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彼女に一番似合うのは。 by黒鋼 美亜

 
 ※お題『血』
 ※黒鋼 美亜
 
続き
 

どんなに見事な宝石も。
どんなに豪華なドレスも。
彼女にはきっと似合わない。

だって、

【彼女に一番似合うのは。】

『にゃーん♪』
頭の中に響いた声で、昼寝から叩き起こされる。
「ぁー・・・。」
いつもの唐突なWISだ。
『ぃよ~ぅ』
『ぉ、いたいた。』
『おやすみ~』
いや冗談だけどな。
『ぇー。カンゴクいこぅよぅ、カンゴク。』
『うぃうぃw』
『にゃー♪プロでいいよねー?』
『うぃさー。』

何の変哲もないペア臨。
プロに集まってポタを出して、GH城1F前まで飛んで。
いったん集まって城1Fを通り抜け。
通いなれた道。
そのまま監獄1Fも通り抜け・・・ぇ?
「おーぃ、どこいくんだー?」
「ぉ?」
きょとん、として、地図をみて。
「あら。道、まちがえちったw」
・・・通いなれた道なんですけどおねぃさん・・・。
てへへ、と笑う彼女が、不意に体を大きく傾がせる。
ほぼ同時に俺の声が響く。
「ブレッシング!!」
対象は、彼女の体が一瞬前まで合ったところを過ぎ去る刃の持ち主。
リビオ。
彼女は動いた勢いのまま攻撃に移る。
俺はというと、すぐには殴り始めずに・・・
・・・
・・・
・・・・・・
ちぇ。
あきらめて殴り始めた俺を見て、にやりと意地の悪い笑いをしてくる・・・。
むぅ。

入り口の前で立ち止まることもせず、2Fへ。

入ったところにあった気配から、ほぼ条件反射で体を遠ざけ、向き直る。
目の前を通っていく鈍い輝き。
元人のカタール。
真横をすり抜けていく銀色。
カタールを振り切ってがらあきになった胸に、腹に、彼女のジュルが食い込む。
インジャスティスが彼女と戦っている隙に、俺は、
・・・
・・・
「スティール!!」
今度は彼女はウインクをくれたさ。w

どこに何があるか、
どこにMOBが溜まりやすいか、
すっかり覚えこんでしまった、慣れたMAP。
慣れたMOB。
全て見飽きてしまった中で、何度見ても見飽きないものがある。
軽やかな動きで、彼女がMOBを切り刻む。
そのたびに返り血が、彼女の、銀の髪に、白い頬や肩に、紫紺の服に散る。

「ぉわ・・・ベノムダスト!!」

冷静に、というより習慣的に、MOBを均等に配分する。
二人とも、囲まれるのは苦手だから。

「!ってぇ!」

血飛沫が薄闇に咲き

「ヒール!!」

傷口は塞がっても、溢れた血は服を濡らす。

銀糸の長い髪を揺らして、
黒曜石の瞳をきらめかせて、
紅い口元に微笑を浮かべて。

血を、纏って。

殺す、彼女が。

綺麗で。
見飽きるはずがない。

どんなに見事な宝石も。
どんなに豪華なドレスも。
彼女にはきっと似合わない。

だって、

彼女に一番似合うのは、

彼女を一番輝かせるのは、

彼女を一番飾り立てるのは、

戦場と、死と、血。だから。


・・・えーと・・・。
すんません、殴りプリがこんな見とれてよそ見してたら逝きますよね・・・そうですね・・・。
2004.05.01 黒鋼 美亜