魅惑の露天風呂 一番風呂というのは最高に気持ちのいいものである。 それが露天風呂となれば、なおさらである。 「おお、こりゃあ、なかなかいい眺めだな」 ビクトールが身を乗り出して叫んだ。 ハイランド国境近くでのモンスター狩が一段落したディランたち一行は、ちょっと足を伸ばして噂の宿にたどり着いたのである。 この宿は知る人ぞ知る噂の宿で、テンプルトンが見つけてきたものをディランがリークしてきたのだ。 ウリは、ずばり「露天風呂」である。 山の中腹に位置するこの宿には露天風呂があり、怪我によく効くという効能が売りなのだ。 しかし、宿代がべらぼうに高い。 一人一泊500ポッチ。普通の宿の10倍近い値のする宿なんて贅沢だ、という意見もあったが、まぁたまにはいいのでは?というディランの決定により、一泊だけすることにしたのだ。 大きな怪我はしていないものの、やはりモンスターと戦ったために小さな怪我は身体のあちこちにある。その傷を癒すためにも、また500ポッチという元を取るためにも温泉には思う存分入らなくてはならない。 宿についたのはまだ昼過ぎだったのだが、夕食までの間にひとっ風呂浴びようと、ビクトールがフリックを引き連れて浴場の扉を開けた。 周りは大きな岩で囲まれており、その先は下界となっている。見晴らしがいいことこの上ない。 おまけに高い宿代のため、他に客はおらず、今、この露天風呂は貸切状態なのだ。 「フリック、こっち来て見てみろよ」 ビクトールが振り返って手招きする。 「…眺めがいいのは分かったから、裸で仁王立ちになるな」 頭にタオルを乗せたフリックがうんざりと言い捨てる。 誰もいないのをいいことに、ビクトールは真っ裸で下界へ向かって立ち尽くしているのだ。 別に風呂だから。おまけに2人きりだから。 裸なのはいいのだけれど、少しは恥じらいというものを持て!とフリックは言いたいのだ。 「誰もいねぇんだから恥ずかしがることねぇだろぉが」 「…俺はお前とは違う」 ぱしゃぱしゃと気持ちのいい湯で顔を洗い、フリックはふぅっと息をつく。 確かになかなか気持ちのいい湯だった。 熱さも丁度いいし、どういう加減か湯がぬるりとぬめっていて、肌がつるつるとするのだ。 疲れが取れる。 ここ数日、かなりハードな戦いを強いられていたので、実のところ疲れきっていたのだ。 フリックは目を閉じて、身体が芯から温まるのを感じていた。 うっとりと目を閉じるフリックにビクトールはしばしの間、見惚れていた。 上気した頬が何とも色っぽい。 フリックの唇が薄く開かれ、ため息が漏れた。 「フリック…」 「ん…?」 「なぁ…」 うるさいな、と思いながらフリックが目を開けると、すぐ目の前にビクトールの顔があった。 「うわっ!な、何なんだよ、お前はっ」 「そんなに驚くことねぇだろ。なぁ…露天風呂なんて初めてだよな…」 「あ?ああ、そうだな。街の宿には露天風呂なんてないからな」 「だろ?んじゃ、そういうことで…」 「はぁああ?」 フリックが聞き返すよりも早く、ビクトールが襲い掛かってきた。 「ばっ…ばかばかばかばかっ!何考えてんだっ!」 ビクトールが逃げようとするフリックを背後から抱きかかえる。ばしゃばしゃと水音が上がった。まるで川で魚をとる熊といった感じで、ビクトールがフリックの身体を両腕で抱え込んだ。 「仕方ねぇだろ、その気になっちまったんだからっ」 「し、仕方ないって…」 腰の辺りに当たるのはビクトールの昂ぶりだ。 それはすでに十分なほどの硬度を持っていて、ぐいぐいとフリックに押し付けられる。 「なっ、何でお前の下半身はそう節操がないんだっ。風呂くらい大人しく入れっっ!!」 「お前と一緒に入ってて、感じるなっていう方が無理だろぉが」 ふざけるなっ、とフリックはキスしようと迫ってくるビクトールの顔を両手で阻止する。しかし、ビクトールの馬鹿力によって、その手は押さえ込まれてしまい、フリックは唇を奪われてしまった。 「んぅ……ぅっ!!!」 貪りつくように、ビクトールの舌がフリックの口腔を侵す。 逃げ回るフリックの舌をからかうように追いまわし、くすぐるようにして絡めてくる。 さんざんその甘さを味わい尽くしたあと、ぴちゃりと濡れた音を立てて唇が離れた。 「はぁ…はぁ…」 「その気になってくれたか?」 なるか!!! しかしそんなフリックの心の叫びなど気にしちゃいないビクトールは、鼻息も荒くフリックの身体を弄ってくる。ぬるりとした湯のせいで、いつもよりも滑りがいい。フリックの背後からビクトールは腕が前に回された。 「あっ…っ」 ビクトールの指がフリックの胸の尖りを弄り、両方の乳首をひっかくようにしてくすぐった。 「やめっ…」 「へへ…気持ちいいだろ?お前、ここ弱いからなぁ」 ビクトールに指摘されるまでもなく、ほんの少しの刺激で立ち上がってしまった尖りにフリックは唇を噛む。何度も何度も撫でられるうちに、フリックはついに大きく喘いでしまった。 「はっ…ああ…っ…ん…」 「フリック…」 それを合図に、ビクトールの右手が湯の中を泳ぎ、フリックの下肢へと伸びる。 ぬるりと花芯を握り込まれた。 「うっ…」 「何だ…お前も感じてんじゃねぇか…」 嬉しそうに笑いながらビクトールがちゅっとフリックの首筋に吸い付く。 ゆるゆると動き始める右手に、フリックは息を飲んだ。 何しろここの湯はかなりぬるぬるで、それがビクトールの動きをスムーズにしているのだ。あっという間に湯の中で勃ちあがるフリックの花芯。 膝の上に座らされるように抱きかかえられているので、フリックの尻の間にはビクトールの昂ぶりが当たっている。 「やめ…ろっ…って…」 何とか腕から逃れようとしても、がっちりと抱えられていてどうすることもできない。 ビクトールの指が先端を円を描くようにしてなぞる。しつこいくらいに胸の尖りも刺激され、もう我慢できなくなったフリックは思わずビクトールの腕に爪を立てた。 「んっ…はぁ…ああ…」 「風呂ン中でするのって初めてだよなぁ…けっこういいな、これ」 ビクトールの腰が揺れ始める。 まさか、こいつ、このままヤるつもりじゃないだろうな、とフリックは青くなる。 「フリック…」 「ちょ…っと…んっ…ん…待てって言ってるだろっ!」 「待てるかっ!フリック、挿れていいか?」 「い、いいわけないだろっ…あっ…よせっ…」 ビクトールがフリックの身体を反転させ、両足を広げさせたまま膝の上に座らせる。ばしゃばしゃと水音を立てて暴れるフリックを宥め、向かい合ったその首筋をひとしきり舐め上げると、ぴんと立ち上がった胸の尖りに吸い付いた。 「ひっ…」 フリックの身体がぴくりと震える。 「な、いいだろ?」 「い、いいだろって…誰か来たらどうするんだよっ…」 「誰も来ねぇよ、この宿、ガラガラだったじゃねぇか」 ビクトールの手がフリックの内腿を往復する。わざと花芯には触れず、そのくせ、その奥にある窄まりを焦らすようにくすぐってくる。何度も撫で擦り、指を含ませようとしてくる。 「ふぅ…んっ…」 フリックが目元を赤くしたままビクトールを睨む。 こんな状態のままでは、どうすることもできない。すでにフリックの身体もその気になっているのだ。フリックは観念して、ビクトールの肩に手を置いたまま、身体の力を抜いた。 「くそっ…何かあったら、お前が責任とれよっ…」 「オーケー」 にんまりと笑ったビクトールがフリックの腰を抱えなおし、堅く勃ち上がった欲望をぴたりとその部分に押し当てる。その大きさに、こじ開けられそうな気がしてフリックは一瞬息を飲んだ。 何の準備もされてない。ただこの温泉の湯がぬめっているというだけで。 「い、痛いのはヤだからな…」 怯えたようにフリックが訴える。 「少し慣らすか?」 フリックが同意するよりも早く、ビクトールの無骨な指が一気に蕾に捻じ込まれた。 「うっ…くっ…ぅ…」 「大丈夫みたいだけどな…」 ぬちゅぬちゅと何度か抜き差しが繰り返される。徐々に広げられている蕾に湯が入ってくるような気がして、フリックは緩く首を振った。ぞくりと背筋を快楽の兆しが駆け上る。 「やっぱり身体が温められてると、開くのも早いな…」 「あっ…うぅ…ん…ん…っ…」 次第に早くなる指の動きにフリックは眉を寄せ、ビクトールの肩にすがりつく。 がくがくと膝が震え始める。 ビクトールが熱っぽい目をしてフリックを見上げた。何を求められているか、言葉がなくても分かる。フリックはゆっくりと首を傾げて唇を重ねた。 すぐに深く舌が絡み合う。 ぴちゃりと音を立てて何度も角度を変えては甘いキスに酔う。 「ん…っあ…」 「もう大丈夫か?痛くないだろ?」 ずるりと指が引き抜かれ、ビクトールが熱く滾ったモノをフリックの蕾に押し当てる。 「や…っ…」 「力抜いてろ…」 じわじわと蕩け出した身体の中にビクトールが入ってくる。 「は…ああ…っ…ん…」 フリックが背中をしならせる。ゆっくりと、その大きさを見せつけるかのように、ビクトールが腰を進めてくる。一気に体温が上がったような気がして、フリックは濡れた肌をビクトールに押し付けた。 「…動くぞ…」 奥まで押し込まれた熱棒がゆっくりと引きだされる。そして再び埋め込まれる。狭い内部がビクトールによって押し広げられていく。ぬめった湯と共に。フリックは喉の奥で息を飲んだ。 ビクトールがそんなフリックの唇を奪う。 「…っう」 フリックの腰をがっちりと抱えたまま、ビクトールが突き上げを始めた。 「んっ…ああっ…あ…」 湯面がその動きに合わせてゆらゆらと揺れる。 「アア…っ…ン…」 立て続けにフリックの唇から悲鳴にも似た声が上がる。 無意識のうちにビクトールの律動に合わせて腰が揺れ始める。 「フリック…気持ちいいか?」 「ん…いい…っは…やく…」 イきたい、とフリックに耳元で囁かれ、ビクトールは低く笑った。そして、深く口づけを交わしたままゆっくりと腰を前後にグラインドさせた。 一方、カミューとマイクロトフは着替えを手に、宿の亭主に教えられた露天風呂へと向かっていた。 「待て、マイク」 露天風呂こちら、と書かれた張り紙の前で、カミューがぴたりと足を止める。 「どうした?忘れ物か?」 マイクロトフが振り返る。 「…さっき、あの2人も露天風呂へ行っていたな」 「ああ、ビクトール殿たちか?一足先にな。それがどうかしたか?」 歩き出すマイクの服の裾をカミューがはしっとつかむ。 「どうしたんだ?カミュー?」 「よそう、マイク。いやな予感がする。確か宿の中にもう一つ風呂があったはずだから、そちらへ行こう」 「だが、露天風呂、楽しみにしてたではないか」 「馬に蹴られたくはないからね。ま、露天風呂は夜中にでも入りに行こうじゃないか。付き合ってくれるだろう?」 カミューはまだ理解できずにいるマイクロトフの腕をとり、大浴場の方へと向かった。 そこは内風呂といってもなかなかの広さがあり、おまけにどういうわけかジャングル風呂だった。 「これは…すごいな。高い宿代を取るだけはある。見事だな」 マイクロトフが感心したように、中を見渡す。 あらゆるところに植物がある。それも鬱蒼と生い茂っており、いったいどれくらい広いのか分からないくらいだ。マイクロトフは湯船に浸かり、目を閉じる。さすがのマイクロトフも今回のモンスター狩にはへとへとなのだ。次から次へと強いモンスターが現われ、休まる暇がなかった。救いといえばカミューが一緒だったことくらいである。 ぬるりとした湯に浸かっていると本当に疲れが取れるような気がする。 「マイク?そんな肩まで浸かっていてはのぼせてしまうぞ?」 カミューの声にマイクロトフが目を開ける。 カミューは湯船の淵に腰掛けて、膝から下だけを湯に浸けていた。なるほど、そうすれば長い間風呂にも入っていられるというものだ。しかし、マイクロトフはちゃんと身体を温めないと入った気がしないのだ。なおもしっかり肩まで湯に浸かっているマイクロトフに、カミューが焦れたように声をかける。 「聞いてるのか、マイク」 ぱしゃ、っとカミューが足で湯をけり、マイクロトフに水しぶきをかける。 「カミュー…」 顔にかかった湯をぬぐって、マイクロトフがカミューを睨む。 それをおもしろがったカミューがさらに湯をマイクロトフにかけ始める。 「よせ、カミュー」 「ふふ、観念してこっちに来たらどうだ?」 ぱしゃぱしゃと上がる水しぶきに降参したマイクロトフが、湯の中を泳ぐようにしてカミューに近づいた。 すぐ近くまで来た時、カミューのつま先がそれを阻止するかのようにマイクロトフの肩に置かれた。 「……カミュー?」 「わざと遠くの湯船に浸かっていただろう、マイク」 「そんなことはない」 「そうかな」 つい、とカミューの白い脚先がマイクロトフの肩を撫でる。 からかうようなその仕草をしばらく黙って見ていたマイクロトフがその足首を掴み、白いくるぶしに唇を寄せた。舌で撫でると、ぴくりとカミューが身を震わす。そんなカミューをマイクロトフが上目遣いに見上げる。 「……もしかして誘ってるのか?カミュー」 「それ以外、何があるっていうんだい?」 妖しげなカミューの笑み。 マイクロトフは足首を掴んだまま、その膝を折り曲げるようにしてカミューの間近に身体を寄せた。濡れた瞳で自分を見つめるカミューに、マイクロトフは無表情なまま声をひそめる。 「こんなところで…誰かに見られたらどうする?」 「さぁ…大丈夫だと思うが?」 カミューは露天風呂へ行った二人を思い浮かべた。まぁ間違っても、こちらの湯へやって来ることはないだろう。 「言っておくが、俺から誘ったわけではないからな。あとで文句をいうなよ」 くすくすと笑いを漏らすカミューの顎を掴み、マイクロトフが強引にその唇を奪う。 濡れた舌先がカミューの熱い口腔をさぐるように動き回った。 「ん…ぅ…」 カミューがマイクロトフの髪の間に指を差し込み、強く引き寄せる。 頭の芯がふらつくほどの口づけを交わしている間にも、マイクロトフは掴んでいた足首から内腿へと指を滑らせていく。濡れた肌がしっとりと吸いつくような滑らかな感触をもって、マイクロトフの手の中で蠢く。 圧し掛かってくるマイクロトフの重みに耐え切れなくなったカミューがうしろに手をつき、その身を仰け反らした。マイクロトフがそんなカミューの首筋へと唇を這わせる。 「マイク…」 カミューが目を閉じて、小さく息を吐く。 マイクロトフが唇を動かすたびに、白い肌に桜色の印が散っていく。わき腹をなぞり上げ、マイクロトフの指がカミューの胸の尖りに辿りつく。指の腹でゆっくりと愛撫していたマイクロトフは、カミューが小さく喘いだ瞬間、両方の尖りをつねり上げた。 「は、ぁ…っ…」 カミューの腰が一瞬浮き上がる。 「カミュー…」 マイクロトフが音を立てて白い肌に舌を這わせた。 切なげに喘ぐ喉元から、胸元へ、わき腹へ、そしてさらに下へと… 「い…や…」 それが本気の拒絶の言葉ではないことを知っているマイクロトフは、広げた脚の内側の柔らかい皮膚を軽く噛んでみせる。 「ん…ああっ…マイク…」 薄く目を開けたカミューは自分の脚の間に顔を埋めようとしているマイクロトフの姿に、その頬を染めた。カミューの昂ぶりを口に含もうとした瞬間、マイクロトフが顔を上げ、カミューを見た。 「な…に?」 「…言ってみろ、カミュー」 「え?」 「どうして欲しいか、ちゃんと言葉にして言ってみろ」 ああ…とカミューは深く息をつく。 知っているくせに、マイクロトフは時々こんなイジワルをするのだ。 マイクロトフの濡れた指に触れられている花芯はすでにその形を変え、どくどくと脈打ち始めているのに、とても我慢なんてできそうにない。カミューは乾いた唇を舌で舐め、小さな声で言う。 「…して」 「何を?」 「口でして……を…して」 カミューは震える指でマイクロトフの唇に触れた。 ふ、と笑ったマイクロトフがその指先を舌で舐め上げた。そして、待ちわびているカミューの花芯へと舌を滑らせる。触れたとたん、ぴくりと震えた様子にマイクロトフは低く笑いを漏らす。 「ふぁ…ああ…ん…っ…」 花芯が熱い口腔に包まれた。 マイクロトフの舌が絶妙な動きでカミューの快楽を煽っていく。無意識のうちに閉じようとする両脚をマイクロトフの力強い手が阻んだ。 「ん…んん…っ」 滲み出した先走りの蜜を音を立ててすすり上げられる。 自分から仕掛けたこととはいえ、あまりにも恥ずかしいこの状態に、カミューは零れる甘い息を押さえるために白い指を口元へと運んだ。 くちゅっと音を立ててマイクロトフが喉の奥まで花芯を飲み込む。きゅっと締め付けられ、カミューはその刺激に耐えられなくなる。膝裏を押さえていたマイクロトフの右手が濡れた肌を這い上がり、胸の尖りへと伸びてきた。立ち上がったそれをきつく抓まれ、カミューは押さえていた喘ぎ声を上げた。 「ひぁ…あっ…」 カミューが緩く首を振る。 マイクロトフがふいに花芯から離れた。 マイクロトフの唾液でぬるぬるになったそれは外気に触れ、ひくひくと震える。 「やっ…なん…で…」 恨みがましい目を向けるカミューに、マイクロトフは残酷な言葉を投げかける。 「イきたいか?口の中で?それで、我慢できるか?」 我慢?ここでは抱いてくれないということなのだろうか?カミューは朦朧とする頭でマイクロトフの言葉の意味を考えようとしたが、中途半端に煽られた欲望の方を何とかして欲しくて涙声で訴える。 「イきたい…でも…」 我慢なんてするつもりはない。 どこでだって、いつだって、この肌でマイクロトフを感じていたいのだ。 マイクロトフが再びカミューの花芯に舌を這わせた。 「あっ…」 その瞬間、カミューが堪えていた奔流を解き放った。マイクロトフの頬に白濁の蜜が飛び散る。指先で拭って舌で舐め取る様子に、カミューが小さく呻いて抱きついた。 熱い湯の中で肌を触れさせあい、ひとしきり甘いキスを交わす。 「マイク…これで終わりだなんて承知しない…」 「…だろうな」 もっともマイクロトフとて、ここで終わりになんてできるはずもなかった。 ばしゃっと湯を跳ね上げカミューの身体を抱えなおすと、マイクロトフは熱くなった自分の欲望を静めるために再びカミューの唇を貪った。 「ああ〜いい湯だったなぁ」 ビクトールがどさりとベッドに足を投げ出して、満足気に笑いをもらす。 本日の宿は相部屋である。 相部屋といっても、かなりの広さの部屋である。ちゃんとベッドも5つある。 すぐ隣のベッドではフリックが赤い顔をしてぐったりとのびていた。そして、その隣では同じくカミューも。 どこか申し訳なさそうにしているマイクロトフがそんな2人に冷たい水を差し出す。 「あ〜サンキュ。あれ、ディランはどうした?さっきから姿が見えないが」 乾いた喉を潤したフリックが部屋を見渡す。 「そういやいねぇな、どこ行きやがった?」 ビクトールが言ったとたん、ばたんと大きな音をたてて扉が開き、ディランが姿を見せた。 手には濡れたタオルを。顔は真っ赤である。 「お〜ディラン、お前、どこ行ってたんだよ」 「……お風呂ですよ…」 お風呂。 その言葉に4人が顔を引きつらせる。 「風呂って…お前…」 「ええ、ええ、この宿自慢のお風呂に入ってましたよっ」 ディランがばしっとタオルを床に投げつけ、腰に手を当てて4人を見渡す。 「宿の主人に疲れによく効くからって言われて、みなさんが荷物を解いている間に、一番風呂に入ってたんですよ。噂の露天風呂にねっ。そしたら、ビクトールさんとフリックさんが入ってきて」 ディランが2人を指差し、睨みつける。 「声をかけようかと思ってるうちに、ビクトールさんが発情しておっ始めたんですよ。岩陰にいた俺には気づいてなかったようですけど?もっとも気づいてて始めたんならかなりの露出狂ですけどねっ。あんな姿、自分から他人に見せようと考える人が仲間だなんて思いたくないですしっ!!出るに出られなくて、俺がどれだけ我慢して湯に浸かってたと思うんですかっ!!」 フリックがどかっとビクトールの背中を足で蹴り飛ばす。 「やっと終わったと思って、気を取り直してジャングル風呂に入ってたら、今度はマイクロトフさんとカミューさんがやってきて、今度はカミューさんがマイクロトフさんを誘惑して、おっ始めるしっ!!葉っぱの陰にいた俺には気づいてなかったみたいで、ずいぶんと大胆なことをしてくれちゃって!!いい加減お湯に浸かりすぎて倒れるかと思いましたよっ」 マイクロトフが困ったようにカミューを見る。 そんな二組のカップルに、ディランの怒りは爆発する。 「だいたい、何で風呂に入ってて欲情するんですかっ!浴場と欲情をかけてるなんてつまんないこと言わないでくださいよっ!!明日には城に帰れるんですから、ちょっとくらい我慢できないんですかっ、4人ともっ!!誰もいないと思って、いちゃいちゃいちゃいちゃいちゃいちゃ!!!いい歳して恥ずかしくないんですか?見てるこっちの方が恥ずかしかったですよっ!!」 はぁはぁと肩を上下させて、ディランが一気にまくし立てた。 部屋に何ともいえない気まずい雰囲気が漂う。 「ディラン」 「何ですかっ!!!」 ここまで罵られて黙っていられるわけがないビクトールが、ニヤニヤと不敵な笑いを顔に浮かべる。そして言ってはならない一言を言った。 「お前、溜まってんのか?」 「―――っ!!」 ふっふっふ、とディランがゆっくりと右手を上げる。 背後から不気味なオーラが立ち上り始めたディランに思わず壁際へと逃げる。 「ま、ま、待て、ディラン…」 4人が制止するのも聞かず、「輝く盾の紋章」が発動された。 ダメージを負った4人は宿に延泊することになり、その代金しめて6000ポッチ。 当然、その宿代は4人の給金から引かれることとなった。 |