そ。一緒にご飯たべて〜その後は泊りね。稟ちゃんがきてくれればお母さんも喜ぶと思うし。」
「いいですよ。でも大丈夫ですか?いきなり押し掛けて」
「いいのいいの。お母さんには一応言ってあるから。」
「あ、それなら大丈夫ですね。」
ははは、と軽快な笑い声が聞こえる。そうこうしているうちに亜沙の家につく。空が橙色に染まり、冷たい風が吹いてくる。2人は足早に家に入る。





「ただいま〜」
「あーちゃんお帰り〜。あ、りっちゃんもいるんだ〜こんにちは。」
「こんにちは亜麻さん。」
「今日稟ちゃん泊めて良いよね?」
「勿論良いよ〜今日はボクがかなり頑張ってお料理作ったんだからたくさん食べてね」
亜沙の母であるその人は時雨亜麻といい、一見亜沙の妹に見えるが実際は30を過ぎている。茶色みを帯びたその髪の毛に中学生のような童顔。一児の母などとは到底思えないぐらいだ。そんな若妻のような亜麻さんだが、実は昔はいろいろと苦労をし、亜沙を人一倍心配している。そんな母に亜沙は憧れていたりする。
「すみません、突然お邪魔して。夕食楽しみにしてますよ。」
「いいのいいの。さっりっちゃんはお部屋であーちゃんと遊んでて。今晩はボクが1人で頑張っちゃうから。」
キッチンからは香ばしい匂いが漂ってくる。亜沙も手伝う気でいたようなので意外な表情をする。
「いいの?お母さん1人で。」
「だいじょーぶだいじょーぶ。それに・・・・・りっちゃんにボクの愛が詰まったお料理食べたほしいし〜」
「ちょっとお母さん〜っ!!」
「じょーだんじょーだん。も〜あーちゃんってりっちゃんのことになると直ぐ向きになるんだからぁ」
2人の微笑ましいやり取りに稟は口を挟む余裕はなく、それよりもこの2人の親子の仲にとても睦まじいものを感じた。
「じゃあ稟ちゃん部屋行こっ久しぶりでしょ?ウチに来たの」
「あ、そうですよね。じゃあ行きましょうか。」
久しぶりということで少し心躍る。亜沙に手を引かれていそいそと部屋に向かっていく。
「ほらっさーさー入ってぇ〜〜」
促されて部屋に入るとそこには女の子らしい小物や家具で彩られもう外は暗がりに包まれた頃だというのにこの部屋だけ輝きを保っていた。
カーテンを開けて外を見るともう星が見える。
綺麗な星だな・・・と眺めていると背中に微かな温もりを感じる。
「稟ちゃん・・・・大好きだからね?」
後ろから抱きついているようだ。亜沙の腕が稟の首筋に回されていく。
「亜沙先輩・・・」
と言いかけたところで回された手に力を入れてくる。
「も〜先輩禁止っ!」
今にも首を絞めるかの勢いで服を引っ張ってくる。
「す、すいません亜沙さん。でも・・・・両方を使い分けるのって結構難しいんですよ?」
「じゃあ皆といる時も<亜沙さん>って呼んでくれるの?」
少し目を吊り上げた感じで顔を覗き込んでくる。
「え、いや・・・それは・・・・・」
無理と心のうちで言っていたが答えづらく少しあわてた様子で口ごもる。
「も〜だったら使い分けてね。稟ちゃんっ!!」
バシッという音が部屋中に響き渡り稟が痛がる。
「ちょ、背中を叩くのは止めてくださいよ。結構痛いんですよ?」
「今のは稟ちゃんが先輩って言ったからお仕置き〜〜〜こっちだって結構傷つくんだよ?先輩って言われるの・・・・」
突然、声のトーンを下げ俯きかげんにいう。それを見て、どうしたものかと考え込むがそこで助け舟がくる。
「あーちゃん、りっちゃんご飯だよー?」
軽いノックの音と可愛らしい声が聞こえる。どうやら夕食が出来上がったみたいだ。
「亜沙さん、出来上がったみたいですよ?そろそろ行きましょう。」
亜沙もいつまでも沈んでいるわけにはいかず、いつものテンションで稟と一緒に部屋を出る。





食卓に着くと、そこには色とりどりの料理が並んでいた。
「これ全部亜麻さんが作ったんですか?」
「そーだよ、昨日りっちゃんが来るってあーちゃんに聞いたから一日中張り切っちゃった。」
年を考えれば健気というのは少し違う気もするが、この人ならぴったりだと稟は心のうちで思った。
「まあ、何はともあれ頂きますね」
「はい、稟ちゃんあ〜ん・・・」
稟が箸をもって料理を取ろうとした瞬間に、横から亜沙が箸を傾けてくる。
突然のことに少し戸惑うが、このようなことは日常茶飯事でもあるので気にせず口をあける。
「あ、はい。あ〜ん・・・・・・・・ん、おいしいですよ。」
「ありがとぉ。でもいいなぁ〜あーちゃんとりっちゃん。ボクの前でそんなにラブラブなところ見せちゃって。ボクだって最近淋しいのに・・・・・」
「お母さん最近お父さんに慰めてもらってないもんね♪」
「っていきなり何言ってんですかっ。聞いてるこっちが恥ずかしくなってるでしょう。」
「も〜あーちゃんそういうこと言っちゃ駄目でしょ〜」
まるで家族のように三人が談笑する。閑静な住宅街にある亜沙の家だがここだけはとても賑やかだった。
そんな他愛もない話を続けながら三人は食を進めていく。







夕食を終え、稟と亜沙は亜沙の部屋でくつろいでいた。
「ね〜稟ちゃん」
ベッドに寝っ転がっていた亜沙は不意に稟を後ろから抱きしめながら話しかけてくる。
「なんですか?」
「ボクの体に興味ある?」
一瞬空気が止まる。
「ちょ、何言ってんですか。」
「いいから答えるっ!」
聞いているほうも恥ずかしいんだからねと言わんばかりの赤面振りで言う。
「そりゃ・・・ないって言ったら嘘になりますけど・・・・」
「そっよかった。」
安堵のため息をつく。満面の笑みを浮かべるとスッと立ち上がる。
「え、よかったって・・・」
「稟が聞き返そうとしたところで亜沙が言葉を遮る。
「お風呂入ってくるね。今夜は楽しみにしてるよ?」
それだけってパタンとドアを閉めるとお風呂場の方へ向かっていった。






数十分後亜沙は風呂から上がり、部屋に向かっていった。 
微かな音と共にドアがそっと開く。
「あ、亜沙さんさっきのって・・・・・・・・」
と言いかけた刹那稟が口ごもる。
ドアから入ってきたのは紛れもなく亜沙。何も異変はないはず・・・・・・
しかし、この時の亜沙の格好は稟の言葉を止めるのには充分だった。
バスタオル一枚に身を包んだ彼女はそのほかには何も着てなく、艶やかな肉体を露わにしていた。
胸元には豊満な胸がちらちらと見え、下半身も相当際どい状態だった。
「え、ちょっと何やってんすかっっ!」
「何って・・・・お風呂入って来ただけだけど?」
わざとなのか、それとも気づいてないのか亜沙は稟の言ってることが良く分からないといった感じでスタスタと近づいてくる。
「いや、その格好はちょっと・・・・・」
それを聞いてやっと分かったかのようなポーズをとり、悪戯っぽい顔をする。
「あ〜もしかして稟ちゃんえっちなこと考えてるでしょ?」
「俺だって一応健康な男子ですよ?そ、そんなことされるとちょっと・・・」
恥ずかしさのあまり、顔を俯かせ、少し仰け反る。
「もぉ、稟ちゃん。恥ずかしがらなくてもいいのよ?ほらっ」
亜沙の細く綺麗な手が稟の首に回る。そのまま横から抱きつき胸を稟の腕に押し付け、体を稟に預ける。
「え、ちょっ・・・亜沙さん?」
「稟ちゃん、あんまり女の子に恥欠かせちゃだめだよ?」
そういうと、上目遣いにそれでいて誘っているような瞳を投げかける。
「でも、下に亜麻さんもいるでしょう。」
「大丈夫。お母さんね、明日は早いからもう寝るって。下には聞こえないから・・・・」
言いながら、稟の方を引っ張りベッドに倒れる。
丁度、稟が亜沙を押し倒しているような姿勢になり、バスタオルが少しはだける。
「亜沙さん・・・・・・・・・・」
その一言と共に、稟の理性が少しずつ崩れていく。少しずつ・・・・・・・・





軽く唇を重ね合わせる。それを何度も繰り返しながら2人の体が合わさっていく。
次第に熱く、濃い口付けが交わされる。
「んっはぁ・・・・・・・・・・・・・・」
「舌、入れていいですよね?」
「うん、稟ちゃんの舌ちょーだい・・・・」
舌先で軽く亜沙の上唇をつつき、開いた隙間に舌を滑り込ませる。
また2人の唇が重なり、稟の舌が亜沙の口内を引っ掻き回す。
「んっ亜沙先輩の口の中、あったかくて柔らかいですね。」
「そ、そう?稟ちゃんの舌も柔らかくて気持ちいいよ。」
2人は微笑み合うとまたお互いの口を貪りあった。
そして、次に稟の舌が求めはじめたのは亜沙の肢体。
「はぁっん、んん・・・・・・・・・・・・」
亜沙の首筋から肩。胸脇からへそまで念入りに舐める。一舐めごとに2人の吐息が熱く、激しくなっていく。最初、亜沙の体を包んでいた唯一のバスタオルも既にベッドの端に投げ捨てられている。
「ねぇ、稟ちゃん。周りを舐めるだけじゃ足りないの・・・・・・」
「もっと敏感なところ舐めてほしいんですね?わかりました。」
「もうっそ、そんなにダイレクトに・・はぁ・・・い、言わないのっ」
今度は乳房をもみ扱きながら舐め回す。僅かに舌先を乳首に触v
「うん。でも少し冷えてきちゃったなぁ。お母さんも怒ってたりっていう雰囲気じゃなかったから心配はしなくていいんじゃないかな。とりあえずお風呂行こうっ」
「あ、そうですよね〜失礼しましたとかいってましたし。行きましょうか。」
亜沙と一緒に風呂へ入ることへのツッコミは自然消滅し、そのまま風呂へ行った。





――――数十分風呂へ入って部屋へ戻るとそこには異変があった。
あのふたりの汗や愛液でびしょびしょに濡れていた布団が新しい布団に変えられていたのである。他には稟も寝るために枕が二つ置いてあったりなど寝具が整っていた。
こんなことをするのは一人しかいない――――――そう、亜麻さんだ。
亜沙が小さい時からいろいろと苦労をし、亜沙がもっとも尊敬し亜沙を人一倍理解している人物。
「お母さんだ・・・・・・・・・・・」
それをみて、ただただ立ち尽くすしかなかった。
稟が後ろから亜沙を抱きしめてやる。
「ちゃんと俺達のこと・・・・・・わかってくれてるんですね・・・・・・」
「うん・・・・・・」
亜沙が涙を浮かべた顔で精一杯微笑む。
「じゃあ寝ましょうか。」
「うんっ」
布団に入ると、亜沙が稟に腕を絡ます。稟は照れながらも、電気を消して亜沙先輩にキスをする。
「んっ・・・・・・・・・」
それで安心したように、亜沙は目を閉じ眠りにつこうとする。稟も亜沙の顔をみてると安心してどっと疲れと睡魔が襲ってきたので今はそれに身をゆだねようと目を閉じる。
こうして稟と亜沙の初めての夜が終わっていった―――――――。




――――朝。
窓から朝日が差し込み、小鳥の囀りが聞こえる。
「も〜稟ちゃん起きて〜〜」
先ほどから亜沙が稟の体を揺さぶっている。
「ん・・・・・・楓・・・・・あと五分・・・・・」
「もぉ!楓じゃないでしょっ」
軽く目をつり上げると背中を思いっきり叩く。
「ぐぁっちょっちょっと何するんですか」
「知らない〜い。折角起こしてあげてるのに楓と勘違いして〜っっ稟ちゃんの馬鹿っ!」
両手でパタパタと稟を殴る。稟にも痛みはないが、傷つけてしまったことはなんとなく理解した。
「あっ・・・・・すみません・・・・」
「じゃあね〜ボクのお願い聞いてくれたら許してあげる。」
顔を急接近させ、尋ねてくる。
「お、お願いってなんです?」
「ん〜とね〜おはようのあつ〜いチューがほしいな〜」
「いいんですよ。」
軽く上体を起こし、亜沙の両肩を掴むと一気に顔を近づけて口付けをする。
亜沙もそこまで急にされるとは思ってなかったのかびっくりして目を瞑る。
「んっはぁ・・・・・・・・・ちゅぅっ・・・・・」
舌をさしいれ、舐めあう。悩ましい声が聞こえ、唾液が顎を滴り落ちる。
数十秒、それが続いた。
「んはぁっ稟ちゃんおはよう〜」
「おはようございます、亜沙さん。」
キスを終え、改めて挨拶を交わす。それはとても微笑ましい光景に見えた。
「じゃあ稟ちゃん、一緒にした行こ。ボク一人じゃちょっと恥ずかしいから・・・」
「あ、はいわかりました。じゃあ着替えましょうか。」





着替えを終え、階下に降りた二人。
「じゃっじゃあ開けるよ?」
みられたことがよほど恥ずかしいのかリビングの扉を開けるだけでも緊張している。
「いっいいですよ。」
「じゃあ・・・・・・・・・・」
ゆっくりとドアノブを握りドアを押す。そのときの緊張感はまるで城を訪れた民のようだった。
「おはよーお母さん。」
「おはようございます、亜麻さん。」
中には一人の女性がキッチンに向かって上機嫌に調理していた。
「おっはよーあーちゃん、りっちゃん。」
まるで昨日部屋で見た光景を忘れたかのような振る舞いで、明るく挨拶する。
「ご飯できてるから食べてね〜」
「あっうん。ごめんねボクが作れなくて〜」
「おいしそうですね〜いただきます。」
「いいのいいの〜たまにはあーちゃんにも休んでもらいたいから〜」
テーブルには既に美味たる料理が並んでいた。亜麻の様子に若干怪訝なものを感じながらも、敢えて口にはせず二人とも置かれている料理を食べ始めた。




朝食もあらかた食べ終わり、ゆっくりと紅茶を飲んでいる時だった。
「ね〜りっちゃん、中にだした?外に出した?」
「ぶ!っっゴホッっ・・ちょっ何言ってるんですか!!」
質問が質問だけに危うく飲んでいる紅茶を吹き出すところだった。
「も〜お母さん何言ってるのよっ」
「とぼけちゃだめだよ〜見ちゃったんだからね?昨日りっちゃんとあーちゃんが・・・・うふふふふ・・・・・・・・」
何もかもお見通しといわんばかりの言葉を言いつつも少女のように笑う。
これには嘘はつけないと観念したのか軽く溜息をつきながら答える。
「そっ外に出しましたけど・・・・・・・」
なぜか自分が情けなくなってきてしまい、声がどんどん小さくなる。
「な〜んだ・・・・残念・・・・・」
先ほどまでの輝いていた目とはうってかわり欲しいものを買ってもらえなかった子供のような顔をする。
「えっそんな気を落とさないでくださいよ・・・・」
「だって早く子供みたいなぁっと思って・・・・」
「へっ変なこといわないでよ〜〜〜〜」
「それは亜沙さんもさっき言ってたじゃないですか・・・・・・・」
すかさずジロッと亜沙を見る。それを聞いて恥ずかしくなったのか身をちぢこませる
「とっとにかくっ!こういう話は恥ずかしいから駄目っ!」
「も〜あーちゃんかわいいなぁ〜」
赤面しながら亜麻さんを制止しようとする。
そんな会話をしながら時が少しずつ過ぎていく。




「そういえば昨日りっちゃんに電話が来たよ」
朝食の片付けをしながら突然言い出す。
「えっ・・・・・誰からです?」
「カエちゃんから〜」
「あ・・・・・・・・・・・・・・」
亜沙先輩の家にきてから楓に連絡するのを忘れていたこと、楓は稟のことになると過剰なまでの心配性になること、その心配性さ故に警察を呼んだりして大騒ぎになってたかもしれないことが一瞬で頭の中を駆け巡り稟を混乱させる。
「稟ちゃんいってなかったんだ〜楓心配しただろうね」
「えぇ・・・忘れてた・・・・・・」
「でね、稟ちゃんは今日うちに泊まっていくから夜ご飯と朝ごはんは大丈夫だよっていったら、わかりましたって切られちゃった。結構慌ててたみたいだけど・・・」
なんとなく楓が大事にしかけてる様子が脳内に浮かべられる。
「とっとりあえず、俺はそろそろ帰りますね。怒ってるかもしれませんし。
「あ、うん。それにお昼前には帰ると思うよって言っちゃったからそろそろ言った方がいいかもね。」
「じゃあ二階から荷物とってきます。」
「じゃあボクも行くよ。」
「えっ?荷物取るだけですよ?」
「いいからボクも行くっ!」
「べ、別にいいですけど・・・・・・・」
恥ずかしがっている亜沙、それをよくわからないという風にみている稟。
この二人を亜麻さんは嬉しそうに見つめていた。



「稟ちゃん・・・・・・・・・」
稟が荷物を取り、部屋を出ようとしたとき亜沙が呼び止めた。
「なんですか?亜沙さん。」
「そのっ・・・・昨日の夜みたいなこと・・・・・また・・・・・しようね?」
もじもじしながら稟と目をあわせずにうつむいて呟く。
「もちろん、いいですよ。俺ももっと上手になりますから。」
明るく微笑む稟。この笑顔に一体何人もの女性がメロメロにされてきただろうか。
「うん、ボクもいろいろ頑張るねっ。あ、でも楓と練習とかしたら駄目だからね?」
急に目つきを変え、哀願するような目で見てくる。
「しっしませんって!」
「でも楓って稟ちゃんが練習させてっていったらOKしそうなんだもん。しんぱ〜い・・・・・・」
「確かにそうかも・・・・・・・じゃなくて、おれはそんなことしませんって。信じてくださいよ。」
本当?といいながら不機嫌そうな顔を向けてくる。
稟はこうするしかないか〜と心のうちで呟くと不意に亜沙の両肩を掴み、顔を近づける。
「んっっちゅっ・・・・・・・・・」
「えっ!?んっ・・・・・はぁ・・・」
柔らかい唇が重なり合う。優しく、軽い口付けをし稟が耳元で囁く。
「安心して、いいですから・・・・・」
それを聞くと、亜沙は安心したような顔になる。
どうやら亜沙には稟に優しくキスされると、心が安心する癖がついたようだ。
昨日から何度も亜沙を恐がらせ、そのたびに口付けを交わしてきた稟にはそれがなんとなくだがわかっているようだった。

「じゃあねっ稟ちゃん!今度はボクがお料理作っちゃうからっ」
「じゃあね〜りっちゃん。また泊まりにきてね〜」
「はい、どうもありがとうございます。楽しみにしてますよ。」
三人が挨拶を交わすと、稟は家に向かって歩いていく。
亜沙はその背中を見つめながら、心配そうな目をしていたが先ほどのキスを思い出しそれを打ち消そうとしていた。
亜麻さんはそんな二人を見て、また軽く微笑んだ。





――――――稟が家に帰った後、プリムラの冷たい視線を受けながら楓の元にいき、作り笑顔がバレバレな顔で『昨日から何してたんですか?』などと詰問されたことは言うまでもないだろう。


   fin
■後書き
初めまして、ウブィリです。
今回は初めて小説を描きまして、できがどうだとかいうのは正直わかりかねます・・・・・・ですので、もしよろしければ是非読んでいただいて感想など忌憚のない意見をよろしくお願いします。

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