ある冬の寒い日に、大学生の貴之は友達と4人で 闇鍋パーティーを開催したんです。 やみなべ。 メンバーはいつもつるんでバカやっている同じ学科の裕二と、 幼馴染で腐れ縁の友美と、 いつも物静かなメガネッ娘の真由ちゃん。 パーティー会場は一人暮しをしている貴之のボロアパート。 で、 「よし、皆、自分の好きなものを入れろ!」 と、貴之が号令すると、 4人は次々と自分の好きなものを鍋に入れ、 ぐつぐつ煮たんですよ。 黒いカーテンで閉切られた真っ暗な部屋で、 当然、電気も消してね。 だから、誰が何を入れているのかは解らない。 ひょっとしたら、 納豆とかチューインガムとかコンドームとか、 とんでもないものを鍋に入れられているかもしれない。 そのスリルがたまらなくて、 今夜もバカ大学生達は闇鍋パーティーで、 おおいにはしゃいでいた。 で、 程よく鍋が煮えてきて、友美の 「もうそろそろいいんじゃないの?」 という声に答えて、 貧乏学生の貴之が、いの一番にガツガツと頬張った。 普段、ろくな物を食べていない貴之にとって、 鍋はご馳走だ。 「おいおい、僕のぶんもとっておいてよ! 貴之!」 と、裕二が貴之に注意すると、 「なんでオレが一番食ってるって解るんだよ! こんな暗闇なのに!」 と、貴之が反論する。 「アンタしかいないじゃない、そんな食いしん坊キャラ」 「コラ友美! オレをまるでデブキャラかのように言うな! 読者がオレのことをデブだと思っちゃうだろ!」 「あら、当らずとも遠からずじゃない?」 「なにをー!」 「まぁまぁ、二人とも。今日ぐらいはケンカをしないで…。 ほら、このお肉なんてとっても美味しく煮えてるよ」 裕二はそう言って二人のケンカを調停した。 「なぬ、肉なんて入っていたのか!? どこだ? どこだ裕二!」 「あわてなくてもお肉は逃げないよ」 子供っぽくて食意地のはっている貴之は、暗い部屋の中で、 懸命に鍋をつついていた。 「うん、確かに美味しいわね。このお肉」 「あ! てめぇ、友美! オレの肉を盗りやがったな! 吐け! そして返せ!」 「うっさいわねぇ! まだ見つからないの? アンタってホントにデブね」 「デ、デブは関係ないだろ!? っていうかそれはデブに失礼だろ!」 「もう、二人とも。いい加減にしなよ。 いつも物静かな真由ちゃんが更に無口キャラになってるだろ?」 「あ、ゴメンね。真由…」 「真由ちゃんスマン。冬の闇鍋がオレを大胆にしたようだ」 「……。」 言葉を発しない真由。 「あ、ヤベ。怒らせちゃった?」 「アンタがつまんないこと言うからよ!」 「全部オレの所為かよ!」 「二人とも!」 『「ごめんなさい…」』(ハモリ) 「もう、こんな状態だから闇鍋は終了な。電気つけるぞ」 パチッ 裕二が部屋の照明のスイッチをONにする。 「きゃ! 眩しーい!」 「我に光を!」 キャーキャー騒ぎながらも次第に目が慣れていく貴之と友美。 「あれ?」 初めに異変に気付いたのは裕二だった。 「真由…ちゃんは?」 「あれ…。いないじゃん」 「まゆー…?」 「…途中で帰ったのかなぁ?」 「それは有り得ないだろう。ウチのボロアパートはドアを閉めると バターン!ってデッカイ音がなるんだ。それに気付かないハズがない…」 「じゃあ、真由は何処へ行ったっていうのよ?」 「ひょっとして…」 『「ひょっとして?」』(ハモルン) 「僕らを驚かす為に、どこかに隠れているのかも…」 押し入れのふすまを開けたり、こたつの布団をめくる裕二。 「そ、それはないでしょう? 真由に限ってそんなお茶目をするハズが…」 「でも、それ以外に真由ちゃんがいなくなる方法ってあるのか?」 「あとこの部屋にあるものは、僕らと…鍋」 『「鍋?」』(ハモルン) 3人が覗き込んだ鍋の中に、 真由の遺留品と思われるメガネが、他の具材と一緒にグツグツ煮えていた。 「あたし、お肉…食べちゃった…」 「オレも…結構、食べたかも…」 「だって、貴之が好きなモノを入れても良いって言ったから…」 「!!!」 ---- あとがき --------------------------------------------- はい、いかがでしたか? B級ホラー映画っぽいお話でしたね。(笑) 世間ではこういう人を「カニバリズム」っていうんですか? っていうか、キャラがお約束過ぎました。 相変わらずATFのキャラ設定は最悪です。 では、また来世。 |
|
文章:ATF (2002年1月6日) |