俺だって、伊達に16年も生きてきたわけじゃない。
コイツがとんでもなく年上だと実感して怯むこともあるけど、
でもそんなの、腹を据えて掛かればどうってことない。
だってケンカすること自体、同レベルって証拠。

・・・・・たぶん。



Exquisite



「・・・・・っ」
「ココか?」
「ん・・・、ちょい下・・」

声を堪えて吐息に逃し、痛みをかわして快楽に変える。
無防備に俺に背を晒す恋次だけど、
ひたすら快感を求めたりとか、余裕たっぷりで俺を煽ってきたりとかで、
こうやって一番近いときにいるときほど、溝とか差とかを感じたりする。

「・・・顔、見せろよ」
繋がったまま恋次を裏返すと、眼は瞑ったまま。
俺のことなんか見ちゃいねえ。
どっぷり快感ってやつに浸って何にも聞いちゃいねえ。

「眼、開けろよ」
突き上げると、薄く開く眼、揺れる虹彩。
半開きの口の中、舌は蛍光灯に照らされてわざとらしい赤。
けど思いっきり煽られた俺は、圧し掛かって髪を掬い取り、口付ける。

「・・・浸ってんじゃねえ、さっさと動け」
億劫そうに文句を垂れたくせに、待ちきれないのか自分で動き出す。
緩めて腰を引き、俺が追いかけてくるのを待ってきつく締め出す。
無理やり押し込もうと勢いづけたら、急に緩んだソコが、俺を深く深く咥えこんだ。

「あぁ・・・ッ」

求める快感を手に入れた恋次は、大きく胸と喉を反らせて艶っぽい声を出してみせたから、
わざとらしい誘いに俺はまんまと乗ってやる。

胸を弄ってやると、腰が蠢き応える。
抉るように突くと、もっと深く迎え入れようと脚が絡みついてくる。
激しく動くと、腕が伸びてきて俺に縋りつく。
体同士が会話してるみたいだ。
張り詰めた前は放置して、強請られるのを待ってやる。
恋次が望む通りに。

嬌声とため息に、粘る水音が加わって脳髄を掻き回される。
乱れた紅い髪の隙間から、俺の様子を伺う愉しそうな視線。
あからさまな挑発にくらくらする。
こんなの、手放せるわけがない。
独占欲とでもオスの本性とでもなんとでも言いやがれ。
手にしてみねえとわかんねえよ。
たった16でコイツだぜ?
まるで世界を手に入れた気分。

「恋次・・・っ」
「い・・・ちご・・・っ」

声だけは切羽詰ってるけど、紅い眼には試すような光。

まだ余裕たっぷりじゃねえか、
足りねえんだな?

残り少ない理性を掻き集めて、恋次の腕を俺の頚から外し、
その手を勃ちっぱなしの恋次のに添えて一緒に握りこむ。

「・・・一護?」
「ほら、自分でイけよ」

そのまま上下に動かすと、先走りでぐちゃぐちゃに濡れた恋次のはちゅっちゅっと可愛らしい音を立てる。
恋次の手が戸惑ったのは一瞬、すぐに緩急つけて動き出す。
俺の手が添えられてんのも忘れたみたいに夢中になってる。
親指が亀裂を走り、露が溢れだす。
いつもこんなふうにしてるのかと、自慰に耽る恋次を想像してしまう。
それが目の前の恋次と重なったから、なんか悔しくなった。
俺の存在を思い起こさせたくなった。
俺を刻み付けたくなった。
こいつの、長い長い生に。


早く動かしたがってるのを押さえ込み、迸りを邪魔したから恋次が睨みつけてくる。
涙が滲んだその眼は極上。
軽く逃げてく髪も、掌に吸い付く墨だらけの肌も、汗の味も何もかもが最高。
だから全部、俺のもん。
他の誰にも絶対渡しゃしねえ。
オマエ自身にも。


内側から両腿に掌を添えて思いっきり足を開いて、ゆっくり引き出して動きを止める。
いつまでも動かない俺に焦れるのを待って、繋がってるとこを視るように促す。
腰を高く持ち上げて見せ付けながら、無理な角度でゆっくりと挿れる。
食い入るように見入ってる前で、強く打ち込む。
一番ヤバいところを擦られて、期待で張り詰めてた恋次の身体が大きくのたうった。
息がぐっと詰まり、孔もぎゅうっと締まる。
でも予測していたことだし、ギリギリで持ちこたえて、
足の付け根、浮き出した骨の辺りを指で辿って宥める。
誘われるように更に腰が突き出てきたから、今度はゆっくりと前立腺の辺りを狙って押し込む。
俺だって気が遠くなりそうだけど、ああ、としか声が出なくなった恋次の舌を絡めとって呼吸も邪魔する。
何とか逃れようとして顎が上がった恋次の首筋に喰らいつき、強く吸い上げる。
その間も腰の動きは忘れない。
ちゃんと、恋次の感じるとこを狙い続ける。
俺にしては、かなり上等。

「もう、いい・・・加減・・・ッ」
切れ切れに恋次が強請ってきたから、
「恋次・・・ッ!」
限界を軽く超えていた俺は、待ってましたとばかりに脚を押し開き、叩きつけるようにして激しく突き入れる。
「あ・・・、ああ・・っ、は・・っ」
睫毛のとこ、涙が滲むのを待って一段と強く突き上げると、嬌声をあげて精を吐く。
ギリギリで堪えて少し待ち、弛緩しかけたところを更に追い込む。
ひぃっと息を飲んだ恋次の中、肉の壁が痙攣するのを感じた俺は、やっと自分のも解放する。
荒い呼吸で意識を手放しそうな恋次の上に倒れこむと、やけに速い心臓の音が重なった。
そして、もうだめだ俺も意識もっていかれそう、と思った瞬間、

「も、最高・・・」

滅多に褒めない恋次の口からこぼれ出た言葉。
なんかすげー嬉しくって、俺はメチャクチャに恋次を抱きしめた。

俺の極上、絶対逃さない。





2007/08.27 exquisiteは極上とか優美とかとかいろんな意味があるけど、「美味」とか「喜び・苦痛・痛み・満足感などが非常に強い、鋭い、強烈な、激しい」ってのもあるのです。言葉フェチ。 <<back