▼衣装指定15題
└14:チャイナ


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全面が赤い部屋。
壁や、テーブル、ベッドまでが真っ赤に染まった部屋で、恭平は目を覚ました。
目に入ったのは、赤い紐で固く結ばれた両手。
そして、その下にあった真っ赤な枕。
「…?」
ツルツルとした感触のベッドの上で身じろいで、はっとした。

裸。

一瞬そう思ったが、それは気のせいだった。
そう感じたのは、動かした左足が服から外れたせいだ。
恭平が着ていたのは、自分で着た記憶のない、足の部分が付け根の外側から堂々と裂かれたチャイナドレスだった。
この布も真っ赤で、ところどころに白い華が刺繍してある。
「ちょ…。何…?」

思い出せない。
縛られた両手をどうにか解こうと動かしたが、皆目一人で外せそうにはなかった。

ベッドを囲むように引かれていた透明のカーテンが揺れた。
思わずそちらに目をやると、遠くに人影が見えた。

「恭平くん。目が覚めた?」

聞き覚えのある声。
忘れるはずもない。

「孝介…おじさん。」
「あたり。」

声の主は楽しそうに言って、カーテンを片手でよけて顔を覗かせた。
兄の孝平に似た、それでいて恭平の最も苦手な笑顔。

「あの…どういうことですか。これは…」
「とてもよく似合ってるよ。予想外なくらいだ。」
「ふ、服を返してください。」
「ああ、いいよ。すぐそこの、テーブルの上に綺麗に畳んで置いてある。」
「これ、解いてください。」
「そうだね。でも、それには条件がある。」

「…?」
孝介が、恭平の顎を掴んで強引に唇を合わせた。
大した抵抗もできずにそれを受け入れ、身体を押さえ付けられた。
「ん…む…!」

小さな吐息がかき消される。
ドレスの割れ目に、孝介の手が伸びた。

「はっ…!」

恭平の身体がびくりと震える。
視界には、赤しか見えない。

「エッチなことさせてくれたら、解いてあげる。いいだろう?兄さんとはそういうこと、してるんだからさ…。」
「や…いや。嫌です!」
恭平の目には早くも涙が浮かんでいた。
目を閉じて、孝介から顔を逸らす。

「兄さんには許してるんだろ…?」
「あ、嫌…っ。」
「大丈夫。ばれやしないよ。」
「あ…あ!ヤメ……ッはぁ…ぁんっ!」

孝介の手の動きは予想以上に的確で。

当時の恭平には、いつ終わるともわからないこの時間が、永遠に続くような気がしていた。
恭平の罪の意識に比例するように、視界の赤は、深さを増していく。

思い出したくもない、3年ほど前の、忘れられない過激な思い出。


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