▼衣装指定15題
└08:忍者
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俺は杉野拓巳。
江戸時代、とある高貴な姫君に使える、闇に生きる忍者です。
「…ーい、杉野っ。おーい。どこだ、杉野?」
例え姫君が俺の名を呼んでくださったとしても、人前で姿を現すわけにはゆかぬのです。
「無理して呼ばずともいいんですよ、姉上。」
「そんなことを言うな、聡平!今回の忍者は、わらわ好みの男前じゃ。見てゆけ。」
…例え、自分の顔が姫君の好みであることが嬉しくて嬉しくて仕方がないとしても、人前で姿を現すわけにはゆかぬのですっ。
「あれぇー。これだけ呼んでも出てこねぇとは、任務さぼってんじゃねぇだろな。」
「こら、姉上。言葉遣いが悪うございます。」
「…聡、お前ハマり過ぎてて逆に怖いわ。」
…例え姫君が台本無視した発言をし始めても、姿を現すわけにはゆかんのですっ!
もうすぐ、悪党岡田瑞樹一派がやってきて。
「おい!そこの二人!お前ら、佐久間屋敷の双子だな?!」
ほらそうそう、瑞樹、悪役はまってる。
「何奴!」
「姉上、下がって!」
聡平が前に出て、刀を抜くが…瑞樹の方が動きが早くて、背中をばっさり。
悪党瑞樹が良姫に手をかけて、そこで俺が…
「おりゃーっ!」
あ、あれれ。
まだ、俺は出てないって。
誰の掛け声だ?
「くぉら瑞樹!いつまでも俺に喧嘩勝てると思うなよ!勝負だっ!!」
「ふ…元気のいい姫君だな。気に入ったよ!その喧嘩、乗った!」
あああああああ〜〜〜〜〜〜〜!!
姫、それにこのクソ悪党っ!
台本にない乱闘シーン入れるの、やめんかいっ!
俺の出番…出番がっ。
出番…
「………ん…く…。」
「おい、杉野。…起きろ。変な夢でも見てるのか?」
はっと目を開けると。
裸で俺の顔を見つめる、良姫の姿が…
「ひ、姫…。今日もお美しい…。」
「…はぁ?きっしょいこと言うなっ。」
夢から覚めた現実。
…ああ、現実も、夢も、大差ないなぁ…。
「俺、忍者だった。」
「ふぅん?で、俺は姫か。お前に守られるほど弱かねぇやい。」
そう言って拗ねたように口を尖らせた良平は。
満更嫌そうでもなかった、ような気がする。
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