◇恭平くんが孝平さんの秘書だったら


【代理秘書】



佐久間孝平社長のことを何よりも優先して考える有能な秘書・竹本伸彦は、自分の仕事の役割をこなすことを、冗談ではなく生き甲斐にしている男なので、孝平のことはおろか、自分の身の回りのことまでやることにそつがない。
そんな男が風邪をこじらせ、一日だけの休暇を申し入れてきたのは朝の7時、モーニングコールさながらの時間であった。

「すみません…本当に。」
竹本は気の毒なほどの鼻声と、咳をしながら孝平に何度も謝った。
確かに孝平の身の回りのことは竹本にしかわからないことも多く、困ることも予想できる。しかし孝平は嫌な顔ひとつせずに了承した。
「ゆっくり休むといいよ。止むを得ない時は電話するかもしれないが…」
「はい。かまいません。」
「そう言うな。申し訳ないと思うなら、早く元気になってくれ。」
孝平は気を遣わせまいと口早にそう言って、通話を切った。

朝食の準備をしていた恭平が、怪訝そうに父の顔を伺っている。
「どうしたの…?竹本さん、どうかした?」
「風邪だそうだ。」
孝平はしばらく、今日一日の行動に思いを巡らせて、やがて恭平に向き直った。恭平は持っていた食パンの皿を孝平の前に置きながら、首を傾けて孝平の言葉を待つ。

「…今日は、恭平に私の秘書を、やってもらおうかな。」
「えっ?何、それ……」
時折、この頭のいい父は突拍子もないことを突然言って恭平を戸惑わせる。
ニッコリ笑ったその笑顔から、恭平は何か不吉なものを感じ取ってしまうのだ。
「なに…考えてるの。」
警戒心を露にした視線を向ける恭平に、孝平は目を細めて食パンを手に取った。
「朝、十時に社長室に来なさい。今日は出勤日だろう?」
「そうだけど…」
「他に何か、用事が?」
「いえ、ありません。」

怪しい……

恭平はいぶかしげに父を見ながら、背筋が冷たくなっていくのを感じた。

こういう時の恭平の勘は、悲しいかな、当たるのである。それは息子であるからという理由よりはむしろ、長年の付き合いからだと言ったほうが正しい。
竹本が休みを取ろうと決心したことのひとつに、今日の社長の業務に特別なものがさして無いことが当てはまる。
つまり、頭で考えることは多くても、体をもてあましている時間が長い。
恭平は、社長室の奥にある仮眠室で、まだ朝日が眩しい時間帯に、艶かしい裸体を恥ずかしそうに曝け出す。
孝平の熱い吐息と命令に自由を奪われ、思いのままに開かされる。
「あぁ…っ、あ、あぁ…!!」
揺さぶられる度に、恭平は苦しそうに顔を歪め、覆いかぶさっている孝平にしがみ付いた。ベッドが軋んで感情を煽っているが、それすら自覚していないほど、自分の中にあるものが憎い。
それは恭平のウィークポイントを間違えることなく突き上げ、欲しいと思う以上の刺激を恭平の身体に与えてくる。
逆らうことなど考えられず、恭平の四肢は従順に反応してしまう。
孝平が不意に全て抜け出て、物足りなさを感じた。
それを見越したように、絶妙のタイミングで再び孝平がねじ込んでくる。
最奥まで犯されて、恭平は狂ったように鳴き叫んだ。
「あ…ああーーぁぁぁーーっ!…ッ」
ブルブルと小刻みに震え、恭平が白濁の液を放つ。
孝平の差し出した白いタオルがそれを吸い込み、その勢いで孝平の指が恭平のものを捉えた。
絞るように揉まれ、恭平の痙攣は激しくなり過ぎる。

「あっ、あぁーっ、や、めて…っ!!」
「恭平…かわいいよ。」
「あああぁぁ……っっ」
孝平が熱く耳元で囁く。
ぞくぞくと背筋が震えて、恭平の下半身は再び興奮を示した。
思いのままに踊る体が、逆に孝平を捕らえて離さない。
「…く、恭平くん、後ろを向いて。」
言うが早いか、孝平は恭平の左足を持ち上げ、結合部を軸にして恭平の体を反転させた。
「あぁあっ」
内部を抉られるようなリアルな動きに恭平が悲鳴に似た嬌声を上げる。
四つんばいになり、恭平はシーツに顔を押し付けながら肩で荒い呼吸を繰り返した。
「父さん…は、離して…」
恭平は自分自身を意識して、息も絶え絶え背後にいる父親に懇願した。
例えすぐに聞き入れてはくれない願いだとしても、乞わずにはいられない。何度射精しても足りないほど、恭平にとって孝平の愛撫は精神を乱れさせるものなのだ。
孝平は少し上ずった声で、背後から恭平に体に添わせた。
「恭平ばかりがずるいよ。それでは私の秘書は務まらない。」
恭平の脳裏に竹本の顔が浮かんだ。
いつも一緒にいる彼にも、こうして神経を痺れさせるような言葉を囁いているのだろうか…?
それはないはずだ、そう信じたい、と頭では否定していても、恭平はその感情を表に出して肩越しに孝平を見つめた。
孝平はいたずらに笑ってから、恭平自身を指で弄った。
「う、あ…っ」
「今日は代理秘書として、私のそばにいてくれるだろうな?」
「ん…っ、んっ…はぁっ!あ…」
孝平の手の動きに合わせて、恭平は全身をヒクヒクと痙攣させて悦びを表す。タイミングを計って腰の律動を加えると、恭平は見せ付けるようにシーツを引いてむせび泣いた。
白く柔らかい肌の上を、玉のような汗が滴り落ちる。
孝平は攻める腰のスピードを速めた。
「く…!」
背中で父が、苦しそうに呻いた。
少しでも理性を失う孝平の気配が嬉しくて、恭平は目を閉じてその身を相手に委ねた。
ペースを速めた孝平の動きに順応し、自らも無意識とはいえ孝平を誘導するように腰を振ってしまう。

やがて、二人同時に昇天した。


「今日の本番はこれからだ。」
意識を失いかけている恭平の耳元で、孝平は不吉なことを予言した。
ぐったりと肢体をベッドへ横たえている恭平から一度離れ、タオルで体を拭きながらすぐに戻ってきた。
「手加減したんだ、気を失うんじゃないよ。」
忠告をして、恭平に声をかける。
「まだ、何か…するの…?」
もう充分、満足を得たと言わんばかりの恍惚とした表情を浮かべ、恭平が孝平に疑問を投げかける。
彼の手に持っているものは、視界に止まらなかったらしい。

「今日は秘書をやってもらうと言ったろう。実は、これを今日一日、恭平くんに預かっていてもらいたいんだ。」
「え…?何を…?」
「内緒…。」
孝平は彼独特の、人の心を見透かすような、少し高圧的な笑みを浮かべて恭平の上に圧し掛かった。
唇を求めて首筋を撫で、やがて行き当たった目的の場所で長くて深い口付けを施す。
慣らされた恭平も舌で舌に絡み、腕を回して孝平にすがった。
時折二人の吐息や、唾液の引く音が耳を掠める。

キスに夢中になっている恭平を確かめて、孝平は恭平の中心部へと手を伸ばす。
後ろの秘孔は先ほどの行為でぐっしょりと濡れていて、何を挿れてもねっとりと吸い付いてきそうなほど熱い。
孝平はそこへ、指以外の何かをゆっくり、差し込んだ。
「…っ」
異変に気付き、恭平がもがき始めるが時はすでに遅い。
孝平の激しいキスに生も根も掬い取られ、脳に酸素が回らない。
無意味に暴れた手足は弱い力でしかなく、恭平は胸をのけぞらせて両足を左右に開いた。
わざとではない。
自然に、受け入れる方へと身体が反応してしまう。

それもこれも全て、孝平の教育の結果であり、成果だった。

「あ、あ…ぁ…?」
恭平は目をうつろにさまよわせて、自分の中に入ってくるものの正体を知ろうと腰をよじる。
その動きが引き金になり、ソレはズルッと恭平の奥不覚まで無遠慮に侵入した。
無機質な侵略者だった。
「いい子だ…。ちゃんと銜えられたね。」
「や…ん!変だ、取って…っ!」
「預かって欲しいと言ったろう。今日一日、入れておいて。」
「嫌だ…!父さん、ヒドイ………」
恭平が涙目になって上半身を起こした。
下の入り口に手を伸ばし、何が入っているのか知ろうとした恭平の手を、孝平の手が阻む。
「な、ん…」
「自慰はだめだ、って言ってあるだろう。」
「…!」
恭平は顔を真っ赤にしてへたり込んだ。
股間に感じる違和感は消えないが、確かに、自分でソコに手を伸ばしてしまったら、結果的にそれは自慰行為と呼ばれるものに分類されるのかもしれなかった。
素直に大人しくなった恭平に、さすがに申し訳なくなったのか、孝平が頬にキスをした。
涙をすくって、弱く吸う。
「これを…持ってればいいの?今日一日?」
「ああ、そうだよ。」
「いつも竹本さんも、預かってるの?一日中?」
「そんなわけないだろう。もしそうだったら、彼があんなに澄ました顔をしてられるわけ、ないだろう。」
孝平は言って、恭平の背中から下方へ向かって指を這わせた。
それをよけるように背筋を伸ばしてしまい、恭平は内部に何かが当たるのを感じた。
「っ…」
「そう。動いたら、感じるようだね。他の人に見られても、私が悔しいから、今日はずっと私の部屋で作業をするように。」
「こ、こんなのっ!」

ただの父さんの娯楽じゃないか…!

恭平が辛うじて飲み込んだ言葉を、孝平は心得ているように頷いた。
「楽しみだなぁ…。恭平くんが、どういう風に私の秘書を務めてくれるのか。秘書とは、本来秘密の文書のことやそれを扱う人のことを言うんだって、知ってたかい?」
「し、知らない…」
「恭平くんに預かってもらっているソレは、さしずめ、秘密の文書ということになるな。」
「え。それ本当…?」
だとしたら、マズイ、本気で守らなければ。
そう思った恭平は、無意識に下半身に力をこめた。
キュッとしまったそれは、本当に無機質で、普段受け入れている孝平のものとは大違いである。
「うん。本当。ちなみに、この秘密の文書は…」

「……あっっ、っあぁぁん!!?!」

突然、自分でも信じられないほど恭平の身体が宙に浮いて、仰け反った身体が不規則に痙攣を始めた。
必死にシーツを手繰り寄せ、予想外のその衝撃に耐えなければならない。
「は…っあ…っいや…!あぁうっ!!」
必死に声を殺しても、次から次へと溢れ出す嬌声をどうしようにも止められない。
中心部の後ろから、弱いところに微弱ながらも的確な振動が、恭平の身体と思考の自由を奪っていた。

「時々、震えるみたいなんだよ恭平くん。用心してないとね。」

ニッコリ笑った孝平の手には、手のひらサイズの小さなリモコンが握られていたが。
恭平がその日のうちにその存在に気付くことはなかった。


***


◇後書き

リクエストありがとうございました。

秘密の文書ってなんやねーーーーん!(*-∀-*)身体の快感でちょっと頭がぼーっとしている恭平くんは、まんまと孝平さんの口車に乗せられて、一日中、健気にも耐え抜いたわけであります。久しぶりにこういう感じの、書きました(//ω//)

これからもマイペース更新を続けるつもりの管理人ですが、
三年目もゆったりまったりなお付き合いをよろしくお願いします。m(_ _)m


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