相田game

「好きだったよ、もちろん。」
俺の答えに、佐久間ははっとして振り返った。
俺は一瞬言葉を紡ぐのを躊躇ったが、続けた。

「…もちろん、佐久間くらいの時は好きか嫌いかなんて考えたことなかったけどな。今になって、思うんだ。俺の親父って、普通の男だったけど、俺にとってはデカかったんだなーって。」
「…そうですか。」
「そんなもんだろ、父親なんて。ほとんど家にいたって記憶ないしなあ。」
「先生のお父さんもですか?!」

…おっ、食いついてきた。
どこもそんなもんだろうと思っていた俺にとっては、ちょっと予想外な反応だったけど。

「そうだよ。お前のうちも、帰って来ないのか?」
「はい…ここ最近ずっと会社に泊まりっきりで。お陰で良平が…。」
「良平?」
「あっ、俺の弟なんですけど。中学で、どうも暴れまくってるみたいで。」
「へー…」
意外だった。
兄はこんなに優等生みたいなイイコなのに。

「この前も、俺が呼び出されて中学行って。こういう時に父親が叱ってくれたらいいのに、全然そういうことをしてくれないんです。」
「…大変だな。」
「大変なんて思ってないんですけど。…でも、このまま良平がどこかで危ない目にあったりしたら、どうしよう…。」

佐久間は突然、ポロポロと涙を零して泣き始めた。
ぎょっとして固まる俺。
情けないけど、咄嗟にどうしていいかわからなかった。
いつも明るい佐久間が、家族のことでこんなに胸を痛ませているなんて知らなかった…。

「…佐久間、落ち着いて。今度俺がお前の家に遊びにでも行くよ。話し相手になろう。」
「ほんとですか…?」
「ああ、いいよ。俺で力になれるなら、なんでもしてやるさ。」
「…ごめんなさい。」

俺の言葉にほっとしたように、佐久間がやっと笑顔を見せた。
…とことん俺は、この笑顔が好きみたいだ。

fin.-18

おまけB恭平コース
恭平くんの本音を聞きだすことができました
PCなら復習できる⇒流れ
携帯ならコメントだけ⇒後記


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