▼衣装指定15題
└10:着物
∴∵∴∵∴∵∴
普段着ている洋服は、脱がすのに時間がかかる。
特に、急いでいる時に、ボタン式の服じゃないと、首から脱がさないと全身が見えないから、もどかしい。
「はぁ…はぁ…。」
服の上から愛撫したのでも、恭平は十分に反応をしてくれるが、やはりどこか物足りない。
いつも思う。
一気に、脱がしたい。
「あ…い、痛い。父さんも、脱いで…。」
しかも、時々恭平はこんなことを言う。
こちらとしては恭平を脱がすことで手一杯だというのに、この上自分の服も脱がなければならなくなる。
更にもどかしい時間が増えて、イライラと感情が昂ぶる。
恭平は、こういう風には思わないのだろうか。
常日頃、ふとぼんやりした時にはそんなことを考えていたら、テレビで時代劇を放送しているのを見た。
悪代官が、村一番の娘に悪戯な言葉をかけ、帯紐に手をかける。
ああ、脱がすのは簡単そうだな。
恭平も、毎日着物を着ていたらいいのに。
恭平だけといわず、日本人なんだから全員着物を着ていたほうが楽しそうだ。
寝ぼけ眼の恭平にそんなことを囁いたら、恭平は、眉をしかめて聞いてきた。
「待って。俺、男だから、帯とかつけないよ…。意味ない、んじゃ、ない…。」
…確かに。
恭平が言い逃げするかの如く、睡魔に襲われて気を失ったので、その耳元で言ってやった。
「いいんだ。お前は俺がかこって、女の格好をさせて育てる。決まり。」
今夜もいい夢が見られそうなのは、君のお陰。
∵∴∵∴∵∴∵
(c)puyu. All Rights Reserved.