▼エロポイントで10題
└1.まつげ
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朝起きて、まず確認するのは良平より先に起きたかどうか。
あいつが先に起きた場合、俺を気遣ってかただ単にめんどくさがっているだけなのか、いつも何も言わずに先に家を出てしまう。
といってもここは俺の住む家であって、良平の家ではない。
良平が俺の家に泊まりに来た時はいつも裸のまま寝てしまうから、寒い時期が近づくと朝の良平は無意識に自分から擦り寄って来る。
だから俺は冬の方が好き。
「良平、朝だよ。起きて。」
いつもの如く声をかけるが、いつもの如く一度目は眉間に皺を寄せて唸るだけ。
目を閉じてすやすやと眠る良平を見ていると、こちらまで眠くなってくる。
顔を近付けると、まつげの一本一本まではっきりと見える。
長くもなく短くもなく。
形の整ったそれは、しかし彼の目が開いてしまうと気にならない程度に見えなくなってしまう。
だからこの光景は、ある意味限られた人にしか見られない貴重なものだと思う。
「良平。起きてよ。」
もう一度声を掛けて軽く体を揺すると、良平が唸ってからゆっくりと目を開けた。
寝ぼけた瞳で俺を見つめて、2秒ぐらいでまた閉じる。
「うるせぇよ杉野…。寒いからもっとこっち来い。」
ろれつの回りきらない舌でそう言って、良平は自分で俺の方へやってきた。
オデコを俺の顎の辺りに押し付けて、また動かなくなる。
軽く身を引いて良平を見下ろすと、規則正しい寝息とともにまつげが揺れているのが見えた。
…しょうがないな。
その寝顔に免じて、遅刻ギリギリまで寝かせといてやるよ。
また課長に怒られるなぁ。
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