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└3:着信


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次の日…

恭平は社長室の扉を叩いた。
手には弁当箱をぶら下げている。孝平の分だ。渡したらすぐに帰るつもりだった。

「入ります。」
声をかけて扉を開けると、すぐそこに孝平が立っていた。
驚いて動きを止めると、孝平はその横に腕を伸ばして扉を閉めた。ついでに鍵も閉める。

「お弁当、持ってきただけだから。」
恭平は笑ったものの目を逸らし、逃げるように後退した。背中がドアにつき、追い詰められる。
孝平はゆっくりと恭平に近付いた。
「昨日から何を拗ねてるんだ?」
「別に…拗ねてなんかないよ。」
「こっちを見ろ。」
孝平は恭平の顎を取った。恭平は言葉を失ってその視線を見つめ返す。脳裏に、進の無邪気な笑顔が浮かんだ。

「父さんは、進くんと知り合いだったの?」
「正確には純くんと、だよ。愛のことで何度か会っていたし、向こうが進くんを連れて来ることもあった。」
「俺は行ったことない。」
「悪かったよ。隠していたわけじゃない。…言わなかったのは事実だが。」
孝平はそっと恭平に近付いた。今度は逃げずに、恭平は腕を伸ばした。
孝平の背広にそっと触れた。

「父さん。」
「ん?」
「た、竹本さんが…」
「竹本は今日、二時間ほど遣いに出している。気付く者はいないよ。」
「ん、っ」
恭平の腰に孝平の手があてがわれた。探るように、焦らしながら愛撫を与える。
「待って…」
「何を?」
「ぁっ、待っ!」
「待たないよ。待てない。」
耳元で囁いて。
孝平は恭平の首筋に唇を寄せた。恭平の興奮を煽るように舌を這わせ、息を吹きかける。
恭平は震える手で孝平にすがった。

「はぁっ…はっ」
「恭平。」
孝平が耳元で囁く。
恭平はきゅっと目を閉じた。与える刺激に目の前がくらくらする。

「悪かったよ、嫌な気分にさせて。お前の機嫌が悪いと仕事が手につかないんだ。」
「…っ、そんなっ」
「今日はたっぷり可愛がってあげるよ。」
孝平は恭平のシャツのボタンに手を掛けた。上から二つを外して、キスを落としながらはだけさせていく。
恭平の白い肌が、誘うように現れる。
「やだ…っ」
「嫌だ?何がだい。」
「ここじゃいやだよ…横になりたい。」
「ほう。」
孝平はくすりと笑って、顔を上げた。恭平にしては積極的な物言いだ。
腰に回した手をそのままに、恭平と至近距離で目を合わせる。
この時恭平は、すでに瞳に涙をためて、恥ずかしそうに唇を噛んでいた。
孝平の胸がドクンと高鳴る。
「…では、行こう。自分で歩けるな?」
「うん。大丈夫…」
頬を染めてはにかむように微笑んだ。


仮眠室のベッドに移ると、孝平は息急き切ったように恭平に襲いかかった。
柔らかい肌の上に何度も唇を這わせ、恭平の服を手際良く脱がしていく。恭平は時折小さな抵抗を見せたが、ほとんど成すがままだった。
期待に胸が高鳴って呼吸がうまくできない。愛撫に震える。快感が走る。
上半身の服を全てはぎ取ると、今度はベルトに手を掛けた。
「ぁッ」
恭平が反射的に手で遮るが、その手をベッドに押しつけてボタンを外す。
へその辺りに舌を滑らせると小さく痙攣した。
「んっ、んっ、…ぁっ」
我慢しても溢れ出る嬌声に、感情が煽られる。凹んだ部分に舌の先を入れると、恭平は力なく息を吐いた。
その姿が孝平の動きを加速させた。

執拗なまでの身体への愛撫によって、恭平の肌は昂揚し、うっすらと汗を浮かべた。
すでに立ち上がっている恭平のものに目もくれず、孝平の指はその後ろの秘孔を探る。
ねっとりと濡れたそこに中指を差し入れた。
恭平が息を止める。孝平は微笑んだ。
「我慢するんじゃない。」
「だ…って…」
「誰にも聞こえない。」
孝平は恭平の中で指を立てた。
「ア、…くッ!」
「そう…感じるままに、声を出しなさい。」
耳元で囁かれる。
孝平の言うことには逆らえない身体は、嫌というほど従順に応えた。
中で少しでも動こうものなら、痙攣と共に悲痛な鳴き声が発せられる。その喘ぎ方がたまらない。
やがて、恭平の弱い部分に指先が触れた。
「あ……ッ!ぁあァッ!」
一際大きな声が上がる箇所を見つけた。繰り返し擦る。
恭平が腰を大きくひくつかせてベッドを揺らした。
頬を上気させて本能的に孝平の手から逃れようともがく。
孝平は恭平の上にのし掛かり、恭平の額を押さえた。
「恭平…かわいいよ。」
言いながら指の動きは緩めない。それどころか、中指に添わせるように、人差し指にも後を追わせた。
「ぁあぁっ!いや…っいやぁぁぁ!」
恭平は目尻から生理的な涙を流した。逃がれられない恐怖のようなものに全身が麻痺する。
孝平が涙を舌ですくい、優しく撫でる。
「直に慣れるよ。」
「んぁ…っぁあっ」
喘ぎ声が止まらない。我慢しようとする理性を越える快感が恭平を支配する。
孝平の指が何もかもわかっているかの如く恭平の中を乱す。身体のコントロールはもはや孝平に握られていた。
視界が揺れる。
恭平は不安に急き立てられて孝平の体を掻き抱いた。背中に指を立てる。
「く…ッんぁッ!ぁっ、はっ」
「来なさい、恭平。受け止めるから。」
「あぁぁあぁぁぁ……っ!!」

全身がガクガクと痙攣した。自然に足が跳ねて宙を掻く。腰が浮く。胸が反る。息が止まる。

恭平は急速にに昇らされた絶頂で、溜めていた精を吐き出した。


孝平は恭平の熱が冷めぬうちに彼の身体を反転させた。腰を掴んで自分の方へ持ち上げる。
余韻に震える恭平が次に起こることを予測してシーツを握り締めた。
「待って…早い…っ」
恭平は肩で息をしていた。
孝平が笑って、体を重ねる。待つように言ったところで待ってくれるほど優しい父親ではなかった。
代わりに後ろから恭平の胸元に手を伸ばし、優しく摘んだ。
恭平がシーツを握る手に力をこめた。
「恭平は私を欲求不満で窒息死させる気かい?」
「はぁん…っはぁ、ふぅ、はぁ…っ」
自分の速すぎる呼吸音が耳に響く。両方の乳首から流れ出す微電流に、気を抜くと情けない悲鳴を上げてしまいそうだった。
「あぁ…っ父さん…っ。はぁッぁは…ッ」
「なんだい。恭平の言う通り、待っているよ。」
わざとらしく言って微笑む。恭平の弱い部分を何度も揉みほぐし、感度を上げる。恭平は操られるように胸を反らした。
「はぁっんぅ、く…っ」
意識と裏腹に、恭平の中に再び何かが溜まってゆく。

恭平はどうにか堪えようと腰を捩った。誘うように、妖艶に。無意識に足が開き、秘孔が収縮する。
それが合図になった。

「もう待てない。無理だ。」

言うや否や、孝平は恭平の中に侵入を開始した。
力強く大きなそれに、恭平は小さく悲鳴を上げた。逃れようと前に出る。
孝平はその腰に腕を回し、一気に奥まで貫く。

「ぁぁぁあああぁーッ!!」

恭平の悲鳴が室内に響いた。


孝平と恭平が仮眠室で人知れず交わっている間、社長室には携帯電話のバイブの音が小さく響いていた。
誰にも気付かれることなく鳴り続ける。

それは孝平のいつもの鞄の内ポケットに収められているものだ。
折り畳み式の表にあるサブディスプレイに光が灯り、暗闇の中を照らしている。
そこには番号と、発信者の名前が表示されていた。

そこにはこう書かれていた。

松嶋 進───


孝平がその着信に気付いたのは、自分の息子を快楽の海に沈め、気を失うほど喘がせた後のことだった。


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