世界初のRPG『ダンジョンズ&ドラゴンズ』が誕生したのは1974年。
- DQ1誕生の12年前
- ファミコン誕生の9年前
- パソコン誕生の3年前
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なんと、パソコンよりもRPGのほうが古かったりする。
RPGのほうがパソコンより古いと聞いて薄々勘付いている人もいると思うけど、もともとRPGはコンピューター用のゲームではなく、ボードゲームやカードゲームのように、複数のプレイヤーがテーブルを囲んで遊ぶパーティーゲームの一種(本ページでは以降『卓上RPG』と表記)として生まれた。
- プレイヤー1人がキャラクター1人を担当
- HPや能力値の管理には鉛筆と紙を利用
- ダメージ判定などはさいころで行う
- プレイヤーとは別にゲーム進行役の人間が1人いる
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ゲームの進行例。
※卓上RPGのプレイ例
卓上RPGは会話によってゲームが進行していく。
もともとRPGはみんなで遊ぶパーティーゲームだったのだけど、
- コンピューターRPGが誕生した当初はオンライン環境が殆ど普及していなかった
- そのためコンピューターRPGは一人遊びを前提にした新しいスタイルを築いていくことになる
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コンピューターRPGで“みんなで遊ぶ”というプレイスタイルが再現されたのは、オンラインRPGの登場以降。
ただ、卓上RPGとオンラインRPGは“みんなで遊ぶ”という点は共通しているけど、
卓上RPG | ゲーム参加者は基本的にリアル友達 |
オンラインROG | ゲーム参加者は基本的に見知らぬ他人 |
この一点でプレイ感触がかなり変わってくる。
とりあえず、
- HP制
- 経験値が溜まるとレベルアップ
- 装備によるキャラクターの強化
- パーティー内の分業体制
- 戦士、盗賊、魔法使い、僧侶の4職業
- 魔法使いと僧侶の2大魔法系統
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こういった要素は全てD&Dが固めたものだと思っていい。
RPGの歴史はD&Dから始まったわけだけど、その気になれば、さらに遡ることも出来る。
1960年代に米国で対戦型の戦争ボードゲーム(ウォーゲーム)が流行った。
- 今風に言うとファイヤーエンブレムやオウガバトルからストーリー性を除いたもの
- 将棋やチェスのようにプレイヤー同士が対戦して勝敗を競う
- ダメージ処理等にはさいころを使用する
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当初は第二次世界大戦などを再現した近現代の戦争モノが中心だったが、やがて、
- ファンタジー世界を舞台にしたもの
- ユニットに成長の要素を取り入れたもの
- プレイヤー同士の協力の概念を取り入れたもの
- ロールプレイの概念を取り入れたもの
- ストーリー性を備えたもの
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こういう亜種が登場する。現在一般にRPGの専売特許とされているものの大半が実はウォーゲーム界発祥だったりする。
ウォーゲームに、ファンタジー、ロールプレイ、成長、ストーリー性といった概念を取り入れた人間の一人にGary Gygax(1938〜)という人物がいた。彼はもともと熱心なウォーゲームのプレイヤーで熱意が高じて自らゲームを作るようになり、
1971 | Chainmailというウォーゲームを制作(デビュー作) |
1972 | ファンタジー世界を舞台にしたChainmailの追加ルール集を制作 |
1974 | まったく新しいスタイルのウォーゲームと称したD&Dを制作 |
1975 | D&Dに“RPG”という新しいジャンル名を名づける |
こうして、いわゆるRPGが誕生する。もともとRPGはウォーゲームの分家として誕生したわけだ。元祖RPGとして名高いD&Dが、当初ウォーゲームを自称していたのが興味深い。
※ちなみに彼はその後、会社の実権を別人に奪われて退社したため、現在のD&Dの開発には関わっていない。
RPGとアドベンチャーゲームの線引きが曖昧なのは、実はちゃんと理由がある。
- あるD&Dの熱心なプレイヤーがコンピューターでも冒険を楽しみたいと思った。
- そして作ったのが『Adventure』という文章主体のダンジョン探索ゲーム。
- このAdventureこそアドベンチャーゲームというジャンル名の語源。
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RPGとアドベンチャーゲームは親子関係にあったのだ。
現在に至るまでのアドベンチャーゲームの歴史。
- 初期のアドベンチャーゲームはAdventure(冒険)という言葉どおり、冒険を楽しむものだった。
- あるときストーリー性志向の強いアドベンチャーゲームがヒットして状況が一変。
- 冒険を楽しむ昔ながらのアドベンチャーゲームは少数派に。
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この流れ、どこかで見たことないだろうか?
そう、日本のTVゲーム用RPG界そのものだ。
- 初期のRPGは冒険を楽しむものだった。
- あるときストーリー性志向の強いFFがヒットして状況が一変。
- 冒険を楽しむ昔ながらのRPGは少数派に。
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時期に多少のズレはあれど、ADVもRPGも全く同じ流れを辿っているのが面白い。