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◇孝平×恭平でハネムーン
会社の都合でヨーロッパへ行った。
孝平はともかく、恭平は海外に行くのはこれが初めてだった。実は、飛行機に乗るのも初めてだった。パスポートもなかったし、外国語の知識もなかった。
行く前に聡平に相談すると、一ヶ月イギリスに留学していたことのある彼は
「緊張してたら負けだよ。積極的に喋ればなんとかなる。」
と言った。それはメンタルな部分のアドバイスで、英語能力直接的なものがどうにかなるというわけではなかった。
だがしかし、出発一週間前になって慌てて辞書を見たところでたかが知れている。ここは諦めが肝心だと、たかをくくっていた。
しかし
いざ欧州の地を踏むと、日本と様子が違い過ぎて過ぎてくらくらした。
空港で迷子になりそうになった。おまけに、銃を携帯した軍人が空港内を巡回しているくせに入国管理はまるで曖昧だ。
話しかけられても何を言っているか理解できない。
きょとんとしているところに何度も後ろから孝平が助け舟を出した。
「恭平くん、ちゃんと聞いてなさい。」
「いや…聞いてるんだけど…聞こえないっていうか…単語が。」
くるくると目を回した恭平を見て、孝平は隠そうともせず苦笑した。
ホテルは五つ星の高級ホテルだった。
こういう時、あぁこの人は社長なんだな、と思う。
日本を代表する大手でも、一般の誰しもが知っているほど有名でもない。しかし、彼が考え、彼が生み出した唯一の会社のトップである。
何がそんなに、孝平の心を動かしているのだろうと、時々とても不思議になる。
会社の都合で来ていたため、昼間は孝平と共に様々なオフィスビルを行ったり来たりしていた。
その中には時々日本人も混ざっているが、やはりほとんどが外国人だ。そして彼らの中には、恭平のことをやけに気に入る男たちが混ざっていた。
海外にはゲイが多い。
言葉がわからなくても、そういう時は何故か、相手の言いたいことがなんとなくわかる。
「君みたいなキュートでスマートな日本人には出会ったことがないよ…今、時間ある?お父さんが終わるまで僕達とあっちで楽しいトークをしようじゃないか!」
というようなことを言っている気がする…
が、真のところはわからない。やっぱり、言語というのは大切だ。
最終日、帰り道。
昼過ぎにやることを全て終えた孝平は、さすがに疲れの見え始めていた恭平を連れて買い物をしようと言い出した。
一旦ホテルへ戻り、服を着替えて、外へ出た。
「疲れたか?」
孝平が言う。最終日になって初めてかけられたいたわりの言葉に、恭平は照れくさそうに肩をすくめた。
「うん、ちょっとね。でも慣れてきたよ。」
「慣れてきた?何が。」
「英語が。少しの言葉なら聞き取れるようになってきた。」
「それは大きな進歩だな。」
四、五日いただけでも感じられるのだから、聡平が一ヶ月行かせてくれと言った意味がようやくわかった気がした。
孝平は笑って、恭平の前へ手を出した。
手の平を上へ向けて、恭平を誘うようにヒラヒラと指を折った。
「…?何?」
「今日の午後は、二人でゆっくりしよう。いろいろ、お土産も買いたいんだろう。」
「う、うん。いいの?」
「何が?」
「ゆっくり…買い物してもいいの?父さんこそ、疲れてるんじゃ…」
「何を言っている。これくらいで疲れていたら、いつものお前の相手なんて、務まらないじゃないか。」
「え。………っ父さんッ!」
「はは。ほら、行くよ。」
冗談めかして笑い、孝平は恭平の手を引いた。
海外はゲイが多い。
街を歩いていると、男同士で手を繋いで歩いているのをよく見かける。
恭平は今、孝平に手を引かれて欧州の道を歩いていた。
天気が良くて、太陽の光を浴びて街全体が輝いているように見えた。
自分たちも恋人同士に見えるかな?
少しだけ、そんなことを思った。
***
◇後書き
ハネムーンと言ったら海外でしょう!!…と思い、勝手に行き先をヨーロッパにし、お城でも観光…と思ってたら、孝平さんの仕事が入り、街中ランデブーしかさせてあげられませんでした;;;(T-T);;; でも手は繋ぎました。弟妹に見られる心配もないし、思う存分楽しんで欲しいデス(*ノノ) 素敵なリクエスト、ありがとうございました★★
これからもマイペース更新を続けるつもりの管理人ですが、
三年目もゆったりまったりなお付き合いをよろしくお願いします。m(_ _)m
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