Fate/1l≒1Kg 傾:ほのぼの? |
作者:
片桐
2007年10月01日(月) 22時32分45秒公開
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さすがに今回はくらっときた。 なんてタイミングが悪いんだろうと、運命を呪った。 「ありがとね、ライダーさん。たすかっちゃった。いやー、意外に力持ちなんだねぇ」 「いえ、これ程度の重さなら持ち方一つで楽に運べますよ」 家ー先輩とわたしの家、衛宮邸ーに先生とライダーが帰ってきたようなので、玄関に出てみると二つの箱が入ってきた。 箱に紐を掛けて持っているは藤村先生。後ろにいるライダーは両手に一ずつ箱を下げていた。 直感が働いた。 あれは、危険だ。 乙女の敵だ。気をつけろ、いや。即座にニゲロ。 「あ、桜ちゃん。今日はたいりょーだよ。なんと6りっとるなのだー」 藤村先生が満面の笑みを浮べる。 一歩下げていた脚がそれ以上引けなくなる。 「それは一体なんですか?」 表面を取り繕いつつ、聞いてみる。 藤村先生はとても楽しそうに開封し始める。 「じゃんじゃ、じゃ〜ん♪ ご開帳〜」 その姿を現す宝具。 ”甘き乙女の 冷酷な罠” リットルボックスアイスクリーム しかも先生が開いた箱に入っているフレーバーは、プティングだった。 なるほど、黄色地に黒ストライプだからなんですね。藤村先生。 「またかよ」 夕食前、商店街で買い物をしてきた先輩は、全ての不満と不服を一言ですませた。 それ以上何を言っても無意味なことを悟っているあたり、伊達に長くは藤村先生の弟分をやられていない。わたしも見習わないと。 「折角冷凍素材が安かったのに、冷凍庫に入りきらないじゃないか」 微妙に苦悶する部分がわたしとずれていたりしますが。 「こうなったら、奥の手を使うか」 先輩は旋風の速さで土蔵に入ると、大小さまざまなサイズのクーラーボックス(修理品)を身体に巻きつけて戻ってきた。 冷凍庫からクーラーボックスに氷とアイス冷蔵用のドライアイスを移し、一時的に水増しされた冷凍貯蔵量を巧みに利用し、すべての食料、素材、そして六つものリットルボックスを収納した。 ぱちぱちぱち。 心から感嘆して、先輩に熱い視線を向けながら拍手してしまった。この人の主夫技能は上限しらずのようです。 「しかし、クーラーボックスといっても、いつまでも使えるわけじゃないから、せめて今日明日でアイスを一つは片付けないときついな……」 先輩があくまの勧告をしてくださいました。 悩みの発端は、先日の夜。 魔力の受け渡しを終えた後の気だるく甘い時間。 最近その時に先輩がずっとわたしの背中に腕を廻したままなので、質問してみたのです。 先輩は照れくさそうに、 「このところ、桜の抱き心地がよくってさ」 ……。 …………それは暗に太ったと言っているのでしょうか? 心当たりはたびたびあった。 ついにトップがライダーと並んでしまっただとか、ヒップの差が大台(5cm)を突破したとか。 ライダーと服を見に行って、アンダーを買う時に嫌でも知らされてしまうその事実。 特にカップサイズの増大に反比例して”デザインがやっつけになってゆく”(←重要!)のを見ると、危機感はさらに加速させられる。 その度に目を背けてきたのだが、先輩の口から遠まわしに言われてはもうごまかしきれない。 「今日は先輩が料理番でしたよね」 「そうだぞ。でも、デザートにアイスを持ってくるなら、ちょっと献立を考え直した方がいいかな? 和風の予定だったけど洋食に切り替えるとなると……」 ぶつぶつと考え出す先輩。 「わたし、それまでちょっとお散歩してきますね」 「ああ、行ってらっしゃい。気をつけてな」 先輩が料理に気をとられているうちにそっと離れ、台所を出たところから部屋までダッシュ。 少し前まで部活で使っていたトレーニングウェアを引っ張り出して、手早く着替える。 うっ……、やっぱりウエストが微妙にキツイ気がする。弓道をしていた頃は、もう少し余裕があったはずなのに……。 でも、ここでへこんではいられない。倫敦の姉さん、見ていてください。桜はやります。 姉さんの体型は、わたしにとってはあこがれのラインなのですから―――。 『おまえ、あとでちょっと裏に来い』 あれ? いまなにか、頭身が低くやさぐれた感じでたばこを吹かしている姉さんの幻がみえたような……。 きっと姉さんの声援ですね。はい。わたし、がんばります。 先輩が料理に使う時間は凡そ知れる。運動をした後の着替えと汗の処理を考え、お夕飯までの時間はジョギングをすることにした。 町内を廻る感じで夕暮れの街を走っていると、 ちりん、ちりん。 「サクラ」 ライダーが自転車2号に乗ってわたしに平走してきた。 「ライ、ダー。どう、したの?」 「一部始終はレイラインを通して見させてもらいました。サクラ、あなたは私の目からみても美しい。それほど体型を気にすることはありません」 嬉しい言葉。美人のライダーに言われるとなんかその気になってくる。 「 |
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