後悔 P1



「あ…っ!ぁはぁ…っ!」

恭平の片腕が、中空を掻いて暴れる。
相手がどこにいるのかわからない恐怖に一種の興奮を覚えながらも、その表情はやはり不快そうに眉を寄せている。
先ほどまで恭平のものを弄んでいた手は、また離れてどこかへ行ってしまった。

今の時刻は夜中の2時。
恭平は、日付が変わるか変わらないかの時刻から、今の状態で焦らすような愛撫を受けていた。
右腕をベッドの枕元に拘束されて、目に手ぬぐいのような布を巻かれ、一糸纏わぬ姿で寝転んでいる。

恭平は自分をこんな目に合わせている張本人の名前を呼んだ。

「父さん…っ!もう、やめて…っ!」

言った途端に、唇を塞がれて言葉が消える。
またもや突然の接触に、恭平は全身の毛穴が開いてゾクゾクするのを感じた。
唇が、熱い。

口内を乱暴に嘗め回され、体が再び熱を帯びていくのを押さえられない。
恭平の舌が反応を返し、あと少し刺激を増せば恭平がイく、という絶妙なタイミングに、唇が離れる。
恭平の口から零れ落ちたどちらともわからない唾液の筋が、なんともエロティックだ。

「はぁ…はぁ…っ。父さん…どこ…」

恭平の自由な左腕がまたもや宙を掻く。
呼吸を荒げたまま、恭平はただ一人の影を追い求める。
その求める影は、今は恭平から一歩半ほど離れた位置にいて、唯一の電灯に照らされて喘ぐ息子の姿を眺めている。
その横顔は楽しそうに笑っているが、どこか哀しげに見えた。

「恭平。」
「あ…あ。父さん…?」
「もう一度、あの城山という男にされたことを話してごらん。何度聞いても腹が立つが、事実をはっきりと確かめたい。」
「う、うん…っ。その前に……ふぅ……っ!」
「駄目だ。イくことは許さない。まぁ、一切接触しないで、自分の想像だけでイくのならば許してやるよ。」
「無、理ィ…!無理だよ…このままじゃ…っ!んあぁ。」
「無理なら我慢だ。なに、今まで我慢できたんだから、これから話をする間くらい待てるはずだよ。」
「は……っ。そ、ん…はあぁぁ…」

恭平は、どんな男をも欲情させるかのような甘い声を発しながら、イけないもどかしさに腰を捩った。
孝平の心臓が本能的に高鳴るが、理性でそれを押さえる。
このとき彼の中にはいつもよりも強い理性が存在していた。

「話してごらん。そうしたら、お前の下半身のことを考えてやらなくもない。」

孝平が心にもないことを言った。
恭平にはそれがわかっているのだが、この窮地を脱するにはそれに従うしかなさそうだ。

「倉庫…みたいな、部屋で、服を…」
「服を?脱がされる前に何かされたか?」

恭平が黙る。体の火照りと、思い出そうとする記憶が交差して頭が混乱する。
強く横に頭を振って、恭平は続けた。

「な、何も…。後ろから、上着を取られて…。腕を、縛られた。」
「そうかい?お前の乳首には触れてこなかったの?こんな風に…。」
「あ。はぁ…ぁあぁぁ……っい…あっ。あ。あぁっ!」

孝平の手の動きに合わせて乳首が最高の感度を示し、恭平の体は大きく跳ねた。
そのまま両手で突起を転がしながら、孝平はなおも質問を続けた。

「こんな風には?」
「あ…っは!な、ない…っ!やられてな……あ、あぁ!!」
「あんな男、庇う必要などないんだよ。」
「ちが…、あっ…はぁ…!!」

恭平は胸を突き出し喉を反らせて与えられる刺激に耐えた。
目が見えない分こんなにも乳首が気持ちいいなんて、敏感な恭平ですら驚きであった。

だが孝平は、恭平が興奮に一番酔いしれたところで刺激をやめる。
今日はその繰り返しだった。

「ああぁ…!父さん…!」
先ほどまで好すぎて狂いそうなほど甘い声を出していた恭平が、一瞬でまたもや切なそうな声を出す。
何度も寸止めされた下半身は、前のものが今にも弾けそうなほど膨張し、震えながら愛液を少しづつその先端から零している。

「続きを話して、恭平。」
「う…っ。ふぅ…っ」
一生懸命に息を整えて、恭平はまた口を開く。
途中で、また話を中断されて全身に刺激を受けて、イくこと叶わず止められる。

その責苦に耐えながら、恭平の頭を巡っていることは唯一つ。
どうしたら孝平が自分のことを許してくれるか、だ。


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