* 一応、浦コン(ちょい一恋も入るけど)前提の名作パロ。もちろんエロなしでギャグ。苦手な方は回れ右!

 

コン・ピノッキオ


 

昔々あるところに浦原さんというちょっとヘンタイが入った男の人がいました。
ヨレヨレの甚平さんと無精ひげですが帽子を取ると童顔で、
要するに誰もその年と正体がわからない妙な人物でした。

さて、そんな浦原さんも実は結構な年。
一人暮らしも長いことですし、商いの方も淡々としてますし、
いろいろ退屈ですねえと思って、持ち前の技術力で木偶人形をつくりました。
なかなか可愛い出来でしたので大変気に入り、ちょちょいと魂も入れてしまいました。

浦原さんはこの人形にコン・ピノッキオさんと名前をつけて可愛がったのですがコレが実はなかなかの難物。
逃亡しては、巨乳のお姉さんたちを追いかけて行方不明になります。
また、エロ本を見つけるととにかく飛びついてしまうので警察に保護されたりもします。

「・・・・・これではいけませんねえ」

今日は今日でエロ本を拾ってきて、でれ〜と木製の鼻をほじっているコンさんを見て浦原さんはため息をつきました。
浦原さんは別に巨乳ハントとエロ本収集のためにコンさんを作ったわけではないのです。
そんなものにはとっくの昔に飽きていたし、
何よりコンさんを手元において、かいぐりかいぐりと可愛がりたかったのです。

「やっぱり教育、ですかねえ」

浦原さんは、コンさんを学校にやることに決めました。
教科書を買い揃えてやり、近所の私立校へ入学させました。
もちろん木製のコンさんを入学させるために、理事長に一服盛りました。
そんなことは浦原さんにとって朝飯前でしたし、人を騙すことに無情の喜びを覚える、そんな人だったのです。

さて学校では、最初の頃こそ木製のクラスメイトにかなり周囲は戸惑っていましたが、
何しろ本人(本木?)があまり気にせず、明るく面白い性格だったので、
多少イロモノ扱いとはいえ、コンさんはクラスに溶け込んでいきました。
クラスの女子のレベルが高かったので、コンさんも学校生活をかなり楽しんでいるようでした。
日に日にマトモになっていくコンさんの振る舞いを浦原さんは嬉しく思いました。
それに夜な夜な宿題を一緒にするのもとても楽しかったのです。
つくった甲斐があるってもんです。
ただ、日に日にクラスの女子連中への関心が強くなっているようですし、
女子は女子で中々コンさんのことを憎からず思っているようでしたので、
浦原さんはちょっと不安な日々を過ごしていました。

そしてそんなある日、大変なことが起りました。
コンさんが通学途中に、運命の出会いをしてしまったのです。

「あっら〜、なんだかかわいいわね〜。おねーさんと一緒に遊ぶぅ?」
「おお、神々の谷間〜〜〜!」

いかにも妖しげなその馬車には「キャバレー乱菊」と紫地に金文字で大きく書かれています。
そして馬車を御していたのは、胸の谷間も顕わでB地帯まで後一歩、
スカートもギリギリまで大サービスのとっても熟した感じのお姉さまでした。
日頃、豊満系のクラスメートと楽しくやってるとはいえ、まだまだ青い果実。
先物買いの感は否めません。
が、ここに満を持しての女神降臨!
コンさんは魂の芯までガッツリやられてしまいました。

「じゃあ馬車に乗って? 今からオンナノコ天国に行くわよ?
 可愛い子もキレイな子もむっちむちの子も一杯よ〜?」

「マジっすか?! うっひょうひょのむにょっむにょっすかぁぁ?」

「あったりまえじゃない〜vv 皆、アンタみたいな可愛い子に飢えてるから可愛がってもらえるわヨォ?」

「マジっすかぁぁぁぁぁ!!!」

コンさんは御者に飛びつきましたが、谷間に届く間もなく
まるでテニスボールのように馬車に打ち込まれてしまいました。

「さあ、いっくわよー!」

鞭の音も高らかに、馬車は走り出しました。
コンさんは、今殴られたことも、浦原さんやクラスメイトたちのことも全部忘れて、
これから繰り広げられるであろう酒池肉林の天国にウハウハと想像を膨らませておりました。

さて到着したのはもう見るからに豪華系というかヒカリモノ系というかピンクオーラが充満しているというか。
いかにもボられそうな場末っぽいバーですが、ある意味とっても純なコンさんの期待はますます高まって行きました。

「いらっしゃいませ〜〜〜」

ずらりと並んだ天使達がコンさんのことを待ち受けていました。
多少盛りは寂しいとはいえ、なかなかの品ぞろいです。
バラエティに富んでいるという言い方も出来ます。

「よろしくおねがいしますね〜〜〜」

そういって寄ってくる女の子たちは皆どの子も個性的で可愛くって、まるで夢のようです。

見上げるほどの長身ながら、気弱そうな微笑と巨乳がステキな勇音おねーさん。
貧乳ながらそのほんわかした雰囲気が素敵な可愛い桃ちゃん。
かなりキビしく叱ってくれそうな美形の七緒オネーサマ。
ほかにもたくさんの美女達がコンさんをもてなしてくれます。

「どうぞ楽しまれてくださいね」

そういってお酒を出してくれたのは、長い三つ編みを体の前に垂らしたとても穏やかそうな女性で、
コンさんは思わず擦り寄ろうとしましたが、アッサリかわされ壁に激突しました。
でもそんなこと関係ありません。だってコンさんは木製ですから!
それよりも、この三つ編みオネエサマの残り香にうっとりとしてしまいました。

うう、こんな天国が地上にあったなんて・・・・!

そんなこんなでコンさんはガッツリはまってしまいました。

さて、数日たったある日。
あの御者の大盛りのお姉さんがやってきました。
コンさんはおおはしゃぎです。

「おねえさぁぁぁんん」

バシっ!

「い、いたいッス! 何すんですかぁ、ネエサン!!」

「あのねえ、お客さん。
 ちゃんと払うもん、払ってもらわないと困るのよねえ。
 うちも慈善事業やってんじゃないんだからさあ」

突然の豹変振りにびっくり仰天したコンさんは周りを見渡しました。
すると、あんなに優しかった天使達が、仁王立ちになってコンさんを取り囲み、睨みつけているではありませんか!!

「ネ、ネエサン方・・・?」

「さ、払えるの払えないの?」

もちろん払えるわけがありません。大体支払いってナンデスカ!
もう絶対絶命です。どうしたらいいんでしょう。

「じゃ、働いてもらうわよ。いいわね?」

そういって一番盛りの女神は妖しく微笑んで、天使達の一人に頷きました。
すると、貧乳ながらかなりきわどい服で、それなりにお気に入りだったツンデレ系が指をパチンと鳴らしました。

どがどがどがっ!!

荒々しい音と共に踏み込んできたのは、黒装束の男たちです。
忍者みたいな服を着て、この時代に一体何をやっているのでしょう。

「こちらが借金のカタの材木くんですvv」

神々の谷間がそう言ってコンさんを指差しました。

「ちょ、ちょっと待て! 材木ってソレ・・・」
「ざ〜んね〜んでしたぁ。あんた、借金の変わりに燃やされてきなさい」
「そ、そんな!! 冷たすぎるっスよ! つか酷いっスよ!!」

いくらコンさんが泣いても、さっきまでの天使達は皆、悪魔と成り代わってしまいました。
薄笑いでコンさんを眺めているだけです。
コンさん、大ピンチです。
お庭番たちはモノも言わず、淡々とコンさんを梱包していきます。
ぐるぐる巻きにされて何も見えず、身動き一つ出来なくなったとき、

「ちょっと待った!!」

懐かしい声が聞こえました。
忘れもしない、浦原さんの声です。

来てくれたんだ、浦原さん。俺のこと、忘れてなかったんだ!!

それからの浦原さんの活躍はものすごかったのです。
えいやあ、なんだこんちくしょうとものすごい音と掛け声です。
簀巻きに梱包されたコンさんは見えないながらも、浦原さんの熱い魂を感じました。
同時に、もう神々の谷間なんかに騙されない、と誓いました。

「さあ、もう大丈夫ですよ」

浦原さんはコンさんを開封し、にっこり笑いました。
顔は傷だらけです。

「う、浦原さん!!」

コンさんは木製なので涙は出ません。
でもその感謝の気持ちは浦原さんにバッチシ伝わり、
二人は手に手をとって、浦原商店への長い道程を一緒に帰りました。

さて、無事、浦原さんの所に戻ったコンさんは心を入れ替えて働きました。
学校にもちゃんと通いました。
街や学校で美しいオネエサンたちを見ても、決して以前みたいに食いつくどころか、
逃げ出すようになってしまいました。いわゆるトラウマです。
そんなわけで、浦原さんとコンさんは以前にも増して仲良く暮らし始ました。

そんなある日、コンさんが店の前を掃除していると、黒猫が前を横切りました。
金曜日だというのに・・・!
すっかり迷信深くなってしまったコンさんはかなりビビりました。
するとあろうことか、その黒猫がコンさんに向かってしゃべりだしたのです。

「ふむ、おぬし。中々感心だな」
「ななな、何で猫がしゃべるんだよぉっ!!」
「ふふ、ワシの正体はな・・・!」

ボンッと音を立てて猫が破裂したかと思うと、真っ黒で豊満なオネエサンが一糸纏わぬ姿で現れました。
もちろん肝心なところは煙で隠れています。

「ちょちょちょ、ちょっとそれはヤバイっすよ!!」
「何がやばいことがあるか。んん?」

黒いオネエサンはニヤニヤ笑いながら近づいてきます。
しかし怯えきったコンさんは腰を抜かしてその場に座り込んでしまいました。

「ほう。貴様、木偶のクセになかなか面白いではないか。よし、褒美にコレをやろう!」

そういって黒いオネエサンは人間の体を取り出しました。
年は15,6歳ぐらい。
かなり特徴的なオレンジの髪をした少年の体です。

「ほれ、コレに入るがよい」

そういってオネエサンはコンさんを一叩きし、その魂を取り出したかと思うと、その人間の体に入れました。
人間の体に入ったコンさんは、唖然とした様子で自分の手を見つめました。
紛れもなく人間の体です。温かい血が通っています。
もう、木切れでできた人形ではないのです!

「も、もしかして俺、人間になったのか・・・?」
「そうじゃ。丁度その辺に捨ててあったのだが具合もよかろう。それで浦原を楽しませてやれ」
「ってアンタ、浦原さんを知っているのか?!」

しかしオネエサンは妖しい笑みを浮かべ、そのまま去って行きました。
コンさんはその美しい後姿を拝みながらも、もしかして猥褻物陳列罪に引っかかるんじゃないだろうかと心配しつつ見送りました。

がらっ。
丁度そこへ昔ナツカシ木の引き戸が開いて、浦原さんが出てきました。

「コンさーん、掃除、終わりましたか・・・・って、コンさん! もしかしてコンさんですか?!」
「そうです浦原さん!! 俺、人間になったんだ!」
「・・・・コンさん!」

そう言って二人はヒシと抱き合いました。



さてその頃、街の反対側では、一般人には見えない黒装束の二人が大騒ぎしていました。

「ねえよ! 俺の体が消えた!!」
「どっか違うとこ置いてたんじゃねーか?」
「んな訳ねーよ! 絶対ここに隠してたんだ!」
「じゃ、体が一人で歩いて行ったってか?」
「うおお、どうすればいいんだ! 俺、一生死神かよ?!」

パニックに陥るオレンジ髪の少年の頭を、紅髪の青年がグリグリと撫でてこういいました。

「ま、それもいいんじゃねーか?」

その優しい微笑みにオレンジ髪はくらりときて、体ごときで大騒ぎしてたのがバカらしくなりました。
不可抗力だったという言い訳も出来たことですし、これからは二人で仲良く同属です。
二人を阻むものはもう何もありません。

「・・・・それもそうだよな」
「な?」

そして二人並んで夕陽に向かって笑いながら走っていきました。
今、青春の1ページが開かれたのです!

 



 

そしてその後、浦原商店の裏辺りで、

「いやあどうもありがとうございましたぁ、やちるさん、七緒さん、夜一さん♪」

「たっのしかったよぉ〜♪」
「女性死神協会のいい収入になりました。こちらこそお礼申し上げます」
「皆、揃いも揃ってワルよのう。だが確かに高級マグロ一匹には、ワシとて逆らえんからのう」

という会話が交わされたかどうかはナゾですが、
とにもかくにも2カップルともその後末永く幸せに暮らしたそうです。
 

おしまい




<<back