考察
設定について
スコールたちの戦う目的に注目してみよう。
Disc1 | 大統領拉致 | 任務だから。 |
魔女暗殺 | 任務だから。 |
Disc2 | ミサイル基地に潜入 | バラムガーデンを守りたくて。 |
バラム | バラムをガ軍から開放するため(バラムはゼルのホームタウンでもある) |
ガーデン衝突戦 | 相手から挑んできた(戦わねば自分たちが殺される) |
Disc3 | エスタ潜入 | ママ先生を救いたい(スコールはリノアを救いたい) |
打倒アルティミシア | リノアを救いたい |
彼らが傭兵としての活躍が描かれているのはDisc1の間だけだ。それ以降は、自分の親が心配だとか、お世話になったママ先生を助けたいとか、愛する人を守りたいという風に、個人的な動機から戦うようになっている。
つまり、
- FF8のシナリオの肝は『仕事だから戦う』→『大事な人を守るために戦う』という変化にある。
- スコールたちの傭兵という設定は、その変化のための前振りにすぎない
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という訳だ。
ちなみに、この構図はラグナ編にも当てはまる。
- ガルバディア兵時代のラグナは、ティンバーに向かわないでジュリアとよろしくやってるような、あまりバトル熱心ではない男だった。
- そんな男が遥々エスタに向かい魔女アデルを倒したのはエルオーネを救いたかったからだ。
- ラグナの元軍人という設定も、スコールの傭兵という設定同様、『仕事だから戦う』→『大事な人を守るために戦う』の変化のための前振りだろう
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FF8を彩る幾つかのキーワードのうち、『愛』と『軍隊』という接点のまるでない2つの要素に関しては、『愛>軍隊』だと言いきることができる。
FF8のシナリオにおいて『学生』という設定が果たした役割とは?
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FF8は、背伸びしたい年頃の子供たちの微妙な心理を巧みに利用したシナリオ構造になっている。
スコール | 一人で生きたいという願いは実は痩せ我慢に過ぎなかった。→『俺…本当は他人にどう思われてるか、気になって仕方ないんだ』 |
アーヴァイン | 地味で気の小さい自分を変えようと、服装や言動を変えてみたが、やっぱり駄目だった。 |
キスティス | 秀才として周囲から一目置かれているが、実は苦労人。けっこう崖っぷち。→養子先でうまくいかなかったり、教師免許を剥奪されたり、慰めてほしかったスコールに暴言を吐かれるなど、悲惨な体験が多い。精神的な迷いがDisc1での持ち場離脱に繋がったのだろう。 |
ゼル | あまり物事を深く考えず勢いだけで生きていたら、デリング大統領にうっかり自分たちの所属をばらしてしまった。 |
リノア | 誰かの役に立ちたいという想いが空回りして逆の結果に繋がっている。→『私にも誰かが守れるなら戦う』と言って参加したガーデン衝突戦で結局スコールに助けてもらう羽目に。 |
スコールたちはもう17〜18歳。肉体的にはもう大人だが、精神的にはまだ大人とは言えない世代。
世界観
FF8には、宇宙ステーションや大陸弾道ミサイルを筆頭とする機械的な要素と、魔女や魔法といったファンタジックな要素が併存している。この両者の位置付けを理解するには、FF8の世界の昔を想像してみるのが近道だろう。
- 神話によればもともと魔法とは創造主ハインの力だったという。
- 科学技術は人間が長い年月を掛けて積み重ねてきたもの。
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当たり前の話だが、昔は今ほど科学技術が発達していなかった。一方、魔法は人類が誕生した頃には既に存在していた。つまり、
- もともとFF8の世界は魔法の存在する世界だった。
- 人類は長い年月をかけて科学技術が発展させたが、魔法というファンタジー要素が消滅した訳ではない。
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要するにFF8世界はよくあるファンタジー世界の“未来”を描いたもの、と言えるだろう。
なぜFF8の世界の人間はあそこまで機械技術を発達させたのだろう? その疑問を解く手掛かりは、FF8世界における魔法の位置付けにある。
- 魔法は本来、魔女や魔物が持つ特殊能力。
- オダインが擬似魔法を発明するまで、人間は魔法を使うことができなかった。
- 魔法が使えないのだから魔法技術は発達のしようがない。
- だから人類は機械技術を発展させた。
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FF1〜5やFF9〜10の世界では、訓練すれば人間でも魔法を使うことができる。だから、機械技術と同時に魔法技術もそれなりに発展した。だが、FF8世界の住人には、機械文明を発展させる以外に選択肢がなかった。
FF8世界が機械文明を発達させた理由は、FF6の人類が魔大戦後に機械文明を発達させた理由によく似ている。どちらも人類にとって魔法は遠い存在だったため、魔法に頼ることが出来なかったのだ。ただ、両者では経過した月日が大きく違う。
FF6 | 魔大戦から1000年しか経っていない |
FF8 | 文明発祥から数千年の月日が経過している |
この月日の差がFF6とFF8の文明レベルの差なのだろう。FF8の数百年前にはFF6のように蒸気機関が多用された時代があっただろうし、逆に魔法の存在が完全になくなったFF6から数百年経つとFF7〜8のような世界になるかもしれない。
なんにせよ、FF6の舞台もFF8の舞台も本質はファンタジーだ。ただ、魔法を使えない人類が魔法に代わる手段として機械技術を発展させただけの話である。