▼Under Title 15
└10:イかせて?
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孝平はよくお仕置きと称して、恭平に目隠しを付け腕をタオルで縛り、何時間にもわたって手の愛撫を与えることがあった。
自分は悪くないと信じていても、孝平を目の前にするとそれも言い出せなかった。
特有の口調で、言うことを聞きなさい、と一言だけ言われると動けなかった。
目隠しをされ、手を縛られて、布団に寝かされる間中、彼が許してくれることだけを願う。
「んっ。…あぁ…っ。」
暗闇の中で、予想も付かないところから孝平の手が伸びてきて、恭平の身体を撫でてゆく。
どこから触れられるかわからない恐怖と、支配されているのだという興奮が恭平を感情の淵まで追い込む。
「はぁ、はぁ…っ父さん…父さん…っ!」
掠れた声で何度も呼ぶと、孝平が彼の隣に腰掛けてふと優しい声をかけた。
「なんだい、恭平。」
「お願い…っもう、もう我慢できない…っ。」
「もう?いつもより早くないかな。」
「父さん…っ。お願い。もうやめて。苦しいよ。こんなの…っ。」
目を隠したタオルが汗と涙で濡れている。
全身に汗が滲んだ恭平の身体は、感覚が薄れるほど我慢を繰り返していた。
「でも、またお前が他の男に襲われたりするから。」
「…っ。」
「この身体は私のものだと、大声で言いたくなるときが、たまにある。」
そう言って孝平の手がまた恭平の身体を掠めた。
鎖骨、胸、腹、そして…
「んっあ!あぁ……っ!!」
恭平の身体が大きく跳ねた。
射精したいのにできない苦しみが、行き場のなさで全身を蝕む。
度を越えた快楽は痛みに変わることもある。
「おねがっ…!もっ…っ!!」
満足に呼吸もできないほど追い詰められた恭平がもがく。
どうにかして射精することを望むが、自由に動けない自分ではどうにもできなかった。
孝平が唇を胸の突起に当てて、舌で上下に転がした。
失神しそうな程の快感が、恭平を狂わせた。
「はぅんッ!!あぁぁーーー…っ!」
十分に舐め終えた後、孝平は顔を上げた。
その表情には普段恭平にすら見せない、哀しそうな憂いがこもっていた。
どうやっても、この身体を自分だけのものにすることはできない。
恭平の外の世界を閉ざすことは簡単だが、それをしてしまっては彼の魅力が薄れるだろう。
彼は自分の息子だが、所有物ではないのだから。
はぁはぁと荒い呼吸を繰り返す恭平の身体は、今にも崩れ落ちて動かなくなりそうだ。
「恭平。」
ゆっくりと呼びかけると、恭平が顔をこちらに向けた。
視覚が使えない分聴覚だけでこちらを察知している。
「お願いしてみなさい。得意だろう。」
「…っ?え…っ?」
「どうして欲しいか、言って。お前の口から。」
「…。」
恭平は上ずった声で、震える唇からひ弱な言葉を紡いだ。
「め、目隠しとって…?」
孝平は言われたとおり、恭平の頭の後ろの結び目を解いてやった。
そこから現れた恭平の黒い瞳と目が合う。
涙で濡れていた。
「…。」
孝平が無言で彼の頬に口付けた。
興奮の冷めやらぬ身体は今もなお火照り、彼のキスに敏感に応えた。
しばらくキスを重ねた後、孝平は唇を離して恭平を見た。
無防備な瞳がこんなにも愛らしい。
「後は?言ってごらん。」
「…か、せて。」
「もう一度。」
もう一度、と頼みながらも孝平の片手は恭平のものへと伸びていく。
「もう一度、恭平。」
「お願い…イ、かせて…。」
「いいよ。すまなかった。」
「…く…ぅ!」
孝平の指が、恭平のものを捕らえた。
そのまますぐに、恭平が待ちに待った開放の時を迎える。
「お願い…父さん、お願い…っ」
開放を迎えた恭平が、余韻に浸っている途中にも関わらず言った。
「なんだ、まだあるのか。」
「お願い…抱いて、父さん。優しく抱いて…っ。」
予想外な願い事に、孝平の思考が停止する。
ここまで求められるとは、正直思わなかったからだ。
「…いいよ。お前のためなら、どんなに優しくでも抱いてやろう。」
孝平は甘えてくる恭平に調子を崩される自分を、最近ではそれもまた面白いと思うようになってきていた。
できることなら、これが夢でないように。
孝平は、自分の目の前からいなくなることだけはしないで欲しいと強く願った。
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