「瞳のフォトグラフ」各話感想(単行本一巻収録分)

第1話 はじめまして

 登場人物:相原ハルカ 瀬名ユカリ 久家イヅミ 小鳥遊ヒナノ 京シオリ 一宮ユイ

 お披露目で43ページの大ボリューム。メインキャラの顔見せもこの回でやっちゃってます。冒頭からハルカの携帯ブログの内容でネタを振って、それが電波 が飛ばないから挿絵の写真でも撮ろうかって所でカメラのご登場。最初のカメラは富士ファインピックスF10。高感度特性を上げて夜景でもノンストロボでそ こそこいけちゃうってのが売りで、私も欲しかったコンデジでした。
 それにしてもハルカの構え方、脇甘々ですよ。これではブレるのも無理からぬ話です。手ブレ補正も当てにしていい訳じゃないですしね(経験者談)。で、イヅミの
「脇締めて、そのまま撮る」
 これだけでブレない事を知って、面白がって撮りまくるハルカ。うんうん、一人前に撮れりゃ何でも撮りたくなりますよね。そこへ

「なンてるですかっ!」

 舌っ足らずなしゃべり方(でいいんですよね?)でヒナノ登場。上から目線にタカリでハルカと読者に「にぎやかし」としての立ち位置を主張。そして続け様 にヒナノの暴走のブレーキ役としてシオリも登場。頼れる姉さんってのは分かりましたけど、5ページ前からこっそり見てたならヒナノがたかる前に助けてあげ てください。そしてファインピックスF10の画像を見て、宝塚よろしくハルカを写真部に勧誘するシオリ。そりゃこんな百合なシチュに抵抗ないおにゃのこっ てのもそうはいますまいてw。
 そうして部室にやってきてユカリと会い、イヅミと再会。ユイもやって来てキャスト勢揃い。ここで一目見た時から私は決めてましたとも。ユイ様に(*´∀`)。その直後ユイを宥めにかかるシオリに軽く嫉妬したのは秘密ですw。
 これ以降フルサイズとかAPS-Cフォーマットの上級機が充実してきた一方で、キヤノン、ニコン以外でも小型軽量が身上のデジタル一眼が増えましたよ ね。AEやAFのアルゴリズムがお利口さんになって写真という、嘗ては望んで魔法の修行を志した者だけが使い得るものであった「魔法」がより多くの人々に 使えるようになり、小型軽量化で又更に身近になった。それは純粋にいいことだと思います。写真って楽しい魔法ですもの。
 そうしてイヅミのツン的態度がハルカにぶつけられて引き。それについては第3話でちょっとだけ明かされますが……。
 余談:あ、シオリはP28でリコーGRDIIをお披露目してましたね。この感想書くために読み返して初めて気づきましたがな(´・ω・`)。

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第2話 想いの芽と眼

 登場人物:相原ハルカ 瀬名ユカリ 久家イヅミ 京シオリ

 今回は26ページ。イヅミとの諍いの末に風呂で悩むハルカ。二ページ後には気持ち切り替えて前向きに臨もうとするハルカが素敵ですね。こうでありたいと思いながらいつまでたってもできない身には羨ましいです。ユカリはイヅミを嫌ってただけに酷い言い様ですが。
 その後ほとんどはハルカとユカリの会話で話が進んでいきます。ユカリが写真を始めた影響はアイドル写真家本人に憧れたからだそうで。ええ、五年程前に Hiromixや蜷川実花とかの若手写真家のブームありましたね。彼女達の影響で写真家になった方もおられますし、私自身も森山大道氏の影響もあってモノ クロを始めましたもの。
「何かを好きになるって、とっても素敵なことだから。きっかけなんて人の数だけあるはずだし、それに大好きな人と同じ視線で世界を見られるなんて、やっぱり素敵なことだと思うから」
 あれから私自身リコーGX100とR8を持ってそれで満足していたにもかかわらず、ユイの影響で中古ながらGRD(初代)買っちゃいましたし、それが不 純な動機と笑われやせんか(表向きは恐れ多くも森山大道氏を担ぎ出してましたが)と引け目を感じてたのですが、ハルカの↑の発言で救われました。
 引きはハルカとイヅミの鉢合わせ。このいがみ合いが続くのはいつまでだと心配していたのですが……。

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第3話 やりなおしの一歩

 登場人物:相原ハルカ 瀬名ユカリ 久家イヅミ 小鳥遊ヒナノ 京シオリ 一宮ユイ シオリファンの女の子

 今回は34ページ。でもって仮入部早々ギクシャクしたハルカとイヅミの手打ち式、ってのが本筋で、その裏で謎の男に写真のABCを教わっていたらしいイ ヅミの過去もちょっとだけ描いて後々の伏線が張られて、ユカリとイヅミは犬猿の仲だとか表向きナンバー2のユイは実質上の実力者だとか、元から居たメン バーの相関関係もお話の中で描かれていく、大体そんな感じですか。
 シオリの発言で部室には暗室もあることが判明。じゃあフィルムの現像やプリントもやろうと思えばできるんですね? とりあえずややこしいことは置いとい て、お父さんのフィルムカメラで頑張ってみようかってエピソードがあればいいかなと個人的に思ってます。だけどシオリ、あんた一体どんだけおにゃのこに手 を出してるんですか。ユイというステディがいながら(案の定ユイには平手打ちぶちかまされてるし、後で嫉妬心から睨まれる場面もあるし)! でもまあ後で イヅミに和解促してるし、面倒見のいい姉御だなあとは思わせていただけました。自分内ランキングではいつしかユイの次で第二位ですわw。

 私はイヅミと同じく(どんだけカメラが進化しようが)基本マニュアル露出でスポット測光派なのでカメラの自動制御のアルゴリズムがどれだけお利巧さんに なっているのか今一つ実感できないのですが、こと普通に撮る限りはオート任せでも行けるのは行けるのですね。水道の水を止めて写すためにシーンモード使っ たんじゃないかって声もありましたけど、ハルカはそこのところはどうしたのでしょうか。或いはエレクトロニクス(古語ですね)の優秀性では定評のあるキヤ ノンですから、シャッター速度を最初から速めに振ってくれたんでしょうか。ユカリは少なくともシャッター速度に関しては表現に合わせてどう変えればいいの かは理解してたようですが。

 プロからアマチュアまで、作品としての写真は難しいし、極めようとしたらどこまで行ってもキリがないと口を揃えて仰るし、実際その通りだと思います。だ けどデジカメや携帯電話の写メ(最近ではニンテンドーDSiもですか)の普及でより多くの人が写真を楽しめるようになったのは純粋にいいことだし、ハルカ 達にはフォトライフをエンジョイして欲しいって、そう思います。

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第4話 ホールディングショット

 登場人物:相原ハルカ 瀬名ユカリ 久家イヅミ 小鳥遊ヒナノ 京シオリ 一宮ユイ

 2009年一発目の更新。今回は14ページ。
 専門用語までは出ないにせよ、ヒナノ師匠(と自称するだけのスキルはあったようですね。カメラ幾つも持ってるらしいですし)のご真っ当な写真教室の開 始……と思ったら7ページから脱線したまま最後まで戻らずに氏家ト全的下ネタ路線一直線。まあらき☆すた本やとらドラ! の二次創作を読んでGUNPさん はこう云う話も定番で描かれるってことを後で知りましたけど。

 壁や立て膝を利用して己の体を三脚とすべし、ってのは確かにお役立ち情報ではありました。構える前に三回ほど深呼吸すればベターですね。一方の懸案事項 のスカートですが……まだ体操着のスタンダードが今みたいな感じでなかった頃、女子は防御策としてぶるみゃあはしっかり着用してました。今ではレギンスで すか。ごく最近ではジャージと云う防御策も普通になりつつあるらしいですが。

 そして番外編に続いて汚れ役を負わされた可哀想なユカリ。そりゃ女同士でもセクハラは嫌でしょうに。男の性で、読者の想像に任されていたユカリのパンツ は気になりますけど。個人的には縞パンとか紐パンみたいに男性読者のスケベ心に媚びるようなのではなくて、白やピンクのレース付きみたいな、女性から見て もいい趣味してるわねーって言えるようなパンツなんじゃないかって思ってます。他の読者諸兄はいかがか?

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第5話 ファーストデート

 登場人物:相原ハルカ 瀬名ユカリ 久家イヅミ 小鳥遊ヒナノ 京シオリ

 今回は21ページ。名古屋港で写真部の一年生と二年生でデートしよう、というのが大筋。その前振りでいきなり出てきたのはアーカイブに登場した飴しゃ ぶってる少年。この男は一体今後どう関わってくるのでしょうか。イヅミがお兄ちゃんと呼ぶ男は何者か? イヅミが手に取ったフィルムケース(?)の中に眠 る映像は? という点はその後すっ飛ばされて本題。

 前々回の「水道の水を止めて写す」を復習しようとしているハルカのところにやってくるシオリ。いきなり腹の具合尋ねますか。GUNP先生の漫画には氏家 ト全的下ネタコメディも少なからずあるけどそっち系は引きますよ。で、室内でシャッター速度を稼ぐなら明るいレンズを使うか撮像感度を上げるかって話な訳 ですが、そこら辺は上手く盛り込めないので追々書くと弁明もありました。昔は子供向けに書かれた写真入門の本もあって、光の量や当て方で写真はこんなに変 わるものだとか、露出とは水道をどれだけひねって、どれだけの時間をかけて適量のコップの水を注ぐかであるとかいう事も懇切丁寧に書かれてたりしました。 その辺り光画部員のサガでどうしてもツッコミたくもなろうというものですが、考え直してそれは控える事にしました。3話のユカリの、
「最近のカメラは凄いのよ」
 の台詞の通り、デジカメの普及で写真という名の魔法がより多くの人が会得できるようになった訳ですし、そういう理屈を覚えていくのは写真が面白くなってからでも遅くないって思いますもの。
 話を戻して……シオリに言わせるとイヅミはああしてハルカに謝意を示したかったそうですが、だとしたら随分屈折しとりゃしませんか。或いは不器用だけにハルカの胸中までは察することができなかった、とか。
 斯くして回り舞台は回って名古屋港。駅から出て、海の前の公園(タロ・ジロの像があるところですね。ヒナノが一緒に写してもらってた犬の像がそれです) から水族館まで回ったようですね。最後にハルカ達が屯してたベンチもあの辺りのでしたし、ヒナノがジュースを買いに行ったのも水族館からほど遠からぬ所に ある自販機コーナーでした。尤もあそこにあるのは缶ジュースばっかりで、パックのジュースがあるのはその向かい側の小さな自販機コーナーでしたけど。ここ で上機嫌で「名古屋はええよ! やっとかめ」を歌いつつ戻ろうとするヒナノの後ろから魔の手が伸びて……? さあ次回はどうなりますやら。
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第6話 フォーカス イン

 登場人物:相原ハルカ 瀬名ユカリ 久家イヅミ 小鳥遊ヒナノ 京シオリ 一宮ユイ パーカーの人物

 今回 は23ページ。舞台は名古屋港からシートレインランドに移ります。そこで前回拉致されたヒナノと、ミイラ取りがミイラになって消えたユカリを探せ(その辺 りを名古屋港の陸橋の時計を使って上手く描いたのはお見事です)ってところから話が始まる訳ですが……一言で言って「消化不良」。大方ヒナノはハルカ達の 心配をよそに涼しい顔で遊園地で遊んでるんじゃないか(殺伐とした展開はどうも考えにくかったですもの)と予想していたら、それがちょっぴり当たって 「転」の終わりでオリンパスμ-TOUGH6000を手に観覧車からハルカとイヅミを見てましたし。ハルカとイヅミがしゃべってる間にヒナノの身に何が あったのかをもう二ページくらい使って描いて欲しかった気もします。まあ今後は20ページくらいが普通の容量になりそうってことで「尺の都合」と言われれ ばそうかもしれませんし、先輩のお二方も来たのはハルカから連絡があった、ということなら納得もいきますけど。
 5ページ目からこれからへの伏線あり。ハルカの転校の理由がちょっとだけ明らかにされてます。沈んでもすぐケロッとするのがハルカらしいと言えますな w。それにいい感じでイヅミが答えるのも微笑ましいです。  シメは遥か彼方からおにゃのこを見守るお兄ちゃんと、写真部員全員で記念写真。使われていたカメラはEOSKissX2でしたが、個人的にはヒナノの富 士ファインピックスZ200が良かった気もします。あれの「みんなでタイマー」(指定した人数が揃った時点でセルフタイマーが作動してシャッターが切れ る)を使ったら面白いのにと思ってたのですが。いや、この話の終わりは手打ち式の後で記念写真っていうのは予想できてましたから。

 余談:第5話のYahoo! コミックの入口で「第5話はは4月1日更新予定です」となってましたがフレコミの更新スケジュールカレンダーでは15日になっていて、結果15日に更新さ れました。流石にこれはどうした事だという苦情があったのか、今回から「第7話はは5月中旬更新予定です」と幅持たせてました。
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カバー、カバー下おまけ

 登場人物:相原ハルカ 瀬名ユカリ 一宮ユイ

 特装版と通常版では表紙デザインが違うのは勿論ですが、折り返しのデザインも違ってます。
 特装版:表側はEF50/1.8II、EF-S60/2.8マクロ、EF-S11-22/3.5-4.5の写真と、横書きの著者挨拶。裏側は英文サブタイトルとハルカのシルエット。

 通常版:表側はキスデジと作者使用の眼鏡。著者挨拶は縦書き。裏側折り返しに作者の撮影した写真三枚。

 カバー下ですが、こちらは両方内容は同じです。表は姿見に自分を映してキスデジで激写するハルカのイラストでした。横でユカリが呆れてます。でも鏡像の セルフポートレートって自分にピント合わせようとするとカメラがボケるんですよね。絞ればマシになるでしょうがそうするとブレも……おっと、脇が甘いです よハルカ。締めて締めて。室内で光量足りてないとすれば尚更注意しなされ。
 裏は「瞳のフォトグラフ奥様劇場」と題した一ページ漫画。裸(肝心な所は隠してあります念のため)でどこかで聞いたような歌を歌いながら水浴びしているハルカを撮ろうとしたユカリがこけてレンズを落としたら、湖の精(ユイ)が登場して、
「あなたが落としたのはこのハッセルブラッドですか? それともこちらのローライですか?」
 出したのはキヤノンのLレンズ(16-35/2.8?)と白い超望遠(300/2.8?)。当のユカリは困惑。そらそーだ、ニコンにキヤノンのレンズが 使える訳がない(逆ならイカサマして使うこともできなくはないのですが)。いや白い超望遠なら相応にしっかりした三脚も要りませんか? まあ売れば君の欲 しがってるニコンの14-24(実際同じクラスのレンズでは一番良く写ると言われてます)は買えるかもしれませんけど。ここはあえてツッコミますまい。こ れは別の光画部漫画のパロディではないか、とw。
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特装版アーカイブ

 内容はハルカのデザイン案とプロフィール、単行本表紙デザイン案、連載時の扉絵ラフ、短編漫画二ページ、用語 集二ページ(こちらにあわせてまとめページ若干弄らせていただきました)、身長設定でした。既にキャラ起こしのために何百枚もラフ描かれたってのは設定資 料集で読みましたし、納得いく作品のためにはそこまでする気構えも要るもんだと当方としても改めて奮起した次第です。
 短編は4話のアフターストーリーとユカリとイヅミの日常が一ページずつ。前者は概ねオチ読めてましたけどね。上にも書いたけど私の学生時代も女子はぶる みゃあで防御するのは別に珍しくなかったですし。後者はニコンが結んだ縁……ということでしょうけどここでまた価値観の違いから諍いになりはしないかと心 配ではあります。
 用語集……アミバ、イニシャルビスケットのK、おめでとう……貴方はローディストですかwwwwww。まあ当方でも作ろうかって計画はありましたけども (結局ネタが集まらずに廃案)。でもペットボトルの素振りって意味あるんですか? 古の大家、土門拳氏がカメラ代わりに煉瓦を構えてブレ防止の訓練に励ん だ話なら知ってますけど。それからD300はDXフォーマットですよ。フルサイズはD3XとD700です。あとおめでとう! 大辞典に見事採用された…の 後が「写真部員は君たちだ」ならユイはいただいていきます(殴)。
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