◇聡平×良平


【双子の憂鬱】



バタン!!

突然、部屋の扉が開いた。
机の上に突っ伏してウトウトしていた良平は、その音にガバリを身を起こし、慌てて口元を手の甲で拭った。
レポートには垂れてない、よしっ。

音のした方向を見ると、真っ青な顔をした聡平が、扉を後ろ手にしめたまま俯いていた。
「聡?」
声を掛けると、ものっすごい形相で睨まれた。びくっと肩をすくませる良平。

「な…なんだよ。何、機嫌わりぃの?」
「…てめ…てめぇのせいだぞ。」
「あ?」
「間違われたんだ、お前と!!!」
鞄をドガンッと地面に放り投げ、珍しく荒々しい口調で聡平が怒鳴る。
良平はポカンと口をあけた。

「は?誰に?」
「知るかっ!家の前に、知らねぇ男が立ってたんだよ!!」
「家の前?」
立ち上がり、窓から庭の方を覗くがそれらしき人影は無い。
「いねぇよ。」
「走り去っていった…」
「ふうん。じゃ、いいじゃん。」
「よくねぇ〜!!」
うわ、むちゃくちゃ荒れてる。余程のことがあったらしい。
悲しいかな、良平には何の心当たりもなかった。

イライラとした感情を隠そうともせず、聡平は良平に近付いた。その怒りの形相に良平は無意識に後ずさる。
に…逃げたい。この場から。

「お、落ち着けよ。何があった?」
「何があったも何も…返すよ!!」



頭に疑問符が浮かんだ瞬間だった。
聡平は自分とほとんど同じ顔の良平の頭を掴んだ。
ガッと。
そのまま引き寄せて、無理矢理口付けた。

……

…………


は!!?!


良平が目を見開く。
次の瞬間、聡平は唇を離し、良平の頭もペイッと捨てた。
よろっとなって、慌てて机に手を突く。

聡平はシャツの袖でぐいっと口元を拭った。
一瞬で完了した驚きの出来事に、良平の思考が追いつかない。

「な…、な…。」
「ふん。」
「…ふん、って、はぁ?!何…何してくれてんのお前!!」
「てめぇの責任だ!俺は、返したからな!」

「なに…何?!返したって何?…何この展開っ?」

良平は頭を抱えて混乱を示す。
キス…キスしてしまったぁぁぁ!!
同じ顔と!同じ口と!
つーか聡平と!!!!

「あー、むしゃくしゃするっ。良平ッ誰だよ、あれ!」
「は?!俺が聞きたいわ…つーかお前が誰?聡平じゃねぇ!」
「俺は聡平だ!良平はお前だろ!」
「当たり前だ!馬鹿か!」

「キスされたんだよ!玄関の前で、“良平くん、好きだぁ!”とかなんとか言って!男に!!」


しーん…


思わず言葉を失う良平。
そんな男知らねぇよ…知ってても友達じゃねぇ。つーか間違うなよな俺と聡平を。つーかキスされなくてよかったぁ…お前も簡単にキスされてんじゃねーよ!つーか何でそれを俺に返すわけ?、つーかなんで…、…

眉を吊り上げ、唇を噛んで黙っていた聡平は、やがて長い溜息を付いた。
ゆっくりと良平から目を離す。
バタッとベッドの上に倒れこんで、また溜息。
良平は、悪いのは自分ではないが自分のせいでこんなことになったような気はした。…そりゃ落ち込むよな。

泣きそうな声で、聡平がポツリと。
「…良の馬鹿…。」

ひっ。

「ごめんなさい。」

土下座した。


***


◇後書き

リクエストありがとうございました。

聡平×良平なんという、双子カプのリクエストをいただいてしまいました。
内心焦りまくり(笑)聡ちゃんが良ちゃんに間違えられる事件発生!ということで…
こんなんでいかがですかー//>x<// キスしちゃったよー!

これからもマイペース更新を続けるつもりの管理人ですが、
三年目もゆったりまったりなお付き合いをよろしくお願いします。m(_ _)m


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