I give you all you need.

 或る日の放課後の事。いつもの如く京シオリは写真部の部室を訪れた。今日は何かとても嬉しい事があった、そんな気持ちを隠し切れないような笑みで。
「こんにちはー……おや」
 部室の扉を開けるや、シオリはちょっと意外そうな顔になった。普段なら二、三人は部員がいるはずなのに、何故か今日は同級生で親友の一宮ユイしかいない。それでもシオリはそれなら却って好都合、と思い直していつもの穏やかな笑みを浮かべた顔に戻った。
「こんにちは、シオリ」
「今日はユイしかいないみたいだけど、みんなは?」
「さあ、今日はどうしてかまだ私しかいなかったんだけど……ところでシオリ、今日は妙に楽しそうだけどどうしたの? 何かいい事でもあった?」
「ふふん」
 よくぞ聞いてくれた、とばかりに満面の笑みを浮かべるシオリ。そして徐に鞄の中を弄って愛用のリコーGR DIGITAL IIを出してみせた。レンズとアクセサリーシューに新しいオプションの付いたのを。
「あら、それテレコンじゃない。GR用の」
「そ。昨日入荷したって連絡があって、買ってきたんだ。前から広角だけじゃなくて、標準の画角でも撮りたかったしね。フォクトレンダーのファインダーも一緒に買っちゃった。アスペクト比3:2でしか使えないけどなかなか見え具合いいよ」
「そう。見た目も格好いいわね。今度私にも使わせて」
「勿論。でも実はまだこの組み合わせで撮ってないんだよね。そうだな……」
 シオリは悪戯っぽく笑い、ユイに言った。
「ねえ、ユイをモデルにポートレート撮らせてもらってもいいかな?」
「いいけど」
「サンキュ。それじゃあ暗室に行こうか」
「え、暗室なの? 校庭の方が良くない?」
「いいからいいから。ほら、入って入って」
 シオリに促されるままに、ユイは暗室へと押し込められてしまった。

「はい、じゃあ笑ってみて」
 パチッ
「いいね。それじゃあ今度はちょっと怒った顔してみようか。『シオリの意地悪』って言いたそうな感じで……」
 パチッ
「そうそう、怒った顔もユイは可愛いよ」
「ちょっと、揶揄わないでよシオリ」
 些か本気で怒った顔をシオリに向けるユイ。
「あ、その顔もいただき♪」
 パチッ
 そうして一頻り撮った後で、シオリはモニターに再生画像を映してユイに見せた。
「あら、周りがきれいに整理されてて、私だけ上手に切り取ってくれてるじゃない」
「ね? こんな狭い場所だとこれくらいが一番いいんだよ。広角だとこんな時どうやっても顔が歪んじゃうじゃない? これなら部屋の中でバストアップや全身撮るのにちょうどいい感じになるなって思って買ったの。それじゃ今度は……」
「どうするの? 場所を変えて校庭で撮る? それとも食堂でも行こうかしら」
「ううん」
「じゃあこれで撮影会はお開き?」
「ううん、続けるよ。と云う事で……脱いで」
「え……ええっ?!」

「もう、シオリったら……」
 幾ら女同士でもそれは嫌と断ったものの、結局シオリの必死の説得と、これから撮る写真は自分の責任において外部に漏れないよう厳重に保管するとの誓約の下に、ユイはカーディガンと制服を脱いで下着姿でシオリの前に立つ事になった。
「ユイってなかなかスタイルいいんだね。その下着、よく似合ってるよ」
「嫌だ、あんまり見ないでよ。エッチ」
 淡いオレンジの地に黒いハート模様の刺繍の入ったブラジャーと、前に同じ柄の入ったお揃いのパンツと黒のニーソックスしか身につけていないユイは、恥ずかしがってレンズの方を向こうとしない。それどころか自分の恥ずかしい姿を撮られたくないとばかりに腕を体の前でV字にクロスして体を隠していた。そこでシオリは女同士だからとわざわざ言わずに、
「そんなに恥ずかしいの、ユイ? じゃあ……」
 シオリも制服とスカートを脱いで、下着とソックスだけの姿になった。ユイのアダルトチックな下着に比べると色気のないシンプルな灰色のスポーツブラとパンツだったけれど、ユイに引けを取らないナイスバディのシオリが着るとセクシーさが引き立つ。
「はい、私も脱いだよ。これでお相子でしょ?」
「……(お相子だって問題じゃないと思うけど)」
「ねえユイ。私だってこんな格好誰にも見せたくないよ。でもユイなら私は特別だから……」
 憂いを湛えた目でシオリはユイに語りかける。シオリとは相思相愛のユイにとってこの一言は決まり手になったようで、まだ恥ずかしさに震えながらもユイは腕をどけて、下着に覆われたグラマラスな半裸の姿をシオリの前に晒していった。ファインダーを覗きながら、シオリが嬉々としてシャッターを切る。
「うん、綺麗だよ、ユイ。君はまるで女神ヴィーナスみたいだ……」
「嫌ね。煽てたって何も出ないわよ」
「ほら、いつまでもそんなに剥れてないで、もっと綺麗なユイを見せてよ」
「……」
 恥ずかしさと当惑が心の中で綯い交ぜになって、黙って立つユイ。嫌らしい目で見ないでとばかりに腕で胸を隠そうとしたのを、シオリがタイムをかけた。
「あ、いいねそれ。こう腕を組んで、胸持ち上げてみてよ」
「え、こう?」
「そうそう、うーん、ユイっておっぱい大きい方だし、いい感じの絵が撮れるよ」
 すっかり機嫌を良くして、シャッターを切りまくるシオリ。そして更にユイに言う。
「私、ユイのセミヌード見てる内に、何か飽き足らなくなってきたな」
「えっ」
 シオリの笑みと声音に嫌な予感を感じて後ずさるユイ。けれどもシオリはそんな事には頓着せずに言った。
「ユイ、ブラ取って」
「だ、駄目よシオリ。そんなとこまで撮るなんて……」
 ユイはとうとう目尻に涙さえ浮かべて抗った。
「ユイ、私言ったでしょう? このデータは私とユイ以外誰にも見せないって。このデジカメのメモリは誰にも分からない場所に隠しとくから……何ならおっぱいは見せてくれなくても、隠してくれててもいいよ。ここまで言っても駄目かな?」
「見せなくてもいいなら……」
 ユイは両手を背中に回し……て、ブラジャーを外す前にその様を満悦の体で見ているシオリを一喝。
「シオリ、ジロジロ見ないで。あっち向いててよ」
「はいはい」
「はいは一度でいいから」
 シオリがユイから視線を逸らし、ユイはブラジャーのホックを外して、裸の胸を両手をクロスさせて隠した。
「これでいいの、シオリ?」
「うん、ありがとユイ。綺麗だよ、ユイの胸……」
 シオリは手ブラで胸を隠すユイの姿を、角度や露出を変えて何枚も撮っていく。ユイは元よりボリュームがあって形も綺麗な乳房を寄せて持ち上げているので、女の目から見ても羨ましいほどセクシーに映っていた。
「あーもう、ユイって凄く綺麗だね……私もう我慢できない」
「え、ちょっと何よシオリ。駄目、来ないで……きゃっ」
 とうとうユイはパンツとニーソとローファーしか身に付けていない、あられもない格好でシオリに押し倒されてしまった。

「い、嫌。駄目よ、そんな事……んっ」
 涙を零して嫌がるユイの口を塞ぐように、シオリは唇をユイの唇と重ね合わせて舌を絡めてきた。泣く子をあやすように、優しく髪も撫でて。
「泣かない泣かない。私が本当に好きなのはユイだけだよ。これはその証明ってことで……寒がりで寂しがり屋のユイさん。私が暖かくしてあげる」
 ユイの耳元で優しく囁いて、耳の中に暖かい息をフーッ。
「んっ……」
 耳で感じたユイがビクッと体を震わせる。それを認めたシオリは右手をユイの左の乳房に重ねた。高鳴るユイの胸のドキドキを確かめるようにそっと。
「ユイのおっぱい、丸っこくて綺麗だね」
「さ、触らないでよ、シオリのエッチ……あっ、そこは……ひゃう」
 シオリは両手でユイの両の乳房を優しく撫でて、その天辺のポッチリをペロリと舌で舐めた。
「乳首もピンクのさくらんぼみたいで可愛いよ。食べちゃいたい……」
「嫌、弄らないで。何か、変な感じなの……あっ、吸っちゃ嫌」
 指先と唇でユイの乳房の感触を楽しむシオリ。そうしている間にも空いた手はユイのお腹を擦って、少しずつ下に降りていった。焦らすように足の付け根を触って、シオリの指がパンツ越しにユイの秘密の場所に到達した時、
「ああっ」
 ユイの声のテンションが上がった。更に悪戯っぽく笑うシオリ。
「ほら、クリがぷくって膨れて、パンツもお漏らししたみたいにぐしょ濡れになってる……ユイも満更でもなかったんだね」
「そ、そんな事ないもん……シオリ、もう悪戯はやめてちょうだい」
「悪戯? 人聞き悪いなあ。私は悪戯やおふざけでこんなことしないってば」
 シオリはユイに構わず、ユイのパンツに手をかけた。
「ね、濡れたパンツ穿いてるのもあんまり気持ちよくないよね? だから脱いじゃおう」
「駄目よシオリ、そんな……」
 シオリにパンツを脱がされて、ユイは嫌だと言うように股を閉じて、その先にある秘密の場所を手で隠した。
「そんな事されると余計見たくなっちゃうな。それだけでも済ませられない」
「やめて、嫌。嫌よそんなの」
 秘密の場所を隠したまま、いやいやをするユイ。
「ほらいつまでも嫌がってないで。それとも……私だから恥ずかしいのかな?」
「……シオリの馬鹿。分かってるくせに」
 クスリと笑ってユイの手をどけて、ユイの秘所を見ようとするシオリ。相手が好きな人だからこそ、裸を見られるのは余計に恥ずかしい。そんな女心をシオリにしっかり見透かされていたユイは「恥ずかしくて死にそう」になっていた。シオリは尚もユイのアンダーヘアを掻き分けて、その下にある可憐な花弁を露にした。
「お願いシオリ、見ないで……」
「そうは言ってても、ほら、後から後から濡れて来てるよ。私にヘアを触られて感じてたのかな? それともやっぱり見られてエッチな気持ちになってる?」
「そ、そんな事ないわよ」
「あらあら、私に嘘つくなんてユイも悪いところあるじゃない? でもいいよ。こうしたら本当の事は分かっちゃうんだから」
 ピチャッ、レロ……チュッ
 シオリはユイの股間に顔を埋めて、しっとりと濡れた花弁にキスした。
「駄目よシオリ、そこ汚いわ……」
「汚くなんかないよ、ユイのここ……薄桃色できれいだよ」
「あっ、な、何だか、変になっちゃう……ひゃん、シオリ、シオリぃ」
 愛おしげにユイの秘所を舐め回したり、ピョコンと顔を出しているクリトリスを舌先でコロコロ弄ぶシオリ。力の抜けたユイは最早抵抗もせず細波のように体を巡る心地よい感じに身を任せていた。
「あ、ああ、シオリ、私、もう壊れちゃいそう……はああんっ」
「ユイ、やっと素直になってくれた。もう、いいよね……」
「えっ……」
 頃は良し、とシオリは体を起こすと下着を脱いで、裸の体をユイに重ね合わせてきた。片手をユイの股間の割れ目に宛がい、もう片方の手でユイの手を取って自分の花弁を触らせて。
「シオリのも、こんなに濡れてる……」
「うん、私もユイを撮ってた時からずっと我慢してたんだよ。こんなに切なかったのを……だから、ね、一緒に感じさせて?」
「……」
 クチュ、チュププッ……
 嫌らしい音と共に、お互いの手がお互いの花弁の奥まで入っていく。花蜜で満たされ、好きな人への想いで熱く火照る女の大事な場所の中へ。
「あ、ああっ、シ、シオリぃぃ。駄目、そんなに掻き回さないで」
「だって、こうしないと気持ちよくならないじゃない? もっと見せてよ。ユイの感じてるとこ……」
 シオリが胸をユイの胸に合わせた。固くなった乳首がコリコリ擦れ合う。
「そ、そんな、シオリ……私段々おかしくなっちゃ……ああん」
「うふふ、可愛いよ、ユイ……ここもこうしてあげる」
 シオリは指でユイの秘所を掻き回しながら、親指の腹でクリトリスを擦った。同時に自分の腰を振って、ユイの指の感触も愉しむ。
「ああっ、い、嫌、私、もう、駄目……はああ、私、い、イッちゃう……あああああああん」
 プシャアアアアッ
 激しい放尿と共に絶頂を迎えるユイを見ながら、シオリは更に悪戯っぽく笑う。
「あーあ、ユイだけ先にイッちゃった……。ユイがそんな勝手な娘だったら、嫌いになっちゃうぞ?」
「えっ、あ……」
 ユイは「嫌い」という言葉に反応して哀願するようにシオリを見た。
「ん、嫌われるのは嫌かい? だったら……ヒナノじゃないけど『誠意』を見せてもらおうかな」
「誠意……?」
 まだ快楽のカタルシスから解き放たれないまま、半ばはっきりしない意識の中で息も絶え絶えにユイが問い掛ける。それに答えるようにシオリはユイの前に座って、股を開いてみせた。
「私にも……して」
 その一言でシオリの言いたい事を察したユイは、体を起こしてシオリの花弁に口づけた。
 チュッ、チュルル……チュパ
「う、んん……そこ、いいよ、ユイ……」
「シオリ、こんなにぐしょ濡れになって……」
「だって、ユイが上手に舐めてくれるから……あっ、ああ……気持ちいい。もっと、もっと舐めていいよ」
 ピチャッ、ピチャッ、ピチャ……
 割れ目をなぞり、その度に舌先でクリトリスを突付かれてシオリはビクビクと体を震わせる。
「シオリの感じてるとこ、可愛い……そんなシオリ、私好きよ」
「ああっ、私も好き、好きだよ、ユイ……んあっ、ああ、凄い……ああああああっ」
 ビクビクッと体を震わせて、今度はシオリが絶頂を迎える番だった。
「良かったよ、ユイ、ありがとう……」
 シオリがユイを抱いて、愛し合った後の余韻に浸ろうとしていた時、
 コンコン、コンコンコン
 誰かが暗室のドアをノックした。
「(ちょっとシオリ、どうするの)」
「(落ち着いて、そこの私の服取って。私が出るから)」
 シオリは裸の上から制服とスカートを着込んで、暗室の鍵を開けて応対した。
「部長、どうしたんですか? 何か悲鳴みたいな声が聞こえてたみたいですけど」
 ドアの向こうには後輩の相原ハルカと瀬名ユカリが立っている。
「え? ああ、別に大した事ないよ。暗室の掃除してたらゴキブリが出て大騒ぎしちゃっててさ」
「ゴキブリですか?」
 恐ろしい物が出た、と言いたそうに顔を顰める後輩二人。
「でももう大丈夫だよ。私とユイで退治したから。さ、後はお姉さん達に任せて君達は写真でも撮って来たら? 今日は天気がいいし綺麗な夕焼けが撮れると思うよ」
 後ろを向いてユイに目配せしてから、シオリは半ば強引に闖入者を追い払った。ユイは部屋の奥でゴミを片付けるふりをしながら、脱いだままの下着を必死で隠して本当の事が後輩にばれたらどうしようとビクビク震えていた。

「もう、私信じられない。ちょっと新しいアクセサリー試すのがあそこまでエスカレートしちゃうなんて」
 親友同士一緒に下校する道すがら、正気を取り戻したユイはシオリの事でプリプリ怒っていた。
「ごめんごめん、もうあんな事絶対しないから。ファインダー越しのユイがあんまり可愛かったから私我慢できなくってさ」
 対照的に悪びれもせずヘラヘラ笑ったままのシオリ。それでユイは余計にカチンと来て、
「そんな事言ったって許してあげない」
「そんなに臍曲げないでってば。もうユイ以外の女の子に手出したりしないから」
「……それ、信じていい?」
「も、勿論だよ」
 ユイ一筋を公言してはいても、女には節操のない所のあるシオリだった。下級生に次から次へとちょっかいを出している事では有名である。
「シオリがそう言うなら……」
 ユイの怒った顔が少しだけ穏やかになったのをシオリは見て取り、そして言った。
「それは今回は許してくれる、と思っていいのかな?」
「……」
 無言のユイ。ただ微かに頷いたようだった。
「ふふっ、ありがとう、ユイ。それじゃ今度は演劇部からメイド服とかドレスを借りて来て、それでコスプレ写真でも……」
「調子に乗らないで」
 パチーン
「痛っ」
 ユイの平手打ちがシオリの頬に決まった。

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