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◇中学生の良平くんが聡平くんに自慰のやり方を実地で教えてあげる良×聡
「瑞樹に、いい話聞いた。」
「は?」
とある中学校の校舎3階にある2年生の教室で、聡平はイチゴ牛乳の紙パックをペコペコ凹ませながら、唐突に物を言った双子の兄に振り向いた。
教室内は学年一の暴れん坊が入ってきたとあって、ざわついている。
顔や声や体型はそっくりなのに、制服の着こなし方や髪型はまるで違う。
どうしてこの二人が同じ血を引き、同じDNAを持っているのか甚だ不思議なほどだった。
「ミズキって?」
「岡田瑞樹っていう友達。話したろ?」
「ああ…」
あの不良ね、
と言いかけて、聡平は口を噤んだ。良平の後ろから、瑞樹本人が歩いてくるのが見えたからだ。
二人目の問題児が登場したことで、教室内は変に静まり返った。
聡平はそっとため息をつく。
「ちょっと、場所を変えようよ、良平。」
「なんで?」
「お前ら目立ってんだよ、気付け。」
面倒臭そうに言って、聡平は良平の背を押した。
良平はそれに反発して、手で振り払った。
「じゃ、後でいいよ。家でな。」
「…そう。じゃ、そゆことで。」
聡平は額に「?」マークを浮かべ、ふと良平の背後にやってきた瑞樹に目をやった。
同性から見ても男前な岡田瑞樹は、その整った顔を聡平に向けニヤリと、これまた男前にいやらしく笑みを浮かべた。
な、なんだ……?
部活もなく、家に着くと部屋で良平が待っていた。
恭平も明美もいない家の中で、二人きり。
真面目な顔をしてじっと見つめられると、その目つきの悪さからつい、聡平は自分が殴られるシーンが頭を過ぎる。
自分には手を上げないはずだ、と無意識にわかっていても、当時の良平は、それはそれは本能的に恐ろしかったのである。
「…なんだよ、話って。」
「うん…。」
良平は座っていたベッドから立ち上がり、ずずいっと前へ出た。
聡平は反射的に後ずさる。
「瑞樹がね、いい〜こと、教えてくれたの。聡平もやってみない?」
「やってみるって…、何を?」
「お前いま彼女いる?」
「…は?藪から棒だな、おい。」
「じゃ、好きな人いる?クラスの可愛い子でもいいよ。」
「…。」
咄嗟に浮かんだ顔は、その時にサッカー部のマネージャーをしていたクラスの女の子。
放課後まで残ってくれて、何度か一緒に帰ったこともある。
聡平の様子に、良平は満足そうに微笑んだ。
「そう、いるんだ。」
「だから、何?」
「その子のこと、思い浮かべてよ。その子の、ハダカをさ。」
「……えっ?!」
いきなり何を言い出すんだ、このアホは!
当時まだ純情でウブだった聡平は、すぐに顔を真っ赤にして良平を見た。
でも思考は正直で、ちょっとだけその子の制服の下を想像してしまい、自分の単純さに泣けてきたりもした。
「何を言って…?!」
聡平が反論しようとした時、良平が勢いよく迫ってきた。
瞬間的に数歩下がって、ベッドに足を引っ掛けた。
そのまま二人で雪崩のようにベッドの上に転がり込む。
良平の手が、聡平の肝心な部分に伸ばされたのは、その直後だった。
「ちょ…っ、おい!」
「気持ちいいんだって…ここ、さするとさ。」
「うぉい!待て、やめろ、良!」
聡平は圧し掛かってきている良平の肩を思い切り押し返したが、重力が味方している分、良平の方に分があった。
目の前に来た良平の制服の下に真新しい傷跡を見つけ、不意に動きが静まる。
「良、この傷…」
どうしたの?
聞こうと思った矢先、聡平の身体に今まで感じたことのない、激烈な快感がほとばしった。
「い、うぁ…?!」
変な声が漏れた。思わずぎゅっと目を瞑り、良平を押し返すことに必死になる。
「ここ、イイでしょ。」
「ちょ、やめ、あ……っ」
まじ、無理!
聡平はぐっと足をたたんで、良平の腹を押し返した。
さすがに効いたのか、良平の身体が浮いて聡平から離れる。
「ちょっとぉ、反抗すんなよっ!」
良平が不満そうに聡平を睨む。
相変わらずめちゃくちゃだ。
「やめろって言ってんだろ?!変なこと吹き込まれてんじゃねーよっ!」
「すっげー気持ちイイって聞いたら、試したくなるだろ。」
「じゃ自分でやれ。俺が知るかっ!」
「一人じゃやだ。恥ずかしい。」
「……知るかよ……」
「お前も一緒に、やろーぜ。」
小さな声で、真剣に頼まれた。
聡平は何も言わず、良平の顔を見返す。
この場合、断れない。
少し興味もあった。さっきの刺激、本当は相当、気持ちよかったから……
良平はズボンを脱いで、自分のものに指で触れた。
聡平が見ている前で、ふ、と小さく息を吐いて目を閉じる。
ここ最近、機嫌の悪い顔しか見せない彼が、わずかに、小学生の頃の荒れていない良平の顔に戻る。
聡平は引きずられるようにして、自分も制服のズボンを脱ぎにかかった。
初めは恐る恐る触れるだけだった手つきが、次第に全体を掴むようになり、やがて自然に上下に動き始める。
良平は膝で立ったまま、聡平はベッドに転がったまま、お互い自分のものを弄った。
先にひくついたのは良平で、不自然な動きで喉を反らした。
「う、あ…っ。やべ〜…」
良平が上ずった声を上げる。
聡平は物珍しそうにその様子を見上げていた。
喧嘩ばかりして近寄りがたくなっていた半身に、実は大きな壁を作っていたかもしれない。
教師や周りの友達の評判に惑わされすぎたかもしれない。
良平は怖くて、他校に敵ばかりいて、つるむ仲間もろくなのがいない。
喧嘩ばかりで、成績は悪く、授業中も居眠りばかり。
一緒にいてもろくなことがない。
そういう、ある意味ニセの評判に、まんまと騙されていたのかもしれない。
真実の良平はいつでも目の前にいたのだ。
前と変わらない純粋な気持ちで、異性にも性そのものにも興味を持ってる。
確かに乱暴で口下手だけど、「一人じゃやだ。恥ずかしい。」なんて素直な言葉、兄弟に言える男が他に何人いるだろう。
「ア……ッ!」
良平は顔や肩をひどく紅く染めて、やたら色っぽい声を発した。
ブルブルッと震えて、両手で掴んでいたものから白濁の液を飛び散らせる。
そのイく時の顔が、妙に男心をくすぐって、自分と同じ顔なのに、聡平はギクリと動きを止めた。
想像していた女の子の顔が、良平の恍惚とした表情と重なる。
途端に、聡平も後を追うように良平と同じ結末になった。
ふわりと視界が真っ白になって、しばし、心地よい気分になれた……
「…で、感想は?」
手を拭き、制服をハンガーにかけ、汚れたシーツを洗濯機にかけながら。
聡平は無機質な眼鏡の奥から良平を見た。
「う〜ん、お前は?」
「逃げんな。」
「……いや、かなり、良かったな。」
「そう?俺は…なんかびみょーだったな。」
「びみょー?そうか?」
「お前が良い顔し過ぎるんだもん……同じ顔はできねえだろ。」
「え?ばっかじゃん、元々同じ顔だろ。」
ヒヒッ、といたずらっ子のような笑顔を見せる。
その顔は昔とちっとも変わっていない。
「兄貴には、内緒な。」
良平が深刻な顔をして言う。
シーツを洗った時点でバレるだろうけど、と聡平は思ったが、黙っていた。
こんなこと、恥ずかしくて、例え兄貴にでも言えたものではない。
「良平さあ…」
「あ?」
「誰のこと、思い浮かべてたの。」
「…。」
「そういう子、いるんだあ。」
「っせーな。好きとかそんなんじゃねーよ。」
良平は珍しく真っ赤になって、ぷいっとそっぽを向いた。
素直じゃない良平に、聡平は自然と笑みを浮かべた。
“普通”な彼が、とても嬉しい。
「…笑ってんじゃねーよ、変態。」
照れ隠しに、良平が悪態をつく。聡平はさらにニヤニヤッとして横目で良平を見た。
「変態は良平だろ。ははっ。」
聡平の指摘に、今はそうだと自覚していた良平は黙るしかなかった。
***
◇後書き
リクエストありがとうございました。
迷いましたが、いい意味で予想外にすんなり書けた気がします。良平くんも初めてだった様子ですが、聡平くんも初めてだったので、自慰のやり方を教えたというより誘ったという感じですが…、というか初めてが中学2年生って、どうなんだろう……遅いの?早いの?(笑)
これからもマイペース更新を続けるつもりの管理人ですが、
三年目もゆったりまったりなお付き合いをよろしくお願いします。m(_ _)m
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