FF2コラム
FF2は鎧よりも胸当てのほうが価値のあるゲームだ。一般にその理由は、
- 鎧は重く回避率が派手に下がってしまう
- 鎧を装備すると魔法の効果が低下してしまう
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この2点に拠ると思われがちだが、実はもう1つ、胸当てには大きなアドバンテージがある。
ブロンズアーマー | 400ギル | 防御力+5 |
銅の胸当て | 200ギル |
ミスリルアーマー | 1000ギル | 防御力+10 |
銀の胸当て | 400ギル |
黄金のよろい | 2500ギル | 防御力+15 |
ルビーの胸当て | 800ギル |
ナイトの鎧 | 5000ギル | 防御力+22 |
金の胸当て | 1000ギル |
そう。同じ防御力の鎧と胸当てを比較すると胸当てのほうが遥かに安いのだ。そのうえ、
- 銅の胸当てはブロンズアーマーより早く購入できてしまう
- ミスリルアーマーを購入して10分以内に銀の胸当てを販売している町に辿り着いてしまう
- 黄金の鎧は宝箱で手に入る1個を除いてルビーの胸当てより入手時期が遅い
- 金の胸当ては黄金の鎧(ナイトの鎧ではなく)と同じ店で購入できる
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もし仮に回避率がFF2に存在しなかったとしても、やっぱり「胸当て>鎧」という評価になっていたような気がする。
FF2のシステムは、
- 育成大好きなプレイヤーのための要素
- 過度な育成に興味のないプレイヤーのための要素
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この相反する要素の両立に成功している(ちなみにその点はFF5も同様)。
オリジナル版FF2は、
- 1つの熟練度を16にするだけでも大変
- それなのになんと20種類以上も熟練度がある
- HPもMPもバグるまで育てられる(FC版)
- 一部の能力値が相反関係にあるので能力値コンプリートも大変(FC版)
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かなり育て甲斐がある。
こちらは意外と知られていないので、少し詳しく書いてみる。
例えば、熟練度。
- 熟練度が低いと相手に与えるダメージが低い。
- 敵を1撃で倒せず戦闘が長引く。
- 戦闘が長引けば敵の攻撃をたくさん受けることになる。
- 敵の攻撃を受ければ受けるほど回避レベルがアップ。
- 戦闘が長引くほど攻撃する回数が多くなり熟練度もアップ。
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また、HP。
- HPが低いと雑魚の攻撃でHPを何割も削られてしまう。
- そうすると高確率で最大HPが上昇。
- 雑魚の攻撃に耐えられるようになるまで自然とHPが上昇していく。
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とりあえず、『危なくなったら素直に町まで撤退』という癖さえ付いていれば、FF2はクリアに向かってどんどん前進するだけでもクリアできるバランスになっている。
FF2のシステムは複雑だが、全体を通すと、
こちらが敵より弱いあいだ | → | どんどん育つ |
こちらが敵より強くなると | なかなか育たない |
こういうシンプルな構成になっている。
FC、WS、PS1版のFF2は、ちからと知力が相反関係にある。
- ちからが上がると、たまに知力が下がる
- 知力が上がると、たまにちからが下がる
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これはおそらく、
物理攻撃しまくる | → | ちからアップ、知性ダウン | → | 戦士タイプに成長 |
魔法を唱えまくる | 知性アップ、ちからダウン | 魔術師タイプに成長 |
能力値低下は安易に複合型キャラクターを作らせないための仕掛けだろう。
- 物理攻撃と魔法のどちらか片方に特化したほうが早く育つ
- しかしプレイヤーが望むなら時間を掛けて双方を育てていってもいい
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FF2の成長ルールは、
この3つのどれかになるよう組まれている。
※GBA版では『能力値の低下』が廃止されたので、複合型キャラクターを作り易くなっている。
FF2のバーサクは、
- 純粋に攻撃力を増やすサポート魔法
- 制御が利かなくなる等の副作用がない
- そのうえ重ね掛けできる
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だから、
- ブラッドソードなし
- ラストボスの防御力が高すぎて殴ってもクリティカルヒット以外だとダメージを与えられない
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こういう状態でもバーサクを重ね掛けすればラストボスにまともにダメージを与えられる。
だが、バーサクを販売しているのはなんとジェイド(ラストダンジョンの一部)。この時点で今さらバーサクの熟練度を上げるのはつらいよ…と思う人はバーサクの書を
アイテムとして使うといい。
- 予めバーサクの書を大量に買っておく
- 決戦が始まったらバーサクの書を複数使用
- 十分に攻撃力が上昇したら殴りまくり
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バーサクの書を戦闘中に
アイテムとして使うとバーサク6の効果(使い捨て)があるので、バーサクの熟練度を上げなくても大丈夫。
裏技等じゃないけど、見られない人が多いレアな台詞に次のようなものがある。
ヒルダ「ゴードン! あなたは…。あなたがいれば、ベルは必要なかった。ヨーゼフも死なずにすんだのよ…!」
ゴードン「ヒルダ! 聞いてくれ! 私は…」
ヒルダ「あなたの話など聞きたくありません!」
この台詞は、
- カシュオーン城でゴードンを仲間にする
- カシュオーン城のクリアアイテムをとるまえにアルテアに戻りヒルダと話す
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こういう難しい条件を満たしたときのみ聞ける。反乱軍のリーダーとして気丈に振舞うヒルダが堪えきれず感情を爆発させる珍しいシーンだ。
このやりとりで垣間見えるヒルダのゴードンに対する怒りの深さを踏まえると、その後の展開が今までとは違った視点で味わえる。
- この時点のヒルダはゴードンが勇気を振り絞って単身カシュオーンに向かったとは知らない。
- だからゴードンのことを最低人間だと思っている(上記の発言はまさにそれ)。
- そしてヒルダは真実を知る前に帝国にさらわれてしまう。
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ここからがポイント。
- マスターラミアに騙されたせいでヒルダ救出はかなり遅れた。
- ヒルダは短くない期間を敵の本拠地で幽閉されて過ごす。
- 彼女は絶望まみれのつらい日々を送っていたのではないか。
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そんなヒルダのもとに救援に駆けつけたのはゴードンだった。
- 繰り返しになるがヒルダはゴードンがカシュオーン城に向かったことは知らない。
- ヒルダのゴードンに対する評価はヨーゼフの件で最低の臆病者ランクまで落ちている。
- 最低の臆病者だと思っていたゴードンがなんと敵の本拠地まで乗り込んできた!
- フリオニールたちの援護があったとはいえ、あのゴードンにそんな勇気があったなんて!
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彼女にとってそれはとても意外で劇的なことだったのだろう。その後ヒルダがゴードンを反乱軍の共同リーダーとして認めたのは、このような経緯に起因するものではないかな。