もう1つの絆
FF8は愛を前面に押し出した作品。だけどゲーム終盤ラグナはこんなことを言っている。
ラグナ「友達でいること、好きになったり、好かれたりすること、愛し愛されること! ぜんぶ1人じゃできねえだろ? 相手が必要なことだろ?」
ラグナ「この作戦に必要なのは愛と友情! それからこの作戦を信じる勇気! 名付けて『愛と友情、勇気の大作戦』だ!」
愛に比べて友情を低く見ているわけではなくて、愛も友情も同じぐらい素晴らしいものだという。
実際、
FF8には
地味だけど興味深い友情の描写が幾つも用意されている。
Disc1の
アーヴァインは緊張と重圧から逃れるために敢えて軽率な人間を演じているのだけど、切羽詰った緊急事態になると軽率人間を演じる余裕が無くなり、
アーヴァイン「さ、行こう! 助けに。悩むなよっ!! リノア、死んじゃうぞ!」
“
仲間思い”という彼の本質が顕わになる。
風紀委員の
仲間意識は、
スコールたちの
仲間意識とちょうど対になっている。先ほど引用した文章を再び引用するけど、
ゼル「仲間だったら…。サイファーのバカなこと、やめさせろよ!」
雷神「俺ちゃそんな、ケチくさい仲間じゃないもんよ! そんなペラペラな仲間じゃないから、サイファーのこと全部認めてやるもんよ!」
相手の全てを認めることが
仲間だと言った
風紀委員に対して、
アーヴァイン「さ、行こう! 助けに。悩むなよっ!! リノア、死んじゃうぞ!」
キスティス「宇宙まで行ってリノアを助けたのは、なんのためだったの? もう会えなくなるかもしれないのに、○○○に引き渡すため? 違うでしょ? リノアと一緒にいたいからじゃなかったの? バカ」
誤った道を突き進んでいると思ったら、躊躇なく「悩むなよ」「バカ」と言ってくれた
スコールの
仲間たち。
風神たちは相手の全てを認めてやることが真の
仲間の務めだと考えていたのだけど、
サイファーの迷走ぶりを見て少しずつ考えを変えはじめる。
※Disc2終盤の発言
そして最後は、
風神「仲間だから、あんたの力になりたいよ。それであんたの夢がかなうなら、なんだってしてやりたいよ。でもね! サイファー、あんた操られてるだけだ。もう自分の夢もなんもなくして、へんなものの言いなりになってるだけだ。だから、元に戻ってもらいたいんだよ!」
だが時すでに遅く…。
サイファー「もう戻れねぇんだよ! どこにも行けねぇんだよ!」
もしここで
サイファーが死んでいたら、本当に何の意味もない
犬死になっていただろうね。生きててよかった。
スコールはひどい奴だ。
そんなチーム○○○○の下で、どうやって
仲間意識が育まれたのだろう?
その疑問の手がかりは意外なことに
アーヴァインを観察していれば得られる。
※○○狙撃の件
スコールは
仲間意識から
アーヴァインを励ましたわけではない。任務遂行のために
アーヴァインを励ましただけだ。だが、励まされた側の
アーヴァインは違う受け取りかたをした。
※バトル野郎の話
助けてもらったことが縁で
スコール支持に回ったのは
アーヴァインだけじゃない。
彼らはいつか
スコールに恩返ししたいと考えていた。
※コンサートイベント
最初は戸惑う
スコールだが、やがて、
※
彼はみんなの好意を受け入れる。つまり、
- スコールがチーム○○○○としてメンバーやクライアントの尻拭いや救援を頑張った
- 助けてもらったメンバーやクライアントが今度はスコールがピンチのときに彼を支えた
- スコールたちのあいだに信頼関係が生まれていった
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スコールはカリスマ性や主人公特権といった曖昧なものではなく、『メンバーやクライアントの尻拭いや救援をしっかり勤めた』という明確な実績から
仲間の信頼を得ていったわけだ。