◇酔っ払った孝平さんが恭平君に甘えるお話


【時には酔いに任せて】



「ただいま。」
近頃早めに帰宅していた孝平が、しばらくぶりに、深夜に帰ってきた。
明美と聡平は既に二階の部屋に入り、寝息を立てていることだろう。この家の次男、良平はというと預かり主の杉野拓巳から二時間ほど前に電話があった。

ソファの上で本を読みながらくつろいでいた恭平は、玄関の物音と父の声に反応して顔を上げた。本にしおりを挟んで閉じ、机の上に置く。
「遅かったね。峰山さん、大丈夫だった?」
立ち上がりながら声をかける。返事がないので、左足を踏み出して歩き出した。

玄関まで辿り着くと、孝平が靴を脱いで上がってきた。
恭平の顔を見て、鞄を差し出す。
「ちょっと…飲み過ぎたかも。」
「え。大丈夫?まったく、峰山さんに張り合ったらだめだって言ったじゃないか。」
「ああ、わかってるんだけど。」

孝平は頷いて、壁に手を突きながら洗面所へ入った。恭平も溜息をついて後を追う。
父親はしっかりしてるから弟のように吐くまで飲んだりするようなことはしないとわかってはいても、心配にはなる。
幸い、顔を洗いたかっただけのようだ。パシャパシャと水音がしていた。

恭平は鞄を食卓の上に置いて、顔を拭くためのタオルを取ってやった。
「大丈夫?」
「うん。」
タオルを受け取って雫を拭う。
ほっと一息ついて、目を開けて恭平を見た。

「あいつ、奥さんと喧嘩したって。ヤケ酒。」
「えぇ?…まただね、原因は?」
「さあ…野暮なことは聞いてこなかった。」
「ふうん…」
「ったく…明日も会議が、あるっていうのに。」
孝平は少し火照った顔をしながら背筋を伸ばし、洗面所から出た。肩をぐるぐると回して、背広を脱ぐ。

「お風呂入る?」
「うん…いや、明日の朝に入ろう。今日はこのまま寝た方がよさそう。」
ほわほわとした口調で言って、脱いだものをソファに放る。
「みんなは?」
「部屋で寝ちゃってるよ。もう日付変わってるんだから。」
「そうか。」
聞いておいて、生返事。
恭平は苦笑して、ネクタイを外すのを手伝ってやった。
胸元で恭平の手が器用にネクタイを解いていく。孝平はシャツのボタンを外す手を止め、しばらくその光景を眺めていた。
ネクタイが解け、恭平が首の裏に手を伸ばす。その腕に触れた。

「…恭平。」
囁いた。
恭平は手を止めて、至近距離で孝平を見た。
「…何?」
「ずっと起きてたのか?」
「え?…うん。」
そんなの、いつもだよ。
恭平は言葉を飲み込んで、不思議そうに孝平を見た。首を傾げて、ネクタイを引く。
「さては酔ってるね。早く寝た方が…」

恭平は言葉を止めた。
孝平の腕が腰に回され、背中を弄る。突然の動きに息をのんだ。
「っ、父さん…?」
「いつもありがと。」
「ん…うん。わか…っ」
変な声が出そうになって慌てて口を閉じる。
孝平の手は背中を伝って、腰の下、双璧の谷間に伸ばされる。ズボンの上から二つの指がすっと撫でた。
「ぁ…っ!」
声が出た。ぞくぞくする。
恭平はにわかに体を走った微かな快感に目を閉じて、孝平に抱きついた。
手が止まる。

緊張を解いて、恭平が呼吸を整えた。
「ふふ。」
恭平の腕の中で孝平が楽しそうに笑った。
「感じやすいな。そろそろたまって来たかな?」
「…っ。」
恭平は途端に、火をつけたように真っ赤に頬を染めた。
それとは反対に孝平はとても楽しそうだ。上機嫌に、恭平の背中をポンポンと叩いた。
「明日、会議が終わったら帰って来るよ。」
「…。」
「その時は、一緒に寝よう。久しぶりに恭平と一緒になりたい。」
「…な、何、言って。」
「いいな?」
孝平は再び腕を伸ばす。
股の間を後ろから探り、恭平の秘孔の辺りを舐めるように弄る。その動きが恭平に、次の日に待っている情事の感覚を連想させた。
「は…あ、っ。」
考えただけでも生理的な涙が出そうだった。
孝平は期待させるだけ期待させておいて、火照り始めた恭平の体を手放した。情けない顔をした息子の頬に唇を寄せて、軽く甘噛みしてやる。
「うひゃ…っ」
「楽しみにしているから。今日はお前も、もうお休み。」
「…っ。」
最後にくしゃっと頭を撫でて、孝平は居間から自分の部屋へと入っていった。

後に残された恭平は。
ゾクゾクと沸き起こり始めていた興奮を冷ますのに必死だった。


***


◇後書き

リクエストありがとうございました。

孝平さん、ちょっとしか甘えてくれませんでしたけどいかがでしょう?汗
酔っ払ってもキャラの崩れない孝平さんの守りはなんて固いんだ…!その固さであんまり長男を困らせないで欲しいものですね(*^3^*)/

これからもマイペース更新を続けるつもりの管理人ですが、
三年目もゆったりまったりなお付き合いをよろしくお願いします。m(_ _)m


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