犯人らしき人物を見つけた。
中年ぽい男で、有宮教頭を思わせる年頃の奴だった。
ああ、くそ、あのにっくき有宮に似ていると思えば思うほど憎らしい。
俺は必死に息を止めている佐久間の腕を取って引き寄せ、背中に指を走らせた。
「…!」
佐久間が背筋をのばして嫌がった。
ごめんな佐久間。しばらく辛抱して。
俺の指が佐久間の尻のあたりで知らない奴の手に当たった。
その手を思い切り掴んで、頭上に挙げさせる。
案の定、有宮を思わせる年頃の男の手だった。
俺はその男にニッコリと笑顔を向けると、言ってやった。
「俺のかわいい生徒に、何をやっておられるんですか。警察に言いますよ。」
真っ青になって、言いがかりだ、手を放したまえ、と喚く男。
佐久間はほっと息を吐いて、俺を見上げた。
少し顔を赤らめて、嬉しそうに微笑んだ。
「あ、ありがとうございます。先生!」
少しでも役にたててよかったなあ。
fin.-21