◇良平くんのいない間に、残された杉野くんと聡平くんが野球拳、良平帰ってきて出歯亀


【勉強会から野球拳】



本日、雲一つない晴天。

「あぢ〜〜〜…」
「余計暑くなるから暑いって言うな。」
「だって良平くん…これはどう考えても地獄だよ。よりによってクーラーの壊れた部屋で勉強しようなんて。」
「しょーがねぇだろ、昨日突然壊れたんだから。ってか暑苦しい…」
「え?せっかく教えてあげてるのに。」
「近すぎなんだよ。マジ暑苦しい!」
「あら?」

良平が自分の部屋へ杉野を呼んで、試験勉強をしていた。普段あまり勉強しない良平でも試験前は机へ向かう。杉野といちゃついていてなかなか前に進んでいない気がする点を除けば、いい傾向だ。

杉野の額を押さえた手をできるだけ遠ざけて、良平が聡平を睨んだ。彼は二人の目の前で、アイスを食べながら涼しい顔をして座っていた。
「あ〜っもう!聡、アイスよこせ!」
「や・だ。」
「さっきからチマチマと…ちょっとずつ食べやがって!羨ましいんだよ!」
「羨ましい?」
「さっき食ってたじゃん、二口くらいで。」
それは驚くべき早さだった。
杉野の差し入れたキャンディアイスは、良平の食べる早さを見て危機を感じた階下の恭平によって冷凍庫へ隠されている。

良平は舌打ちをして座り直した。
「この問題もわっかんねーしよー。もう落とそうかなこの授業。」
「これ以上落としたらお前、ヤバイよ。」
「ふん…留年万歳!」
「路頭に迷っても俺が面倒見てあげるから、いいけどね。」
「…うそ。頑張る。」
「遠慮しなくても♪」
「ぶぁか!!早く教えろ、ここ!!」
良平は怒った振りをして、頬を染めた。隣で杉野が幸せそうに笑う。
聡平は呆れたように溜息をついた。


その状態から、十分。
沈黙が続く。

二十分。
汗が滲む。周囲が体温と同化している。セミがうるさい。

三十……

「だーーっ無理!!やっぱ暑い!!」
良平がキレた。毎度のことながら早過ぎる。
「ちょっとトイレ。」
「逃げんの?」
「だからトイレッ。」
「暑いなら脱げばいいじゃん。」
「お前の前で脱げるかっつーの!」
杉野にあっかんべぇと舌を出して良平は部屋を出た。

取り残された杉野と聡平は同時に溜息。
「…あんなに気にしなくてもねぇ?脱げばいいじゃん。」
「先輩の場合、それって…」
「ちょっと待て。あのね、それじゃ俺、温泉とか共同風呂とか行けねぇじゃん。行く度に欲情しちゃうじゃん。浴場なだけに。」
「うわ゛っ。さむ゛っ。」
不意打ちのギャグに聡平が身震いをする。
杉野は冷たい笑みを浮かべた。

「寒いの?じゃあ聡平、じゃんけんしようぜ。」
「は?なん…」
「勝ったら一枚脱ぐ、負けたら一枚着るルール。俺が勝つからお前は負けろ。」
「は?なん…」
「寒いんだろ?俺は暑い。ちょうどいいじゃないか☆」
「はぁ?!だからなんで?!俺だって暑いっすよ!」
聡平は目を細めて嫌そうに言った。しかし杉野は諦めない。
「俺も暑いの!脱ぎたいの!」
「…脱げばいいっすよ。どうぞ。」
「ただで脱いだら恭平さんに変態だと思われるじゃん?」
「心配しなくても変態ですよ…」
「うっさい!」
暑さと蒸した空気に気が狂いそうになった杉野は、嫌がる聡平にお構いなくして、右手を大きく振りかぶった。
「ホラ!じゃんけーん、」
聡平のサッカーで鍛えられた反射神経が反応する。

ポイッ…と。



一方階下の良平は。
アイスを片手にクーラーの風に当たって目を細めていた。
「はぁ〜〜気持ちぃ〜…」

気の抜けた声を出して汗を拭く。もちろん、トイレになど行ってなかった。
「はかどってる?」
台所でスイカを切りながら恭平が聞いた。
「うーん…うん。でも上、地獄のように暑い。」
「明日修理が来るから、我慢して。」
「はぁ…」

「最後まで諦めずにやるんだよ。結果は産物だからな。」
優しい声で恭平が言った。
良平はクーラーから顔を離し、ちらりと兄を盗み見た。
切ったスイカをお盆に載せて、台所から出て来る。

「これ三人で食べろよ。聡平と杉野くん、呼んできて。」
「やった♪呼んでくる♪」
「うん。」

スキップして良平が階段を昇る。
上に行けば行くほどクーラーのない蒸した空気が充満している。それにつれて気も重くなった。
ドアノブに手をかける。


「先輩…ちょ…落ち着いて。」
「あつ…暑い。限界超えてる。」
「俺は涼しいですけど。」
「もっかい勝負!」
「だから落ち着いて!俺これ以上勝ったら着るもんなくなる!」

ガチャッ

「やぁっほ〜〜〜〜!!スイカだよ♪下で兄貴が、スイ……カ…」

良平は、部屋の中に入り、クーラーの効かない部屋の中で、二人分の服を着て汗だくになってる恋人と、反対に着るものトランクス一枚残した状態の弟を見た。
杉野は拳を握り、聡平は開いていた。

部屋がひっくり返るほどの大惨事になるのは、この瞬間からそう遅れを取らなかった。
本気で泣きながら階段を駆け下りて、クーラーの下で丸くなった良平に驚いて、恭平が二階へ上がり、同じような反応をして、言った。

「変態ッ!?」

杉野は一ヶ月ほど、立ち直れなかった。
良平に見られたショックと、その兄に変態呼ばわりされたショックから。


***


◇後書き

リクエストありがとうございました。

いろいろ…リクエストと異なってしまった点があります。すみません(汗)
聡平くんはトランクス脱いでくれなかったです。。ごめんなさい。彼に免じて許してください…。世渡りするの誰よりも上手いんです、父親に似て…(*´∀`*)えへっ
いかがでしたでしょうか?

これからもマイペース更新を続けるつもりの管理人ですが、
三年目もゆったりまったりなお付き合いをよろしくお願いします。m(_ _)m


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