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◇明美ちゃんから見た杉野×良平、明美ちゃん嫉妬
良ちゃんが中学生の時、明美は小学生だったのであんまり覚えてないけど、兄や姉のいる同級生の間では噂になってた。
地域の治安までも揺るがしていた彼のやんちゃっぷりは普通の大人の手には負えなかったようだ。
彼のせいで明美まで周囲から距離を置かれることだってあった。
子供心にはそれが何故だかわからないから、寂しくて、学校が終わるとすぐに帰りたかった。
でも、その時間は家に誰もいない。
毎日ギリギリまで職員室や校庭を意味もなくウロウロしてた。
帰り道、兄さんが遠回りして校門まで迎えに来てくれるのをずっと待っていた。
家に帰ってしばらくすると聡ちゃんが帰ってきて、一緒にテレビを見てくれた。明美はいつも途中で寝ちゃったけど、動かないで肩を貸してくれた。
そして、ちっとも構ってくれない良ちゃんが嫌いになってた。
そんなある日、転機は訪れた。
兄さんがナントカ委員会で遅くなるから、一人で帰らねばならなくなったのだ。
数日間だけの話だったけど、ものすっごい不安だった。恐怖だった。
そして、その不安が的中した。
道路沿いの歩道で、知らない男が声をかけてきた。
なんて言ってたか覚えてないけど、兄さんが待ってるから一緒に行こうみたいな内容だった。
よくわからないから拒んだけど、その反面、兄さんに何かあったのかもしれないと不安が広がった。
しばらく問答して、いらついた男に手を引っ張られた。車に乗せられそうになった。
力いっぱい抵抗してみたけど、全然叶わなかった。
怖い!
そう思った時、走って助けにきた。
良ちゃんが。
投げた鞄が男の顔面にヒットして、力が緩んだ隙に一目散に逃げ出した。
走ってきた良ちゃんの足にしがみついた時、ものすごく安心した。
この時良ちゃんは、凄みのきいた声で明美を守るようにして立ち、妹に何の用だよ!って怒鳴った。
兄さんにも聡ちゃんにもできない、良ちゃんだけの強い態度だった。
ちっとも構ってくれない良ちゃんだったけど、やっぱ明美にとっての兄なんだなって思った。
ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ、格好良かった。
杉野先輩は、そんな良ちゃんが初めて家に連れてきた普通の人だった。
それまでは友達連れてくることなんてなかったし、連れてきても瑞樹くんを始めとしたワルばっかりだったから。
彼は兄さんよりも良ちゃんよりも背が高くて、気さくな話し方をした。聡ちゃんよりも大人っぽく感じた。
初めて男の人に対して心臓がドキドキした。
でもあの時はそのドキドキが恋だとは思わなかったし、今思い出してもただ緊張してただけかもって気がする。
良ちゃんはどんどん先輩と仲良くなった。
休日の度にどこかへ出かけ、何回か放課後に家へ連れてきた。
テスト前とかは毎日来てた。学年が違うんだから勉強する範囲も全然違うのに。
不思議な関係の先輩と後輩。
一度だけ聡ちゃんに聞いてみた。
なんであんなに仲良しなのって。
「気が合うんだろ。」
聡ちゃんはまるでそれ以上触れたくないとでも言うように、短く言った。
恭平兄さんにも聞いてみた。
兄さんは逆に、明美はなんでだと思うの?って聞いてきた。
ずるい。
でも明美は答えた。
「好き…なのかなぁ。一緒にいるのが。」
彼は少し驚いた顔をした。
どういう意味があるのかはわからなかったけど。
「それくらいしか思い付かないよ。兄さんは?」
明美が聞くと、兄さんははぐらかすように微笑んだ。
「俺もそう思うよ。好きな人と一緒にいられるのは幸せなことだね。」
って。
当たり前だけど、本当のことを言った。
あれからずっと、良ちゃんと杉野先輩の仲良しは続いてる。
時々、愚痴を言ったり喧嘩したりしてるけど、それより何倍も、泊まったり遊んだりしてる数の方が多い。
短気で暴力好きで、ちょっと馬鹿な良ちゃんは、
「明美のこと好き?」
って気いたら、
「妹を好きか嫌いかで判断したことねぇ。」
って答えるダメ兄貴。
「杉野先輩のこと好き?」
って気いたら、
「嫌いなら一緒にいねぇ。」
って答える素直さに欠ける可愛くない男。
明美のことは判断したことないのに、杉野先輩のことは好きなんだって。
ふーん。
***
◇後書き
リクエストありがとうございました。
明美ちゃんから見た杉×良、というよりは妹から見た不良兄、と言う感じの出来上がりです…(^-^;) 彼女は高校で人気者(?)の杉野先輩と、昔っからの不良兄貴と、どちらに嫉妬してるんでしょうか(*´ω`*)
これからもマイペース更新を続けるつもりの管理人ですが、
三年目もゆったりまったりなお付き合いをよろしくお願いします。m(_ _)m
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