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システム考察

ネタバレを禁止する(テスト版)
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 システムの根本的な扱い

FF8はシステムを『クリアに最低限必要な要素』と『知らなくてもクリアできる要素』に分けて、前者は解説を用意するけど、後者はヒントを出すに留めて「自分で考えてね」「試行錯誤してね」という姿勢をとっている。
前者の例 後者の例
ドロー召喚について
戦闘中に表示される三角マークの意味
ジャンクションの仕方
育てるアビリティの変更方法
経験値のより多い入手法
…etc
レベル連動制の存在と扱いかた
効率的な戦闘の進めかた
魔法を集める効率を上げる方法
戦利品カードの活用方法
ギルの本当の使い道
…etc
FF8のシステムはちょうどFF10と正反対になっていて、
FF10 「空飛ぶ敵にはボール」「硬い敵には貫通」「ゼリー系には黒魔法」といった基本パターンをどこまで忠実になぞれるか
FF8 特殊技は切り札ではなく常用」「全員を瀕死にはしない」といった基本パターンにどれだけ早く気付くか
FF8とFF10は互いに逆の方向に全疾走しているので、 FF8+FF10)÷2=普通のRPG と表現することもできそう。

 システムの構成

 システムの本格始動はSeeD就任以降
FF8のシステムが本性を見せるのはSeeD就任以降だ。
  •  SeeDになるとテストを受けられるようになる
  •  テストの7-9で『敵は味方のレベルによってレベルを上げてくる』ことを知る
  •  今までのRPGの常識が唐突に覆される
このときからレベル連動制の存在が攻略の最大の壁になって立ちはだかる。
 最大の壁になるのはなんだ
FF8では給料アップのためのテストがゲーム中のヒントになっている。先ほども書いたけど、レベル連動制そのものの情報が得られるのもテストの中だ。

ところが、
  •  テストはスコールレベルまでしか受けられない
  •  スコールレベルを上げないと受けられるテストも限られる
  •  すなわち限られたヒントしか得られない
例えば、
初期レベルクリアを目指すとこれらの有益な情報は諦めねばならない。

つまり、
レベルを上げない 敵は弱いけどヒントが少ない 最大の壁はシステム!?
レベルを上げる ヒントを貰えるけど敵も育つ 最大の壁はモンスター!?
これはなかなか難しい選択だ。というのも、大半のプレイヤーはモンスター戦うのは慣れているけど、未知のシステムを手探りで追求していくことには慣れていない。前プレイの経験が活きる2周目以降はともかく、1周目の段階ではどちらが有利と言いきれない。むしろ、低レベルにこだわらないほうが“楽”かもしれない。

レベルを上げるか上げないか。どちらを選ぶのも自由だけど、どちらかを選んだら、もう片方は諦めなければならない。
 低レベルで進んだ場合
レベルで進むことを決意した場合、
  •  モンスターは高レベルに比べて弱い…裏ボススコールの最強技1発で倒せる
  •  でもどうやってキャラクターの戦や戦術を構築していくかが問題になる
  •  というのも低レベルにはヒント不足の他にも幾つか厄介な“縛り”がある
慢性的なAP不足や攻撃手段の不足が壁となってプレイヤーの前に立ちはだかる。
 低レベルの壁〜その1
FF8にはジャンクションドローなどのシステムがあるので、経験値を溜めないで能力値を増やしていくのは難しいことではない。でも、アビリティはそうはいかない。
  •  初プレイ時は経験値を稼がずにAPを溜める方法なんて知るわけない
  •  だからボス戦で得られる限られたAPでアビリティを覚えていかなければならない
  •  限られたAPをどう配分していくか、どんなアビリティから覚えていくかが攻略の鍵になる
どのアビリティから覚えていくかを考えるのがプレイヤーの頑張りどころなので、
  •  精製に限らず特定のアビリティ説明書やチュートリアルで勧めるような真似はしない
  •  FF5やFF9のようにAPを溜めずにアビリティやジョブ特性を利用する方法も存在しない
  •  それどころか派生の概念を載せて今までよりアビリティの選択をシビアにしている
もしも説明書で『暗黒が強いですよ』みたいな案内を出したらプレイヤーの考える余を奪ってしまうことになるし、APを溜めずにアビリティを利用できてしまったら『限られたAPをどう配分していくか』という大枠が根本から崩れてしまう。

FF8アビリティは、戦闘にバリエーションを与えるものというより、それ自体が攻略してもらうための要素になっている。
 低レベルの壁〜その2
FF8には召喚魔法というお手軽な攻撃手段があるけど、
特殊技の存在に気付くこと自体は大して難しくないけど、それを主にしなければいけないというのは、ちょっとした発想の転換が必要かも。
 低レベルの壁〜その3
壁というほど大きいものではないけど、
  •  給料を上げるにはテストに合格するか敵をたくさん倒すしかない
  •  しかしテストはスコールレベルまでしか受けられない
  •  低レベルで進むとギルも不足しがち
ただ、FF8はクリアするだけならば、せいぜい旅費や薬代ぐらいしか使い道がないので、大した苦にはならない。ギル不足が壁になるのは精製を使いはじめたプレイヤーで、
FF8精製のための材料費って低レベルで進んだ場合を基準に組まれている予感。SeeDレベルを上げる手段も限られているので、ドールでの試験結果も重要になってくる。
 低レベルプレイのゲーム性
レベルで進んだ場合のFF8は、
  •  基本的にバトルはボス戦のみ
  •  限られたAPをどう配分していくか?
  •  攻撃手段の貧弱さをどう解消していくか?
  •  未知のシステムをどのように使いこなしていくか?
制約だらけの中で、どうやって敵を圧倒するだけの戦と戦法を築くかが焦点になっている。同じRPGでも、他のFFとは向いている方向が違うわけだ。
 中レベルプレイのメリット
テストはレベル30まで。ヒント目当てならば、そこでレベル上げも止まる。

レベル30という数字には大きな意義があって、
もちろん、初期レベルクリアを目指した場合に比べて、レベル30までの戦闘分AP獲得のチャンスが増えるのもありがたい。

オーラ精製まで辿り着けるプレイヤーならばともかく、一般的なプレイヤーは意を張らず妥協してレベル30まで上げてしまったほうが楽にクリアできるかもしれない。
 高レベルプレイで世界が変わる
基本的にFF8レベル上げ禁止という制約の中で戦や戦法を築いていくゲーム。突きつめれば裏ボスを主人公スコールの最強技1発で倒せるぐらい強くなれる。

…でも。
  •  そもそも、そこまで苦労してまで弱い敵と戦うことにこだわる必要があるのだろうか?
  •  RPGの戦闘はそれ自体が楽しみって側面もあるし。楽なほど良いって性質のものでもないし。
  •  無理にレベルを抑えながら進まなくてもいいじゃん…と考えるプレイヤーも出てくる。
FF8が面白いのは、そういう度胸あるプレイヤーに対して、
そのうえアビリティが揃ってくれば、
  •  精製魔法が大量に手に入るのでレア魔法以外は気軽に唱えられるようになる
  •  『敵を倒してキャラクターを強くする』従来のRPGに似たプレイスタイルを味わえるようになる
  •  結果的にドローしなければいけない機会も減っていきゲームのテンポがアップ
すごく厚遇してくれる。
 システムの核
FF8の諸システムの核になっているのはレベル連動制だ。その他のシステムはレベル連動制に追随する形でFF8の中に組み込まれている。
こういった要素が低レベルプレイや中レベルプレイを支え、
  •  戦利品の入手率の大幅上昇
  •  戦利品とキャラクターの強化を結びつける精製の概念
  •  レベルが上がると敵が強くなるだけでなく手に入る魔法アイテムも強化される仕様
  •  レベル100の敵を相手にしても恐れなくて済むぐらいキャラクターが強くなれるゲームバランス
こういった要素が高レベルプレイを支えている。

FF8は1つのゲームに2本分のシステムが詰まっていると考えると分かり易い。
レベル
レベル
限られた状況の中で効果的な戦や戦法を築いていくゲーム
レベル どんどん戦ってどんどん集めてどんどん成長して戦闘で派手に暴れるゲーム
ただし、単に2本詰めただけでなく、表裏の関係になっているところに意義がある。
 2周目以降のお楽しみ
前プレイで、
こういったことを発見できれば、次のプレイでは『限られたAP』の縛り抜きで低レベルプレイを楽しめるようになる。

ただ、これは何度も熱心にFF8を遊んでいるプレイヤーに対するおまけだろうね。
 ここまでのまとめ
FF8をシステム面から見た場合の簡単なまとめ。
  •  FF8は何重にも仕掛けられた制約の中で攻略していくゲーム
  •  従来のPGのような戦闘のコマンドさばきやMP用の巧みさを競う要素は比較的薄い
  •  特殊技アビリティといった要素をどこまで使いこなせるかが鍵
ただし、
  •  プレイヤーが望めば敵と戦いながら進むことで制約を悉く覆してしまってもよい
  •  低レベルコースと高レベルコースは1つのシステムの表と裏の関係にある
  •  プレイヤーはレベル連動制を「表から味わっても」「裏から味わっても」かまわない

 ゲームバランス

 ゲームバランスの中心は特殊技
FF8のゲームバランスはまず特殊技が中心にあって、特殊技を支えるために他の要素が設定されていると思っていい。たとえば、
  •  普通のRPGに比べて最大HPが格段に上がり易い
  •  普通のRPGに比べて攻撃が上がりにくい
  •  最大HPに比べて雑魚敵の攻撃が小さい
これらは特殊技ためにそのような仕様になっている。
 召喚魔法の意義
FF8では特殊技戦うために最大値の1/3以下のHP戦うのが基本になる。しかし、全てのプレイヤーにそういう戦いかたが出来るわけではない。そこで役に立つのが召喚魔法だ。
ハイリスク&ハイリターンを追及したのが特殊技だとすれば、ローリスク&リーリターンを追及したのが召喚魔法だ。

FF8における最大HPとは、召喚魔法コマンドアビリティなどに頼りながら戦う初心者プレイヤーのための最大HPだと思ってしまっていい。そして、特殊技を使いこなせるようになると初心者の1/3以下のHPで戦っていくことになる。
 初期HPの高さ
FF8はキャラクターの初期HPがなんと500近くもある。もちろん歴代シリーズ最大だ。これには、
  •  召喚メインで戦うならば500近いHPで安心プレイ
  •  特殊技メインで戦うならば100とか50とかそういう低いHPで緊迫感を味わいながらプレイ
こういう意味合いがある。
 精製カードなしでも…
FF8というと精製カードでこちらが圧倒的に強くなるイメージが強い。勿論そのイメージも間違いではないのだけど、
リジェネ HP+2600 Disc2序盤
D地区収容所
ビッグスから好きなだけドローできる
リフレク HP+2000 ウェッジから好きなだけドローできる
たとえ精製カードに頼らなくても、FF8ではDisc2序盤でキャラクターのHPが3000を超えてしまう。
 特殊技の特徴
特殊技は“殺るか殺られるか”を表現したシステムだと思うと分かり易い。
  •  HPが低いほど特殊技の発動率が上がる
  •  例えば最大HPの1/3程度だと数十回に1回ぐらいしか出ない
  •  ところが最大HPの1/8ぐらいになれば2回に1回ぐらいは特殊技を出せるようになる
HPを減らせば減らすほど大ダメージを与えることができるけど、HPを減らしすぎるとやられてしまう。ハイリスク&ハイリターンをでいく内容になっている。


…ただし。↓
 ゲームバランスの要
FF8のゲームバランスに最も大きな影響を与えているのは『コマンドウィンドウを表示するときに特殊技の発動判定を行う』という些細な仕様だ。
  •  三角ボタンを連打すれば毎ターンのように特殊技を出すことができる
  •  2ターンに1回ぐらいのペースで特殊技が出ていたときに比べて1.5倍ものダメージ効率
  •  10ターンに1回のペースで特殊技が出ていたときに比べて10倍近いダメージ効率
三角ボタン連打で特殊技が出せることに気付くと、特殊技のリスクとリターンのバランスが大幅に崩れてしまい、『ハイリスク&ハイリターンを追及するゲーム』から『大暴れして豪快に敵を倒すゲーム』に変わってしまう。


FF8体験版で三角ボタン連打で特殊技を出せたんだけど、それが半年後の製品版でも修正されなかったということは意図的に用意した仕様なのかな? この仕様、バトルに歯応えを求めるプレイヤーにはマイナス要素で、豪快に暴れまわりたいプレイヤーにはプラス要素だね。FF8は前者よりも後者の欲求を優先したということか。

 まとめ

 総評
FF8ってある意味ですごく分かり易いポジションにいて、
  •  独自路線を走っているので普通のRPGを遊びたい人には向かない
  •  似た路線のゲームは他にないのでFF8の独自の部分が気に入ったプレイヤーは手放せなくなる
  •  ひたすら独自路線を貫いたことが長所にも短所にもなっている
 FF8の未来
もしも将来FF8がリメイクされるとすれば、どちらの道を歩むことになるのだろう?
FF2の歩んだ道 FF2はリメイク版でもマニアックな回避率至上主義を貫き通した
DQ4の歩んだ道 DQ4はリメイク版でAIの学習機能を廃止して代わりに「命令させろ」を追加した
すごく楽しみだ。


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