「あほ鈴木ー!こういう時くらい役に立てー!!」
もう、八つ当たりだ。
わかっているが止められない。
俺はほぼ10も年下の生徒に、何を期待しているんだろう。
…でも、20年上のエロ親父かよりは全然マシだ。
おい鈴木!お前の大好きな相田先生のピンチだ!助けに来い!
そしたらお前…惚れてやるかもしれんぞ!!
意味のないことを心の中で叫びながら、どうにかしようともがいた。
すると、ギーッと錆びた金属音を立てて扉が開かれて誰かが中に入ってきた。
…教頭?!
しかしそのシルエットは中年の教頭よりも細くしっかりとしている。
光の中に映し出されたその人は、望んだばかりの、鈴木秀人だった。
「…。」
思わず絶句する俺。
つーか言葉が出てこない。
今日は休日だったよな?お前こんなとこで何やってんの?
「先生。まぁた、有宮教頭にセクハラ受けてこんなことされてんの。」
…はぃ?!
「な、なんでお前…ってか”また”ってなんだよ…」
「知ってんだよ、職員室とかで、尻とか触られてアンアン言ってんだろ。」
「アンアンて…言うか馬鹿ッ!!」
「じゃ、あひぃ。」
「…ぷっ。」
鈴木があまりにもアホみたいな声を出すので笑ってしまった。
彼は自分でも苦笑いして、俺の前にしゃがみこんだ。
「…俺より前に、何もされないでよ、先生。」
「…お前にも、何もされる予定はないぞ。」
「いけず。」
俺が動けないことをいいことに、鈴木が俺の唇に自分のそれを寄せてきた。
吐息が重なって、俺は息を止めた。
…しょうがねぇな。
キスが終わったら、縄を解いてくれよ。…頼むから。
fin.-9