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◇杉野くんが受けもできると知って良平くんが襲う、Hあり
「痛い?」
「……ぅ、…。」
「ここは?」
「アッ……!」
首を振るのは否定ではなく、肯定の合図。
痛いのではなく、妙な気分。
跳ね除けるより、しがみついてすがってみる。
杉野は腰に絡みついてくる良平の足を、左右に開くようにして押さえつけた。
「や、ぁ…っ」
普段からは考えられないような弱々しい声で良平が鳴く。開かれたことで、杉野の指が更なる奥を抉ったからだ。抜き差しされる度に、ビリビリと何かが体中を駆け抜けた。
「ぁあ…っ、」
「まだ痛い?」
「…ッ!」
「ほぐれてきたよねぇ。」
杉野は笑った。快感に耐える良平の顔をうっとりと眺めて、指を動かす。
「あぁぁあっ…」
ほぼ思い通りに、良平が嬌声を上げて腰を揺らす。
楽しくてたまらない。
濡れた指が滑らかに出し入れできるようになるまで、良平が泣いて許しを乞うても聞き入れなかった。
「杉野…っ、もう…っ」
「早いよ。我慢して。」
「むちゃ…言うな…っ、ァアッ!離せ…っ」
耐えかねて逃げ出そうとする。その身体を杉野が手際よく引き戻す。
奥の奥から快楽を与えられ、力の抜けた良平は逆らうことも叶わない。
抜き差しされる指が、内壁と交わってグチュヌチュと卑猥な音を立てた。
「ぁ、ぁぁ…っ!」
良平はシーツを掴み、枕を引き寄せた。
大きく開いた足が宙を掻く。目の前の杉野に全てを晒け出した格好で、腰を揺らした。
「イイよ…良平。すごく。」
「やめろ…っ」
良平が首を振る。
杉野は指のスピードを早め、激しく攻め立てた。
「んっ、ぁっ、はぁ……っ!」
良平は、導かれるままに昇りつめた。
「はぁ…。」
ぐったりと、良平は枕に頭を埋めた。
何度も杉野自身を受け入れた場所がズキズキと痛む。打ちつけられた腰が砕けた。
だがその対価に値する以上の満足を得たことも否定できない。
良平の疲れた体を、杉野が後ろから抱き締めた。
「大丈夫?」
耳元で甘く囁かれた良平は、一気に頬を赤く染めた。
「疲れた?」
「……。」
答えない。
答えてやらない。
気持ち良すぎて何度も気を失いかけたなんて、言えない。
言ってやらない。
代わりに答えた。
「お前さぁ、いつから知ってたの…?」
「ん、何?」
「エッチの仕方…。いつ、どうやって知ったんだ?」
「…へ?」
杉野はとぼけたような声を出した。
「この前バイト先に…あの人が来た。」
「あの人?」
「うん。ノダ…って人。」
名前を口にした途端、杉野の腕の力がわずかに抜けた。回された腕がそのまま離れてしまう気がして、良平は振り向いた。
目の前にある、杉野の顔。その表情は予想と反していつも通りだった。
「ん?」
「あ…な、なんでもねぇ。」
急に恥ずかしそうに頬を赤らめて反対向きに戻ろうとする良平。杉野は彼の肩を掴んで自分の方に向けた。
片腕で支えながら起き上がり、良平の唇を奪った。
軽く舌を交わらせて、離れる。
「…話しても良い?」
「あ?」
「野田のこと。」
良平は目をそらして悩むふりをした。ふりなのはわかっていたが、杉野は待った。その間に良平の体の下に手を入れて、彼の真上に寄った。
良平が答えを出す。
「…うん。」
杉野はもう一度、唇を重ねた。
杉野拓巳がセックスというものを知ったのは、中学生の時だった。
成長期が遅く、背の順でも前から数えた方が早かった時代。その頃から小さかった野田も近くにいた。
野田和彦がセックスを覚えた事情を知るところではないが、とにかく、彼は知っていた。
「野田は明るくて世話好きでイイ奴なんだけど、ちょっと…いや、だいぶ、知識が豊富でさ。」
「知識が豊富?」
「エロいってこと。」
「あ、ああ…。」
「キスとかセックスとか、ある意味俺、試されてたんじゃないかなぁって思う。」
「実験台かよ。」
「あはは。悪く言うとそんな感じ。良く言うと…ものすごく好かれてたよね。エッチしたいって思うくらい。」
杉野は良平の頬を撫でた。顔のラインを確かめるように。
あの頃の野田の感情は、今の自分の感情に当てはまるのだろう。
「良かった?」
「え?」
「俺とあいつと、どっちが良かった?」
「そりゃもちろん…」
「エッチの話。」
「…。」
「俺、自分で言うのもなんだけど、淡白じゃん。情熱的とはほど遠いし…ムード壊すし…。」
「そう?俺にはちょうど良いよ。」
杉野は良平の背中の手を、撫でるように腰まで移動させた。
「あの人は、見た目女みたいだし、甘〜い声出してそうだし…」
「良平の声も甘〜いよ。」
「はぐらかすなよォ!」
良平は杉野の顎を手で上に押した。ぐきっと首が鳴る。
杉野はばったりと良平の隣に倒れ込んだ。
「そうだねぇ…」
杉野は首の後ろを押さえて天井を見た。
「一概には比べられないよ。役割が違ったから。」
「え?」
「俺がタチの時は、どっちのエッチが好きかって言ったら良平の方がイイよ。野田のこと思い出す暇なんかないもん。良平が気持ち良さそうな顔してくれたら、俺まですっげぇ気持ち良くなれる。」
良平は先程までの時間を思い出して、赤面した。
どんな顔してたのか思い出せない。思い出せるのは、自分のことを見下ろして楽しそうにしている杉野の顔と、体と、結合部の疼きだけだった。
「でも、野田はどっちもできるんだよ。今はネコ寄りだって言ってたけど。」
「猫?」
「俺と良平なら、良平側のことだよ。」
杉野はそう言ってさりげなく、良平の下半身に手を添えた。
「ぅわっ?」
「男同士だと重要だろ?どっちが、女になるか…。」
「俺は女になったわけじゃ…っ」
「そう。だからネコ。」
言いながら杉野は良平の蕾を探し当てた。解されて柔らかくなり、まだ少し濡れている。
「やめろっ…」
「かわいい。」
良平が押し返してきた手を握り返して、杉野は良平の秘部から手を退けた。
良平がほっと息をつく。
「じゃあ、何か?お前もその…ネコ?つまり、突っ込まれてた時があるってことか?」
「野田相手ならね。他はないよ。」
「他って?」
「え、いや…野田以外はね?」
「…あいつ以外にも何かあんのか。」
「…ん。まぁ…短い期間ならね?良平と出会う前だよ、言っておくけど。」
良平は改めて杉野を見つめた。
気持ちがモヤモヤする。自分が知らないことを、目の前の男はいろいろ知っているみたいだ。
しかも、杉野と出会ってから半ば諦めかけていた本当の男の役割が、今の話だと果たすことも可能だと言うことだ。
杉野は昔、今とは反対の役割だった。道理で痛みに敏感なわけだ。どんなに久しぶりに会って、扱いが乱暴になってしまうほど興奮しているのがわかる時も、良平から早くとでも言わない限り、杉野は呆れるくらい丁寧に蕾の解しに時間をかける。
それは自分が痛い経験をしたことがあるからなのだ。今、わかった。
「杉野!!」
「はい?」
良平は勢いよく体を起こし、杉野の上にのしかかった。
「やろう!」
「え?いいの?俺はまだやれるけど。」
どんな体力してんだよっ!
自然と喉まで出かかった言葉を飲み込んで、意気揚々と良平は言った。
「今度は俺が入れる!」
「まじで?!良平が?やったぁ〜☆」
嫌がるかと思っていた杉野は、しかし喜んで良平の体を引き寄せた。
上に乗った良平は状況が予想外にうまく運んでいることに戸惑ってしまう。
「い、いいのか?」
「いいよぉ。もう解してあるから大丈夫だよね。」
「え、」
準備良すぎ…?
「初めは力抜いて、ゆっくり入れるんだよ……」
優しく囁いて、良平の腰から尻のラインを両手で確かめる。良平は杉野の上で息を止めた。
「緊張しないで。じゃあ、初めは俺がリードしてあげる。」
随分ご丁寧なことだ。
良平は早くも息を上がらせて、杉野の上に身体を起こした。
その腰に杉野が撫でるように手を添えた。
良平の前のものを弄って、立たせてやる。
「ん…っ」
先端から付け根まで余すところなく強弱のついた愛撫が与えられた。良平は身震いして身体を反らせる。
「は…っぁ…っ」
「この角度、ハマりそう…。」
杉野がうっとりと呟いた。良平の身悶える姿を上からでなく下から拝むことができようとは。
「あ、もう、いいから……っ」
「もうイく?」
「じゃなくて!入れる…」
「あっ。そっか。」
杉野は笑って、良平の腰を掴んで下まで移動させた。
「場所わかる?」
わかるわけない。
首を振る。
杉野は優しく、目的の場所まで導いた。
良平の中心部に、杉野自身があてがわれた。
「……あ、って。あれ?!」
予想と違う。なぜ、俺が、入れられているのだ。
「馬鹿っ、杉野!!俺が入れるって…んぁあッ?」
「暴れないで…落ち着いて。大丈夫だから。」
「ちが…っ、話が…っ、ふゎア…っ、」
良平の悲鳴に酔いしれながら、杉野は良平の中に半分ほど埋め込んだ。
抜け出そうとする良平の抵抗などもろともしない。
中途半端に内壁を刺激された状態で止められた良平はもどかしさに力をこめた。
「わ!この状態であんまり締めないで…!」
「馬鹿っ!だって…俺が入れるって言ったじゃん!なんでお前が入れてんだよ!!」
「ここからは良平が入れていいよ。ほら…力抜いて。」
「ひ、う…っ」
ビクビクッと腰を震わせて愛撫に応える。情けなくて涙が出た。
「そ、いう意味じゃ……」
「俺は譲らないよ。良平に与える方が何よりも好き。だから、させない。」
にっこり。
杉野は良平を上に抱えて、彼が諦めるまで、なおかつ自らネコでいいと言うまで、執拗に攻め続けた。
***
◇後書き
リクエストありがとうございました。
あらら…?主導権を握っていたはずだったのに、良平くん。目が点です。いえいえ点になっている暇はありません(笑)ベッドの中ではどうしても、負けてしまうんです(*^3^*)vv
これからもマイペース更新を続けるつもりの管理人ですが、
三年目もゆったりまったりなお付き合いをよろしくお願いします。m(_ _)m
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