▼エロポイントで10題
└2.唇
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「…しようか、恭平。」
「え?」
恭平はあまりのダイレクトな要求に、驚いて顔を赤らめた。
今、俺は彼の何かを刺激するような行動を取っただろうか?
数分前の自分の行動を見直して、ただ買い物するために街を歩いていただけだと確認する。
「突然何を言ってるの、父さん?」
「突然でもない。お前は朝からよくそんなしゃべれるなぁと思って。」
「…はぁ?」
恭平にはよく意味がわからなかった。
確かに今は近くの百貨店の開くような11時という時間だが、世間一般には朝ではない。
ただ単に孝平が珍しく朝寝坊をしてしまっただけだ。
それに、孝平の意味するようなことを”する”時間でも場所でもない。
「それよりも、父さんのシャツの袖が擦り切れてきて新しいの探さなきゃいけないんだよ。」
「…そんな興ざめするような普通のこと言うな。」
「興ざめって…。」
「一瞬で終わるから。」
「え?」
孝平はシャツを2枚持ったままの息子の腕を引っ張って、店内にあった試着室の中に入った。
「ちょ、父さん!」
「ん?」
「シャツを試着する人なんているわけないだろ!それにこんなところに二人で入ってたら店員に…ッ。」
恭平の動く唇に吸い寄せられるようにして、そこに孝平が自分の唇を重ねた。
期待通りの柔らかく暖かい感触に夢中になる。
始めは小さく抵抗していた恭平が腕の中で大人しくなり、次第に孝平の求めに応えるようになった。
「んッふ…。」
恭平の呼吸が速くなり、重ねなおす度に熱い息が漏れた。
唇の端から零れた唾液が伝う。
孝平はゆっくりと恭平の唇から自分のそれを離して、満足そうに恭平を見て微笑んだ。
「感じすぎ。」
「…ッ。」
恭平が口元を手の甲で押さえて赤面する。
孝平は地面に落ちてしまっていたシャツを拾い上げると、試着室から出た。
てっきり次の行為にいくものだと思っていた恭平は、きょとんとして孝平を見つめた。
「…なんて顔してる。」
「…いや…。」
「キスしようって言っただけだ。こんなとこでお前を曝け出して誰かに見られたらどうしてくれる。」
なんだ。…キスか…
「早く行くぞ。」
せっかくの休日だし。
恭平は気を取り直して頷き、孝平の後を追った。
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