8年目4月 ※2/19更新分へ
六角「プロレス? 私がかい?」
練習を終えた帰り際、突然30手前くらいの男に声を掛けられた。
その男はプロレス団体の社長だと言う。
団体の名は『UTOPIA』。
どちらかと言うと世情に疎い私でも名前を聞いたことがある、良い意味でも悪い意味でも話題の団体だ。
六角「へえ。あの団体の社長さんねえ。
でも、私じゃそちらさんの団体のカラーには合わないんじゃないのかい」
UTOPIAは綺麗どころの選手を揃えていて、芸能関係にもかなり力を入れている。
それは良い意味でも悪い意味でも話題になっており、
トップ選手のスキャンダルがすっぱ抜かれて何度か世間は大騒ぎになった事もあった。
ま、私は興味なかったけどね。
私はアマレス界ではそれなりの知名度はあるけど、自分でもわかっているが、華がない。
とてもエンターテイメントのプロとしてやっていく自信はなかった。
しかし、男はどうしてもと食い下がる。
聞けば、前社長は更迭され上層部が刷新、今後は実力派団体へと方向転換していくつもりらしい。
そこで白羽の矢が立ったのが私なんだとさ。ありがたい事で。
……まあ、私だって特にやりたい事がある訳じゃない。
このまま続けても、引退後はせいぜいコーチになってのんびり暮らすくらいのもんだろうさ。
六角「わかったよ。そこまで私が欲しいって言ってくれるなら、
いっちょ乗ってやろうじゃないか。よろしく頼むよ」
こうして私は、プロの門をくぐる事になった。
その先にあるのが私にとってのユートピアなのかどうか。
それはまだわからないけどね。
6年目4月
プリズン六角入団
プリズン六角(18)晩成
評価値:316
(攻撃・防御・基礎)
投 2・2・2
極 3・3・3
パ 2・2・2
打 1・1・2
飛 2・1・1
6年目11月
佐久間理沙子入団
〜六角VIEW〜
入団してからの半年間は、そりゃあヒドイもんだった。
毎日毎日特訓特訓の特訓漬けに加えて、海外修行でヨーロッパを転戦させられ、
月の半分も日本にいない状態だった。
けど、自分が確かに強くなってるっていう実感はあった。
日本ではデビューもまだのぺーぺーだけど、遠征先では試合にも出て、
それなりの評価をもらえてたからね。
そんな生活がしばらく続いて。
秋も深まってきた頃、ウチに新顔が入ってきた。
理沙子「佐久間理沙子です。よろしくお願いします」
六角「ああ、よろしく。やっとお仲間が出来たんだねえ」
理沙子は私の一つ下の17歳。
とてもそうは見えないほど大人びた美人さんだけどね。
そう言ったら、理沙子は苦笑いしていた。本当は年相応に見られたいみたいだねえ。
理沙子には私にはない天性の風格を感じる。この子は近い内にスターになるだろう。
こりゃ私もお役ご免かな。これで少しは楽できるかも。
……なんて思っていたけど、そう簡単にはいかないらしい。
海外修行は今後しばらく理沙子の役目みたいだが、
私は日本でやっぱり特訓漬けだそうだ。
デビューは入団して最低一年は経過した頃だとさ。
やれやれ。大変なトコに入団しちまったもんだ。
挨拶もそこそこに、理沙子は海外に行っちまった。
あの子とゆっくり話が出来るのは、当分先になりそうだねえ。
☆佐久間理沙子(17)普通
評価値:306
(攻撃・防御・基礎)
投 3・2・3
極 2・2・2
パ 3・2・2
打 2・1・1
飛 2・1・2
7年目4月
〜六角VIEW〜
六角「ここに来て1年か。
社長、もうそろそろデビューさせてくれてもいいんじゃないのかい?」
私がそう水を向けても、社長は首を縦に振らなかった。
六角「私にはまだ足りないとこがあるってのかい?」
そう尋ねると、社長はまた首を横に振る。
そして、笑いながら言った。
六角「対戦相手って……。ハハ、そりゃ確かに私一人じゃどうにもならないね」
社長は理沙子が仕上がるまで待つつもりのようだ。
私と理沙子の互いのデビュー戦。
それが、新生UTOPIAの真の第一歩ってとこか。
六角「わかったよ。もうしばらく我慢するよ。
その代わり、デビューしたら盛大に祝ってもらおうかね」
任せておけ、そう言って胸をドンと叩く社長。
この人の期待に応えられるように、私ももうしばらく準備に専念しようかね。
☆プリズン六角(19)晩成
2年目 評価値:651 +335
(攻撃・防御・基礎)
投 8・5・6 +6+3+4
極 A・7・8 +7+4+5
パ 7・5・5 +5+3+3
打 2・2・3 +1+1+2
飛 2・1・2 0,0,+1
特訓 5/12
海外特訓 7/12
7年目 8月
カラミティ十六夜入団
〜六角VIEW〜
相変わらず特訓漬けの日々を送っていた頃。私に二人目の後輩が出来た。
十六夜「十六夜です。……よろしくお願いします」
理沙子「ええ。こちらこそよろしくね」
柔らかく微笑んで挨拶する理沙子に、しかしその子は表情を翳らせたままだった。
16歳らしいけど、またこの子もずいぶんとまた大人っぽいねえ。
いったいどういう基準で選んでるんだか。まさか、社長の趣味じゃないだろうね。
六角「とにかく、よく来てくれたよ。今日はパーッと歓迎会といこうか!
……ま、私はまだ酒は飲めないんだけどね」
十六夜「いえ……あまり、私に近づかない方が良いと思います」
ずいぶん奥ゆかしい子だ、と最初は思ったけど、どうやらそうじゃないらしい。
聞けば、この子は災厄を呼び寄せる体質だとかで、近くにいる者に不幸がやってくるんだそうだ。
六角「ハハッ。不幸どころか、私はあんたがウチに入ってくれて幸せいっぱいなんだよ。なっ、理沙子。
気にせず今日はパーッと騒ごうじゃないかや」
私の言葉に、理沙子は微笑んで頷いた。
美響は私達が気を使ったと思っているんだろう。とりあえずその日は付き合ってくれた。
後日。予想通り、美響は海外に修行に行く事になった。
そして、特訓は二人で手一杯だとかで、
私はデビューに備えて通常の練習を行う事になった。
これでようやく、私は特訓漬けの毎日から解放されたって訳だ。
不幸どころか幸せを運んできてくれた美響には感謝してるよ。
☆カラミティ十六夜(16)晩成
評価値:310
(攻撃・防御・基礎)
投 3・2・3
極 2・1・2
パ 3・2・3
打 2・1・2
飛 1・1・1
7年目 10月
イージス中森入団
〜六角VIEW〜
初めてのケースだ。美響がウチにやってきて、二ヶ月足らずでまた新顔がやってきた。
中森「中森です。よろしくお願いします」
そう言って頭を下げるその子の顔に、私は見覚えがあった。
そう。まだプロになる前、アマレスの大会で見かけたことがある。
まだ一年生だったが、的確な動きで着々とポイントを重ねていた。
ま、いまいち戦い方が地味で、声援は少なかったけどね。
ハハ、私が言えた義理じゃないか。
十六夜「十六夜です。一緒に頑張りましょう」
中森「はい。あ、年は私の方が上ですが、十六夜さんの方が先輩ですから。
敬語は結構です」
十六夜「そう。それじゃ、名前で呼ばせてもらうわ。
あずみ、アナタも私の事は名前で呼んで欲しいの」
中森「ええ。わかりました、美響さん」
後輩たちが友情を温めているのを眺めていると、社長が私と理沙子を手招きした。
六角「どうしたんだい、社長?」
尋ねると、社長は私と理沙子の肩に触れ、嬉しそうに微笑んだ。
理沙子「あっ。もしかして、デビューの日取り、決まったんですか?」
理沙子が尋ねると、社長は大きく頷いた。
私はしばらく頭が事情を整理できずにいたけれど、
時間が経つにつれてじわじわと喜びが胸に膨らんできた。
六角「そうか。デビューか。……ハハ」
ここに入団して1年半。あまりに長くて、時には先が見えずにくじけそうにもなったけど、
ようやく今までの努力が身を結ぶのか……。
私が喜びを噛み締めていると、あずみが声を掛けてきた。
中森「おめでとうございます、六角さん。
ようやく、六角さんの試合が日本で、生で見られるんですね」
六角「おや。私の事、知ってるのかい?」
中森「はい。学生の頃、アマレスの大会会場で声を掛けてくださったのを、今でも覚えています」
六角「そんなこともあったかね?」
中森「短いアドバイスでしたが、私に必要な物を気づかせてくれました。
面と向かって言うのは少し恥ずかしいのですが……
その時から、六角さんは私の憧れで、目標でした。
ここに入るのを決めたのも、貴方の存在があったからです」
六角「へえ。嬉しい事言ってくれるね。
それじゃ、私もカッコ悪い所は見せられないねえ」
私は気合を入れ直した。ここはゴールじゃない。スタートなんだ。
私は目標もなくただガムシャラに走ってきたけど、
これからは後輩みんながあたしの背中を目指して走り出すわけだ。
なら出来るだけ、遠くの目標でいてやる事にしようかね。
☆イージス中森(17)普通
評価値:303
(攻撃・防御・基礎)
投 2・2・3
極 3・2・3
パ 2・1・2
打 1・1・2
飛 1・1・1
7年目 11月
〜理沙子VIEW〜
このUTOPIAに入団して、ちょうど一年。
私はいよいよ今月、デビュー戦を迎えます。
相手は同期の、いいえ、半年先輩の葉月さん。
私が今日までやってこれたのも、葉月さんがいたからかもしれません。
私が入るまでの半年間、葉月さんはどんな想いであの厳しい特訓を耐え抜いてきたのでしょう。
私は葉月さんへの感謝を込めて、そしてこれからは後ろでなく横に対等に立つ為に、
初めての試合に臨もうと思います。
☆佐久間理沙子(18)普通
評価値:729 +423
(攻撃・防御・基礎)
投 A・8・8 +7+6+5
極 9・6・6 +7+4+4
パ 9・8・7 +6+6+5
打 3・2・2 +1+1+1
飛 4・2・3 +2+1+1
海外特訓 8/12
スランプ 1/11
特訓 3/12
1期生デビュー戦
○六角 vs 理沙子× 14分6秒 ショルダータックル→体固め
8年目4月
〜六角VIEW〜
う〜ん。デビューして数ヶ月。調子は悪くないんだけど、結果がなかなかついてこない。
いや、そんな簡単なもんじゃないってのは私もわかっちゃいるさ。
でもね。良い試合にはなるんだけど、もう一つ足りないんだよねえ。
そんな風に悩んでたある日。社長に呼び出された。
隠してた瓶が見つかっちゃったかな、と思ったけど、そうじゃないらしい。
社長の用件は私の20歳のお祝い。
それと、入団して3年目を迎えたってことで、新技の開発を進めてきた。
「なるほど。新技ねえ」
実際、基本技しか使っていないから、幅が無いのも確かだしね。
お前の技術は周りに引けを取らないんだから、後は経験ときっかけだけだ、
なんて嬉しい言葉もいただいちまったよ。
「よ〜し。それじゃ、ご期待に応えるとしますかね」
☆プリズン六角(20)晩成
3年目 評価値:867 +216
(攻撃・防御・基礎)
投 B・8・8 +3+3+2
極 C・A・A +2+3+2
パ 9・8・8 +2+3+3
打 3・2・3 +1,0,0
飛 3・2・2 +1+1,0
特訓 5/12
スランプ 1/12
通常 6/12
8年目6月
ミネルヴァ石川入団
〜十六夜VIEW〜
「石川です〜。よろしくお願いします〜」
新しい後輩は、およそ格闘技の似つかわしくない雰囲気の少女だった。
「十六夜よ。よろしくね」
「はい〜。うわぁ、こんな綺麗な人が先輩さんだなんて、嬉しいです〜」
その子は私の手を嬉しそうに握り返してきた。
その屈託の無い笑顔に戸惑いを覚えつつ、私は彼女の手の中から静かに自分の手を抜き取った。
「指導に関してはあずみの方が得意だから、相談があれば彼女にすれば良いわ。
……それと。私には、あまり近づかない方が良いわよ」
傍らにいたあずみを紹介し、私はその場を離れようとした。
けれど、彼女は私のジャージの袖を摘まんで呼び止めた。
「あの〜。近づかない方が良いって、どうしてでしょう〜?」
不思議そうな顔をして、私に尋ねてくる。
普通なら、私の身にまとう雰囲気で気づきそうなものだけれど。
「……私は災厄を纏う女なの。私の側にいると、不幸がやってくるのよ」
私は小さく呟き、もう一度その場を離れようとした。
しかし、その動きはまたも遮られた。
今度は彼女は私の両手を取り、ギュ〜ッと握りながら、笑顔で私の顔を覗き込んできた。
「それなら、私と一緒にいれば良いですよ〜。
私よく、一緒にいると幸せな気分になれるって、みんなに言われるんです〜。
だから、せんぱいの不幸と私の幸せで半分こ。これでピッタリですよ〜」
その時、彼女のまとう優しいオーラで、私の体から放たれる負のオーラが和らいだ気がした。
あずみが小さな笑みを浮かべながら、私と彼女が取り合っている手を見つめている。
「……アナタが側にいたいというなら、私は構わないわ」
「本当ですか〜? わ〜い。ありがとうございます〜」
屈託ない彼女の微笑み。
戦う事で少しでも災厄を祓えるのならと思って入団したこの団体で、
このような穏やかな気持ちになれる日が来るだなんて、ね。
☆ミネルヴァ石川(16)普通
評価値:300
(攻撃・防御・基礎)
投 2・1・3
極 3・2・1
パ 4・3・3
打 2・2・1
飛 1・1・1
8年目7月
REKI入団
〜石川VIEW〜
私が入団した翌月、新しい女の子が入団しました。
周りはみんなせんぱいさんですから、同期の子が出来たら良いな〜と思っていたので、とっても嬉しいです。
彼女はREKIちゃん。一つ年下の、物静かな女の子です。
本当の名前はわかりません。彼女はくのいちさんらしいから、秘密なのかな。
「REKIちゃん。これからよろしくお願いしますね〜」
「…………うむ」
REKIちゃんはすご〜く小さくだけど、ちゃんと返事をしてくれました。
あまり喋らないし感情も顔に出さないけど、
目を見ているとなんとな〜く考えている事がわかる気がします。
良かった〜。仲良くなれそう。
「そういえばREKIちゃん。私達、どこかで出会った事があるような気がするんですけど〜。気のせいかな?」
「…………」
私が尋ねても、REKIちゃんは無言でした。
でもREKIちゃんの瞳は、なんだかとっても懐かしそうに私を見つめていました。
どうしてなんでしょう……?
☆REKI(15)普通
評価値:293
(攻撃・防御・基礎)
投 2・1・1
極 1・1・1
パ 3・2・3
打 2・1・2
飛 3・3・3
8年目8月
☆カラミティ十六夜(17)晩成
2年目 評価値:678 +368
(攻撃・防御・基礎)
投 9・6・7 +6+4+4
極 3・2・3 +1+1+1
パ A・8・8 +7+6+5
打 8・5・6 +6+4+4
飛 2・1・2 +1,0,+1
海外特訓 5/12
スランプ海外 1/12
特訓 4/12
通常 2/12
8年目10月
☆イージス中森(18)普通
2年目 評価値:734 +431
(攻撃・防御・基礎)
投 9・6・9 +7+4+6
極 A・8・8 +7+6+5
パ 8・7・6 +6+6+4
打 2・2・3 +1+1+1
飛 2・2・2 +1+1+1
海外特訓 5/12
特訓 5/12
通常 2/12
8年目11月
☆佐久間理沙子(19)普通
3年目 評価値:883 +154
(攻撃・防御・基礎)
投 C・A・A +2+2+2
極 A・8・8 +1+2+2
パ A・9・8 +1+1+1
打 4・3・3 +1+1+1
飛 4・2・3 0,0,0
通常 12/12
☆2期生デビュー戦
○十六夜 vs 中森× 15分5秒 逆水平チョップ→体固め
9年目4月
☆プリズン六角(21)晩成
4年目 評価値:1025 +158
(攻撃・防御・基礎)
投 B・8・A 0,0,+2
極 C・A・A 0,0,0
パ A・8・A +1,0+2
打 5・5・5 +2+3+2
飛 5・3・3 +2+1+1
通常 12/12
技+6
9年目6月
☆ミネルヴァ石川(17)普通
2年目 評価値:790 +490
(攻撃・防御・基礎)
投 3・2・3 +1+1.0
極 A・7・8 +7+5+7
パ B・9・9 +7+6+6
打 9・7・7 +7+5+6
飛 3・2・2 +2+1+1
海外特訓 6/12
特訓 5/12
通常 1/12
9年目7月
☆REKI(16)普通
2年目 評価値:745 +452
(攻撃・防御・基礎)
投 3・2・2 +1+1+1
極 4・2・2 +3+1+1
パ 9・9・8 +6+7+5
打 8・6・6 +6+5+4
飛 B・8・8 +8+5+5
海外特訓 6/12
特訓 5/12
通常 1/12
9年目8月
☆カラミティ十六夜(18)晩成
3年目 評価値:863 +185
(攻撃・防御・基礎)
投 A・8・9 +1+2+2
極 4・3・4 +1+1+1
パ C・A・A +2+2+2
打 9・7・8 +1+2+2
飛 4・2・3 +2+1+1
スランプ通常 1/12
特訓 1/12
通常 10/12
9年目9月
市ヶ谷麗華入団
〜六角VIEW〜
「なんですって? このワタクシをデビューさせないとおっしゃるの!?」
社長室のそばをたまたま通りがかると、でっかい声が聞こえてきた。
なるほど。この声の主が、今年の新人か。こりゃまた初めてのタイプだねえ。
「邪魔するよ」
扉を開けて軽く挨拶すると、困り果てた社長の顔と、目を吊り上げているえらい美人の顔があった。
「ふ〜ん。お嬢ちゃんがウチの新しい選手かい。噂は聞いてるよ。
この前の夏の柔道大会でオール一本勝ちで優勝した超逸材だそうじゃないか」
「お、お嬢ちゃんですって? ……ま、まあよろしいですわ。
ワタクシも貴方の事は存じておりましてよ。プリズン六角さん。
わずか3年でこの団体のトップに上りつめた方だとか。
まあ、それも今日までの事ですけれど。
今日からはわたくしが、この団体のトップとなるのですから。オーッホッホッホ!」
自信満々な高笑い。なるほど、こいつはウチでは初めてのタイプだね。
なかなか面白そうじゃな子じゃないか。
「大した自身じゃないか。ま、お手柔らかに頼むよ。
ただ、デビューまで一年は修行に専念するっていうのは、ウチの方針なんだ。
あんまり社長を困らせないでやってくれるかい」
私は何気ない様子を装いながら、馴れ馴れしくお嬢ちゃんの肩に手を回す。
煩わしげに眉をひそめ私の手を払い抜けようとしたその子は、
しかし一瞬ピクリと体を震わせ、動きを止めた。
「わかりましたわ。ここはアナタの顔を立てて差し上げましょう。
社長にはしばらく、ワタクシのデビューを最大限に盛り上げる為の猶予を差し上げますわ。
そして六角さん。この団体の女王の座はその時までアナタに預けておきますわ。オーッホッホッホッ!」
なるほどね。一瞬で私の力を見抜き、それでもその鼻っ柱は折れない、か。
フフ。これはますます数年後が楽しみだねえ。
「ああ。その時を楽しみにしているよ」
☆市ヶ谷麗華(17)晩成
評価値:336
(攻撃・防御・基礎)
投 3・2・3
極 1・1・2
パ 4・3・3
打 2・2・2
飛 1・1・2
☆3期生デビュー戦
○石川 vs REKI× 21分25秒 ボディスラム→体固め
9年目10月
☆イージス中森(19)普通
3年目 評価値:909 +173
(攻撃・防御・基礎)
投 A・8・A +1+2+1
極 C・9・A +2+1+2
パ A・9・8 +2+2+2
打 3・3・3 +1+1.0
飛 3・2・3 +1.0+1
特訓 2/12
通常 10/12
9年目11月
クラリッジ成瀬入団
〜市ヶ谷VIEW〜
まったく。どうしてこのワタクシがいまだデビューもせずに
海外と日本を往復しなければなりませんの?
海外に行く事自体は慣れていますからいいのですけれど、
あんな小さな会場で下っ端同然に扱われるなんて、屈辱にもほどがありますわ!
ああ、早く日本でデビューして華々しく輝きたいものですわ。
そんな不満が溜まり始めていたある日。ワタクシに後輩ができましたの。
「ウチ、成瀬唯や。よろしゅうな」
けれどこの子と来たら、出会った瞬間からなんて馴れ馴れしい。
「コホン。市ヶ谷麗華ですわ。ワタクシは17歳。そしてアナタの二ヶ月先輩。よろしくて?」
このスーパースターであるワタクシといかにも平民といったこの子。
二人の立場をはっきりさせておくべきと、ワタクシはそう言ったのですけれど。
「そんな細かい事はええやんか。同じ今年入ったモンどうし、仲良うやろうな」
この子は全く気にした様子もなく、ワタクシの手を両手で握るとブンブン振り始めました。
「なあなあ。ところで、麗華のとこの実家って、あの市ヶ谷財閥なんやろ?
表に止めてあるデッカイリムジンも、あんたんとこの車やろ。
ええな〜。あんな車、ウチも一回乗ってみたいわ〜」
「乗りたいというなら、乗せてあげてもよろしくてよ。
そうですわ。せっかくですから、ワタクシの実家でアナタの歓迎会をいたしましょう。
ワタクシという素晴らしき存在を同期に持てた事を神に感謝なさ……」
「ホンマッ? ありがと、麗華っ。
お礼にウチもとっときの芸を見せたるから、楽しみにしといてなっ」
いきなり抱きつかれ、不覚にも言葉を飲み込んでしまいましたわ。
でも、こんな子はワタクシの周りにはいなかったタイプですわね。
こんなに屈託なく笑う子は、初めて見ましたわ。
……まあ、ワタクシの素晴らしさについては、
ワタクシの側にいればおいおい理解していくことでしょう。
☆クラリッジ成瀬(15)早熟
評価値:313
(攻撃・防御・基礎)
投 3・1・1
極 3・2・3
パ 2・1・2
打 1・1・1
飛 2・2・3
☆佐久間理沙子(20)普通
4年目 評価値:1038 +155
(攻撃・防御・基礎)
投 C・A・A 0.0.0
極 A・8・8 0.0.0
パ B・A・A +1+1+2
打 5・3・3 +1.0.0
飛 7・4・5 +3+2+2
通常 11/12
特訓海外 1/12
10年目4月
〜六角VIEW〜
ここに入団して、今年で5年目。
自分で言うのもなんだけれど、私もいっぱしのプロレスラーになった。
そろそろ試合だけじゃなく、行動も起こしていかなきゃいけない頃合かね。
さてと。それじゃそろそろ、動かせてもらうとしようかねえ。
☆プリズン六角(22)晩成
5年目〜維持 評価値:1181 +156
(攻撃・防御・基礎)
投 C・9・A +1+1.0
極 D・A・A +1.0.0
パ A・8・A 0.0.0
打 7・6・6 2.1.1
飛 6・4・3 +1+1.0
通常 12/12
〜UTOPIA激闘編へ続……かない〜