2005年新春フリーイラスト
初詣

2005.01.01



12/31 PM12:45
寮の仲間達と一緒に初詣に出かける。
それぞれの一年を噛み締めるように集まった大勢の人の群れの中に埋もれ、はぐれないように拓斗の手を握った。

この冬一番の寒さに拓斗の鼻の頭が赤くなって目が潤んでいる。

「健一、たこ焼き。」
出店の前を通る度に拓斗が立ち止まるから中々目的の場所まで辿り着けない。
ちょっと怒ったら拓斗がぐずったので結局皆とは別行動をとる事にした。
来年はもう少し大人になってくれたらと思う。

「ねえ健一、暑いし疲れたし喉渇いた。」
人が多い所が苦手な拓斗を連れて来た事を少し後悔しながら甘酒を2つ買って人気の無い所へ移動する。
少し離れた所で見ていると行き交う人は寒さに肩を寄せ合って幸せそうに笑っている。
去年の今頃は受験勉強と弟達の世話に追われて笑う事も無かった。
今更ながら余裕が無かったんだなと思う。


父親に肩車をされた小さな子供が通り過ぎて幼い頃の想い出が蘇る。
子供の頃、父の背中はとっても大きくていつかは自分も父のようになりたいと思っていた。
急に家族に会いたくなって胸が痛む。
想い出から自分一人だけ取り残されたような気分になった。

胸が締め付けられて涙が溢れそうになった。

「健一・・・。」
心配そうに顔を覗き込んだ拓斗の手が頬に触れて温もりが心まで伝わる。


2005年1月1日 AM 0:00
二人の唇が重なった。
人の目なんて気にならなかった。

「えっと・・・あの、今年もよろしくお願いします。」
照れながら新年の挨拶を終えると、もう一度だけ唇が重なった。

寂しい時、拓斗はいつも傍にいてくれる。
暖かい手を差し伸べて優しく笑ってくれる。
拓斗を好きになって良かったと思った。

1月1日 AM 1:05
やっと目的の場所に辿り着く。
賽銭を投げて手を合わせてから目を閉じると心が静かに落ちついていく。
頭を下げて願い事を思い浮かべる。
来年もその先もずっと拓斗と一緒にいれますようにと願う。

そして隣で手を合わせる拓斗も同じ気持でいてくれますようにと願った。


Top Index Next

===
明けましておめでとうございます。
今年も&-ampersandをよろしくお願い致します。

イラストはLIFE 健一をイメージしております。
フリーとなっておりますのでご自由にお持ち帰り下さい。
今年が皆様にとって良い一年でありますように。

新年の抱負として今年はもう少し上手くなる予定ですので
昨年に引き続き暖かい目で見守って頂けると幸いです。


&-ampersand 管理人:なつ


※お持ち帰り、展示については自由ですが、著作権は&-ampersand管理人にあります。
イラストの加工、二次配布などはご遠慮下さい。