▼強気受けで10題
└7.悔しまぎれの反抗


∴∵∴∵∴∵∴


「ふざけんな!!馬鹿野郎!!」

どんなに怒鳴ったって、まくしたてたって、拳を振りかざしたって…
俺を押し倒すことに本気になった杉野には、腕力では適わないんだ。
こういう時に思い知る。
気持ちは力を凌駕するっていうか。

あいつが俺を求めてる気持ちは、俺が拒否ろうとする気持ちよりも強いんだって、実感する。

まぁ、俺にだって、本気で杉野を拒否する気持ちなんてないに等しいんだけど…

ただ組み敷かれるのでは悔しくて歯がゆくて、困らせてやりたくて精一杯反抗してやるんだ。
どうせ負けるのは、俺なんだし。


「いてぇ…手がいてぇ!もっと優しくしろってぇの!」
「優しくしてたら良平はつまでたっても俺のいうこと聞いてくれないだろ?だから時には…強引にね。」

ふふ、と俺を見下ろして笑った杉野の笑顔は、言葉とは裏腹にとても優しいものだ。
その瞬間に、俺はきゅっと胸が締め付けられるような気分になる。

一時的に反抗をやめた俺に、杉野は俺の腕を押さえつけたままで顔を近づけてくる。
唇が重なるのを見届けてから、俺は目を閉じる。
強引に、と言ったばかりの杉野のキスは、いつもより少しだけペースが速いだけで、俺のことを気遣っている舌遣いは変わらないまま。

また、胸がきゅんとする。
どうして俺みたいな自分勝手で偉そうなだけの人間に、こうも優しくできるんだろう、この男は。

「ん…んん!!」
俺は精一杯の力で杉野の腕から逃げ出し、奴の体を押してやった。
唇が離れて、杉野の残念そうな顔が目に映る。
ペロリと舌で唇を舐めて、杉野は首を傾げた。

「嫌だった?」
「…嫌、じゃねぇよ。」
「じゃ問題ない。次!」
「うっ。わぁあ!!」

杉野は楽しそうに笑って俺の服に手をかける。
恥ずかしいのは俺ばっかりで、あいつはいつも楽しそうだ。

…ちぇ。

簡単に気持ちいい思いをさせてなるものか。
俺はまた、負けるとわかっている戦いに挑む。
悲しいことに、あいつはそれでなおさら興奮するみたいなんだけどね。

ちぇ。


∵∴∵∴∵∴∵

(c)puyu. All Rights Reserved.