▼リクエスト小説
└7位:社長×弱り竹本
∴∵∴∵∴∵∴
「ふぅ。」
やっと社員との会議が終わったと思ったら、すでに夜中の22時だった。
孝平はこれから帰るのも面倒で、デスクの上に資料を放り出して椅子の背もたれに体勢を低くして座り目を閉じた。
「社長。お疲れ様です。」
コーヒーを持って会議室へ入って来たのは、秘書の竹本だった。
彼と一緒に仕事を始めてすでに5年ほどたつ。
とても気の利く男で、文句のつけようがないくらい完璧にサポートしてくれる孝平にとって頼れる部下の一人だった。
孝平は竹本からこーひーを受け取り、椅子に座り直した。
「ありがとう。」
「いいえ。どうしますか、お帰りになられますか?」
「どうしようか。今からいろいろ整理してから帰ると、かなり遅くなる。」
孝平は疲れたような溜息をついて、コーヒーカップに口をつけた。
資料にもう一度目を通して、まとめて、明日の用意をしてから帰ると…
恭平の相手は今日はできないだろうな。
そんなことを考えている孝平のことを伺って、竹本は黙った。
孝平の表情はいつもと変わらないが、考えていることはなんとなく予想がつく。
帰ると決断すれば家で待つ恭平と時間を共に過ごすのだろう。
帰らないと言ってくれれば……
「うん、面倒だな。今日はここに泊まって帰ろう。」
孝平はポツリと言って、再び溜息をついてコーヒーカップを回した。
その様子を見つめながら黙ったままの竹本に気付き、ふと目線を上げる。
「…なんだ。どうした。」
「社長は、恭平くんとはいつから関係をお持ちなのですか…?」
「恭平と?そうだな…いつだろう。あいつが高校2年の時かな。」
竹本が孝平と出会ったとき、恭平はもう大学生だった。
そんな前の話なのかと竹本は愕然とした。
「気になるか?」
孝平はふっと笑って竹本を見て、コーヒーの湯気に息を吹きかけた。
「そりゃ…気になりますよ。私は社長のこと…愛してますから。」
「どうも。嬉しいね。」
孝平は楽しそうに頷いて、一気にコーヒーを飲み干した。
自分のこの気持ちが、彼にどのくらい届いているのだろう。
竹本には全くわからなかった。
「…これからも、愛していてよろしいですよね?」
竹本は恐る恐る、確かめるように孝平に問うた。
そんな竹本の気持ちを見透かすように孝平は笑って、首を傾げる。
「そんなこと私に聞くな。お前の好きなようにしなさい。」
どうして、こんな男をここまで好きになってしまったのだろうか。
竹本は嬉しいような悲しいような、複雑な表情で微笑んだ。
∵∴∵∴∵∴∵
(c)puyu. All Rights Reserved.