DQ8考察

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 DQ8テンション解説

1周目をノーヒントで遊ぶ前提で。
 テンションの位置づけ
DQ8のテンションシステムは、
  •  それを使いこなせないとクリアできないという類のものではない
  •  プレイヤーに選択のバリエーションを与えるための要素
このように思っておけば間違いない。
 テンションの2つの側面
テンションには2つの側面がある。
溜める1〜2回ターンあたりのダメージ量はそれほど増えない。MPの節約と対エレメントが主な役割。
溜める3〜4回ターンあたりのダメージ量が増えるが途中で妨害され易い。一か八かの切り札。
それぞれ順番に説明していこう。
 溜める1〜2回はMP節約用
DQ8では使い勝手のよい特技はMPを消費するようになった。そのため、
  •  杖スキルのないキャラクター
  •  杖スキルが十分に育っていないキャラクター
  •  杖スキルを育てるつもりがないプレイヤー
こういったプレイヤーにはテンションの存在は大きい。
  •  溜める→ギラなら、ギラを2回唱えたときの半分の消費で済む
  •  溜める2回→ギラなら、ギラを3回唱えたときの半分の消費で済む
実質的な消費MPが1/2、1/3…となるので、テンションなしで戦うより効率がよい。
 溜める3〜4回は一か八かの切り札
従来のDQでは「レベルが低くて勝てない→経験値稼ぎ」の流れが基本だったがDQ8では、
レベルが低くて勝てない対策1.経験値を溜めてレベルを上げてキャラクターを鍛える
対策2.テンションをたくさん溜めて一か八かの勝利を狙う
経験値稼ぎが面倒だと思うのであれば、テンションに賭けるという選択肢が生まれた。

テンションは強力な代わりに、ギャンブル性が高い。
  •  テンションが50まで溜まったけど、さらに溜めるか? それとも、ここで放出するか?
  •  敵が凍てつく波動を使ってくるか? 使ってこないか?
  •  ラリホーや雄叫びに耐えられるか? 耐えられないか?
いわばポーカーのダブルアップのようなもの。“続けるか止めるか”を直感で判断して予想が当たれば大きな成果が返ってくる。
経験値稼ぎ堅実な人向け
テンション上げギャンブラー向け
このように思っておけば間違いない。
 考察
テンションがこういう仕様になったのはおそらく従来のDQの戦闘スタイルを維持したかったからだろう。
  •  FF7のリミットゲージのようなシステムにしたほうがテンションという言葉にはピッタリ。
  •  でも、そうすると従来のDQとは戦略の組み方が大きく変わってくる。
その変化をどう捉えるか。FFは積極的に変化していったけど、DQ8はそういう劇的な変化を望まなかった。
  •  しっかりレベルを上げて進むのであればテンションなしの従来的な戦いかたでも十分にいける
  •  従来のレベル上げ中心の遊びかたは刺激が足りないと思ったらテンションという手段もある
従来の戦いかたを愛する人にすごく配慮しつつ、それでは物足りない人のために用意されたのがテンションシステムだ。
  •  お馴染みのレベル上げの要素にテンションの要素を上乗せしたんじゃない。
  •  レベル上げに代わる選択肢の1つとしてテンションが用意されている。
立場的には4以降のカジノと似ているかも。カジノでコインを集めまくれば普通に遊ぶより低いレベルでクリアできるけど、それをプレイヤーに強制しているわけじゃない。テンションはカジノ同様、興味がある人だけ楽しめばいいという性質のもの。


そういえば、発売前に一部で「毎回テンション上げが強制される間延びした戦闘になるんじゃないか?」とささやかれていたけど、DQってもともと雑魚戦でも3〜5ターンぐらい掛かるのが普通だったから、テンションの存在がターン数を無駄に引き伸ばす要因にはならなかったね。

 DQ8の伏線について

DQ8のクライマックスは一見すると、
  •  旧作の人気にあやかった後付設定?
  •  旧作ファンへのくだらないファンサービス?
このように感じてしまうかもしれない。しかし、DQ3を丹念に追っていくと、DQ8のクライマックスの展開が、単なる後付やファンサービスとはとても思えなくなる。
 実はFC版DQ3には…
DQ8を遊んで「え?別世界?」と思った人も多いかも。でも実はDQシリーズってFC版3の時点で実は別世界の概念が登場している。
ラダトームのあらくれ「北の洞窟には全てを拒む底無しのヒビ割れがある。魔王がこの世界に現れたとき出来たらしい」
そう、ゾーマはもともとアレフガルドで生まれた存在ではない。突如アレフガルドに現れた出身地不明の謎の大魔王なのだ! 実はDQって、3作目の時点で複数の世界が存在し、人間を超越した存在ならば自在に世界の壁を越えることができるマルチワールドであることが示唆されている。

要するに、
  •  ロト編はDQ3で完結し、DQ4からはロトとは関係ない別のエピソードが展開された。
  •  でも実はDQ3開発の時点で作者の頭の中には複数世界の構想は出来ていたわけで。
  •  DQ4以降も、ロト編と直接繋がっていないだけで、広い意味での“DQワールド”の一員。
  •  あとはその設定をいつプレイヤーに公開すれば驚くかというタイミングの問題だった。
もしかして、どのタイミングで複数世界の構想を大々的に公開すればいいのか、15年間ずっと機会を伺っていたのか!? …やってることのスケールが半端じゃないし、こんな長いあいだ隠し通せたのも凄すぎる。
 ラーミアの発言の真意もDQ3に
エンディングでラーミアは、
「私は神ではありません」
自身が神であることを否定する。どうして、わざわざそんなことを言ったのか? その理由もDQ3を遊べば分かる。
双子「ラーミアは神のしもべ」
ラーミアは神の手下にすぎない。ラーミア自身が神に強い忠誠心を抱いているから、自分が神だと誤解されることを嫌っていたんだろうね。

ラーミアが様々な世界を飛び回っているのも、神の命令なのだろう。
 DQ3が新たな謎の始まり
FC版DQ3って一見するとすごくきれいにまとまった作品に見えるけど、きれいにまとまっているのはロト伝説だけで、トータルで見ると、
馬「ここは天界に一番近い竜の女王様のお城です」
オリジナル版の時点で既にリメイク版に登場した天界の存在が示唆されているし、
双子「ラーミアは神のしもべ」
竜の女王「私は龍の女王。神の使いです」
マイラ男性「神は光。魔王は暗闇」
姿を見せていないだけで、大魔王と対等の力を持ち、ラーミアや竜の女王を統括する偉大な“神”の存在も示唆されている。

DQ3って、
  •  異世界の存在の示唆
  •  ラーミアや竜の女王が仕える、大魔王と対等の力を持つ“神”の存在の示唆
  •  天界の示唆
DQ1〜2をきれいにまとめつつ、新たな世界への広がりをたっぷり盛り込んでいるんだよね。こういった謎が解けないかぎりDQ3は本当の意味で完結したとは言えないわけで……。


DQ3の「そして伝説へ…」のサブタイトルは伊達じゃない。



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