相田game

「嫌いだったなあ。俺とは全然意見が合わなくてさ。」
「…嫌い、ですか。」

俺の父親はほとんど家にいた記憶はないし、たまに顔を合わせるとろくに話もしないような、だんまりの頑固親父だった。
そんなことを今更佐久間に言っても仕方がない、と思っていたら、佐久間のほうが首を傾げて聞いてきた。

「なぜ、嫌いだったのですか?お母さんのことも嫌いだった?」
「んー。」
どうやら家庭のことが気になるらしい。
俺は、俺が話すことによって少しでも佐久間の気が紛れるのなら、と思い、帰り道すがらこのことを延々と話しながら、帰途についた。

最後には佐久間も笑うようになっていたが、結局なぜ元気がなかったのかわからずじまい。
いつか話してほしいと思いつつも、こんなチャンスが二度とないかもしれないことをひしひしと感じていた。

fin.-19


+top+