『ファイプロDEレッスル 第１部 〜軍団誕生編〜』
〜目次〜
○プロローグ
○新たなる脅威
○うねり
○血の鎖
○維新軍vsＢＣ その１
〜試合後〜
○１号さんの憂鬱
○妖精達の来訪
○正義の行方
○氷と炎
○女王の証明
○維新の火
○関節抗争
○凱旋
〜試合後〜
○絆と鎖
○光と影※8/4更新
○軍団紹介（別ページへ）※8/4更新
ドゴォッ！
アナ「決まったー！ 伊達の必殺・サイレントウィッチ！
ファントムローズ２号、リング中央でノックアウトーッ！」
ワアァァァーーーッ！
アナ「そのまま伊達がカバーにいったっ。
ローズは沢崎が、１号は藤原が押さえ込んでいるっ。
カウントッ、ワンッ、ツーッ、……スリーーーッ！
今シリーズ最終戦、星プロ軍がローズ軍団を破りましたーっ！」
一番星プロレスとＧＷＡは現在提携を結んでおり、日夜激しい抗争が繰り広げられている。
観客の多くも、星プロの絶対王者と化した伊達と海外で第一戦で活躍するローズ・ヒューイットとの
戦いという新たなテーマに興味を惹かれ、会場は連夜の大盛況であった。
そしてこの日、シリーズ最終戦での６人タッグマッチでの勝利により、
流れは星プロに大きく傾いたように見えた、のだが……。
アナ「さあ、レフェリーが勝者である伊達の右腕を掲げます。
ホールには伊達のテーマが鳴り響……おおーっとっ！
突然曲が変わったぞっ。こ、この曲はあーっ！？」
突然曲が変わった事により、ざわつく観客、そして戸惑うリング上の面々。
どよめきに包まれる会場の中、通路を先頭を切って進んできたのは、越後しのぶであった。
越後「伊達ぇっ！」
アナ「ああっ、越後が放送席のマイクを奪い取り、リング上の伊達を真っ直ぐに指差したぁっ！」
越後「もう団体内に敵はいないから、海外に目を向ける、か？
ふざけるなっ！
もう一度思い出させてやる。お前のベルトを奪うのが誰なのかをなっ！」
バサァッ！
アナ「おおっと、越後の後ろに控えていた真田が大きな旗を広げたぞっ。
そこには、大きく『爆』の一文字がっ！」
越後「私達、『倒爆維新軍』は、今から星プロ本隊に反旗を翻すっ！
そして必ず、お前からＦＳＰヘビーのベルトを奪い取ってやるっ。覚悟しておけっ！」
アナ「な、なんとぉーっ！
打倒ＧＷＡへ向け一枚岩で進むと思われていた一番星プロレス、ここに来て分裂かーっ！？」
マイクをリング上へ放り投げる越後。
躊躇いながらもそれを拾おうと手を伸ばした伊達。
が、伊達の指より早くマイクをひったくったのは、
今日のタッグパートナーである藤原和美であった。
藤原「ちょっとしのぶちゃん、これってどういう事っ！？」
越後「……ちゃん付けするな、バカ。
聞いた通りだっ
！
私達はこれから、力づくで伊達をトップから引きずり下ろすっ！
お前はどうする、藤原。伊達の横でくすぶって終わるのか。
それとも私達と一緒に来るか？」
藤原「……確かに、私だってこのままでいいとは思ってないよ。
でもっ！ 今のアナタ達の行動に正義は無いっ！
ならば！ トゥッ！」
アナ「おおっと、藤原がポストに駆け上り大きくジャンプッ！
そしてっ、ああ、あの姿はっ！？」
藤原「チェーンジッ、ペガサスフォームッ！
私、藤原和美、ううん、ペガサス藤原はっ！
このペガサスフォームと共に、星プロの正義を守り抜いて見せるっ！」
ドガアァァンッ！
アナ「ああーっと！リングの中央でピンク色の爆煙が上がったぁっ！
さながら特撮番組のようだっ！ これは藤原ファンの子供たちも大喜びっ！」
越後「……なるほどな。つまり、私達と手を組む気は無いという事か。
沢崎、お前はどうする？」
藤原「光ちゃんはもちろん正義軍の仲間だよねっ」
沢崎「正規軍じゃなくて、正義軍なのね。まあいいけど。
しのぶ。悪いけど、わたしも今回のやり方には賛成できない。
わたしは遥と和美と共に、あなた達と戦うわっ！」
アナ「さあ、これは大変な事になってきたぞっ。
藤原命名の正義軍には、伊達、藤原、そして沢崎。
越後の起こした倒爆維新軍は、越後に真田、さらに近藤も参加する模様だっ。
黒船ローズ軍団の来日の最中、まさかの星プロ真っ二つに分裂っ。
さながらマット界の文明開花なのかーっ！？」
内田「フフ。面白い事考えるじゃない、しのぶも」
中森「どうします、幸さん」
内田「群れるのは嫌いなの。とりあえず、成り行きを見守るわ。
お互い潰し合えばいい。でも、隙を見せたら……フフフ」
千秋「クックックッ。面白くなってきたぜ。なあ、静香」
静香「姐さんはどうする気だい？」
千秋「ハッ、決まってんだろ。
……両方ブッ潰すのさっ！
今まではアタシとアンタだけで手駒が足りなかったが、
向こうが勝手に頭数を減らしてくれたんだ。願ったりかなったりだろ」
静香「ハハ、言うと思ったよ。
しかし、確かにこりゃ、楽しみだねえ」
ローズ「まったく、このワタクシをほったらかしにして、
何を盛り上がっているのかしらあの方達は」
２号「うう、お嬢様、すみません。私が負けてしまったばかりに」
ローズ「まったくですわね」
２号「はううっ」
１号「ですがお嬢様、これはチャンスでございます。
ここで両方とも制圧してしまえば、
ＧＷＡの、ひいてはローズお嬢様の名は日本中に轟く事でしょう」
ローズ「そうですわね。
この小さな島国の皆様に、ワタクシの力と美しさを改めて見せて差し上げましょう」
様々な思惑が絡み合い、一番星プロレスは今、混迷の時を迎える……。
伊達「あ、あの……私、まだ何も言ってない……」
という感じでいかがでしょうか。
いや、先週末に相変わらず集まって飽きもせずファイプロを観戦してたんだけど、
（寝不足だったんで半分くらい寝落ちしてたけど）
「これからはユニットが来るよ、来るんだろ？」
とかオープン・ザ・終電ゲート所持者のＧＵＹツォン組が言うもんだから、
「オマエラ、オレの事誰やと思ってんねん。オレ、ＳＨＩＮやぞ！？」
というＣＩＭＡムーブもあって（？）、じゃあユニットでも考えようかと（何のこっちゃ
まあ要は、せっかくサバイバー全キャラが揃うくらいエディットしまくったファイプロデータ、
しかも動画のアップ環境も整った（ウチはまだだけど）ので、
それを使って何かしようという訳です。
で、まずは軍団抗争という事で、軍団を考えようと。
ヒューイットメイド隊、でもいいんだけど、
それだと拡張性が無いので（人数も多すぎるし）
せっかくだからリプレイを元に軍団でも作ってみようかなと思った次第。
東女みたいに
画像付きにしたい所だけど、まだウチにはそんな高機能メカはないので、
相変わらず文章で紹介。
まあウチを見に来てる人なら慣れてるでしょ（笑）
では軍団とメンバー紹介。
必殺技の他に得意技も紹介しちゃうぜ。
いまいちピンと来ない人は、今すぐ中古ゲーム屋にＧＯ！
俺のキャラへのイメージが伝わるかなと。
とにかく技数が豊富なファイプロなので、サバイバーより差別化しやすいのが特徴。
その分なるべく重複しないようにと、マニアックな技だらけになる子もいますがｗ
これだけ技があっても「あの最新技も欲しいよな」と言ってしまうあたり、
プロレスファンはとかく贅沢ですな（笑）
相変わらずユニット名も技名もその場の閃きと言うか思いつきなので、
センスがアレだったりしますが、まあキニシナイ (ﾟεﾟ）
あ、これはOROCHIみたいな、いわゆるアナザーストーリーなので、
しのぶ引退前には入団していないはずのレイちゃんがすでに所属してたりするけれど、
ご愛嬌という事で。
あとリプレイ中は１Ｐだったのに２Ｐとして登場する子もいますが、
田女や東女との重複を避ける為なんで、深くは考えずに。
正義軍
倒爆維新軍
IceLocks
孤狼
この４つのユニット、そしてローズ軍団を交えて覇権を争っていく、
と思われた一番星プロレスであったが……。
〜新たなる脅威〜 近藤「終わりだーっ！」
バキャアァッ！
アナ「出たーっ！ 近藤必殺、サイクロンバックブローッ！
沢崎の側頭部を強烈に打ち抜いたっ！
たまらず倒れる沢崎を、近藤片エビに押さえ込むっ！
伊達は越後が、藤原は真田が抑えているぞーっ！」
ワンッ、ツーッ、……スリーッ！
アナ「決まった、スリーカウントーッ！
倒爆維新軍結成後の初のシリーズ、最終戦６人タッグは、
維新軍が正義軍を破りましたーっ！」
越後「どうだぁっ！」
伊達「くっ……まだまだ……」
勝ち名乗りを受けながら伊達を見下ろす越後。
沢崎の下に駆け寄りながら、越後を鋭く睨みつける伊達。
これからの一番星プロレスはこの二人を中心に回っていくと、
その場に居合わせた誰もが思った、のだが。
？？？「オーッホッホッホッ！！」
アナ「おおっとぉ！
突如ホールに響いた高笑いっ。何者なのかっ。
もしやあの最狂お嬢様率いるビューティ･アウトローズの乱入なのかあっ！？」
スポットライトが花道に集まる。そこに姿を現したのは。
アナ「いや、ちがぁうっ！
あの紅バラのような立ち姿はっ！
フリーで各団体を渡り歩いている、"新世紀お嬢様伝説"芝田美紀だぁーっ！」
突如現れた芝田はマイクを取り、リング上をビッと指差して高らかに宣言する。
芝田「相変わらず美しくない戦いをしていらっしゃるのね、ここの団体は。
いいでしょう。下賎な戦いしか知らない貴方がたに、
この私が本当の高貴な戦いを教えて差し上げますわっ！」
突然の乱入者に面食らうリング上の選手たち、そして観客たち。
一番最初に動いたのは、真田であった。
放送席のマイクをひったくると、大声で叫ぶ。
真田「いきなり現れて訳のわからねえ事を言ってんじゃねえっスよ！
なんなんスか、アンタはっ！」
越後も続く。
越後「外野は引っ込んでろっ！
お前などにウチのリングを跨がせるものかっ！」
対立していたはずの伊達も、外敵に対しての想いは越後と同じであった。
伊達「そう、だよ。
そんなの……社長が、許さない」
その呟きを耳にした芝田が、ニヤリと笑う。
芝田「社長、ですって？」
芝田がパチンと指を鳴らすと、
？？？「そのアンタが頼りにしてるヤツってのは、コイツの事かァーッ？」
甲高い怒鳴り声と共に、芝田を照らしていたスポットライトがスライドする。
照らされたその先には。
？？？「伊達くん……越後くん……」
哀れ、亀甲縛りで戒められた一人の男性がいた。
越後「なっ！？」
伊達「しゃ、社長っ？」
同時に驚きの声を上げる二人。
次の瞬間、後ろから蹴り飛ばされた男性は床に仰向けに転がる。
そして、男性の顔と股間に跨ったのは、二人の美女だった。
鏡「ごきげんよう、皆さま」
SA-KI「ククッ、ヒャハハッ！ ブザマだねえ、アンタらの親玉はさぁっ！」
現れたのは、各団体を渡り歩くフリーのヒール、"銀狼"フレイア鏡と"堕天使"SA-KIであった。
越後「貴様らぁーっ！」
怒声を上げる越後。怒りに震える伊達。
しかしそんな彼女らを意に介さず、二人の美女は社長に跨ったまま腰を揺すっている。
鏡「アラアラ。怖いですわ。あの視線だけで私、壊れてしまいそう」
SA-KI「クヒャヒャッ、アンタらのその表情、たまんないねぇ」
二人は立ち上がると、傍らに歩み寄った芝田と共に、一斉に社長をグミグミと足で踏み始める。
芝田「ねえ、社長さん。私達の来シリーズの参戦、もちろん認めてくださいますわよね」
社長「そ、そんな訳には……」
鏡「あら。いけずですのね」
社長「おうっ、そこはダメだっ！」
SA-KI「ほら、さっさと認めちまいなよっ」
社長「アダダッ、わ、わかったっ。わかったからやめてくれぇっ」
３人は社長を踏んづけたまま、ニヤリと笑い合う。
芝田「認めてくださいましたわよ。貴方達のリーダーは」
伊達「…………許さないっ！」
次の瞬間、伊達が弾丸の様に飛び出していた。
花道を駆け抜け、芝田にあと１メートルまで迫る。だが。
伊達「くっ！ ……どいてっ！」
？？？「……ダメ」
伊達の前に立ちはだかるように飛び出した長身の女性。
その隙のない構えに、伊達は振り切る事が出来ない。
そしてその一瞬の隙に。
？？？「ハァーーーーッ！」
伊達「っ！？ ……ガハッ！」
背後から突然現れた女性に喉元を捕まれ掲げ上げられると、伊達は花道の上に叩きつけられた。
？？？「アーッハッハッハ！
星プロのエースもずいぶんと他愛の無い事」
もう一人現れた煌びやかな衣装を着た女性が、
背中を襲った衝撃の大きさに身動きの取れなくなっている伊達を踏みつける。
アナ「こ、これはぁっ！
伊達の前に立ちはだかったのは"殺戮兵器"寿零っ！
そして伊達を強烈なチョークスラムで叩きつけたのは"カラミティ・クィーン"十六夜美響っ！
さらに、勝ち誇り伊達を踏みつけているのは、
零の姉こと"復讐の令嬢"寿千歌だーっ！
こ、これはいったいどういうメンバーなのかーっ！？」
我を取り戻したアナウンサーが、その場にいる全員の気持ちを代弁する。
それを受け、マイクを持った芝田が一歩前に進み出る。
芝田「観客の皆様！
これから私達、『Noble Temptation』が、
この退屈なリングに高貴な風を送り込んで差し上げますわ。
楽しみにしていらっしゃいな。オーッホッホッホッ！」
芝田の高笑いに、どよめく観客。
『ノーブルテンプテーション』と名乗った美しき乱入者達への反応は、
否定と歓迎が半々であった。
？？？「人のシマで勝手な事抜かしてんじゃねえぞコラァーッ！！」
突如、怒声と共に十六夜に弾丸の様にぶつかっていく影。
その巨体にさしもの十六夜も吹っ飛ぶ。
尻餅をついた十六夜を見下ろすその影の正体は、アドミラル八島であった。
内田「ふぅん……好き勝手やってくれたわね」
中森「関心しませんね、こういう行動は」
そして、成り行きを見守っていたIceLocksの二人も現れる。
千歌「ヒィィッ！ ぜ、零、私を守ってちょうだいっ」
零「お姉さま。大丈夫ですから、下がってください」
一旦後退し、芝田達と合流する３人。
伊達もようやく自力で立ち上がり、６人の乱入者達を険しい視線で見つめる。
その時、放送席からマイクを奪ったのは、マーメイド千秋であった。
千秋「オウ、鏡。アンタの差し金か、こりゃ。
芝田の姉ちゃんが自分でこんな事思いつくとは思えねえもんなぁ。
相変わらず自分の手を汚さねえでイヤらしい事やりやがる」
怒りの感情は微塵もなく、むしろ愉快そうな口調で、千秋はそう鏡に呼び掛ける。
話を向けられた鏡は、芝田からマイクを受け取ると、これまたこの一触即発の状況とは
そぐわない落ち着いた声音を発する。
鏡「あら。私はただ、退屈してらっしゃる美紀さんに、
一つ楽しくなるアドバイスをして差し上げただけですわ。
それに、裏で動くのは貴方の方が得意なんじゃありませんの、千秋さん。
もっとも、マーメイド千秋なんて可愛らしいリングネームになって、
悪逆非道の心を忘れてしまったのかもしれませんけれど」
コロコロと笑う鏡。千秋はニタリと口端を歪める。
千秋「鏡よぉ。その自慢のツラが変わっちまわない内に、引き上げた方がいいぜ」
鏡「まあ怖い。では次のシリーズ、楽しみにしていますわ」
SA-KI「オラ、アンタも来るんだよ。人質なんだからヨォ」
社長「た、助けてくれぇ〜っ」
花道の奥に消える６人の美女と、十六夜に担がれて連れられていく社長。
社長が解放されたのは、６人がタクシーで会場を出た後だった。
一番星プロレスを襲う衝撃は、新たな波『Noble Temptation』を加え、
ますます大きなうねりとなっていくのであった。
美紀姉まさかのヒールターン！
という事で。
いや、自分のリプレイメインに軍団構成をする事になった訳だけど、
そうなると私が愛して止まない美紀姉の所属する軍団が無い訳じゃないですか。
じゃあなんとかひねり出そうと考えていて、
美紀姉ならキレイどころと一緒に出したいなあと思って、
上の軍団名を先に思いついたんだけど、
色気過剰の人ってみんなヒールなのよね。
そこでワタクシ、考えました。
なら美紀姉もヒールターンすればいいじゃん！(ﾟ∀ﾟ)
基本打撃でガンガン系の美紀姉だから、意外にヒールにしても違和感無いのよね。
我ながら良い案を思いついたぜ。
あと、十六夜さんも自分アレンジしたんで、使ってみたいのもあったのさ。
鏡さんのリップロックも見たいしね（笑）
という事で、一番星プロレスに新たに乱入してきた勢力、
『ノーブルテンプテーション』のメンバーを、次回は紹介しようかなと。
ちなみに『高貴なる誘惑』という意味です。文法とかは知らん。
「NobleTemptation」の宣戦布告による一番星プロレスの激震。
いまやインディーマット界においても最大勢力の一つと言っていい一番星プロレスの揺らぎは、
所属選手だけでなくフリーランスの選手達にも大きな影響を与える事となる。
〜
・Turn「倒爆維新軍」
ダダダダダッ！ バンッ！
真田「しのぶっ！ しのぶはいるッスか！？」
越後「相変わらず騒々しいヤツだな。どうかしたのか？」
真田「助っ人っス！ 今日はスゴイ助っ人を連れてきたんスよっ！」
越後「助っ人？」
近藤「確かに、遥たちとやり合いながらアイツらとも戦う事になるんだし、
戦力は多い方が良いけど」
真田「多いなんてもんじゃないっス！
千人斬りッス！ あ、間違えた。百人力ッス！」
北条「真田さんがそこまで言うほどの人物。どんな方でしょう？」
REKI「フム……」
真田「フッフッフ。見て驚けッス！
先生っ！ 先生ーーーっ！」
ガチャッ。
柳生「失礼する」
越後「あっ。貴方は……」
近藤「知ってるの、しのぶ」
越後「ああ。柳生美冬さん。昔、何度か剣の手合わせをした事がある」
真田「しのぶもッスか。自分もそうなんスよ。
美冬先生には剣だけじゃなく、この世界に入ってからも時々教えを頂いているんス。
曰く、激情と冷静さを併せ持たなければ道を極める事は出来ない、ッス」
北条（……その教えは、真田さんにはあまり浸透していないような）
柳生「美幸に是非にと頼まれてな。
それに、維新というその言葉、私の胸にも響くものがあった。
どうだろう。微力ながら、私もそなた達の隊に加えてはいただけないだろうか」
近藤「どうする、しのぶ」
REKI「（ﾎﾟｼｮﾎﾟｼｮ）……」
越後「REKIにも独自に調査を依頼していたんだが、その第一候補も彼女だったそうだ。
……わかりました。柳生さん。共にプロレス界の夜明けを目指しましょう！」
柳生「越後殿。我が力、そなたに預けよう」
ﾃｯﾃﾚｰ♪
倒爆維新軍に柳生美冬が加わりました。
〜
・Turn「正義軍」
藤原「遥ちゃんは？」
沢崎「すっごい落ち込んでる。あの時社長を助けられなかったのがショックだったみたい」
藤原「う〜むむ。これはピンチね。でも、逆にこれは正義の味方にとって燃える展開！」
沢崎「こういう時の解決策は……特訓？
グランドキャニオンに新しい合体技でも開発しに行こうか」
藤原「いいねそれっ！」
相羽「だ、ダメですよっ。今二人に抜けられたら、ボク達だけじゃ」
沢崎「そうだよねぇ」
藤原「う〜ん、残念。となると、こういう時の展開は……」
？？？「ウフフ。お困りのようね」
石川「あらあら〜。高い所に女の子が〜」
滝「何者だっ！ 名を名乗りたまえっ！」
相羽「わ、わわっ。スカートの中がっ」
？？？「天が呼ぶ、地が呼ぶ、人が呼ぶっ！
悪を倒せと私を呼ぶっ！
トウッ！」
クルクルクルッ！ スタッ！
橘「正義の使者、橘みずき見参っ！
話は聞かせてもらったわ。悪の打倒の為に、この力、役立ててちょうだい」
沢崎「な、なんだかよくわからないけど。ありがとう。一緒に戦いましょう！」
藤原「やっぱりピンチの時には新たなメンバーの登場がお約束だよねっ」
ﾃｯﾃﾚｰ♪
正義軍に橘みずきが加わりました。
〜
・Turn「Ice Locks」
内田「戦力増強？」
中森「はい。これからの星プロは、６人タッグがメインになっていくと思われます。
疲労の蓄積や怪我の可能性を考えると、もう２人ほど加えるのがベストかと。
まだ経験の浅い礼子にあまり多くを望むのも厳しいかと思いますし」
内田「そうね。それに、いずれは５vs５の対抗戦という事にもなるだろうし、
その時に蚊帳の外にいるのも面白くないものね。
で、わざわざそんな話を切り出すという事は、もう目星はついているんでしょう」
中森「はい。まず一人は、カンナ神威。
フリーで各団体を渡り歩いている彼女は、次の戦いの場としてウチに興味を持っていたようで、
私の誘いを快諾してくれました」
内田「大物じゃない。それで、もう一人は？」
中森「ギムレット美月。まだキャリアは短いですが、テクニックには見るものがあります。
正義軍に一人、戦いたい相手がいるとか」
内田「ふうん。なかなか面白くなってきたわね。
せいぜい寝首をかかれないようにしないとね。ウフフ……」
ﾃｯﾃﾚｰ♪
IceLocksにカンナ神威、ギムレット美月が加わりました。
〜
・Turn「孤狼」
ガチャッ。
千春「邪魔するぜ」
千秋「姉ちゃ……姉貴」
千春「オマエらの団体、なかなか面白え事になってんじゃねえか。
アタイにも一枚噛ませろよ」
千秋「自分の所はいいのかよ？」
千春「ああ。今は上が他所の団体を向いちまってるからな。やりがいがねえんだ」
千秋「ふ〜ん。さて、どうすっかな」
ガチャ。
八島「姐さん、今戻ったよ。あ、千春さん。どもっす」
千春「おう」
千秋「どこ言ってたんだよ、静香」
八島「ああ。潰す相手が増えちまったからね。
幾らなんでも二人じゃ骨が折れるってんで、頭数を揃えにさ。入っといでよ」
朝比奈「うっす」
上戸「オーッス」
千秋「……全く、アンタの顔の広さにゃ恐れ入るぜ。
朝比奈はともかく、上戸とはな」
朝比奈「上戸とはジムでの顔馴染みでよ。
ちょうど静香から声掛けられたとこだったから、ついでに誘ってみたんだよ」
上戸「いやー、なんか面白そうな事始めるって言うからさ。
アタシも仲間に入れてもらおうかなって。
星プロにはやりたいヤツもいるしね」
千春「ちょうど良いじゃねーか千秋。これで５人。頭数としては十分だろ」
千秋「そうだな。そんじゃ、いっちょ仕掛けるとすっか！」
ﾃｯﾃﾚｰ♪
孤狼にセイレーン千春、オーガ朝比奈、マッキー上戸が加わりました。
孤狼は新ユニット「Blood Chain」になりました。
〜
・Turn「NobleTemptation」
ブリジット「アスカはいるかしら」
鏡「あら、ブリジット。いらっしゃい。来てくださったのね」
ブリジット「ええ。何やら楽しそうな事を始めたそうじゃない。
私も混ぜてもらえないかしら」
鏡「貴方なら、大歓迎ですわ。一緒に沢山の悲鳴を奏でましょう。ウフフフ」
シンディー「ハァ〜……」
零「……ど、どうした……の？」
シンディー「あ、いや、ここだけの話アルけど……
ワタシ、姉様のサディスティックな所に、ちょっとついていけない時があるのヨ。
カガミやSA-KIなんかと一緒にいたら、姉様がますます手がつけられなくなりそうで、
ワタシ不安でいっぱいアル。いっそのこと、違う軍団に入った方が良いアルかね？」
零「え……そんな……
私、シンディーさんと……一緒に、頑張りたい、な……」
シンディー「そうか、ゼロの姉様も……。
わかったアル。ゼロ、一緒に頑張るネ」
零「うん……ありがとう……」
ﾃｯﾃﾚｰ♪
Noble Temptation にブリジット・ウォン、シンディー・ウォンが加わりました。
シンディーに零フラグが立ちました。
シンディー「ちょっ、そんなの立ってないアル！
ゼロもそこで赤くなっちゃダメアルヨ！」
〜
・Turn「ローズ軍団」
１号「お嬢様。新たな軍団も現れた事ですし、
私達も新たなメンバーを加えてみてはいかがでしょう」
ローズ「このワタクシがあのような美しくない者達に後れをとると言うの？」
１号「いえっ。決してそのような。
ただ、いざ正面からぶつかるとなった際に、
相手がこちらの倍もいるとなるとお嬢様にご負担が」
ローズ「大した事はありません。と言いたい所ですが、
それでは戦いの中で美しさを保てなくなるかもしれませんわね。
良い判断ですわ、１号」
１号「ありがとうございます」
ローズ「それで、目星はついていますの？」
１号「２号が心当たりがあるとかで、今出掛けている所なのですが」
２号「ただいま戻りました、お嬢様。
心強いメンバーを連れてきましたわ」
ジョーカー「ローズ嬢、ご機嫌麗しゅう。
どうだろう。私の頭脳を貴方の元で役立ててみる気はないか？」
ローズ「そうですわね……どう思います、１号」
１号「ジョーカー様ならば、実力的にも参謀としても申し分ないかと」
ローズ「わかりました。ジョーカー、アナタの力と知恵、
このワタクシの元で存分に振るうと良いですわ。光栄に思いなさい。
……それで、どうしてその子がそこにいますの？」
２号「はあ、それが……共に連れて行けとおっしゃられまして」
ソフィア「フッフーン。ローズ、今、困ってるんでしょう。
特別に私の力を貸してあげてもいいわよ」
ローズ「……１号」
１号「は、その……人数がいて、困る事は無いかと」
ローズ「まあいいですわ。好きになさい」
ソフィア「しょうがないわね〜。それじゃ、私の力を見せてあげるわ」
１号（これで５人集まりましたが、ソフィア様はともかく、
ジョーカー様の行動には注意を払うべきでしょうね）
２号（ウフフ。いざという時には共に動いてくれるよう、
ジョーカーには話をつけてあります。
この混乱を利用し、下剋上を果たして見せるわ）
１号（ああ、２号、貴方が何を考えているか、私には丸分かりよ。
でも私には、逆に貴方がジョーカー様に利用されているような気がして心配でならないわ）
ﾃｯﾃﾚｰ♪
ローズ軍団にジョーカー･レディ、ソフィア･リチャーズが加わりました。
という訳で各ユニットにメンバーを増やしました。
田女や東女が使わなさそうなキャラを入れてみましたよ。
せっかくエディットしたのにもったいないからね。
先週末のＨ市は軍団抗争が熱かったので、
（特に扱ったのがノーブルvsハリケーン、正義タッグvs緑のエース＆スーパースター（笑））
ＩＬとヒール軍も絡めていこうという事で、５〜６人に拡充。
ある程度人数いた方が、組み合わせのバリエーションが増えて転がしやすいようで。
そんな中、ヒール軍の名称が「Blood Chain」に変わりました。
元々フェアリーのリプレイ用に考えてたんだけど、先行発表です。
村上姉妹はまさに血の鎖で繋がってると思うんだぜ。
ウォン姉妹もどっかに入れたいなと思っていて、
そういや姉様はサディスト全開じゃないかと思い出し、ノーブル入りに。
シンディーと零は姉への気苦労でシンパシーを感じた模様（笑）
基本的にメンバー構成は自分の趣味なんで、団体の枠なんか飛び越えまくりだぜ。
石川さんですが、よく考えたらパワースラムが得意技としてあるんだからアバランシュプレスはいらんだろ、
という事で、ジャンピングボムと技交換。
それにより得意技に秩父セメントが昇格。ますます田上化（笑）
今後、予告無しに得意技が変わってる時がありますが、まああまり気にせずに。
ユニットと選手データはこちらに。
いい加減選手が増えてきて文字じゃわかりにくくなってきた気がするんで、
早いとこチャンプから譲り受けたキャプチャーボードをつけないと。
〜
そういやここまで、ウチの主役が登場していないじゃないかと疑問をお持ちの貴方！
いよいよ次回、関東圏のゴタゴタが東北の片田舎にも伝播しますｗ
そうそう。
それに伴って、フェアリーにおけるあるユニットの中心人物に、
悪の華・SIHOさんを据えたいんだけど……いいのかしらね？
やはりあの子に関しては第一人者（笑）がいるんでなかなか腰が引けてしまうんだけど、
リプレイ中では絶対王者を初めて破ったあの子が、ユニット的にどうしても必要なのよね。
という事でガイヤー（違）の使用許可を緑のマスクのいいオトコにｺｿｰﾘ打診しておこうｗ
まあ俺は基本的に、他所とかぶった選手は
交流戦では表に出さないで自宅でいじるだけにしてるんで（一部除く）、
ＲＯＡの社長も選手のかぶりとかは気にせずに参戦するといいよｗ
そういう意味では維新軍にコンバットな斎藤さんとか入れてもいいんだけど、
いまいちどんなキャラにしていいのか想像できないぜ（笑）
|
「NobleTemptation」（以下ノーブル）が一番星プロレスに参戦を表明した翌シリーズ。
この日、後楽園プラザで行われている一番星プロレスの興行は、やはり外敵であるノーブルと一番星プロレスの各ユニットとの対決を軸としたカードが組まれていた。
第４試合。
タッグマッチではあったが、ノーブル側は試合に出る２人以外の４人もリングの周りをずらりと取り囲んでおり、試合開始前から不穏な空気が漂っていた。
そして次のタイタン有明の興行において、
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ある日の興行。 興行の開始をリングアナウンサーが告げた直後、周囲を威嚇しながら花道を入場してきたのは、『BloodChain』の面々だった。 「オイ越後っ！」 リング中央でマイクを手にした千秋が叫ぶ。 「オメー、伊達を潰すなんて威勢のいい事言ってた割にはよ。結局何もしてねーじゃねーか！ 話題もアタシらや芝田達に持っていかれてよぉ。結局オメーがやりたかったのは、お山の大将かよ。あぁ！？」 この千秋の挑発に、越後達『倒爆維新軍』の面々も飛び出してきた。 「黙れ千秋っ！ お前などに私達の志がわかるものかっ！」 「ハッ！ なぁ〜にが志だよっ！ んな甘っちょろい事ばっか言ってっからテメーはトップ取れねえんだよ！ どんな手を使ってでも伊達をぶっ潰す、くらい言えねえのかよ！ 維新軍なんつったってな〜んにも変わっちゃいねえ。ただ寄り集まっただけじゃねーか！」 「貴様が言えた事かあぁっ！」 お互いマイクを投げ捨てると、リング上で両軍入り乱れて揉みくちゃになる。 数分後、各陣営それぞれコーナーに下がり、睨み合いとなる。 「越後っ！ セミのタッグで、ぶっ潰すってのはどういう事かアタシらがしっかり教えてやるから、覚悟しとけやっ！」 「その言葉、そっくりそのまま貴様らに返してやるっ！」 遺恨を残したまま、一旦リングを後にする各陣営。 そして、興行は進み、因縁のセミファイナルを迎える。
「倒爆維新軍」 越後しのぶ・近藤真琴
序盤の流血が響いたか、最後は八島のサソリ固めに捕らえられ、ピクリとも動かなくなりレフェリーの判断で試合終了を告げられてしまった越後。近藤と北条の肩を借り、リングから引き上げる越後の背にリング上の千秋からマイクを通して声が飛ぶ。 その後、千秋の挑発に激昂した真田が一人リングに飛び出していき、逆に袋叩きにあったのは、また別のお話。 |
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「ねえ、１号。これからはパワーの時代だと思うの」 また２号が変な事を言い出した。それが、彼女の言葉を聞いたファントムローズ１号が最初に抱いた感想だった。。 「私、お嬢様に負けないパワーを手に入れて見せるわ。そうすれば、いずれはＧＷＡは私のもの。ウフ、ウフフフフ……」 想像、と言うより妄想の翼を広げてしまった２号を見て、１号は深い溜息を吐く。こうなると、２号はなかなか現実に戻ってこない。 いつも何か突拍子も無いことを思いついては、お嬢様にオシオキされているのに、どうしてこの子はこうも懲りないのだろう。１号はある意味で２号が羨ましくもあった。
それから一週間後。今日はファントムローズ２号とシンディー・ウォンのシングルマッチがある。久々のシングルマッチという事で、２号は張り切っていた。
いつの間に依頼していたのか、２号の入場の際に新しいテーマ曲がかかる。ノリノリの２号は花道から姿を現すと、胸元に仕込んでいた小ぶりのメロンを取り出し、片手でグシャリと握り潰して観客席にパワーをアピールした。
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「一番星プロレスに？」 社長の唐突な言葉に、成瀬唯は思わず問い返した。 「うむ。一番星プロレスから野村くんと真壁くんがウチに遠征に来て、もうすぐ１年。彼女達の遠征期間もそろそろ終わりだ。そこで、ただ普通に凱旋させるするのもなんだし、彼女達２人とさらにウチから３人を加え、ユニットを作って先方に乗り込もうと思う。ちょうど先方は軍団抗争の真っ最中だしな。一つくらい増えても、わからないだろう。ハハハ」 「わからん訳ないやろっ」 そう突っ込みつつ、成瀬は会議室（という名の食堂）にいる面々を見回した。今ここにいるのは、社長と社長秘書の霧子を除くと、５人のプロレスラー。自分と同じフェアリーガーデン所属の、フェアリー保科と渡辺智美。一番星プロレス所属の野村つばさ（フェアリーガーデンではアプリコットつばさとリングネームを変えている）と真壁那月。そして自分、成瀬唯である。 「しかし、普通に乗り込んで数あるユニットの中に埋もれてしまっても面白くない。そこで、君たちにはキャラ作りをしてもらい、あちらのお客さんにインパクトを与えてもらいたい」 「キャラ作りってどんなの〜？」 社長の適当な思い付きにも素直に食いつくのが可愛い所やな、とニコニコしている渡辺を見て成瀬は思う。 「うむ。では、まずは渡辺くんから。渡辺くんには『Ｂ×Ｂトモミ』というリングネームで、ダンサーキャラになってもらおう。入場時には必ずダンスタイムを設けよう」 「うわ〜っ。それいいね、すごくいいなっ」 手を叩いて素直に喜ぶ渡辺。 「別に今とあんま変わってへんような……。それに、どっかで聞いたようなキャラやな」 「ちなみにＢ×Ｂはビッグなバスげふっ！」 「言わせないわよっ！」 社長が下ネタを言い終える前に、真壁のツッコミが社長の胸を打ち抜いた。自分より先にツッコミを入れた真壁に驚きつつ、この子もだいぶウチに馴染んだなあ、と成瀬は感慨深げに頷いた。 「げほげほ……。まあ、それはおいといてだ。次は成瀬くん。君は野球選手キャラでいこう。『セカンド唯』だ。必殺技はタイガースドライバー」 「そやな。ウチも別企画でちょうどセカンドやってたし……って、なんでやねん！」 ついノリツッコミを入れてしまった成瀬を、真壁が感心したように見ている。 「え〜、次は保科くんだが、保科君にはイタリアンギミックをお願いしよう。リングネームは『ＨＯＳＳＩＮＡ』だ」 「イタリアンですか〜。私に似合いますでしょうか〜」 「語感だけで選んでるやろ、社長」 およそスピードスターとは対極の位置にいる保科である。ある意味、そのゆったりとしたロープワークは他には無い特長ではあるが。 「まあウチの子達はこんな感じで。後は、野村くんと真壁くんだが」 「えっ、あたしたちもやるの……やるんですか？」 驚いて尋ねる野村。 「もちろん。君達がウチに来て、一回り成長したという所を見せないといけないからな」 「なるほど〜」 小手先のギミックチェンジで成長になるんかな、と思った成瀬だが、野村が素直に感心しているので黙っている事にした。 「では真壁くんだが……真壁くんと言えば、エレガントだ」 「フ、フンッ。当然の答えね」 真壁が優雅に後ろ髪をかき上げる。 「そこで、真壁くんには王女キャラをやってもらおうと思う。『アンジェリカ・Ｍ・那月』だ。これからは存分にエレガントに戦ってくれたまえ」 「わ〜。いいな、なっちゃん。王女様だって」 「ま、まあ、社長にしては見る目があるじゃない。フフンッ」 真壁の小鼻がピクピクと震えている。なかなか気に入ったようだ。アンジェリカって誰やねん、とツッコみたい成瀬であったが、そこはグッと言葉を飲み込んだ。 「さて、最後は野村くんだ」 「はいっ」 「なかなか決まらなかったんだが、昨日の晩、布団の中で思いついたぞ。まずリングネームは、『野村ツバサ』でいこう」 「む〜。なんかそのまんまだなぁ」 むくれる野村。成瀬に一瞬不安がよぎる。 「キャラクター的には……野村くん。あと３０ｋｇ太ってくれ」 「……へ？」 「『ぷにぷにっく☆シスターズ』として、ふっくらキャラで売り出そう」 「……そ、そんなのイ〜ヤ〜〜〜ッ！」 結局、代案の絶倫キャラ『ドン・ツバサ』も野村に拒否された為、妖精達のキャラ付け作戦は失敗に終わったのだった。
「あ〜あ、残念〜。Ｂ×Ｂトモミ、やりたかったのにな〜」
フェアリーガーデン 野村・真壁壮行試合
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「今日は、絶対に負けられない……」 いつも騒がしい藤原にしては珍しく、リングシューズの紐を結びながら、静かに気合を入れる。 「ううん。負けないだけじゃない。もう２度と、あんな姿を子供達の前で見せられない。だって私は、正義のヒロインなんだからっ」 藤原は、ギュッと唇を噛み締めた。
事の起こりは前大会。NobleTemptationとの６人タッグを戦った藤原たち正義軍は、ノーブルのセコンド、寿千歌に所々で足を引っ張られながらも優勢に試合を進めていた。
「……くっ！」 〜
「さあて。今日はどんな風にあの子達を啼かせてあげようかしら。ウフフ……」
「星プロ正義軍」 ペガサス藤原・沢崎光・橘みずき組
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この日行われた「IceLocks」と「BloodChain」の６人タッグマッチ。最後は一人キャリアの浅い富沢が攻め込まれ、ＩＬが敗北を喫した。 試合後、マッキー上戸がマイクを手に取った。 「アタシさあ。この団体で、どーしても気に入らないヤツがいるんだよな。……オマエの事だよ、内田ぁっ！」 突然名指しされた内田だが、驚いた様子も無い。ただ片眉をピクリと動かしただけだった。 「オマエ、アイスガールとか言われてんだってな。クールを気取ってんだろ。アタシ、そういうヤツが一番キライなんだよっ。だいたい、本当にクールなヤツは『ラッキーキャプチャー』なんて叫ばねえだろっ。なんだよラッキーキャプチャーって。アホかっつーのっ！」 言いたい事だけ言って、上戸は内田に向かってマイクを放り投げる。内田はマイクをキャッチすると、深い溜息を吐いた。 「アホにアホって言われる事ほど、虚しい事はない無いわよね」 「なんだとテメェッ！」 「でも、ちょうど良い機会だから、私も言わせてもらうわ。私も貴方が大嫌いなの。リングの上でも下でも大声で喚き散らすし、試合もただそのデカイ図体に頼ってるだけで技術の欠片も無い。なんで貴方みたいなのがウチに上がっているのか、不思議でしょうがないわ」 「テ、テ、テメエーーーッ！」 怒髪天を突いた上戸が内田に突っ込んでいくが、内田はそれをヒラリとかわす。 「ただ、お互い気に食わないって所だけは意見が一致したわね。案外、貴方と私、気が合うのかもね。……なんて、そんな訳無いか。それじゃね、おバカさん」 内田は言いたい事を全て吐き出すと、さっさとリングを下りてしまった。普段口数のそれほど多くない内田がこれほど饒舌に相手を挑発したのは珍しく、記者も観客も、皆呆気に取られていた。怒りが収まらない上戸は内田を追いかけようとするが、周囲に止められる。控え室に戻ってもその怒りは収まらなかったようで、しばらく物凄い物音が外へ響いていた。 翌日、上戸の要求により、タッグマッチではあるが二人の対戦カードが組まれた。これが後に日本最高峰と言われる事になるタッグチームの誕生へと繋がっていく事を、この時はまだ誰も知る由もなかった。
「IceLocks」 ラッキー内田・イージス中森組
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「NobleTemptation」と「ローズ軍団」による６人タッグマッチが行われたこの日。 試合自体はブリジットが１号を沈めノーブルが勝利を収めたのだが、しかし各ユニットのリーダー格である芝田とローズは試合の流れを他所にこの日も激しくやり合っており、一応の決着がついたにも関わらずまだリング中央で睨み合っていた。 「残念でしたわね。貴方達の負けですわよ」 「ワタクシのメイドを倒したくらいで勝ったおつもり？ これだから島国の人間は器が小さくてイヤなのです」 「メイドの教育もロクに出来ない主に問題があるんじゃありませんの？」 ほぼ同身長の二人は、胸と胸を押し付けあうどころか、鼻の頭を互いにくっつけ合うほどの超至近距離で視殺戦を繰り広げている。背後でこの日３カウントを取られた１号が言葉のトゲに刺されて打ちひしがれているのを２号が慰めている様子は、二人の目には入っていないようだ。 「前から言おうと思っていたのですけど。リングに女王は二人も必要ありませんわよね」 「あら、珍しく意見が合いましたわ。女王とは、最も強く、気高く、そして美しい、至高にして究極の存在！ もちろんその称号を得る事ができるのは、ただ一人のみ」 二人のやりとりに、会場がざわつき始める。ユニットのリーダー同士の一騎打ちが実現すれば、当然それに敗れたユニットは大きく勢いを削がれ、解散や空中分解もありうるだろう。会場中が事の成り行きを固唾を飲んで見守っていた、その時。 「ちょっと待ちなさいよっ」 今にも弾けそうな緊張感の中だというのに、そんな事を微塵も感じていないような場違いな声。それは、予想だにしない所から上がった。 「勝手に二人だけで女王なんて決めないでよね。美しさと気品を兼ね備えた最高の女なら、ここにもいるでしょう。フフン」 エプロンに上がり長い髪をかき上げたのは、この日ローズ軍団のセコンドについていたソフィア・リチャーズであった。自信満々で登場したソフィアだが、会場からは失笑が漏れる。 「な、なんで笑うのよーっ」 顔を真っ赤にして両手を振り回して怒るソフィアに、会場がドッと沸いた。リング中央で渦巻いていた緊張もいつの間にか霧散してしまっている。 「そうでわ。その子の言う通りですっ」 突然そう言ってエプロンに上ったのは、こちらもノーブルのセコンドについていた寿千歌であった。 「つまり、これはいわば財閥令嬢ＮＯ．１決定戦。となれば、この私を差し置いて勝手な話をされては困ります。その称号は……あの女ならともかく……他の者に渡す訳には参りません。私にこそ相応しい称号です。そうですね、零」 「え……あ……はい」 千歌の発言で、一気にスケールが小さくなってしまった。零も姉とリング中央を交互に見ながら、あいまいに頷く。 「……なんだか、気が抜けてしまいましたわ」 芝田が溜息を吐き、肩を落とす。 「いずれ貴方を美しく散らせて差し上げましょう。楽しみに待っているとよろしいですわ。」 ローズも同様だったのか、芝田にそう告げると背を向け、リングを後にする。場内も、膨れ上がった期待が急速にしぼんでいき、微妙な空気になっていた。そんな中、ソフィアと千歌だけは、自らを差し置いての女王決定に待ったをかけた事に、ご満悦といった表情を浮かべていたのだった。 後日発表されたカードは「芝田・千歌組 vs ローズ・ソフィア組」というこの日の流れを受けたものであったが、しかしそれを女王決定戦と見る者はまずいないであろう。 ……約２名を除いては。
「NovleTemptation」 芝田美紀、寿千歌組
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「どういう事だっ」 発表されたカードを見て、越後は思わず怒鳴る。メインイベントである正義軍と維新軍との６人タッグマッチ。正義軍側にはもちろん伊達遥の名がある。しかし維新軍側に、越後しのぶの名は無かった。 「私が社長に掛け合ったのです。しばらくは、越後さんと伊達さんの対戦は組まないようにと。例えタッグでも」 北条が淡々と答える。その襟首を、越後は乱暴に掴んだ。 「北条っ。どういうつもりだ、貴様っ」 「万が一にでも、貴方が伊達さんに３カウントを取られるような事があっては困るんです」 「お前は私がアイツに負けると言うのかっ」 「……逆に尋ねますが、貴方は１００％伊達さんに敗れる事は無いと言い切れるのですか」 「ぐっ……」 越後は言葉を飲み込むしかなかった。現在の維新軍の苦境は、自らの敗戦が招いた事なのだから。 「私たちに求められているのは、絶対王者・伊達遥からの完全なる勝利。それ故に、今の貴方に私達の命運を託す事は出来ないと私は判断しました。……納得できないと言うのなら、抜けてもらっても結構です」 「なんだとっ」 「練習がありますので、私はこれで」 「待て北条っ。……くそっ！」 振り返る事無くその場を去る北条。小さくなる背中を見ながら、越後はドンと壁を殴りつけた。 「彼女なりに我らの明日を憂いての判断なのだろう」 背中に降り注ぐ凛とした声。越後が振り返ると、柳生美冬が静かに佇んでいた。 「そなたは我ら維新軍の柱。しかし、いくら太い柱でも、その根っこが揺らいでいれば倒す事は容易い。今そなたが倒れれば、せっかく灯した維新の火が消えてしまう事となる」 「貴方も私が敗れると思っているのですか」 「そうは言わん。しかし、心が揺らいだ状態で勝てる程甘い相手ではないのであろう、伊達遥は」 前回のＢＣ戦での敗北から、越後が精彩を欠いているのは誰の目にも明らかであった。 「焦らずとも良い。決戦の場はまだ先なのだから。そなたはまず、自分を取り戻す事だけを考えよ。北条もそれを望んでいる」 柳生の言葉を、越後は唇を噛み締めながら黙って聞いていた。 〜
「しのぶ……出ないんだ」
「正義軍」 伊達遥、滝翔子、ミネルヴァ石川組
この試合後、再び勢いを吹き返した維新軍。しかしそれと同時に、維新軍内部の序列もまた、これまでの一般的な認識から見直すべき時期にあるのかもしれないという感想を持った観客も少なくはなかった。 |
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『フェアリーガーデンの選手の中でも、今回参戦する３選手は皆サブミッションを得意としていますが、手合わせをしてみたいというのはありますか？』 『いえ、別に。彼女たちとでは、目指す所が違うでしょうし』
プロレス誌のインタビューへのラッキー内田の言葉である。それが意図しての物かどうかはわからないが、この言葉により、
通路裏で入場を見つめている富沢。扉の向こうでは、リング上で渡辺智美が曲に合わせて激しいダンスを披露していた。
「よろしくね〜」
「IceLocks」 富沢礼子、カンナ神威、ギムレット美月組
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「う〜」 落ち着かないのか、つばさは先ほどから控え室の中をずっとうろうろしている。 「少しは落ち着きなさいよ。私まで気が散るじゃない」 真壁が優雅に紅茶を啜りながら、片眉を上げる。 「そんなこと言ったって。まさか帰ってきていきなりしのぶ先輩と戦う事になるなんて、思ってなかったんだもん」 この日、二人の凱旋試合の対戦相手は、越後しのぶが務める事になっていた。 「少し考えればわかる事じゃない。そういう役回りはだいたいしのぶ先輩でしょう」 「……そうかもしれないけど〜」 「むしろこれはチャンスよ。今のしのぶ先輩は明らかに調子が悪い。私たちがこの試合を勝てば、この１年間の遠征が無駄じゃなかったって証明になるし、それを足掛かりに一気にトップ戦線に」 「しのぶ先輩はそんな簡単な相手じゃないもんっ！」 いきなりつばさが大声を上げたので、真壁は思わずビクンと反応し、紅茶がカップから零れ出てしまった。 「あっつーいっ！ もう、急に大声出さないでちょうだいっ」 「ご、ごめん」 「それに、どうして貴方が怒るのよ。貴方もプロなんだから、しのぶ先輩を乗り越える、くらいの事は言ってみなさいよ」 「……うん」 一応頷いてみせたつばさであったが、その表情は複雑であった。
「……ふふ」
「倒爆維新軍」 柳生美冬、越後しのぶ組
〜試合後〜
「やったーっ！」 翌日。一ヵ月後の後楽園プラザでのメインで、「北条沙希 vs 越後しのぶ」のシングルマッチが発表された。そしてこの日、越後しのぶは一番星プロレスから姿を消した。 |
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「よう、零。こうしてお前とリングで向かい合う時が来るなんてな」 「…………（コクッ）」 オーガ朝比奈と寿零。レスラーの中でも恵まれた長身を誇る二人の女性が、リングの中央で向かい合っている。零の師匠の一人でもある朝比奈。思いがけない再会に、朝比奈はマイクを通さず、お互いにのみ聞こえる声で語りかける。 「まさかまた、お前があのお嬢ちゃんの所に戻るなんてな。オレはずっと一人だったからよくわかんねえけど、姉妹ってのはそこまでしなくちゃいけないもんなのかよ」 朝比奈がリング下にチラリと目をやると、千歌がセコンドとして陣取っていた。 「お前、ヒールってガラじゃねえだろ。どうせあのお嬢ちゃんに無理矢理引っ張り込まれて」 「違う……」 朝比奈の言葉を、零は首を横に振って遮る。 「……あの時……お姉様は、私に戻ってきてほしいって、言ってくれた。……お姉様、泣いてた。……私の事……澪って、呼んでくれた……。だから……」 零は親友である小鳩に別れを告げ、千歌の元に戻る事を決めた。小鳩もそれを笑顔で了承してくれた。それから、プライベートでは、千歌は零を澪と呼ぶようになった。零には、それで十分だった。 「私は……お姉様を、守る」 いつも姉の影に怯えおどおどしていたあの頃とは違う、零の真っ直ぐな瞳。朝比奈は肩を竦めた。 「ま、お前がそれでいいって言うなら、オレが口を挟むことじゃねえわな」 朝比奈が視線を横に移す。そこでは村上姉妹とウォン姉妹が睨み合っていた。 「おう、テメエら最強の姉妹とか吹いて回ってるらしいじゃねえか。調子乗ってんじゃねーぞ、あぁん？」 「フン。三下が何か喚いているわね。汚い唾を飛ばさないでちょうだい」 「んだとコラァ！」 ゴング前に殴り合いを始めそうな千春とブリジットを、千秋とシンディーがなんとか押さえつけている。 「ったく。どこも姉ってのはああいうもんなのか？ 何が良いんだか、オレには全然わかんねえぜ」 朝比奈のぼやきに、零がクスリと微笑む。 （コイツ、こんな風に笑えるようになったのか） とうとう制止を振り切り、千春がブリジットに殴りかかった。慌ててゴングが打ち鳴らされる。
「BloodChain」 オーガ朝比奈、セイレーン千春、マーメイド千秋組
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「な〜に固くなってんの」 沢崎にポンと肩を叩かれ、相羽はビクンッと体を震わせた。 「わっ。び、ビックリしたぁ。驚かさないで下さい、光先輩」 「なに、緊張してるの？」 「そりゃ緊張もしますよ。だって、相手はＡＡＣのナンバー２ですよ。ボクなんかで通用するのかなって」 今日の沢崎、相羽組の相手は、ジョーカー・レディ・ファントムローズ１号組。まだキャリアの浅い相羽にこのようなカードが組まれるのも、軍団抗争中故であろうか。 「別に難しく考える事無いよ。和希はいつも通り、真っ直ぐ向かっていけばいいんだよ。後はわたしがフォローするからさ」 沢崎が相羽の頭を撫でる。照れ臭そうにしながら、相羽は沢崎に満面の笑顔を見せた。 「は、はいっ。ボク、頑張りますっ」 その笑顔が、沢崎には少し眩しく感じられた。 （わかってないんだろうな、この子。こんなに早くトップクラスの外国人と戦えるっていうのが、どれだけ貴重な経験なのか）
「今日の相手は新人ちゃんか。フフ、どんな声を聞かせてくれるのかな？」
「正義軍」沢崎光、スターライト相羽組
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静寂に包まれた武道場。一人の女性が目を閉じ、正座をしている。やがて、女性はゆっくりと目を開く。その瞳には、一片の曇りも無い。 「……行くのか」 その背に、年輪を重ねつつも力強さに満ちた声が掛けられる。 「はい、お爺様」 女性……越後しのぶは翁に向き直り、一礼した。 「ふむ。迷いは拭えたようじゃな」 「はい」 しっかりと頷くしのぶ。 「お主自身が決めた道じゃ。信じるままに行くが良い」 「ありがとうございます。お爺様」 しのぶはもう一度一礼し、立ち上がる。その目は遠い決戦の場を見つめていた。 〜第一部・完〜 |