▼リクエスト小説
└2位:健気な恭平くん
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小学校の頃の作文で、「大好きな人」という作文を書いた。
俺はその時迷わず母のことを書いたけど、書いたあとに、父のことが気になった。
普段家にほとんど顔を見せない父でも、きっと自分の子供が「大好きな人」で自分のことを書かなかったら悲しむのではないかと、不意にそう考えた。
気になりだしたら無性に罪悪感が募って、俺はその作文をもう一つ書いた。
母の分と父の分。
俺は結局どちらも選べなくて、迷った末に両方とも提出しなかった。
他の提出物は残さずちゃんと出していたので先生はとても驚いていた。
だから俺は後からこっそり職員室に行って、先生に相談したんだ。
1つでいいのに2つも書いて、叱られちゃうかとビクビクして行ったら、先生は笑って俺の頭を撫でた。
「じゃあ両方とも先生にちょうだい。みんなに内緒で、先生二つとも読んであげる。」
本棚を整理していたら卒業アルバムと一緒にその時の作文が出てきたから少し思い出した。
俺はあの頃からずっと、父も母も大好きだったようだ。
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