FF8のシステムが本性を見せるのは
SeeD就任以降だ。
- SeeDになるとテストを受けられるようになる
- テストの7-9で『敵は味方のレベルによってレベルを上げてくる』ことを知る
- 今までのRPGの常識が唐突に覆される
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このときから
レベル連動制の存在が攻略の最大の壁になって立ちはだかる。
FF8では給料アップのためのテストがゲーム中のヒントになっている。先ほども書いたけど、
レベル連動制そのものの情報が得られるのもテストの中だ。
ところが、
例えば、
初期レベルクリアを目指すとこれらの有益な情報は諦めねばならない。
つまり、
レベルを上げない | 敵は弱いけどヒントが少ない | → | 最大の壁はシステム!? |
レベルを上げる | ヒントを貰えるけど敵も育つ | 最大の壁はモンスター!? |
これはなかなか難しい選択だ。というのも、大半のプレイヤーは
モンスターと
戦うのは慣れているけど、未知のシステムを手探りで追求していくことには慣れていない。前プレイの経験が活きる2周目以降はともかく、1周目の段階ではどちらが有利と言いきれない。むしろ、低
レベルにこだわらないほうが“楽”かもしれない。
レベルを上げるか上げないか。どちらを選ぶのも自由だけど、どちらかを選んだら、もう片方は諦めなければならない。
低
レベルで進むことを決意した場合、
- モンスターは高レベルに比べて弱い…裏ボスもスコールの最強技1発で倒せる
- でもどうやってキャラクターの戦力や戦術を構築していくかが問題になる
- というのも低レベルにはヒント不足の他にも幾つか厄介な“縛り”がある
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慢性的なAP不足や攻撃手段の不足が壁となってプレイヤーの前に立ちはだかる。
FF8には
ジャンクションや
ドローなどのシステムがあるので、経験値を溜めないで
能力値を増やしていくのは難しいことではない。でも、
アビリティはそうはいかない。
- 初プレイ時は経験値を稼がずにAPを溜める方法なんて知るわけない
- だからボス戦で得られる限られたAPでアビリティを覚えていかなければならない
- 限られたAPをどう配分していくか、どんなアビリティから覚えていくかが攻略の鍵になる
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どの
アビリティから覚えていくかを考えるのがプレイヤーの頑張りどころなので、
- 精製に限らず特定のアビリティを説明書やチュートリアルで勧めるような真似はしない
- FF5やFF9のようにAPを溜めずにアビリティやジョブ特性を利用する方法も存在しない
- それどころか派生の概念を載せて今までよりアビリティの選択をシビアにしている
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もしも
説明書で『
暗黒が強いですよ』みたいな案内を出したらプレイヤーの考える余
地を奪ってしまうことになるし、APを溜めずに
アビリティを利用できてしまったら『限られたAPをどう配分していくか』という大枠が根本から崩れてしまう。
FF8の
アビリティは、戦闘にバリエーションを与えるものというより、それ自体が攻略してもらうための要素になっている。
FF8には
召喚魔法というお手軽な攻撃手段があるけど、
特殊技の存在に気付くこと自体は大して難しくないけど、それを主
力にしなければいけないというのは、ちょっとした発想の転換が必要かも。
壁というほど大きいものではないけど、
- 給料を上げるにはテストに合格するか敵をたくさん倒すしかない
- しかしテストはスコールのレベルまでしか受けられない
- 低レベルで進むとギルも不足しがち
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ただ、
FF8はクリアするだけならば、せいぜい旅費や薬代ぐらいしか使い道がないので、大した苦にはならない。
ギル不足が壁になるのは
精製を使いはじめたプレイヤーで、
FF8の
精製のための材料費って低
レベルで進んだ場合を基準に組まれている予感。
SeeDレベルを上げる手段も限られているので、
ドールでの試験結果も重要になってくる。
低
レベルで進んだ場合の
FF8は、
- 基本的にバトルはボス戦のみ
- 限られたAPをどう配分していくか?
- 攻撃手段の貧弱さをどう解消していくか?
- 未知のシステムをどのように使いこなしていくか?
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制約だらけの中で、どうやって敵を圧倒するだけの戦
力と戦法を築くかが焦点になっている。同じ
RPGでも、他のFFとは向いている方向が違うわけだ。
テストは
レベル30まで。ヒント目当てならば、そこで
レベル上げも止まる。
レベル30という数字には大きな意義があって、
もちろん、
初期レベルクリアを目指した場合に比べて、
レベル30までの戦闘分AP獲得のチャンスが増えるのもありがたい。
自
力で
オーラ精製まで辿り着けるプレイヤーならばともかく、一般的なプレイヤーは意
地を張らず妥協して
レベル30まで上げてしまったほうが楽にクリアできるかもしれない。
基本的に
FF8は
レベル上げ禁止という制約の中で戦
力や戦法を築いていくゲーム。突きつめれば裏
ボスを主人公
スコールの最強技1発で倒せるぐらい強くなれる。
…でも。
- そもそも、そこまで苦労してまで弱い敵と戦うことにこだわる必要があるのだろうか?
- RPGの戦闘はそれ自体が楽しみって側面もあるし。楽なほど良いって性質のものでもないし。
- 無理にレベルを抑えながら進まなくてもいいじゃん…と考えるプレイヤーも出てくる。
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FF8が面白いのは、そういう度胸あるプレイヤーに対して、
そのうえ
アビリティが揃ってくれば、
- 精製で魔法が大量に手に入るのでレア魔法以外は気軽に唱えられるようになる
- 『敵を倒してキャラクターを強くする』従来のRPGに似たプレイスタイルを味わえるようになる
- 結果的にドローしなければいけない機会も減っていきゲームのテンポがアップ
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すごく厚遇してくれる。
FF8の諸システムの核になっているのは
レベル連動制だ。その他のシステムは
レベル連動制に追随する形で
FF8の中に組み込まれている。
こういった要素が低
レベルプレイや中
レベルプレイを支え、
- 戦利品の入手率の大幅上昇
- 戦利品とキャラクターの強化を結びつける精製の概念
- レベルが上がると敵が強くなるだけでなく手に入る魔法やアイテムも強化される仕様
- レベル100の敵を相手にしても恐れなくて済むぐらいキャラクターが強くなれるゲームバランス
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こういった要素が高
レベルプレイを支えている。
FF8は1つのゲームに2本分のシステムが詰まっていると考えると分かり易い。
低レベル 中レベル | 限られた状況の中で効果的な戦力や戦法を築いていくゲーム |
高レベル | どんどん戦ってどんどん集めてどんどん成長して戦闘で派手に暴れるゲーム |
ただし、単に2本詰めただけでなく、表裏の関係になっているところに意義がある。
前プレイで、
こういったことを発見できれば、次のプレイでは『限られたAP』の縛り抜きで低
レベルプレイを楽しめるようになる。
ただ、これは何度も熱心に
FF8を遊んでいるプレイヤーに対するおまけだろうね。
FF8をシステム面から見た場合の簡単なまとめ。
- FF8は何重にも仕掛けられた制約の中で攻略していくゲーム
- 従来のPGのような戦闘のコマンドさばきやMP運用の巧みさを競う要素は比較的薄い
- 特殊技やアビリティといった要素をどこまで使いこなせるかが鍵
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ただし、
- プレイヤーが望めば敵と戦いながら進むことで制約を悉く覆してしまってもよい
- 低レベルコースと高レベルコースは1つのシステムの表と裏の関係にある
- プレイヤーはレベル連動制を「表から味わっても」「裏から味わっても」かまわない
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FF8のゲームバランスはまず
特殊技が中心にあって、
特殊技を支えるために他の要素が設定されていると思っていい。たとえば、
- 普通のRPGに比べて最大HPが格段に上がり易い
- 普通のRPGに比べて攻撃力が上がりにくい
- 最大HPに比べて雑魚敵の攻撃力が小さい
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これらは
特殊技ためにそのような
仕様になっている。
FF8では
特殊技で
戦うために最大値の1/3以下の
HPで
戦うのが基本になる。しかし、全てのプレイヤーにそういう戦いかたが出来るわけではない。そこで役に立つのが
召喚魔法だ。
ハイリスク&ハイリターンを追及したのが
特殊技だとすれば、ローリスク&リーリターンを追及したのが
召喚魔法だ。
FF8における最大
HPとは、
召喚魔法や
コマンドアビリティなどに頼りながら
戦う初心者プレイヤーのための最大HPだと思ってしまっていい。そして、
特殊技を使いこなせるようになると初心者の1/3以下の
HPで戦っていくことになる。
FF8はキャラクターの初期
HPがなんと500近くもある。もちろん歴代シリーズ最大だ。これには、
- 召喚メインで戦うならば500近いHPで安心プレイ
- 特殊技メインで戦うならば100とか50とかそういう低いHPで緊迫感を味わいながらプレイ
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こういう意味合いがある。
FF8というと
精製や
カードでこちらが圧倒的に強くなるイメージが強い。勿論そのイメージも間違いではないのだけど、
たとえ
精製や
カードに頼らなくても、
FF8では
Disc2序盤でキャラクターの
HPが3000を超えてしまう。
特殊技は“殺るか殺られるか”を表現したシステムだと思うと分かり易い。
- HPが低いほど特殊技の発動率が上がる
- 例えば最大HPの1/3程度だと数十回に1回ぐらいしか出ない
- ところが最大HPの1/8ぐらいになれば2回に1回ぐらいは特殊技を出せるようになる
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HPを減らせば減らすほど大ダメージを与えることができるけど、
HPを減らしすぎるとやられてしまう。ハイリスク&ハイリターンを
地でいく内容になっている。
…ただし。↓
FF8のゲームバランスに最も大きな影響を与えているのは『コマンドウィンドウを表示するときに
特殊技の発動判定を行う』という些細な
仕様だ。
- 三角ボタンを連打すれば毎ターンのように特殊技を出すことができる
- 2ターンに1回ぐらいのペースで特殊技が出ていたときに比べて1.5倍ものダメージ効率
- 10ターンに1回のペースで特殊技が出ていたときに比べて10倍近いダメージ効率
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三角ボタン連打で
特殊技が出せることに気付くと、
特殊技のリスクとリターンのバランスが大幅に崩れてしまい、『ハイリスク&ハイリターンを追及するゲーム』から『大暴れして豪快に敵を倒すゲーム』に変わってしまう。
FF8体験版で三角ボタン連打で
特殊技を出せたんだけど、それが半年後の製品版でも修正されなかったということは意図的に用意した
仕様なのかな? この
仕様、バトルに歯応えを求めるプレイヤーにはマイナス要素で、豪快に暴れまわりたいプレイヤーにはプラス要素だね。
FF8は前者よりも後者の欲求を優先したということか。