Un tournesol 拍手お礼SS その1


秘め事

−蒼衣−

注意:蒼衣一人称/独/自慰
 夏休みが始まって早一週間。
 僕と直輝くんが、と、友達……、になって早二週間。
 あんな事があって、てっきり直輝くんとはあれきりの関係になると思っていたんだけど、不思議な事に僕達は『普通の男友達』としてお付き合いさせて貰っている。
 自分から言い出しておいてなんだけど、直輝くんがあんな事をした後に言い出した僕のあの申し出を受け入れてくれるとは本当に思いもしなかった。
 だって、確かにあの時、直輝くんは僕の言葉に頷いてくれたけど、明らかに戸惑っていたから。あの顔を見た時、絶対に僕達に先はない、なんて思っていた。
 それなのに直輝くんはあの後、快く僕と携帯番号とメールアドレスを交換してくれて、更には週に何回かわざわざ連絡をくれて、僕と遊んでくれるようになった。しかも、時折僕の家に泊まってまでくれる。
 朝まで他愛無い話をしたり、直輝くんが借りてきたDVDを見たり、時には買い物に誘ってくれたり……、本当に何事もなかったかのように直輝くんは僕と『友達』してくれた。
 まさかそんなとんとん拍子に直輝くんとあんな事をした僕がこうして仲良くなれるなんて思っていなくて、正直今の僕は直輝くんの態度に凄く嬉しいって思ってる半面、凄く戸惑っている。
 ……勝手だって解っているけど。
 だって、あの直輝くんが僕みたいなさえない、なよなよした男と普通に友達として付き合ってくれる事が不思議じゃない? そもそも明らかに直輝くんの元々の友達達とは毛色が違う僕と友達だなんて……と、思うと本当に不思議でならない。
 しかも僕は、直輝くんに“『普通の男友達』なら絶対にしないであろう事”を出会ったその日にシてしまった。今思い出しても、なんであんな大胆な行動に自分が出れたのか、解らない。あの時は、ただただ、直輝くんに助けて貰ったお礼がしたくて……。でも僕には彼に返すものがなにもなくって。
 本当に僕が出来ることなんて限られていて……。
 ――自分の体と、そして、仕込まれたアレしかなくって。
 必然的に僕は直輝くんのお礼は、アレをするしかない、と思い込んでしまった。
 ……今、考えるとなんて馬鹿で浅はかなんだろう。
 だけどあの時の僕には、直輝くんにお礼をしなきゃ、と言う思いで一杯で、人生経験の少ない僕が出来るお礼はアレしかない、とそれだけが頭を占めていた。
 結局、直輝くんは僕の気持ちを汲んで、ノーマルにも関わらず一回だけって言う条件付で僕を抱いてくれたけど、未だにあんな事をさせてしまって、凄く凄く直輝くんに申し訳ないという思いで僕は一杯だった。
 しかも直輝くんは、あの日以来あの事には触れることなく、こんなダメな僕を『友達』として付き合ってくれる。本当に、本当に僕の友達なんかには勿体無いくらい凄くいい人だ。どれだけ感謝してもしきれない。
 だから、いつか、僕が体以外のお礼の仕方を見つける事が出来たら、直輝くんにこの感謝の気持ちを伝えられたら、と直輝くんと顔を合わす度思う。
 あの時も、そして今も、本当にありがとう。って、笑顔で。


 だけど。
 なんだろう。
 どうしてだろう。
 最近の僕は、ちょっと可笑しい。
 うぅん。ちょっとどころじゃない。
 かなり可笑しい。
 こんな風になった事なんて今まで一度もなかったのに。
 誰と一緒に居たって、こんな風になった事はなかったのに。
 直輝くんと居るだけで。
 頭の中はぐるぐるで。
 心臓はバクバクで。
 心はソワソワで。
 隣で笑う直輝くんの顔さえもまともに見れない。
 なんなの?
 どうしちゃったの?
 可笑しいよ。可笑しいよ。可笑しいよ。
 
 僕は、本当に、どうしちゃったんだろう……?


 その僕の可笑しな変化の理由に、ある日、僕は気がついた。
 それは、その日は、何度目かの直輝くんが泊まりに来てくれた翌日。
 相変わらず直輝くんと居るだけで、体温は上がり、心臓はバクバクで。僕は夜通し感じる直輝くんの存在にずっとドキドキし通しだった。
 それでも理解不能であるその可笑しな自分の感情と体の変化を直輝くんに悟られないようになんとか必死になって誤魔化して、いつもの通り『普通の男友達』を演じる事が出来た事に、朝になってホッと胸を撫で下ろす。
 朝ごはんを食べた後、バイトに向かう直輝くんを送り出して、僕は昨夜の自分の頑張りをそっと心の中で褒めた。
 そして僕は、毎朝の日課である掃除と洗濯へと気持ちを切り替える。
 今日は夏晴れの本当に凄くいい天気で、僕は、直輝くんが使った布団を干そうと思った。部屋の隅に直輝くんが畳んで積んでおいてくれた布団に歩み寄り、僕はまず一番上に置いてあるタオルケットを手に取る。
 その時だ。
 開けた窓から、ふわり、と風が舞い込み、タオルケットに薄く染み付いていた直輝くんの汗とタバコの匂いを僕の鼻へと届けた。
 途端に、僕の体はまるでそれ自体が心臓になったかのように、ドクン、と大きく脈打ち、何故だか解らないけど、カァァ……、と体中が熱くなる。しかも、カクン、と足の力が抜け、直輝くんが寝ていたタオルケットに鼻先を突っ込む形で、布団の上に僕は倒れた。
 自分の体から何故力が抜けてしまったのか、そして、何故こんなに体が熱くなるのか、その時の僕には全く理由なんてわからなくて。タオルケットを抱きしめた形で、その匂いをダイレクトに感じながら、僕は布団に倒れこんだままただひたすら呆然としていた。
 だけど、息を吸い込む度に感じる直輝くんの汗の匂いにクラクラとした眩暈を僕は感じ、気がつけばハァハァとまるで獣のような息を吐きながらタオルケットを強く抱きしめていた。しかも、僕は無意識のうちに自分の股間をそのタオルケットに擦り付けていて。
 なんで……? と一瞬思う。
 だけど直輝くんの汗が染み付いているタオルケットの匂いを嗅いでいると、すぐにそんな疑問は頭の中から消えていった。
 小さく喘ぎ声のような吐息を漏らし、僕は自分の体の中に湧き上がってくるどうしようもないその欲情をタオルケットに腰を擦り付ける事で発散させようとする。

「……っ、直輝、くん……。」

 小さな声でそう彼の名を呟いた途端、腰から痺れるような快感が湧き上がって来た。しかも、脳裏にはあの晩に暗闇でさえはっきりと解るほど鍛え上げられた直輝くんの体が浮かぶ。
 その脳裏に蘇った直輝くんの鍛え上げられた体に、僕の体は更にどうしようもなく熱くなり、タオルケットに腰を押し付け、足の間に挟むようにして僕はその部分に刺激を与える。
 ゆったりとした短パンの中で僕のアレがパンパンに膨れ上がっているのが解った。
 もう、誤魔化しは出来ない。
 僕は、直輝くんに、――欲情、してる。
 そう、自分の体と心の変化を認めると、後はもう理性なんてなにもなかった。

「ぁ……っ、なお、き……くん……っ。」

 また口の中でその名を呟き、あの晩直輝くんにされた事がやけに鮮明に頭の中に浮かんだ。
 直輝くんの手が僕の体を弄り、アソコを直輝くんの節くれだった指が握って、しごいて……それから、後ろを、直輝くんの舌が……。
 それを思い出した瞬間、僕の体は痙攣を起こしたように震えた。ビクン、ビクン、と腰が跳ね、下着の内側にべっとりと生暖かい湿った感触が広がる。
 ハァ、ハァ、と肩で息をしながら、僕は自分が直輝くんとのエッチを思い出しただけで射精をしてしまった事に驚く。
 だが、一度精を吐き出した為に生じた冷静さが、妙な罪悪感を僕の中に生んだ。
 直輝くんとのエッチを思い出しながらオナニーするなんて、なんて、自分は汚らしい淫売なんだ、とそう己を心の中で罵倒し、嫌悪する。
 だけど、それでも鼻先に押し付けられているタオルケットから感じる直輝くんの匂いに、僕はまた陶然としてしまった。
 これじゃ変態だよ、そう思いながらも、タオルケットに鼻先をくっつけその匂いを肺一杯に嗅ぐ。
 直輝くんの匂いが僕の肺の中を満たすたびに、さっき射精した筈の僕のアレはゆっくりとまた硬度を増していくのを感じた。
 タオルケットを抱きしめていた腕の一方を下へと下ろし、短パンの上からそこを握る。

「っ、あっ、……く、ぅん……っ。」

 途端に僕の口からは甘い声が漏れ、じんっ、と下半身が痺れるような快感が体中を襲う。

「……っ、今日、だけだから……っ、ごめん、直輝、くん……っ。」

 そう口に中で直輝くんをオナニーのネタにしてしまう事を謝り、僕は、短パンの中へと手を忍ばせていった。


 今、この手は、直輝くんの手……。
 そう思うと、堪らないくらいの快感が僕の体を襲う。
 じんじんと下半身は痺れ、後ろの穴までびりびりと快感を求め収縮を繰り返した。
 口にタオルケットを咥え、含み、それを僕は舐めながら、もう片方の手も下に下ろす。そして、今度は短パンの後ろ側、つまり、お尻の方へと進入させる。自分の手がその肉を撫で、揉むだけで、僕の後ろの穴はヒクヒクと震えた。

「ふ……んっ、む……ぅ、はぁ……っ。」

 口に咥えたタオルケットで喘ぎ声を抑えながら、僕は、両手で後ろと前とを同時に刺激する。
 ビリビリとする電流が両方から沸き起こり、一度射精してぐちゃぐちゃになっている下着の中が更にぬるぬると湿っていく。
 直輝くんが触ってる。これは、直輝くんが触ってるんだ。
 何度も脳裏でそう繰り返し、僕はゆっくりと自分の指を後ろの穴へと埋め込んでいった。
 途端に、僕の性器からドクッと精液が噴出す。

「はぁ……っっ! ぁ、あぁんっ……っ!!」

 堪らずに僕はタオルケットから口を離し、そう絶頂の声を上げた。
 ドクドクと零れていく精液を僕は下着の中で性器に擦り付ける様に手のひらで伸ばし、擦り付ける。その度に、頭の中が可笑しくなりそうなくらいな快感が体中を波のように押し寄せてきて、僕は、無我夢中になって後ろの穴に侵入させた指をめちゃくちゃに掻き回し、抜き差しした。

「ぁ、っ、なお、き……くんっ……っ、なおっ……く……っ、い、イィ……っ、あ、や、欲し……っ、なお、くの、アレ、ほし……っ、舐めたり……っ、お尻、に、ほし……ぃ、ひあぁ……っんんん……っ!!」

 短パンの中で手を上下させ、精液を噴出させながら、僕は気がつけばそう叫んでいた。
 頭の中は、直輝くんの太くて硬くて熱いアレで一杯になり、がくがく揺れる腰を振りたててお尻の穴に指を深く突き刺す。
 だが、自分の指の細さでは到底直輝くんのアレどころか指の太さにも足りず、僕はイきながらも、とてつもない物足りなさを感じていた。

「あ……ふ、いれてぇ、なおき、くん……、おしり、ほしい、よぉ……っ、なおっ、く、の……おちんち……っ。また、いっぱい、ほしい、よぉ……っ。せいえき、のみたい、よぉ……っ。」

 自分が何を言っているのか、どれだけ頭が可笑しい事を言っているのか、快感に侵された頭でも良く解っている。
 だけど、それでも。
 僕は、この時。
 はっきりと。
 直輝くんにまた抱かれたいのだと、自分が切望し、渇望していた事に気がついた。
 後ろに直輝くんが欲しくて、口にも直輝くんが欲しくて。直輝くんの味と、匂いと、その全てを感じたくて。
 そのどうにもならない焦燥感と、灼熱の欲情に身を焦がす想いで、僕はその日、バイトが休みなのをいい事に、直輝くんの匂いが残っているタオルケットと、敷布団と、枕で一日中、自分を慰めていた。
 この欲情がなくなればいいのに……っ、と願いながら。



 だけど。
 僕の願いは、届かなかった。
 その後、直輝くんが泊まりに来る度、その翌日に僕は直輝くんの匂いが残る布団で、タオルケットに包まって直輝くんに抱かれる想像をしてしまう。
 何度も何度も止めようと思ったけど、直輝くんの匂いが残っているタオルケットを嗅いでしまうと、僕の中から理性が飛んでしまい、手が勝手に下着の中へと入っていく。
 こんな事では、いつか、本人に対して隠せなくなる。
 事実、直輝くんと自分の部屋に居ると、自分の中で膨れ上がる欲情に呼吸困難になりそうになっていた。


 そして、あの日――。
 僕はとうとう理性が欲情に負けてしまって……。
 今思い出しても、顔から火が出る。
 でも。
 あの時の、僕の行動は、きっと正しかったのかもしれない。
 方法は間違ってるとは思うけど。
 今、隣で寝てる直輝くんの妙に満ち足りた寝顔をこうして同じように満ち足りた気持ちで見る事が出来るようになったから。
 エッチから始まった関係だけど、欲情に負けて直輝くんに迷惑かけちゃったけど。
 それでも今、僕はすっごく幸せだったりする。
 確かにまだ直輝くんとは、『エッチありの友達notセフレ』って言う変な関係だけど、でも、直輝くんは直輝くんなりの真剣さで僕との関係を考えてくれてるみたいだし。

「えへへ……。大好きだよ。直輝くん。」

 ふと、あの時直輝くんが言ってくれた数々の言葉を思い出し、僕は胸の中がキュンとした甘酸っぱい想いに満たされたまま、直輝くんのほっぺたに唇を寄せる。
 ちゅっと、軽く音を立ててキスをし、離れた。
 直輝くんは相変わらずグースカ寝てる。それがなんだか妙に幸せで、僕はもう一度直輝くんのほっぺたにキスをした。

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