●基本情報
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●はじめに 『ONE信者』という言葉が生まれるほど名作だった『ONE〜輝く季節へ〜』の二作目。当初の設定は(今はこちらのページで観ることが出来る)稚拙なもので、某有名掲示板やオフィシャルホームページの掲示板等で「こんなのONEじゃない!」、「クソゲー確実」、「開発中止しろ!」と激しく罵られ、多くのONE信者を絶望させ、『えいえん』送りにしました。このことを重く見た会社側(株式会社ネクストン)は、2001年の夏に原画を片桐雛太氏、シナリオライターをMega氏から青山拓也氏(同社のブランド、PL+USのシナリオライター)に交代させ、キャラクターも変更、追加をし、角田公子が削られました。角田公子こと『ハム子』のファンは今でも少数存在しており、追加ディスクや同人ゲームで彼女のシナリオを望んでいます。(ネタとしてだけどね) ●シナリオ(18点/20点) 当初の設定のこともあり、正直ボクはあんまり期待してなかったんですが、実際文章を読んだら、びっくりですよ。ちゃんと書けてるじゃないですか。流石プロのライターです。無駄のない文章で非常に論理的にまとまっており、頭にスイスイ入ってくる読みやすい文章でした。序盤の寒いギャグさえ無ければ、ほぼ完璧な出来でした。(Key作品のようなギャグは期待しない方がいいです…)ただ、ストーリーに『新しさ』が感じられない。ONEといえば『えいえん』です。ですが「ONE2と言えば?」と聞かれても特長を伝えにくいのです。あくまでONE2はONEの延長であり、ONE2は前作を超えることが出来ないのです。まぁ、前作と全く違う世界観になってしまったら、「木に竹を接ぐ」ような作品になってしまって、また『ONE信者』にボロクソ言われる結果になったと思うので、このシナリオで正解なのだと思います。あと前作は主人公が「えいえん」に行ったのですが、今作はヒロインが「えいえん」へ行きます。特に違和感は感じないのですが、主人公が「えいえん」へ行った方が良いような気がします。何故ならば「帰ってくるあてもない主人公を、帰って来ると信じて待ち続けるヒロイン」というシチュエーションが萌えるからです。だってめちゃくちゃ健気じゃないですか? 1年間信じ続けるのってスゴイことじゃないですか? もし、自分を1年間待ち続けてくれる女の子がいたら、ボクなら結婚するね! ええ、嫁にしますよ! 一生食わせていきますよ! 命を賭けて守り抜きますよ! だってそれだけのことしてもらっちゃってるもん! 何かお返ししなきゃこちらの気も収まりませんよ! とまぁ、ちょっとオーバーに聞こえるかもしれませんが、ボクは前作のラストでそこまで心を揺さぶられたわけです。でも、今作の主人公は「えいえん」へ行ったヒロインを待つ立場じゃないですか? 「男が健気に待っててもなぁ…」と思っちゃうワケです。ちょっと興醒めです。まぁ、今作の主人公は家事全般が出来るという、ちょっと中性的なキャラなんで問題はないと思いますが、ボクは誰かに使役するよりも、使役されたい人間なんで前作の方が好きです。(ワガママ)うすうす感じてたのですが、ひょっとしてこのゲームって女性向け? 女性なら男が待っててもOKでしょ? 及川くんもカッコイイし…。児玉先生は性格悪いけど攻めキャラにすれば…(自主規制)と、いうワケで、ONE2の同人誌は夏コミの二日目に多そうです。(予言)また「泣きゲー?」と聞かれたら、返答に困ります。何故ならば『Kanon』や『AIR』といったKeyの作品の方がよっぽど泣けるからです。十分感動的なストーリーなんですが、泣くほどではない、と言っておきましょうか。ボクは小菅奈穂ストーリーで少し泣きましたがね。 ●CG(15点/20点) 前作の背景は「シナリオライターが描いたんじゃないか?」と噂されるぐらい稚拙な出来だったのですが、今作の背景はしっかり描かれています。立ち絵を重ねても違和感はありません。そして肝心の立ち絵も良い感じに仕上がっていて、前作よりも違和感が無かったと思います。イベント画像は全部で97枚。最近の作品にしては少ないです。「このシーンにはイベント画像を入れた方が良いんじゃないかな?」と思った個所もあったので、もう少し増やした方が良かったです。問題はこの絵で萌えるか?ということですね。この辺に関しては賛否両論になりそうですが、ボクはギリギリセーフでした。前作の「いたる絵」じゃないとONEって感じがしない人にはツライかもしれませんが、シナリオの雰囲気を崩さず、自己主張し過ぎない絵なので、結果的にはこの絵で正解なんだとボクは思いました。 ●システム(16点/20点) 月姫とかねこねこソフトが使っている、高橋直樹氏のNScripter。『読み返し機能』が追加されたので、前作よりも良くなった気がします。ホイールマウス対応だし。ただ、音楽が終わって、ループしてトラックを頭だしする時に、ちょっと画面が止まる場合があります。(フリーズ?)これは仕様ですか? それともボクのPCの反乱ですか? 仕様だったら改善点だと思います。あと最初、画面表示サイズの変更の仕方が解らなかったので、説明書を読んでみたら、右クリックを押してシステムウインドウを出さなければならず、少々手間取りました。いつも通り画面上のメニューバーにあれば良かったのに…。また、いつも通り未読の文章と概読の文章の判断が出来ないみたいです。だからテキストを自動送りすると未読の文章も遠慮なくすっ飛ばします。その為の読み返し機能か…。 ●音楽(17点/20点) とても綺麗な曲です。前作も定評がありましたが、今作も良質ぞろいだと思います。ただ、そう思うのは前作のアレンジ曲が入ってるからかもしれません。あと、『AIR』の『鳥の詩』のような「この曲作ったヤツ、神!」と思える曲は残念ながらありませんでした。まぁそこまで求めるのは酷というものでしょうか? ●エロ(9点/20点) 店頭でONE2の箱を見ていただければ解ると思いますが、エロ絵がほぼ皆無です。乳首ひとつ出てやがらねぇ! Basesonは青少年有害社会環境対策基本法を気にしているのか?(邪推) そこからも予想できるように、本編もめちゃくちゃエロが薄いです。ベッドシーン以外にセクシャルな描写はほぼありません。そしてなによりもみんな、乳首の乳輪が小さいんです! 小さ過ぎです! ワイシャツのボタンぐらい小さいです。(そこまで小さくないか?)何? それ、武器? そういう乳首が流行ってるの? 一部のマニアだけでしょ? ONEっていうビックネームの作品で、そういった変化球を投げるのはいかがなものかと思うのですが…。まぁ、誰もONEにエロを期待してないからいいけどね。ちなみにボクは小菅奈穂と芹沢心音で抜きました。抜くことは可能でした。でも、この2人以外は無理っぽいです。 ●総合評価(75点/100点) 素材のひとつひとつは一級品です。たぶんこのエロゲー業界ではトップクラスに入るでしょう。しかし、この作品は名作ONEの二作目。どうしてもONEと比べて見てしまいます。やっぱり前作に比べると、萌えないし、抜けません! これはエロゲのアイデンティティーにも関わる欠点です。もともと前作も抜ける作品ではありませんでしたが、今作より抜けました。このように抜けない作品になった要因は、コンシューマへの移植を前提にしているからではないかと思われます。また、消費者ターゲットを男性だけに絞らず、女性も視野に入れた作品にしたかったのかもしれません。(あくまで推測ですが)故にこの作品は、モロに男性をターゲットにしているエロゲー(『はじるす』とか『はじいしゃ』とか)が好きな人には向いていないと思われます。(やわらかく言ってるけど、要は抜きゲー好きのクソオタには向かねーよヴォケ!ということやね)つまり、Key作品のような露骨な萌え記号(「うぐぅ」とか)を一切廃して、女性に対して嫌味にならない、純粋なノベルゲーに仕上がっているのだと思います。まぁ、他人に勧めるほどの作品ではないので、中古で売ってたら買い、という程度でしょうか。ボクとしてはONE2のスタッフが創る、次回作が楽しみです。(もちろん久遠たん(;´Д`)ハァハァシナリオも期待しています!) |
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(2002年5月2日) |