▼Under Title 15
└11:縄


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縄で縛られると、3日くらいはその跡が消えない。
まるで側にいない時も意識させられる、見えない呪縛のように…。

県立の高校で教頭職についている有宮高志は、同じ高校で働く教師になったばかりの数学科の相田貞二にひどく執着していた。
結婚して子供もいるが、そんなことはお構いなしだった。
何故こんなにも執着しているのかというと。
容姿に魅了されたと言う他にない。
決して万人の目を惹くような万能な顔ではなかったが、誰に対しても好感の持たれそうなちょっと童顔で、しかしきりっとした横顔。
時には教師、時には友人のように接することができるので色んな生徒が彼を慕い、他の教師からも信頼を得ていた。

いつからだっただろう。
そんな彼を自分の側だけに置いておきたいと思ったのは。
側にいたい。
側にいれるようになると、この手で抱きしめたくて。
でも彼は人気者だから、きっと自分以外のものに目を奪われて、自分の腕の中から逃げていくだろう。
逃がしたくない、それだけは、させたくない。
だがそれが事実上無理ならば、逃げたとしてもその身体に自分の存在を思い出すものがあれば、いい。
この縛り付けた縄から逃げたとしても、この傷跡は消えないように。

「先生…。相田先生。」
有宮が声をかけると、相田が振り向いた。
「…っ、せんせ…っこれ、少しキツい…。」
「我慢して…すぐに気持ちよくなる。」
「もう、やめませんか…こんなこと…っ。アァ…ッ。」
全身を有宮の持つ細い縄で縛られて、ベッドの上に転がされた相田が呻く。
身を捩ると縄が食い込んで、肌に紅い跡をつけた。
その身体の上にのしかかり、有宮はそっと相田の頬に口付けた。

「逃げられないんですよ…私も、貴方も。」
「……っ!はうぁ…ッ!!」

今日の傷跡は、明日の糧になる。
縄は消えてもその跡は消えない。ずっと。


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