▼衣装指定15題
└09:警官


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「あのー…沖田さん。あなた、美術大学に通っているのではありませんでしたっけ。」
「うん。そーだよ、何を今更、恭平くん。」
「…それで、どうしてこんな…。」

ある休日の昼下がり。
沖田雅人に呼ばれて彼の自宅を訪ねた恭平は、部屋の中央で呆然としていた。

「どうして、俺こんな格好しなきゃいけないんでしょうか。」
「今度の展示会に、警官を書こうと思ったわけ。でも本当の警官なんかそうそうスケッチできるもんじゃないだろ。」
「交番に行けばいいじゃないですか。」
「業務妨害すると逮捕するって言われたら、仕方なくね?」
「えっ。」
「似合ってるよー、寸法もぴったり。警備員でバイトしてる奴にちょっと借りたんだ、汚さないでな。」
「もー…勝手なんだから。」

ぶつぶつと文句を言いながら、恭平は、袖を通した警官の制服を俯いてジロジロと見つめた。

「変、じゃ、ないですか?」
「全然。マジ似合ってる。イイ感じ。素敵過ぎ。」
「言いすぎ!」
「にゃはは〜☆じゃあ、その窓際辺りに立って、こっち向いてて。」
沖田の指示通りの場所へ移動して、恭平は沖田の方を向いた。

「…。」
「な、なんですかっ。早く書いちゃって!」
「は〜い。それにしても、お前に近所の兄ちゃんらの乱闘を止めに入れるとは思わねぇなぁ。」
「…。」
「どちらかと言うと、逆に絡まれる警察官…。」
「逮捕しますよ、沖田さん!!」
「ひえっ。」

恭平がむすっと頬を膨らませて怒鳴ったので、沖田は慌ててスケッチブックに目を落とした。


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