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『レッスル学園にようこそ!≪生徒適性試験♪≫』

私立レッスル学園。
文武両道を掲げる、伝統ある乙女の園。
どこかで聞いたことのある設定なようだが、気にしてはいけない。

4.幼なじみにしたい人は?(先輩・同級生・後輩のどれかとして)

??「起きなさい」
羽子「う〜ん……」
??「ちょっと、起きなさいってば。遅刻するわよ」
羽子「ん〜……あ、なっちゃん……おはよ……」
那月「ようやく起きたわね。
 まったく、ギリギリまで寝ているなんて、優雅さの欠片もないわね。
 朝日の中でゆったりと目覚めの紅茶を楽しむのが私の日課なのに、
 貴方のお陰で毎朝余裕がなくなってしまうじゃない」
羽子「……ん〜……おやすみ……」
那月「だから寝るなって言ってるでしょ!」
 ビシッ!
羽子「ぎゃうっ!」

私の名前は大鷹羽子。私立レッスル学園の2年生。
そして今私を叩き起こしたのが、隣に住んでいる、幼馴染の真壁那月。一つ年下の一年生。
黙っていればお人形みたいにかわいらしいのに、口を開くと地が出てしまう、
典型的な金髪ツンデレ娘。

那月「貴方。今何か失礼な事考えたでしょう?」
羽子「か、考えてないよぅ」

11.生徒達に着て貰う学園の制服はブレザーまたはセーラー服?

那月「ほら、さっさと着替えちゃいなさいよ。
 遅刻なんてエレガントじゃない事を私がするなんて、許されないんだから」
羽子「わ、わかったってば」

私は急かされながら、慌てて制服に着替える。
私がこの学校を選んだ理由は、
もちろん歩いていける距離にあるというのも大きいけれど、
制服のかわいらしさもその一つ。
半袖のセーラー服に白い長手袋、
膝上のプリーツスカートに白いオーバーニーソックスの着用が義務付けられている。

羽子「なんか、エロゲーの制服みたいよね、これ」
那月「は?エロゲー?」
羽子「な、なんでもない」

2.頼れる先輩になってもらいたい人は?

那月「ほら、急ぐわよ」
羽子「なっちゃん、早すぎっ。そんなに急がなくったって」
那月「何言ってるの。ギリギリに到着なんて、私のプライドが許さないわ」
羽子「あ、なっちゃん、危ないっ」
那月「え?」
 ドンッ!
那月「キャッ」
羽子「だ、大丈夫?」
不良A「おうおう、どこ見て歩いてんだテメェ」
羽子「あ、典型的な不良」
那月「それはこっちのセリフよ!
 貴方こそ、どこを見て歩いていたの?
 それに、女の子が倒れたら手を差し伸べるのが礼儀でしょう」
不良B「なんだぁこのガキ。ケンカ売ってんのか」
不良C「お、この制服、こいつらレッスル学園の生徒じゃねえか。
 しかもよく見りゃなかなかかわいい顔してやがる。チンチクリンだけど」
那月「ち、チンチクリンですってーっ!」
不良A「よし、お前等これからちょっと付き合えよ。
 そしたら勘弁してやってもいいぜ」
那月「冗談じゃないわっ。どうしてこの私が、エレガントさの欠片もない貴方達なんかに
 付き合わなくちゃいけないのよ。鏡を見て出直してらっしゃい!」
羽子「だ、ダメだよなっちゃん、怒らせちゃ」
不良A「テメエ、いい気になってんじゃねえぞガキがっ!」
羽子「きゃあっ」
那月「くっ」
 ガシッ。
羽子「あ、あれ?」
??「なんだ、朝から物騒だな」
羽子「あ……き、来島先輩っ」
来島「よっ」

 殴りかかる不良の手を掴んだのは、来島恵理先輩。
 3年生の、ウェイトリフティング部の部長さん。
 大きくて頼りがいがあって、下級生にすごく人気がある先輩だ。

不良A「いてて、この、放しやがれ」
来島「女に手を上げるたぁ、情けない不良もいたもんだな」
不良B「なんだとっ。このオトコ女がっ」
来島「……あ?」

 ドカ、バキ、グシャ、バガーンッ!

来島「ったく、失礼な野郎だぜ」
羽子「あ、ありがとうございますっ。来島先輩っ」
来島「ああ、気にすんなよ。たまたま通りかかっただけだからさ」
那月「わ、私は別に、助けなんて……!?あ、危ないっ!」
来島「ん?」

 来島先輩の背後で、不良Cが懐から取り出したナイフを振り上げていた。そして、次の瞬間。
 キュッ。
 不良Cが、白目を剥いて地面に崩れ落ちた。
 その背後から、フルフェイスのヘルメットを被ったライダースーツの女性?が現れた。

??「油断したわね、恵理」
来島「ああ、南。サンキュ」

 女性がヘルメットを取ると、切り揃えられた黒髪がはらりと宙を舞う。
 来島先輩と同じ3年生の、ツーリング同好会の南利美先輩だった。

南「一人で対処できないなら、厄介事に首を突っ込まないでちょうだい」
来島「んだよ。あんなのカウンターのラリアットで一発だっての」
南「ま、いいわ。それより、急ぐわよ。着替える時間がなくなってしまう」
来島「だったらそんな格好で来なきゃいいだろ」
那月「あ、あのっ。ありがとうございました、南先輩っ」
来島「……なんか、オレの時と反応違わね?」
羽子「すみません。なっちゃんは南先輩のクールな所に憧れてますから」
那月「な、ちょっ、何を言うのよ貴方はっ」
南「礼はいらないわ。恵理に付き合って遅刻したくなかっただけだから。それじゃ」
来島「じゃ、先に行くけど、お前らも気をつけて来いよ」
羽子「は、はいっ。ありがとうございましたっ」

 南先輩は来島先輩をバイクの後ろに乗せて、颯爽と走り去っていった。

那月「……悔しいけど、クールでステキよね。南先輩」
羽子「うん。来島先輩もカッコ良かった。
 ところでさ。ウチの学校って、バイク通学OKだっけ?」
那月「さあ。18歳なら免許取れるし、いいんじゃない」
羽子「でも南先輩、昨年からバイクに乗ってたような……」

10.委員会に所属して仕事をするならどこに誰と一緒に?

那月「もう、貴方がもたもたしているから、こんな時間になっちゃったじゃないの」
羽子「なっちゃんが不良に絡まれるのがいけないんでしょ」
那月「まあっ、私のせいにするつもり?」

 時間ギリギリに校門に辿り着いた私たちを出迎えたのは、
 門の前に仁王立ちしている、同級生の風紀委員、越後しのぶだった。

しのぶ「遅いっ」
羽子「え〜っ。間に合ったのに」
しのぶ「間に合えば良いというものじゃない。
 常に余裕を持った行動を心掛ける、それが学園の風紀を守る事に繋がるんだ」
羽子「も〜。朝から堅苦しいなあ、しのぶは」
しのぶ「お前がルーズ過ぎるんだ。だいたい、お前も風紀委員だろう。
 お前がしっかりしないと、他の生徒に示しがつかん」
羽子「だって、朝は弱いんだもん」
しのぶ「お前なあ」
 と、その時。髪の毛をピコピコ揺らしながら、校門へ走ってくる少女の姿が。

3.可愛がる後輩にしたい人は?

??「うわーん、ちこくちこくーっ」
那月「あら、つばさじゃないの」
つばさ「あ、なっちゃん、おはよっ」

 この子は野村つばさちゃん。
 那月の同級生で同じクラスのお友達であり、私のかわいい後輩だ。

羽子「おはよう、つばさちゃん」
しのぶ「おはよう」
つばさ「おはようございます、羽子先輩、しのぶ先輩。
 良かった、しのぶ先輩がまだここに居るって事は、間に合ったんだ」
しのぶ「ギリギリだけどな。明日はもっと余裕を持って来るように」
つばさ「はーい。あ、そうだ。羽子先輩。今日の私、どうですか?」
羽子「どうって。今日もかわいいわよ」
つばさ「むー」

 つばさちゃんが頬を膨らませる。しまった、つばさちゃんにカワイイは禁句だった。

那月「あら? つばさ、そのクチビル」
つばさ「さすがなっちゃん。気づいてくれたんだ。
 どう、新色なんだよ。セクシー度200%アップなんだって、エヘヘ」
羽子「あら、本当。かわいい……じゃなかった、大人っぽいわ」
つばさ「本当ですかっ。嬉しいなー」
しのぶ「時に、つばさ。生徒手帳の14ページに何が書かれているか、覚えているか?」
つばさ「え? う〜ん……わかんないです」
しのぶ「学園は学び舎であり、過度の化粧や装飾を身につける事を禁ずる。校則だ。
 この私の目の前で堂々と校則を破るとは、いい度胸だな」
つばさ「あ、ええっ。わ、私、そんなつもりじゃ」
しのぶ「一度お前にはきっちりと話をしなければと思っていたんだ。さあ来いっ」
つばさ「いや〜んっ、許してしのぶ先輩ーっ」

 哀れ、しのぶに引きずられてつばさちゃんは校舎の中に消えていった。

羽子「……私達も行こっか」
那月「そ、そうね」

1.気の許せる同級生にしたい人は?

 時間ギリギリに教室に入った私を出迎えたのは、クラスメイトの渡辺智美だった。

智美「おっはよー、羽子。今日は遅かったじゃん」
羽子「おはよう。本当ね、まさか智美より遅く着いちゃうなんて」
智美「失礼な。私だってちゃんと来るよーだ。三日に一度は」

 今日はたまたま早く来た様だが、智美は遅刻の常習犯であり、
 ことあるごとにしのぶに追っかけ回されている。悪い意味でよく目立つ生徒だった。

智美「で、今日は何があったの?
 今日も那月ちゃんと一緒に来たんでしょ。
 羽子一人ならともかく、那月ちゃんと一緒で遅刻スレスレなんて」
羽子「何か引っかかる言い方ね。まあいいけど。それがね……」

智美「え〜、いいないいな〜。あたしも南先輩に助けてもらいたいな〜」
羽子「良くないよ。怖かったんだから」
智美「そんな事言って、話してる時顔がにやけてたよ。
 嬉しかったくせに〜。このこの〜」
羽子「そ、それはまあ、嬉しかったのは確かだけど」
??「なんやなんや。何の話?」

5.悪友にしたい人は?

 私と智美が話していると、ショートカットの少女が首を突っ込んできた。
 彼女は成瀬唯。1年生から同じクラスの、私の悪友だ。

智美「羽子がバイクに乗った白馬の騎士に助けてもらったっていう話〜」
羽子「智美、なんか違うよ、それ」
唯「そやで。バイクに乗っとったら、白馬やなくてバイクの騎士やんか」
羽子「そういう事じゃなくて」
唯「あ、そや。羽子、例の写真、持ってきたで」
羽子「えっ、本当?」
智美「なになに〜?」
唯「羽子の憧れのお姉さまの写真や。バレへんように撮るん、苦労したんやで。
 何しろ、いっつも取り巻きの親衛隊が見張ってるからなぁ」
羽子「わあ……」

 そこには、演技を終えたお姉様が、レオタード姿で汗を拭く1シーンが切り取られていた。
 その上気した頬に、きらめく汗の雫。思わず見惚れてしまう。

羽子「ありがとう、唯」

 私が写真を受け取ろうと手を伸ばすと、唯がヒョイと取り上げた。

唯「Cランチでええで」
羽子「ええっ」
唯「タダなわけないやろ。親友の為に、大変な思いして撮ってきた一枚やで。
 それ相応の感謝の気持ちを示してくれんと」
智美「さすが唯。ちゃっかりしてる〜」
唯「ちゃっかりちゃうで。しっかりしてるって言うて」
羽子「Cランチはさすがにちょっと。Aランチなら」
唯「じゃ、この話はなかった事に」
羽子「ああ、待って。じゃあ、Bランチ。今月お小遣いピンチなの、知ってるでしょ」
唯「ん〜、ま、しゃあないな。それで手ぇ打ったるわ」
羽子「ありがとう。唯」
唯「ところで。実はここにもう一枚、
 今度は制服姿のお姉さまのベストショットがあるんやけど、どないする?
 セットでCランチ2回分でええで」
羽子「はうっ」

7.先生になって欲しい人は?

 昼休み。授業で分からない所があった私は、職員室へ先生を訪ねた。
 先生方は、各々お茶を飲んだりお昼を食べたりと各々くつろいでいる。

羽子「中森先生」
あずみ「大鷹か。どうした」
羽子「あの、今日の授業で少し分からない所があって。その、ここなんですけど」
あずみ「ああ、ここか。少し駆け足で進みすぎたか?」
羽子「いえっ、そんな事はないですけど」
あずみ「そういう時は、遠慮なく言ってくれてかまわないぞ。
 私の仕事は、お前たちにちゃんと理解させる事だ。
 ただノルマをこなしただけでは、完璧な仕事とは言えないからな」
羽子「は、はい」

 数学の中森あずみ先生の授業は無駄がなく、教え方が上手い。
 今まで数学が苦手だった私も、中森先生に教わるようになって、かなり成績が伸びた。
 ただ、遊びが無いので長時間集中するのは大変。
 それで、こうして後で尋ねに来たりする。
 中森先生はいつ訪ねても、嫌な顔一つせず、私が理解するまで付き合ってくれる。それが嬉しい。
 ……それに、中森先生はすごく大人の女性で。
 長い髪を掻き上げた時に見える白いうなじや、漂う仄かな大人の香りに、ドキドキしてしまう。

あずみ「……という事だ。大鷹、聞いているか?」
羽子「えっ、は、はいっ」
あずみ「どうした、ぼうっとして」
羽子「す、すみません。せっかく教えていただいているのに」
あずみ「少し疲れたか。ここまでにしよう。また後で聞きに来るといい」
羽子「は、はいっ。ありがとうございます」

 バンッ!

羽子「わっ。な、なに?」

 私が席を立つと同時に、職員室の隣の校長室から、大きな物音が聞こえた。

8.生徒会長に推薦するなら誰?

??「まったく、お話になりませんわっ」

 校長室に連なる職員室の扉を開けて出てきたのは、生徒会長の市ヶ谷麗華先輩だった。
 その後に続いて、副会長の北条沙希先輩始め生徒会メンバーも出てくる。

沙希「だから無理だと言ったではないですか」
麗華「何が無理なものですか。足りない分は我が市ヶ谷家が持つと言っているでしょう」
沙希「予算内で運営するのが正しい生徒会のあり方です。
 一生徒の資産で予算を補填するなど、許されるはずが無い」
麗華「その程度の事、どうでもよろしいのですわ。
 あのメリケン金髪娘に大きな顔をされる方が、よっぽど我が学園に傷がつくというものですわ!」

 職員室の中だと言うのに、大声で怒鳴りあう二人。
 いや、正確には大声を上げているのは市ヶ谷先輩だけで、北条先輩は冷静そのものだけれど。
 先生達は苦笑しながらその様子を遠巻きに眺めている。
 まあ、この二人がぶつかり合うのは私でも知っているくらい『いつもの事』だから。

羽子「ねえねえ、美姫ちゃん。どうかしたの?」

 私は、二人の後ろで困った顔をしている、生徒会書記の同級生、秋山美姫にそっと訪ねてみた。

美姫「あら、羽子じゃない。どうして職員室に?」
羽子「私は先生に質問があって。それより、何があったの?」
美姫「それがね。昨日、姉妹校のインターナショナルスクールと懇親会があったんだけど、
 麗華先輩があっちの生徒会長と揉めちゃって」
羽子「あそこの生徒会長っていうと、確か市ヶ谷先輩と同じくらい凄いお嬢様って話だよね」
美姫「そう。ヒューイット財閥の令嬢、ローズ・ヒューイットさん。
 それで、やれウチの体育祭はどうだ、こっちの修学旅行はどこだ、なんてお互いに学校自慢が始まっちゃって。
 二人共プライド高いから、どちらも引かないんだもの。
 結局、次の学園祭でどっちの学校が勝っているか、決めるって事になっちゃったのよ」
羽子「勝っているって、何が?」
美姫「華麗さ」
羽子「華麗さ? どうやって比べるの、それ」
美姫「さあ。私にはわからないわ。ただ、それで麗華先輩が
 『学校中に宝石を散りばめましょう』なんて言い出したもんだから、収拾つかなくなっちゃって」
羽子「キラキラして綺麗かも」
美姫「あのね。出来るわけないでしょ、そんなの」
羽子「それはそうだよね」

麗華「なら、明日までにワタクシを納得させるだけの案を持ってきなさい。
 それが出来ないなら、ワタクシの好きにさせていただきますわよ。
 何と言ってもワタクシは、生・徒・会・長! なのですから。オーッホッホッホ!」

 私たちが話している間にどういう結論に達したのだろうか、
 市ヶ谷先輩は高笑いしながら一人優雅に職員室を出て行った。

沙希「まったく。会長にも困ったものだ」
美姫「お疲れ様です、沙希先輩。大丈夫ですか」
沙希「ああ。まあ、いつもの事だ。さて、それでは私達で会長をねじ伏せるだけの
 対案をしっかり考えなければな。美姫、ついてきてくれ」
美姫「はいっ。それじゃね、羽子」
羽子「うん。またね」

 北条先輩の後に続いて職員室を後にする美姫に、小さく手を振る。
 大変なんだ、生徒会って。特に今年は。

美姫「『華麗』がテーマという事なら、あの方に協力を仰いではどうですか」
沙希「まさか、翔子か? これ以上問題を大きくしたくはないんだがな、私は」

9.部活に所属するならどこに誰と一緒に?

 放課後。私は体育館で、部活動に励んでいた。
 などと言いながら、実際はある人を目で追うのが忙しくて、さっぱり練習に身が入っていなかった。

羽子「はあ……美紀お姉さま、今日もステキ」

 柔軟をしながらも、目線はマットの上で華麗に跳ね回る、妖精を捉えて話さない。
 芝田美紀先輩。我が新体操部のエースにして容姿端麗、家柄も市ヶ谷先輩にも負けないお嬢様。
 私とは住む世界が違うけれど、目で追うくらいはいいよね。

先輩「次、大鷹さん。……大鷹さん?」
羽子「は、はいっ」

 先輩に呼ばれて、慌てて立ち上がる。
 しかし、慌て過ぎていた為か、転がっていたリボンを足で踏んづけてしまった。

羽子「う、あわ、あわわわーっ」

 ゴロゴロゴロ、ズデーンッ。
 次の瞬間、私はマットの上で、リボンの絡まった奇怪なオブジェと化していた。

美紀「まあ。オホホッ」

 う、うわーんっ。美紀お姉さまに笑われちゃったーっ。

6.恋人にしたい人は?

先生「それじゃ、今日はここまでね」
羽子「ありがとうございましたっ」

 練習を終え、先生に礼をする。
 今日の練習は、1・2年生は後半は筋トレ中心だったのだが、
 先ほど美紀お姉さまの前で恥を掻いたショックかさっぱり練習に身が入らず。
 一人遅れ気味だった為、皆が先に帰った後も先生に付き合ってもらい居残り練習をしていたのだ。

羽子「美紀お姉さまみたいに、は無理だとしても、
 せめてみっともない姿は見せないようにしなくっちゃ」

 疲れた体を引きずって、更衣室へ向かう為に再び体育館の扉を開ける。
 すると、意外な光景が目に飛び込んできた。

羽子「あ……お姉さま……」

 静寂の中。美紀お姉さまが汗の雫をきらめかせながら、華麗に舞い踊っている。
 知らなかった。お一人で、こんな遅くまで練習されていたなんて。

美紀「誰!?」
羽子「わっ。あ、あの……す、すみませんっ」
美紀「あら、貴方」

 いきなり振り向いたお姉さまに声を掛けられて、思わず心臓が止まりかけた。
 声を裏返らせて、慌ててその場を去ろうとした私を、お姉さまが手招きする。
 私はおずおずとお姉さまの側に近づいた。

美紀「熱心なのね。こんな時間まで、一人で居残り練習だなんて」
羽子「あ、いえ、その、今日は時間内に終わらなかったから遅くなっちゃっただけで、その……」
美紀「でも、途中で切り上げずに最後までこなしたのでしょう。偉いわ」

 憧れの美紀お姉さまに、こんなに優しい言葉を掛けていただけるなんて……。
 私は感激のあまり、すっかり舞い上がってしまっていた。

美紀「そうだわ。せっかくですもの。ちょっとここで踊ってみなさい。私が見ていてあげるわ」
羽子「ええっ。そ、そんな、お姉さまにお見せするような演技なんて、私、できないです」
美紀「何を言っているの。皆に貴方の演技を披露したいから、この部に入ったのでしょう」
羽子「でも、私……」
美紀「やりもしないで出来ないなどという人は、私の一番嫌いなタイプですわよ」
羽子「あっ、あの、私やりますっ」

 その瞬間、お姉さまがお怒りになられたような気がして、
 私は恥ずかしさを必死で堪え、お姉さまの前で踊り始めた。
 お姉さまの演技に比べれば、私のそれは演技だなどと到底呼べるようなものではなかったけど、
 お姉さまは決して蔑む事も嘲笑う事もなく、私の演技を真っ直ぐに見つめていた。

美紀「技術的にも体力的にもまだまだだけれど、筋は悪くありませんわ」
羽子「ほ、本当ですかっ」
美紀「ええ。貴方はもっと、頭の中で自分の目指す動きを思い描いて踊ると良いわね。
 ほら、手をお貸しなさい」
羽子「えっ、あ、あの」

 お姉さまが私の手を取り、指導してくださる。
 お姉さまが、こんなに近くに。温もりが、直接伝わってくる。
 夢見心地のまま、お姉さまに導かれるがままに体を動かす。
 しかし、それも長くは続かなかった。極度の緊張とすでに一日の練習をこなした疲労により、
 私は足をもつれさせる。

羽子「きゃっ」
美紀「あぶないっ」

 ガシッ。
 気づけば、私はお姉さまの胸の中に抱きとめられていた。
 しっとりと汗ばんだレオタードに包まれたお姉さまの胸に、知らず顔を埋めている私。
 お姉さまの、甘くかぐわしい香りが、鼻腔をくすぐる。

美紀「だいじょうぶ?」
羽子「あ……は、はい……」

 心配そうに私の顔を覗き込む、お姉さまの美貌。
 天上の調べを紡ぐ、花びらのような唇。
 私は、知らず吸い込まれるように……。

??「……起きて……起きてってば……」
羽子「ん〜……」
??「起きろって言うとるやろーっ!」

 ビシッ!

羽子「ぁいたっ!」

 いきなりおでこに衝撃が走り、私は慌てて目を覚ました。

??「お、ようやく目ぇ覚めたか。ホンマ寝ぼすけやなぁアンタは」
羽子「ゆ、唯? あれ、ここどこ? 美紀お姉さまはっ??」
唯「何言うてんねん。ここは保健室や。
 アンタ部活の練習中にぶっ倒れてここに運ばれてきたらしいで」
羽子「ええっ。そっか……あれは、やっぱり夢かぁ」
唯「もう大丈夫なん。頭とか痛ない?」
羽子「う、うん。大丈夫」
唯「なんや、浮かん顔して。そないええ夢見てたん?」
羽子「うん……すごく幸せな……夢見たいな、夢……」
唯「そりゃ夢なんやから、みたいやなくて夢そのものやろ。
 しかしアンタ、ついてるわ。ウチがたまたまこんな時間まで残ってたからよかったようなもんやで」
羽子「こんな時間って、何時?」
唯「もう7時過ぎてるで」
羽子「うそっ! 今日見たいテレビあったのに〜」
唯「親友に礼言う前に、テレビの心配かいっ」
羽子「あ、その……ありがとね、唯」
唯「ええって、別に。言うてみただけやから。さ、はよ帰ろ。
 帰りまでチンピラに絡まれたらイヤやろ」
羽子「うん。それじゃ、一緒に帰ろっ」

  〜続く?〜


12.実際にレッスル学園があったら生徒になりたいですか?

 〜ここから素の自分〜

え〜と……何書いてんだ、俺(^^;
ウチには回ってこないだろうなと思っていた『レッスル学園にようこそ!≪生徒適性試験♪≫』が、
まさかの玉倉かほさんとHIGEさんによるサンドイッチラリアットで回ってきましたよw

この間の10cmバトンで味をしめて?、また掛け合いにしてみようと思ったら、
なんだかよくわからないものが仕上がった。
「レッスル学園は女子校に決まってるぜ!」というのが頭にあったせいか、
なぜか自分を女体化する羽目に(爆)
いや、別に自分モチーフじゃなくて(当たり前だけど)、
とりあえず名前だけ使っただけだけどね。
まあ大鷹は大高に読み替えて読むとSPのあの人を髣髴とさせて良いかもしれませぬな。知らんけど。

ストーリーを追った分、自分の願望よりも、動かしやすい配置になってしまったような気がする。
しのぶの風紀委員は特に。別に風紀委員やりたいわけじゃないし、俺w
でもまあ、しのぶは風紀委員だろうと。なら、やるしかないじゃないか!
先生になって欲しい人は、他にも理沙子さんや涼美姉さん、ナナシーさんとかも頭に浮かんだけど、
まとまらなくなるので省略。
生徒の方でも他にも色々出したかったが、さすがに終わらなくなるし。
ちゃんと次に回さないといけないからね。
恋人に関しては、唯やしのぶで迷ったけど、最終的になぜか美紀姉さまになった。
そんなん選べないYO!

あ、制服は俺の趣味。

本当はリプレイ3に学園モノを組み込もうと思っていたんだが、
企画が丸被りになったため、かなりそっちと融合する形となった。
幼馴染に沢崎、同級生に真田という、熱血青春編もちょっと書きたかったかも。

長々書いていて、肝心の12番の問いの答えを書いてなかった。
もちろん、なりたいです。ただ、自分が女子(出来ればそこそこかわいい子)になる事を前提で。

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